採用活動において面接官は「企業の顔」であり、将来の企業を支える人材の選考という重要な役割を担います。ただし、過度に重く受け止める必要はありません。採用活動の心得をしっかり把握し、実行することを意識しましょう。
本記事では、面接官が知っておきたいポイントを紹介します。面接官の役割やNG行動など、事前知識も押さえておきましょう。
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面接官に必要な5つの心得
面接官に必要な心得は下記の5つです。
- 企業を代表していることを意識する
- 面接を通して候補者の本来の姿を引き出す
- 企業が求める人材を把握する
- 面接の事前準備を怠らない
- 企業の情報を把握しておく
「優秀な人材を採用する」という役割が先行しがちですが、面接官は候補者に企業をPRする役割も担います。候補者に不快感を与えない言動を意識しつつ、候補者を見極めるための心構えや事前準備の必要性を心得ておきましょう。
選考から入社後まで意識すべき候補者体験については以下の記事で解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。
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1.企業を代表していることを意識する
面接官は、候補者が就職・転職活動で出会う数少ない「中の人」です。
候補者は面接官を通してその企業の「上司」や「先輩」像を投影しており、入社後に自分が働いている姿まで想像します。面接で横柄な態度を取ったりしてしまうと「この企業には入社したくない」と思われてしまうでしょう。
また、面接官の印象が悪いだけで終わればよいですが、候補者にとっては「面接官=企業の代表者」です。企業全体のイメージ低下を招きかねないので、企業の代表者であることを自覚して面接に臨むことが大切です。
2.面接を通して候補者の本来の姿を引き出す
候補者のなかには「面接が得意な人」と「面接が苦手な人」がいます。個人の性格や面接の経験数などによっても異なりますが、いずれにしても面接という場では候補者は大なり小なり緊張しているものです。
面接の場で本来の自分を出せずに終えてしまう人も少なからずいるでしょう。候補者にとって悔いの残る面接になることはもちろん、企業側としても「面接は苦手だが能力が高い人」を逃してしまうことになりかねません。
30分~1時間程度の面接で候補者のすべてを知れるわけではありません。しかし、候補者が本来の姿をアピールしやすいように面接の場を和ませることは、企業と候補者双方にとってメリットがあり、それは面接官の役割です。
3.企業が求める人材を把握する
面接を行うにあたって、企業がどのような人材を求めているのかを明確にしていないと、数多くの候補者のなかから企業に最適な人材を選びようがありません。
また、その人材像の判断基準・評価基準についても共通認識を持っておくと、面接官によってまったく異なるタイプの人を選出する、といった事態を避けられます。
4.面接の事前準備を怠らない
面接官は「企業の将来を左右する人選」を任されたといっても過言ではありません。事前に下記のような準備を行っておきましょう。
- 面接の練習
- 予想される質問に対しての答えの準備
- 評価基準シートの作成
- 面接官同士の役割を決める
企業の規模が大きくなればなるほど、候補者も多くなるのが一般的です。そうなると1人、あるいは1組のための面接に時間を割けなくなってきます。面接をスムーズに進めるためにも事前の準備は怠れません。
5.企業の情報を把握しておく
候補者は事前に企業のWebサイトなどを見て、大方の事業内容を把握しています。なかにはOB・OG訪問から、より詳細な情報を耳にしている人もいるでしょう。しかし、それでも候補者が持っている企業の情報はほんの一部に過ぎません。
その一部の情報では「入社して良いかどうか」を判断できないため、候補者からも企業に対して質問があります。そこで面接官が曖昧な回答しかできないと、候補者の目には「頼りない企業」と映ってしまうでしょう。
一方、事業内容や企業のビジョン、ミッション、バリューなどを面接官がいきいきと答えられれば、候補者の志望度を高められます。あらためて企業の情報を把握し、短時間でも企業をPRできるように準備しておきましょう。
面接官に求められる役割
面接官に求められる役割には下記のようなものがあります。
- 企業にとって必要な人材かどうかを見極める
- 求める業務レベル・スキルセットを備えているか確認する
- 候補者に企業のことを理解してもらう
面接を行う目的には、候補者が企業にとって必要な人材かどうかを見極めること、また必要な人材の入社意思を高める動機形成があります。
1.企業にとって必要な人材かどうかを見極める
面接官は、事前に決めた評価基準に沿って、候補者が企業にとって必要な人材かどうかを見極めます。面接が複数回におよぶ場合は、各段階での評価基準を設定しておくと迷いなく候補者の選出ができるでしょう。
2.求める業務レベル・スキルセットを備えているか確認する
「最低でもこの程度はほしい」という業務レベルやスキルセットの評価基準も決めておきましょう。さらに面接では、履歴書を確認するだけではわからない候補者のコミュニケーション力や質問力、交渉力など、仕事を円滑に進めるための能力を中心に見るとよいでしょう。
3.候補者に企業のことを理解してもらう
人材不足や内定辞退が取り沙汰されるなか、候補者が途中で離脱しないための動機付けも面接官の役割です。これには事業内容の説明や企業が掲げるビジョンなどの説明も含まれますが、面接官の態度や行動なども影響します。
企業が何をしているかのハード面も重要ですが、どういった人が先輩や上司になるのかといったソフト面からも、企業のことを理解してもらえるように努めましょう。
以下の記事では、面接官が心得ておくべき知識や面接官トレーニングの手法を解説しています。ぜひあわせてご確認ください。
【参考】面接官トレーニングで自社にあった人材を採用する|面談・面接に役立つナレッジを解説
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/interviewer_training/
面接当日の流れ
一般的に面接当日は、下記のような流れで進みます。
- 自己紹介
- 志望理由・入社後の展望の確認
- 希望条件の確認
- 質疑応答
1.自己紹介
まずは企業側から自己紹介を行いましょう。その前に軽くアイスブレイク(雑談や簡単なゲーム)を挟むと、候補者の緊張がほぐれ、良い雰囲気で面接をスタートできます。
企業側の自己紹介や事業内容の説明などが終わったら、候補者に自己紹介をしてもらいます。グループの場合は、候補者1人あたりの持ち時間を決めて進行すると良いでしょう。
2.志望理由・入社後の展望の確認
続いて、履歴書を見ながらの質疑応答に入ります。1つの質問に対してさらに掘り下げて聞くようにするなど「会話」を意識して質問していきましょう。
グループの場合は1人に質問が集中しないように、グループ全体に話しを振りながら候補者の様子を観察するとよいでしょう。
3.希望条件の確認
入社後にトラブルに発展することを防ぐためにも、雇用するうえでの条件の擦りあわせを行います。なお、この時点で採用可否を考える必要はありません。いずれの候補者にも同じ条件を伝え、希望に沿うかどうかの確認を行いましょう。
条件について候補者から質問や希望が出ることもあります。候補者が納得できる回答を返せるように事前にシミュレーションしておきましょう。
4.質疑応答
質疑応答では、基本的に候補者から企業側への質問を募ります。
面接時のやり取りについてわからない点や、志望するにあたって不安な点などを質問されることが予想されます。時間の兼ね合いもありますが、1つひとつの質問に対して丁寧に答えていきましょう。そうすることで、候補者の不安を払拭できるだけでなく、志望度を高められる効果も期待できます。
この場でわからないことを質問されても、曖昧に濁してはいけません。「後日メールで回答する」旨を伝え、できるだけ迅速な回答に努めましょう。
実際の面接で使える質問例
ここでは、実際に面接で使える質問の例について、項目別に紹介します。
- アイスブレイク
アイスブレイクは候補者の緊張感を和ませる効果があります。長く時間をとる必要はありませんが、面接を円滑に行うために必要な時間です。気軽に答えやすい「天気」や「面接会場までの交通手段」などを質問をして、候補者の緊張を取り除きましょう。
例1:今日はここまで電車で来られたんですか?
例2:最近雨が多いですね。体調を崩されたりしていませんか?
例3:空調の温度は大丈夫ですか?寒かったら遠慮無く仰ってください。
アイスブレイクを成功させるコツや、面接に慣れていない採用担当者でもすぐに実践できる鉄板の質問やトーク例について、以下の記事も確認してみてください。
【参考】面接のアイスブレイクで必ず盛り上がる鉄板の質問7選|NG例も紹介
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/ice_break/
- 職務経歴やスキル
学生であれば学生時代に頑張ったことなど、転職者であれば前職で得たスキルなどを質問して、「何ができるのか」を聞き出します。
例1:学生時代、アルバイトや部活動でどういった経験をされてきましたか?
例2:前職で○○○の経験がおありのようですが、どういったポジションで何年ほど携わっていらっしゃったのですか?
例3:これから取得したい資格やスキルはありますか?
- 志望動機やキャリアビジョン
入社後の成長度合いを測れます。志望度合いが高い人ほど、入社後の自分をイメージしていることが多いと予想され、下記のような質問に明確な回答をくれるでしょう。
例1:入社後は当社で何を実現したいですか?
例2:仕事をするうえで大切にしていることは何ですか?
例3:同業他社が多いなか、当社を志望する理由を教えてください。
- 退職理由・転職理由
転職者の場合、前職の退職理由を聞いておきましょう。
例1:今の企業に入社して○年ですが、このタイミングで転職しようと思った理由はなんですか?
例2:転職回数が多いようですが、その理由はなんですか?
例3:前職で何を得られたらそのまま続けていましたか?
- 人間性や価値観
人間性や価値観についての質問は、希望職種や部署、企業との相性を図るための指標になります。ただし、質問の仕方によってはセクハラやモラハラと捉えられる可能性もあるので、内容や言い方に配慮を忘れずに質問しましょう。
例1:友人や職場の人はあなたについて、どのような人だと言いますか?
例2:ストレスの発散方法を教えてください。
例3:これまでに挫折した経験はありますか?そのときの対処法を教えてください。
面接終了後に「これを聞いておけば良かった」と後悔することのないように、面接官同士で事前に質問リストを作成しておくことをオススメします。
面接官が気をつけるべきNG行動
面接官には、タブーとされる質問を控えることはもちろんのこと、言動全般にも注意が求められます。
タブーな質問例
面接官は「企業の顔」であることを忘れずに、モラルをもった質問を徹底しましょう。下記のような話題に触れるのは避けた方が無難です。
【面接中の質問で避けるべき話題】
- 政治
- 宗教
- スポーツ
- 恋愛
- 家族、家庭環境
- 性別、年齢、容姿
- 出生地
態度や行動にも気をつける
面接は企業のためだけの場ではありません。候補者も数ある企業のなかから入社する企業を比較検討するために、時間を割いて面接会場に足を運んでくれています。
面接官の態度や行動によって、候補者の入社モチベーションは上下するものです。下記のような態度・行動には注意してください。
【面接官のNGな態度・行動例】
- 横柄な態度を取る・・・あくび、腕組み、背もたれにもたれかかる、にらみつけるように見る、候補者を頭ごなしに否定する、他社を批判する、無視をする
- 候補者を全くみない・・・ずっとメモをとっている、評価基準シートに気を取られている、候補者を見ない
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まとめ
面接は候補者と企業、お互いにとっての選考の場です。「企業側が選ぶ場」と面接官が捉えてしまうと、その考えは少なからず言動に反映され、候補者に違和感を与えてしまうでしょう。
小さな違和感ではありますが、そのことをきっかけに他社への志望度を高める候補者も出てきます。優秀な人材を逃さないためにも、面接官も事前の準備を入念に行い、当日は緊張感を持って臨みましょう。