内定から入社までの期間が長くなったことにより、内定辞退が増えています。学生の内定辞退を防ぐのに有効とされているのが、フォローメールや内定者懇親会です。
これらは単に送れば良い・開催すれば良いものではありません。とくに内定者懇談会は企業側の「働きやすさ」や「所属する社員の人柄」が伝わる場であり、開催の際は入念な準備が必要です。
本記事では、内定者懇親会の流れをオンライン・オフラインのケース別に紹介します。入社意欲を向上させるための企画も、ぜひ参考にしてください。
新卒採用を成功させる新常識を解説
ここ最近の新卒採用は難易度が高く、既存の就活ナビサイトだけでは難しい時代が続いています。
新卒採用に悩む方々のために、就活ナビサイトに頼った採用から脱却し、優秀な学生を継続して採用できる方法を1つの資料にまとめました。
以下から資料をダウンロードして、これからの新卒採用に必要な知識を身につけましょう。
内定者懇親会の目的
内定者は大なり小なり「同期や先輩社員たちと円滑なコミュニケーションが図れるかどうか」「働きやすい環境か」などの不安を抱えています。内定者懇談会は、企業の雰囲気を肌で感じてもらうことで、大小の不安を解消することを目的として開催されるものです。
また、内定者同士の横のつながりと先輩社員との縦のつながりを入社前に作っておくことで、内定辞退の予防にも寄与します。縦横の関係性ができることで、入社後の働いている姿をポジティブに想像しやすくなるのです。
さらに、入社後の業務にもスムーズに取り組めるようになる効果が期待されます。
【参考】内定者懇親会とは?重要性や目的・成功させるポイントを紹介
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/candidate_gathering/
オフラインでの内定者懇親会の内容
指定の会場に集まり、内定者懇親会を行う場合の一般的な内容を紹介します。あくまで一般的な内容であるため、企業のカラーや時間帯にあわせて柔軟に運用してください。
オフライン内定者懇親会の流れ
オフラインで内定者懇親会を催す場合の一般的な流れは下記のとおりです。
- 自己紹介
- グループワーク
- 社員との座談会
- 食事会
- 社内見学
これに加えて質問会を設けたり、社内見学は後日に回して食事会を居酒屋などで行う場合もあります。
1.自己紹介
内定者の自己紹介、もしくは参加している社員の自己紹介を行います。社員の場合は他己紹介の形を採用してもおもしろいでしょう。もちろん内定者と参加している社員の両方が自己紹介する形式でも構いません。
また、事前に参加者のプロフィールをまとめた文書を共有しておくことで、自己紹介を短時間で終わらせられます。
2.グループワーク
グループワークではテーマや課題を出して、内定者に取り組ませることにより、内定者同士のコミュニケーションを強化するイベントです。
内定者同士の絆が深まると同時に、企業側は内定者のコミュニケーション能力や価値観を垣間見れます。
テーマや課題は「新社会人に大切なこと」「残りの学生生活を有意義に過ごすための方法」など、内定者の現状に馴染みのあるものの方が取り組みやすいでしょう。
3.社員との座談会
社員との座談会は、内定者が先輩社員から「働きやすさ」「待遇」「やりがい」など、入社後にしか知り得ない情報を収集できる貴重な場です。座談会を設けることで、内定者が入社前に抱えている疑問や不安を解消しやすくなります。
参加する社員においては内定者からの質問にしっかり答えられるよう、企業の制度や業務のやりがいをまとめておく必要があります。
4.食事会
昼食や夕食を食べながら、内定者同士や先輩社員との交流を深めてもらう場です。企業によっては座談会と食事会を兼ねる場合もあります。
食事の感想からも話が広がりやすく、グループワークや座談会よりもくだけた雰囲気のなかで交流できるでしょう。本音での交流が図りやすくなるため、同期や先輩社員への信頼度も高まります。
食事会により縦横の良好な関係性を築くことは、入社後のミスマッチによる退職を防ぐためにも効果的です。
5.社内見学
社内見学では、これから働くことになる環境を見てもらうことで、内定者に入社意欲を高めてもらえます。「どんな環境で」「どんな人たちと」「どんな風に」働くのか、などの不安解消につながるため、ぜひ実施を検討したいイベントです。
座談会や食事会からの流れで先輩社員を同行させれば、そのときどきに浮かんだ疑問や不安も解消できて一石二鳥でしょう。
オンラインでの内定者懇親会の内容
2020年より世界中で感染爆発を起こしている新型コロナウイルスの影響で、オンラインで内定者懇親会を実施する企業も増えています。オンラインで実施する場合の内定者懇親会の大まかな内容を紹介します。
オンライン内定者懇親会の流れ
オンラインで内定者懇親会を催す場合の一般的な流れは下記のとおりです。
- 自己紹介
- グループワーク
- 社員との座談会
- 食事会
オフラインで実施される社内見学ですが、オンラインでは割愛されることも多いようです。エンジニアを抱えている企業においては、バーチャルオフィスツアーを開催することもあります。
1.自己紹介
オフライン時と同様、オンラインでも自己紹介を行います。オンラインの性質上、温度感までが伝わりにくいため、出身地や好きな食べ物を当てるなど、自己紹介にゲーム要素を取り入れてみるのも良いでしょう。
2.グループワーク
オンラインでは、同じグループ以外の内定者や先輩との交流が図りにくい傾向があります。そのため、グループワークはチーム対抗戦形式がオススメです。
テーマや課題を検討させたのち、各チームの代表者が発表。その内容に対して別チームから意見をもらうことで、チーム間の交流が生まれます。あるいは一人ひとりの発表時間を短くして、全員に発表させる形式も良いでしょう。
3.社員との座談会
先輩社員に疑問に思っていることや不安に思っていることを質問できる場を設けることで、その不安の解消を図ります。
オンラインの場合は発言のタイミングが掴みづらいため、気まずい雰囲気になってしまうこともあります。司会進行役が指名する、あるいは社員の方から内定者に質問を投げかけると良いでしょう。
4.食事会
開催する時間が昼食や夕飯時に差し掛かる場合は、そのまま食事会に移行すると良いでしょう。夕飯時に開催する場合は、食事会ではなく飲み会にするのもオススメです。食事を楽しみながらなごやかな雰囲気で交流できれば、内定者の企業への親しみも高まります。
企業によっては、懇親会の開催にあわせて内定者の自宅にフードデリバリーする事例もあります。オンラインでも同じ食事を共有でき、食事を切り口に会話を広げられるため、交流を深めるのにも良い方法でしょう。
内定者懇親会で盛り上がるオススメの企画3選
座談会・食事会・社内見学など、これまで紹介した王道のコンテンツ以外でオススメの企画を3つご紹介します。どれも内定者同士の交流を深められる内容ですので、ぜひ参考にしてみてください。
1.GOOD&NEW
内定者同士で自己紹介する際は、名前や趣味などの基本的な情報に加えて、「最近のよかったこと(GOOD)」または「新しい発見(NEW)」を発表してもらうようにしましょう。
「GOOD&NEW」は組織活性化のために企業の朝礼などでも導入されている手法で、ポジティブな雰囲気を作りやすく、各々の個性や価値観が出やすいのが特徴です。
2.他己紹介ゲーム
内定者同士でペアを作り、お互いにいくつか質問した後、全体へ向けてパートナーのプレゼンをする「他己紹介ゲーム」もオススメです。全体発表に向けてパートナーの情報を次々に引き出さなければならないため、自然に相互理解が深まり、コミュニケーションが活発になります。
また、制限時間内でヒアリングと発表を行うため、インプットとアウトプットの練習にもなるでしょう。
3.チーム対抗ゲーム
4〜5名のグループに分かれてチーム対抗戦を行えば、内定者同士のチームワークを高められます。ゲーム内容としては以下がオススメです。
・クイズ大会
・共通点探しゲーム
→制限時間内に見つけられたメンバーの共通点の数を競うゲーム
・リモ謎
→オンライン形式の謎解き脱出ゲーム
とくにクイズ大会は、楽しく交流しながら企業理解を深められるのでオススメです。知識を試すような堅い問題ではなく、商品・サービスの誕生秘話や最新情報に関する問題なら全員が楽しめるでしょう。
また、懇親会に参加している社員にまつわるクイズを出題すれば、社員と内定者の距離を縮められ、その後の座談会や食事会での会話のきっかけとなります。
内定者懇親会を成功させるポイント
内定者懇親会には、同期や先輩社員との交流を介して、内定辞退の防止につなげられるメリットがあります。
しかし、先輩社員の態度が高圧的だったり、社風が合わなかったりと、ネガティブな側面を発見しやすい場でもあります。当初の目的とは正反対の結果を招きかねないので、下記のような点に配慮しておきましょう。
- 参加する社員の教育を徹底する
- 相性の良さそうな人たちでグルーピングする
- 気軽に参加できるようゲーム要素を取り入れる
- 日時によっては参加できない人もいるので一定の間隔を開けて定期的に開催する
- オンラインの場合は映像・音声トラブルに気を付ける
また、年齢性別を問わず、幅広く社員に参加してもらうと良いでしょう。色んなタイプの社員を参加させることで、内定者がロールモデルを見つけやすくなります。「この人と一緒に働きたい」という人が見つかれば、内定辞退の防止に一役買ってくれます。
内定者懇親会の成功事例3選
最後に、実際に内定者懇親会を実施している企業の事例を3つご紹介します。
1.株式会社MJE
株式会社MJEは、4月から8月にわたって毎月内定者懇親会を開催しています。同社では内定者同士のコミュニケーションを重視し、オンラインにて以下のコンテンツを実施しました。
内定者懇親会の内容
1.自己紹介
2.ワードウルフ
→参加者全員にお題となるワードが配られ、「皆とは違うワード」を与えられた人を見つけ出すゲーム。人狼ゲームに似ていることから「ワード人狼」とも呼ばれる。
3.座談会
オンライン形式でも大いに盛り上がり、ゲームを通じて内定者同士の親睦を深めることに成功しています。
【参考】【これから合流する22卒へ】第3回内定者懇親会の様子をお届け
https://www.wantedly.com/companies/mjeinc/post_articles/335101
2.株式会社ロジカルスタジオ
株式会社ロジカルスタジオも、オンライン形式で内定者懇親会を実施しています。具体的なコンテンツは以下の通りです。
内定者懇親会の内容
1.自己紹介
2.代表挨拶
3.ゲーム大会「一致するまで終われまテン」
→お題に対する回答が全員一致するまで終われないゲーム
4.座談会
全員が一致団結しなければクリアできないゲームを実施したことで、楽しみながら内定者同士のチームワークを高めることに成功しています。
【参考】オンライン内定者懇親会、はじめました。https://www.wantedly.com/companies/logical-studio/post_articles/362732
3.ソフトブレーン株式会社
ソフトブレーン株式会社は、対面形式(オフライン)で内定者懇親会を実施しています。具体的なコンテンツは以下の通りです。
内定者懇親会の内容
1.本社見学
2.自己紹介プレゼン大会
→趣味・特技・経歴など、内定者がプレゼン形式で自己紹介を実施
3.レストランで食事会
食事会では先に行った自己紹介プレゼンが会話の糸口となり、プレゼンで気になった部分やもっと詳しく知りたいことなどをお互いに聞くことで、内定者同士の交流が盛り上がったようです。実際、懇親会終了後に内定者だけで2次会を開催するほど、内定者同士の親睦が深まっています。
【参考】2020内定者懇親会を実施しました、の話。https://www.wantedly.com/companies/softbrain/post_articles/172154
まとめ
内定者懇親会の目的は「内定辞退の防止」です。内定者が不安や疑問に感じていることを内定者懇親会で解消してあげられれば、一定数の内定辞退は防げるでしょう。
内定辞退を防止するには、内定者たちが安心して入社できる雰囲気づくりはもちろんのこと、内定企業で働きたいモチベーションが高まるような、楽しい企画の準備が重要です。間違っても先輩社員が自慢話をする場となったり、ポジティブな入社後を描けないような企画ばかりを催したりするのは避けましょう。
内定者が抱える不安を解消できる数少ないチャンスを潰してしまわないよう、入念に計画を立てて懇親会を開催しましょう。
選考から入社後まで意識すべき候補者体験については以下の記事で解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/recruiting_textbook_3