採用と内定の違いとは?それぞれの通知書の違いや目的・書き方を解説

採用と内定の違いとは?それぞれの通知書の違いや目的・書き方を解説

「採用」と「内定」は同じような意味として使われていることもありますが、両者には大きな違いがあり、法律上の取り扱いも異なります。

具体的には、採用は労働契約に至る前の状態を、内定は労働契約が締結された状態を指します。採用が決定したとき、内定が決定したとき、それぞれで企業側が通知を出すのが一般的です。

本記事では、混同しやすい採用と内定の違いをあらためて紹介するとともに、採用と内定の通知方法や、取り消しの際に注意したい点について解説します。

こちらの記事では採用における「ファンづくり」について実践方法と共に解説しています。
ぜひ’あわせてご覧ください。

なぜ採用に”ファンづくり”と”カジュアル面談”が必要なのか【採用の新常識】https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/recruiting_textbook_2

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採用と内定の違い

まずは採用と内定の違いについて、両者の定義から解説します。

採用とは

採用とは、求職者がすべての選考プロセスに通過した状態を指します。この時点では、企業が用意した選考に合格しているだけで、求職者が入社に合意しているわけではありません。企業が一方的に雇用の意思を示している状態と言い換えられます。

採用が確定した後、労働条件などをあらためて伝え、それに合意して入社の意思が固まってはじめて入社にいたります。採用は一言でいうと「労働契約が締結される前の状態」です。

内定とは

内定とは、すべての選考に通過した求職者と企業の間で雇用の合意が取れた状態、つまりは労使契約が成立した状態を指します。過去の判例では、求人への応募は求職者による労働契約の申し込みであり、内定通知はその申し込みを承諾した状態とみなされています。

企業側が一方的な理由で内定取り消しを行うと、解雇とみなされ訴訟問題に発展することもあるため注意してください。

内々定とは

採用、内定のほかに「内々定」という言葉もあります。内々定は、企業が求職者に対して将来内定を出す予定であることを約束した状態です。

内々定は主に新卒採用で利用されています。これは経団連の「採用選考に関する指針」によって、企業が新卒者に内定を出せる日が定められているためです。

この正式な内定日を前に、企業が優秀な学生を確保するために内々定を出す慣例があります。

「採用通知書」と「内定通知書」の違い

「採用通知書」と「内定通知書」の違い

採用と内定が確定すると、企業は求職者に対してそれぞれの通知書を出し、採用する意思があることを示します。ここでは、採用通知書と内定通知書の違いを説明します。

採用通知書とは

採用通知書とは、その名の通り採用の決定を知らせる文書のことです。採用選考を通過した求職者に対し、「採用の意思がある」ことを知らせるために発行します。

採用通知書の送付に、求職者の入社の意思は関係ありません。したがって、採用通知書を発行したからといって、その求職者が必ず入社するわけではない点に注意しましょう。

内定通知書とは

内定通知書は、採用通知後に求職者の入社意思を確認してから発行する文書です。内定通知書が発行されている時点で、入社に対する合意がとれている状態でなければなりません。

この内定通知書が発行された時点で、労働契約を締結したものとみなされます。発行後は合理的な理由なしに内定を取り消すことはできません。企業側は、採用の通知後に入社意思を確認できないまま内定通知書を発行しないように気を付けましょう。

採用通知メールのテンプレート

採用通知は文書を郵送するのではなく、メールで送る方法もあります。メールには選考に通過し採用が決定したことに加え、入社意志を確認するための書類の返送期限、その後のスケジュールなどを記します。

以下に、採用通知メールに利用できるテンプレートを用意しました。テンプレートは業務効率化にも役立ちます。ぜひご活用ください。

【参考】採用メールのテンプレート|送付のタイミングと注意点
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/recruitment_mail/

採用に関するメールの文例:新卒のケース

件名:○○株式会社 選考結果のご連絡

本文
○○様

○○株式会社採用担当の○○です。
先日は、弊社の採用試験にお越しいただき、誠にありがとうございました。

慎重かつ厳正なる選考の結果、○○様の採用が決定いたしました。

つきましては、入社にあたり提出していただく書類を本日郵送いたしましたことをお知らせします。

○○様のお手元に到着後、書面をご確認いただき、署名捺印のうえ同封した返信用封筒にて期日までにご返送くださいますようお願い申し上げます。

ーーーーーー

■郵送した書類

  • 採用通知書
  • 入社承諾書
  • 入社誓約書

■提出期日

令和○年○○月○○日

※注意事項
期日までに必要書類をご提出いただけなかった場合や、提出物の不備や虚偽の記載があった場合には採用を取り消すことがございます。

■今後のスケジュール
内定式 令和○年○○月○○日
入社式 令和○年○○月○○日

ーーーーーー

内定式および入社式についての詳細は、別途ご連絡差し上げます。

ご不明な点などございましたら、採用担当の○○(電話番号・メールアドレス)までお問い合わせください。

○○様とお会いできることを、社員一同心待ちにしております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

ーーーーー

署名

採用に関するメールの文例:中途採用のケース

件名:○○株式会社 選考結果のご連絡

本文
○○様

○○株式会社採用担当の○○です。

先日は、弊社の採用試験にお越しいただき、誠にありがとうございました。

厳正なる選考の結果、○○様の採用が決定いたしました。

つきましては、入社にあたり提出していただく書類を本日郵送いたしました。書面をご確認いただき、署名捺印のうえ同封した返信用封筒にて期日までにご返送くださいますようお願い申し上げます。

ーーーーーー

■郵送した書類

  • 採用通知書
  • 入社承諾書
  • 入社誓約書

■提出期日
令和○年○○月○○日

※注意事項

期日までに必要書類をご提出いただけなかった場合や、提出物の不備や虚偽の記載があった場合には採用を取り消すことがございます。

ーーーーーー

ご不明な点などございましたら、採用担当の○○(電話番号・メールアドレス)までお問い合わせください。

○○様とともに働ける日を、社員一同心待ちにしております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

ーーーーー

署名

内定通知書のテンプレート

内定通知書のテンプレート

内定通知書には決まったひな型はないため、各社が独自の内定通知書を作成し利用しています。内定通知書の一般的なテンプレートをカスタマイズして、企業にあわせた内定通知書を作成しご活用ください。

▶内定通知書テンプレートをダウンロードする

【参考】内定通知書のテンプレート|必要項目や採用通知書テンプレも紹介
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/joboffer_template/

内定を出す際の注意点

企業が求職者に対して内定を出す際には、内定辞退を防ぐためにもいくつか気を付けたい点があります。

  • 口頭だけで通知しない
  • 通知書は面接合格から1週間以内に出す
  • 通知するだけではなく内定後のフォローも視野にいれる

1.口頭だけで通知しない

前述したとおり、内定は企業と求職者が入社を合意した状態です。労働契約が締結されたとみなされるため、後のトラブルを避けるためにも必ず書面でも通知するようにします。

口頭だけでなく内定通知書を発行・送付することで、「内定を出した」証拠を残せます。企業と求職者の双方をトラブルから守るためにも、いつ、どのような条件で内定を出したのかを書面に残すことが重要です。

2.通知書は面接合格から1週間以内に出す

採用通知後、求職者の入社意志を確認できてからなるべく早い段階で内定通知を郵送します。採用通知、入社意思の確認、内定通知書の発行は面接から1週間以内が目安です。

採用通知後の入社意志確認に遅れが生じ、1週間を過ぎた場合でも、確認がとれた後すぐに内定通知書を発行しましょう。

通常、求職者は複数の企業の採用選考を並行して受けています。内定の通知が遅れてしまうと、他の企業への入社を決めてしまう可能性が懸念されます。確実に採用を成功させるために、採用通知・内定通知はスピード感をもって行いましょう。

3.通知するだけではなく内定後のフォローも視野にいれる

入社意欲を向上させるために、内定の通知と同時に内定者フォローに関する案内を行う方法があります。

近年、採用では売り手市場が続いており、優秀な人材の確保が難しい状況です。多くの企業が人手不足に陥っています。採用決定後に他企業への入社を選ぶ求職者も多いため、入社意欲を高めてもらえるよう、さまざまな施策での囲い込みに積極的な企業も見られます。

内定後に候補者の不安を払拭するため、内定者面談や内定者研修、内定者懇談会などのイベントを用意している企業は、これらの施策に関する案内を忘れず行いましょう。

【参考】採用の売り手市場で企業が取り組むべき3つのポイントとは|成功事例も紹介
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/sellers_market/

採用・内定を取り消したいとき

企業側から採用・内定を取り消すと、状況や理由によっては求職者とのトラブルに発展しかねません。とくに内定には法的拘束力があるため、取り消しには十分な注意が求められます。

基本的に、企業側が内定を自由に取り消すことはできません。不適切な理由・方法で内定取り消しを行った場合には、企業側に責任が生じます。これは、内定通知後の内定取り消しが解雇とみなされるためです。

たとえば、入社直前に人員増加を取りやめて内定者に取り消しを言い渡した場合、訴訟の結果内定取り消し自体が認められず、さらには数ヶ月分の給与に相当する慰謝料の支払いが命じられることもあります。

内容取り消しが有効とされるのは、次のような場合のみです。

1.内定者の事由による取り消し

内定者の言動や行動などから内定取り消しにいたるケースがあります。

  • 提出書類に虚偽の内容が認められた
  • 犯罪行為があった
  • SNSに不適切な投稿を行っていた
  • 単位の不足などで予定通り卒業できなかった
  • 内定者の健康状態が悪化して働ける状態ではなくなった

これらのケースでは、内定者側の都合として内定取り消しが認められます。

2.企業の都合による取り消し

内定取り消しは解雇とみなされるため、企業の都合による内定取り消しは原則として整理解雇の要件を満たした場合のみに限られます。整理解雇の要件は次の通りです。

  • 人員削減の必要性がある
  • 社員に対して十分に説明し、協議を行った
  • 解雇を回避するために手を尽くした
  • 解雇対象者の人選を合理的に行った

これらの要件を満たすことに加えて、解雇の30日前までに解雇の予告をしなければなりません。30日前に予告をしなかった場合、30日分以上の平均賃金を支払うこととされています。

どうしても内定取り消しが必要だと思われる場合は、労働契約に詳しい弁護士など、法律の専門家に相談することをオススメします。

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採用が決定した後も、企業の採用担当者には多くの業務が待ち構えています。採用通知に内定通知、各種内定者フォローの案内や実施など、内定者が多いほど業務も膨大になりがちです。

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まとめ

企業側が「内定」のつもりで「採用」の通知を出していた、あるいは「採用」のつもりで「内定」を出していた場合、入社までの間に求職者が不安を覚え、辞退されてしまうことも考えられます。採用と内定の違いを把握し、求職者と適切なコミュニケーションを図ることは人材の確保・定着においても重要です。

内定通知後から入社までの間には、適宜コミュニケーションをとりながら内定者フォローを行い、優秀人材の獲得を目指しましょう。

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