リモートワークや在宅勤務が普及し、社員同士のコミュニケーション減少を課題と感じている企業が増加しています。また、人口減少に伴う若年層の不足や多様な働き方の広まりによる人材の流動化で、定着率を高めるための施策が求められています。
こうした状況の中、企業の人材戦略において注目を集めているのが「従業員エンゲージメント」です。今回は従業員エンゲージメントが重要な理由や高めるメリット、向上させるための方法を解説します。
従業員エンゲージメントが採用活動に及ぼす影響も説明していますので、ぜひご覧ください。
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従業員エンゲージメントとは
従業員エンゲージメントの定義と構成要素、従業員満足度など類似するキーワードとの違いを説明します。
1.従業員エンゲージメントとは
**従業員エンゲージメント(Employee Engagement)**とは、従業員が仕事や職場に対して持つ「情熱」や「意欲」、「献身度」を指します。具体的には、従業員がどの程度会社やその目標に共感し、積極的に貢献したいと感じているか、そしてそのために自主的に努力しているかという概念です。
従業員エンゲージメントの高い社員は、次のような特徴を持っています。
- 仕事に熱心:仕事に情熱を持ち、積極的に取り組む。
- 会社の目標に共感:会社やチームの目標に対して強い共感や意識を持ち、自らその目標達成に向けて努力する。
- 主体的な行動:問題解決や改善に積極的に関与し、仕事の質を高めるために自発的に行動する。
- 高い生産性:仕事に対するモチベーションが高く、生産性や業績向上にもつながる。
- 離職率の低さ:会社への愛着や満足感が高いため、離職率が低くなる傾向にある。
エンゲージメントが高い従業員は、単に給与や福利厚生だけでなく、会社のビジョンや価値観、自分の仕事が社会や組織にどう貢献しているかを強く意識しています。
一方で、従業員エンゲージメントが低いと、モチベーションが下がり、業績や生産性に悪影響を与えるだけでなく、離職率が高まったり、職場の雰囲気が悪化する可能性があります。また、従業員エンゲージメントを向上させるためには、次の点を意識する必要があります。
- 経営陣との信頼関係構築:経営層が透明性を持ち、従業員とのコミュニケーションを深める。
- 成長の機会提供:スキルアップやキャリア成長のための研修や教育の提供。
- 仕事の意義の共有:従業員が自分の仕事がどのように会社や社会に貢献しているかを理解できるようにする。
- 柔軟な働き方の導入:リモートワークやフレックスタイム制度など、働きやすい環境の提供。
2.従業員エンゲージメントを構成する要素
従業員エンゲージメントは「理解度」「共感度」「行動意欲」の3要素から構成されています。
理解度は社員が企業理念やビジョン、パーパスなどをしっかりと認識している状態であるかどうかを指します。社員が会社の目指す方向を深く理解した上で業務に取り組めば、業績の向上につながるため重要な要素です。
ふたつめが「共感度」です。企業が示した理念やビジョン、パーパスなどを理解した上で社員が共感できている状態であるかどうかを指します。共感度の高まりは一体感を生み出し、社員が業務に対してより強い責任感と積極性を持つようになります。
従業員エンゲージメントを構成する3つ目の要素が「行動意欲」です。企業や組織の成果・成功に向けて社員が自主的に行動できているかどうかを指します。
社員が行動意欲を持続するためには、自分の存在や行動が企業の成長に役立っていると実感できる必要があります。そのため、達成感ややりがいを意識できる環境づくりが必要です。
3.類似するキーワードとの違い
従業員エンゲージメントは似た言葉と混同されてしまう場合があります。今回は「従業員満足度」「ロイヤリティ」「モチベーション」との違いを説明します。
従業員満足度は社員が企業にどれだけ満足しているかを表します。社員にとっての居心地の良さである場合が多く、待遇や職場環境、人間関係によって左右されるのが特徴です。
しかし、従業員エンゲージメントは社員が会社に貢献したいと考える度合いであり、満足度とは異なります。条件や環境によって満足度が高いからと言って、貢献意欲が高まるとは限らないからです。
従業員エンゲージメントはロイヤリティと混同される場合もあります。ロイヤリティは忠誠心であり、企業と社員の間における主従関係と指示の存在が前提となります。
一方、従業員エンゲージメントは社員が自ら貢献したいと考える意欲を指しており、従属性は含みません。
従業員エンゲージメントはモチベーションとも異なります。モチベーションは社員自身の心理状態を意味する言葉であり、従業員エンゲージメントは社員と企業の関係性に焦点を当てたキーワードです。
したがって、企業と社員の関係性の有無において違いがあります。モチベーションから紐解くこれからのチーム作りを解説した自律型組織の作り方に関する資料はこちらからご覧ください。
従業員エンゲージメントが重要な理由
従業員エンゲージメントが重視されるようになった理由を2つの点から説明します。
1.採用コストが増加したため
人口減少に伴って若年労働力の不足が顕在化し、企業は人材を確保するための努力を続けています。
一方、終身雇用制度の崩壊によって「定年まで同じ会社に勤め続ける」という従来の価値観も変化しています。転職が当たり前の時代となり、人材が自らのキャリアを以前より真剣に考えるようになったためです。
とくにハイパフォーマーの中には、キャリア形成を目的として転職を繰り返すケースも少なくありません。そのため、人材の流動化が進行する中で、採用コストの増加が企業にとって大きな課題となっています。
こうした環境において、企業は優秀な人材に長く働き続けてもらえるよう離職防止への取り組みを強めています。従業員エンゲージメントが高く「この会社で働き続けたい」と思える企業なら、社員の帰属意識が高まり、定着率も向上するからです。
社員が意欲的に働ける企業は求職者にとっても魅力的であり、人材確保にも役立ちます。
従業員エンゲージメントが重視されるようになった理由のひとつは、採用コストの増加にあります。
2.リモートワークが増えたため
2020年からの新型コロナ禍で、リモートワークが急速に普及しました。テレワークによる在宅勤務が一般化し、会議や打ちあわせの非対面化が進んでいます。
同時に社内交流の多くもオンラインで行われるようになり、企業内コミュニケーションの不足に対する問題意識が少しずつ高まっています。社員同士だけではなく上司と部下のコミュニケーションも減少し、企業や業務への不満や不信感を生み出しやすい環境につながるためです。
こうした状況は従業員エンゲージメントの低下をもたらしかねません。そこで企業は従業員エンゲージメントを向上させるための取り組みに力を入れるようになっています。
企業が組織としての一体感を高め、社員それぞれがモチベーションを保ちながら業務に取り組めるようにするためです。従業員エンゲージメントが重視されるようになった理由には、リモートワークの普及によるコミュニケーションの非対面化も影響しています。
従業員エンゲージメントを高めるメリット
従業員エンゲージメントを高めると、どのようなメリットがあるのでしょうか。3つの点から説明します。
1.離職率が低下する
従業員エンゲージメントの向上は、離職率の低下というメリットをもたらします。
社員が退職を考えるのは「経営方針に納得できない」「仕事へのやりがいが感じられない」などの不満が原因にあります。しかし、従業員エンゲージメントが高い企業の場合、社員は会社を深く信頼し、誇りを持って業務に取り組んでいるのが特徴です。
貢献意欲や会社への愛着度も高い状態ですから、退職したいと考える社員が少ないのは当然です。そのため、従業員エンゲージメントの向上は、人材が定着し退職者が減少、離職率が低下するメリットにつながります。
さらに離職率の低さは採用活動においても効果を生み出します。人材を補充するための採用活動にかかる費用が低減する上に、新規の人材獲得においても、定着率の高さは求職者にとっての大きな魅力となるためです。
2.職場が活性化する
従業員エンゲージメントの高まりによって社員は会社への関わりを深く保ち、貢献意欲を強く持つようになります。仕事をやらされているという受動的な姿勢は薄まり、社員は前向きに業務に取り組むようになります。
また、会社をもっと良くするためには何が必要か、業務をより効率的に進めるにはどうしたらよいか、などの議論が自然発生的に増えてくるでしょう。そのため、社員同士のコミュニケーションが活発になりチームワークがうまく働くようになります。
従業員エンゲージメントの向上は、職場全体が活性化するメリットももたらします。
3.業績が向上する
従業員エンゲージメントの向上は、企業業績にも寄与します。
従業員エンゲージメントが高まれば、社員は前向きに仕事に取り組むようになり、商品・サービスの品質が改善します。その結果、顧客満足度がアップして売上が増加し、会社の業績が上昇するためです。
「エンゲージメントと企業業績」に関する研究結果も発表されています。株式会社リンクアンドモチベーションと慶應義塾大学の研究によると「ES1ポイントの上昇につき、当期の営業利益率が 0.35%上昇する」(ESはエンゲージメントスコア)のだといいます。
従業員エンゲージメントが向上すれば、企業の業績が伸び社員のやりがいも更に高まる好循環を生み出せるでしょう。
従業員エンゲージメントを高める方法
では、従業員エンゲージメントを高めるためにはどのような取り組みが必要なのでしょう。3つの点から説明します。
1.パーパスを浸透させる
従業員エンゲージメントを高めるためには、社内におけるパーパスの浸透が重要です。社員が深く理解し共感していれば貢献意欲が高まるためです。
パーパスとは企業が存在する社会的な価値や意義を意味しており、目指す姿であるビジョンや価値観と行動基準であるバリューとともに多くの企業が定義しています。
また、ミッションはパーパスを実現するために何をするのかを示します。すばらしいパーパスを設定しても、社員に浸透していなければ意味はありません。
社内にパーパスの浸透を図るためには、目指す姿をまとめたブランドブックを作成する、社内報やミーティングで周知させるなどの手法を検討しましょう。社内ブログやWantedlyのストーリーでミッション・ビジョン・バリュー・パーパスを詳しく説明しておくのも効果的です。
2.コミュニケーションの活性化を図る
社内コミュニケーションの活性化も、従業員エンゲージメントを高める上で欠かせません。
コミュニケーションが不足している場合、社員の会社への愛着が薄れてしまいます。また、消極的な社員が多い企業はオフィスの雰囲気も沈滞しています。
管理職とのコミュニケーションや同僚との交流が深い状態であれば、社内が活性化するとともに社員の会社への帰属意識も高まるでしょう。社内コミュニケーションを活発にするためには、経営陣が率先してカジュアルに意見を交わせる空気を作り上げるのが重要です。
社員同士のレクリエーションやイベントを開催するのも効果的です。リモートワークの多いオフィスであれば、社内SNSの活用も検討しましょう。
業務で接点のない社員同士の交流が生まれ、良好な人間関係を構築できれば、従業員エンゲージメントはより高まります。
3.キャリア形成と人事評価を見直す
従業員エンゲージメントを高めるためには、社員のキャリア形成と人事評価の見直しも重要です。社員が自身の成長を感じられれば、もっと貢献してもっと成長したい、という意欲につながるためです。
そこで、社員の成長を支援できるキャリア開発を導入しましょう。職種別・階層別の研修やキャリアデザイン研修が効果的です。
また、人事評価制度の見直しも大切です。評価基準が曖昧では、社員は適正な評価を得られていないと感じ、従業員エンゲージメントが低下してしまう可能性があります。
公正に評価されていると感じられるよう、人事評価制度の公平性を高めましょう。業務上の成果だけではなく、プロセスや積極性を評価の対象に加えるのは一例です。
貢献に応じたインセンティブの設定や社内表彰会など社員を称える機会をもうけるのも効果を発揮します。
エンゲージメントを重視する採用活動ならWantedly
従業員エンゲージメントの向上は採用活動においても役立ちます。選考において重要な、スキルマッチ、カルチャーマッチそしてパーパスマッチの観点から、エンゲージメントを重視した採用活動にWantedlyが最適な理由を説明します。
1.スキルマッチ採用はWantedly
従来、採用活動で企業はスキルマッチしているかどうかをもっとも重視してきました。スキルマッチとは、候補者の能力や資格などの専門的なスキルが人材要件にマッチしているかどうかを判断する手法です。
従業員エンゲージメントの高い企業では、社員のキャリア形成を積極的に支援するとともに、公正な人事評価制度が整備されています。そのため、スキルマッチしている人材にとっても大きな魅力となります。
とくに、自身のキャリアプランをしっかりと描いている候補者にとっては、企業のキャリア形成支援が自分にとってどのように役立つか判断できるため、入社意欲の向上にもつながるでしょう。
Wantedlyのダイレクトスカウトなら、プロフィールに「スキル・資格」や「職歴」だけでなく「この先やってみたいこと」の項目が用意されています。現在のスキルに加えて候補者のキャリアプランからもマッチする人材を探せるため、自社への関心を獲得できるチャンスとして多く利用されています。
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2.カルチャーマッチ採用ならWantedly
近年の採用活動では、スキルマッチに加えてカルチャーマッチも重視されるようになってきました。自社の社風にマッチしているかどうかを評価軸に取り入れた採用活動です。
カルチャーマッチしている候補者は入社してから社内で円滑なコミュニケーションが取れる、早期離職の可能性が低下するといった特徴があります。従業員エンゲージメントの高い企業は社内コミュニケーションや社員同士の交流が活発ですから、カルチャーマッチしている候補者の場合、帰属意識や貢献意欲は一層高まるでしょう。
カルチャーマッチを評価軸に加えた採用活動は「共感採用」と呼ばれています。共感採用にはスキルや経歴から判断できない部分について候補者の適応性を測れるメリットがあるため、多くの企業が評価基準に加えるようになっています。
Wantedlyは共感採用にも対応しているのがポイントです。ストーリーは自社のカルチャーを自由なレイアウトで画像を含めて表現できるブログ機能です。
また、募集ページには「話を聞きに行きたい」ボタンが設置されており、候補者は簡単にカジュアル面談を申し込めます。Wantedlyなら、企業はすぐにカルチャーマッチを評価軸に加えた採用活動を開始できます。
3.パーパスマッチ採用もWantedly
スキルマッチで候補者の能力や資格を判断し、カルチャーマッチで社風への共感度を測る採用活動が主流となりつつありますが、もうひとつ、共感の度合いを測っておくべき軸があります。それがパーパスマッチです。
企業の存在意義を言語化したパーパスに候補者が共感してくれるかどうかを評価軸とした採用活動です。パーパスマッチが重視されるようになってきたのは、国連が採択したSDGsやESGへの取り組みも影響しています。
持続可能性のある経営であるサステナビリティ経営を目指すには、環境・社会・経済にも目を向けた事業活動とする必要があり、企業の存在意義と深く関わってくるためです。従業員エンゲージメントの高い企業は社内にパーパスが浸透しており、社員が深く理解しているのも特徴のひとつです。
そのため、パーパスマッチする候補者にとって魅力的な企業であるだけでなく、入社してからの貢献意欲も高まるでしょう。
採用活動にパーパスマッチの評価軸を加える上でもWantedlyは最適な選択肢です。募集ページの項目は「なにをやっているのか」「こんなことやります」のほか、「なぜやるのか」「どうやっているのか」と、企業の「なぜ」に着目しており、パーパスと密接に関係する構成となっています。
またトップページではミッションとともに価値観を記述できるため、ビジョンやバリューとともにパーパスも目立ちやすくなっています。Wantedlyなら、パーパスマッチを評価軸に加えた採用活動にも対応しています。
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まとめ
従業員エンゲージメントの概念は、国内で普及しはじめてからまだそれほど時間が経過しているわけではありません。しかし、終身雇用制度の崩壊による人材の流動化、働き方の多様化など従来の価値観が急速に変化しています。
企業は社員に長く意欲的に働いてもらうための施策を真剣に考えはじめており、従業員エンゲージメントの重要性が高まってきました。また、従業員エンゲージメントを高めるために、企業は採用活動においても従来のスキルマッチだけでなくカルチャーマッチ、パーパスマッチに注目しはじめています。
Wantedlyはカルチャーマッチやパーパスマッチにも対応しており、エンゲージメントを重視した採用活動を支援できるのが特徴です。エンゲージメントの考え方を導入した採用活動を、Wantedlyではじめましょう。