さまざまな業務のデジタル化が進んでいるいま、採用活動においても各種システムを導入して業務効率化を図る企業が増えています。これらのシステムで取得したデータの有効活用は、採用効率や費用対効果の向上につながります。
しかし、どのデータをどのように分析・活用すればよいのかわからないという採用担当者も少なくありません。本記事では、これからの採用活動に欠かせないデータの分析・活用方法について解説します。
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採用活動に必要なデータ分析
採用活動で取得したデータを分析・活用することは、採用の効率化において重要な施策です。どのような人が応募しているのか、内定者は何人いたのか、そのうち入社したのは何名かなど、採用活動で取得できるデータは数多くあります。
【採用活動で得られるデータ例】
- 求職者の情報
- 説明会参加者数
- 応募数
- 求人媒体別応募数
- 書類選考通過数
- 選考辞退者数
- 内定者数
- 内定辞退者数
- 入社数
- 求人媒体にかかった費用
- 採用1名あたりにかかった費用
- 採用イベント費用 など
これらのデータを分析し、採用における課題や強みを把握すると、次の採用活動に活かせます。たとえば、求人媒体ごとに応募数や入社数、採用1名あたりにかかった費用を分析すれば、効率的に採用できる求人媒体を特定するなども可能です。
また、取得・分析したデータをもとに採用活動のブラッシュアップを続け、さらにそのデータを深掘りしていけば、ノウハウもストックされていきます。
採用活動の見直しに有効なデータの種類
前述したとおり、採用活動ではさまざまなデータを取得できます。採用活動の見直しにデータを活用していくためには、次のようなデータを意識的に取得する必要があります。
1.コストに関わるデータ
求人媒体の掲載料や広告料、人材紹介会社の成功報酬をはじめ、採用イベントにかかる費用、採用担当者にかかる人件費など、採用活動には多くの費用が発生します。また、応募から内定までにかかった日数や1名あたりの採用単価もコストに関わるデータです。
経済的コストだけでなく時間的コストや人的コストなど、目に見えづらいコストも可視化し、採用コストを具体的に把握しましょう。
2.ユーザー行動に関わるデータ
ユーザー行動に関わるデータとは、応募経路や応募数など、求職者の行動に関するデータのことです。特定の求人媒体から応募した求職者の数や各選考フェーズでの通過者数、あるいは辞退者数、内定者数、入社数などを収集します。
ユーザー行動に関するデータは、優秀な人材や企業にマッチする人材を採用したい企業にとって重要です。応募経路によって生じる入社数のバラツキを可視化すると、人材要件にマッチする属性や意思を持つ人材がどの媒体に多くいるのかを想定できます。
たとえば、ある選考フェーズで多くの人材が採用不可とされている場合は、選考方法に問題がある可能性があります。なぜこのような結果になっているのかを、データを見ながら掘り下げることが大切です。
採用活動におけるデータ分析の方法
収集したデータを、企業はどのように分析すればよいのでしょうか。ここからは、採用活動におけるデータ分析の方法をご紹介します。
1.採用全体にかかるコスト
採用にかかるコストには、求人媒体や人材紹介会社への支払いなどの「外部コスト」と、採用担当者の人件費や紹介社員へのインセンティブなどの「内部コスト」があります。これらにかかったコストの合計が、採用全体にかかったコストです。
【外部コスト】
- 説明会にかかった費用
- イベントやセミナーにかかった費用
- 求人広告費
- 採用サイトの制作・運用・保守費用
- 企業案内や各種パンフレットの制作費
- 人材紹介会社の成功報酬
- 内定者への外部研修費
【内部コスト】
- 採用担当者・面接官の人件費
- 求職者の交通費
- 紹介社員へのインセンティブ
- 内定者懇親会などの交際費
各項目のトータルと全体のコストを把握すると、コストがかかりすぎている部分、あるいはコストが不足している部分が見えてきます。新卒採用、中途採用、アルバイト・パート採用など、採用の種類別に算出し、適正なコストで採用できているかを確認するアプローチも有効です。
また、これらコストのトータルを採用人数で割ると、採用1名あたりの単価を算出できます。
2.流入経路(媒体)ごとの応募数・採用率
流入経路ごとの応募数・採用率を可視化すれば、効果のある求人媒体を把握できます。求人媒体別に応募数と採用数を把握し、「採用数÷応募数×100」で計算すると、求人媒体ごとの採用率も割り出せます。
各媒体の採用率を比較し、採用率の低い媒体でなぜ効果が出ていないのか、原因を探ります。コストをかけても採用率が上がらない媒体に対しては、掲載をやめてしまうことも検討します。
一方、採用率の高い求人媒体では、成功の理由はどこにあるのか仮説を立て検証・改善していくことで、さらなる採用率の向上が見込めます。
3.選考プロセス上の歩留まり率
選考プロセスの歩留まり率とは、それぞれの選考プロセスに進んだ人数の割合のことです。歩留まり率は、「選考に通過した人数÷各選考フェーズの人数×100」で算出できます。
たとえば、応募数が100人で一次選考に進んだ求職者の数が20人だった場合、「20÷100×100=20%」となり、一次選考の歩留まり率は20%であることがわかります。
各フェーズでの歩留まり率を算出し、明らかに歩留まり率が悪い箇所がある場合、その選考プロセスに改善すべき点があると想定できます。
4.人件費・販売管理費
従業員にかかる人件費や役員の人件費は、時給換算して算出します。採用活動に関わった人員の数に、採用までにかかった時間を乗ずることで人件費・販売管理費がわかります。
どのくらいの人員がどのくらいの時間、採用活動に関わっていたのかを正確に算出するために、稼働した人数や時間を記入する管理表を事前に用意しておくと便利です。
残業や休日出勤が発生している場合は、業務改善が必要であることがわかります。
5.採用サイトのアクセス数
採用サイトのアクセス数は、GoogleアナリティクスやSearch Consoleなどのアクセス解析ツールから分析できます。
- どのようなキーワードで検索され、採用サイトにアクセスしているのか
- どのページが見られているのか、あるいは見られていないのか
- 平均滞在時間
- リピートしているユーザーの数
これらを可視化すると、サイトの訪問者が採用サイトのどの部分に興味をもっているのか、企業に何を期待しているのかが見えてきます。
たとえば求人に対して応募が少ない場合、そもそも採用サイトの訪問者が少ないのか、それとも訪問者は一定数以上いるものの応募に至っていないのかを、アクセス数から判断します。
訪問者自体が少ないのであればSEO対策に力を入れる、訪問者が多くても応募に至らない場合はサイトの動線やコンテンツの拡充を図るなどの対策を講じられるようになります。
【課題別】見るべきデータと活用方法
採用における課題から必要なデータを抽出して活用する方法もあります。ここからは、よくある課題とあわせてデータの活用法を紹介します。
1.費用対効果が高い媒体を把握したい
複数の求人媒体を利用している企業が効率的な採用を目指すには、各媒体にかかる総コストだけでなく、費用に対して得られた成果についても可視化が必要です。媒体ごとにかかった費用と採用人数から、採用コストを算出しましょう。
「1媒体にかかったコスト÷採用人数」で計算すれば、各媒体の採用コストがわかります。
- 求人媒体Aで発生したコストが100万円、採用人数が1人だった場合:採用コストは100万円
- 求人媒体Bで発生したコストが80万円、採用人数が2人だった場合:採用コストは40万円
費用対効果が低い媒体については何らかの改善を行う、あるいは利用をやめるなどの対策を講じると、採用コストを効率化できます。
2.選考・内定辞退者を減らしたい
選考辞退や内定辞退を減らすには、どのフェーズで辞退者が多いのかを突き止めます。このときに用いるのは、前述した歩留まり率です。
歩留まり率の悪い選考プロセスには何らかの課題があると考えられます。面接辞退者が多い場合は、面接手法に問題がある可能性が浮上します。内定辞退者が多い場合は、内定者フォローを見直すなどの対策を講じる必要があります。
3.入社後の早期退職者を減らしたい
早期退職者が多い場合、採用ターゲットがマッチしていない可能性が考えられます。これまでに採用に至った人材に関するデータを抽出・分析し、企業にマッチする人材像をあらためて定義しましょう。
採用活動のデータ分析に活用できるオススメのツール
採用活動に関するデータの収集・分析に多くの時間をかけてしまうと、内部コストが増大し、かえってコストが発生することにもなりかねません。
データ分析の効率化には、採用管理システムなど各種ツールが役立ちます。ここからは、採用活動におけるデータ分析に活用できるオススメのツールを紹介します。
MOCHICA
MOCHICAは求職者の情報管理や、LINEを使って求職者とやりとりできる採用管理システムです。また、候補者の属性や応募数の推移、採用進捗などを一目で管理できるダッシュボード機能があり、候補者や応募に関するデータは自動で分析・可視化されます。
まずは手軽にデータ分析をはじめたい企業にオススメのツールです。
URL:https://official.mochica.jp/
ジョブカン採用管理
ジョブカン採用管理は、候補者の管理だけでなく採用サイトの作成・更新やイベント参加予約ページも作成できる採用管理システムです。
採用活動の進捗把握や効果分析機能も付帯されており、応募数や選考通過率を集計してのグラフ化も可能です。求人管理機能では、選考フローのカスタマイズによってフローごとの通過数や歩留まりなどの数値も管理できます。
より詳細にデータ分析を行いたい企業に向いているツールです。
HITO-Manager
HITO-Managerは、詳細な分析と計測が可能な採用管理システムです。応募分析詳細レポート、分析データの出力、採用計画管理も基本機能として備わっています。
手厚いサポートも特徴で、初期設定サポートなどの一般的なサービスに加えGoogleアナリティクスデータの共有もあります。採用管理システムや分析ツールを利用したことがない企業でも、安心して利用できるツールです。
Wantedlyの採用管理を使った成功事例|株式会社オープンエイト
効率的にデータを役立てる採用活動の推進にあたっては、Wantedlyの活用もご検討ください。採用管理にWantedlyを用いた成功事例を紹介します。
株式会社オープンエイトは、20年卒採用の9名のうち、6名をWantedly経由で採用しました。
20年卒採用以前は最大でも7名の採用を目指していましたが、20年卒は10名を目標に採用活動をスタート。目標人数が増えたことで、採用活動にも見直しが必要になりました。
成功報酬型のサービスを利用した採用活動から、採用担当者が積極的にアプローチするダイレクトリクルーティング中心に転換。結果、スカウト返信率40%という数字を達成しました。
スカウトする学生のプロフィールを分析して学生ごとにインサイトを考え、企業の魅力やメリットを訴求するなどの工夫が、当初設定したKPIを大きく上回る結果につながっています。
また、採用コストはそのままで採用人数を増やすために、採用単価の低減にも取り組んでいます。以前の採用コストと採用人数から採用単価を算出し、「どの部分のコストを削減できるのか」検討したことで、採用単価も大きく削減できました。
【参考】スカウト返信率40%。20卒で6名の新卒採用に成功した大手企業に打ち勝つWantedlyの活用術。
https://www.wantedly.com/customer_stories/150
まとめ
より効率的な採用活動を実施するには、データの有効活用は欠かせません。さまざまなデータを取得・分析することで、現状の採用活動における課題が見えてきます。課題を洗い出し、改善を続けることで採用活動におけるノウハウも蓄積していきます。
データは企業にとって貴重な資産です。取得したデータを分析・活用して、採用活動の最適化を推進しましょう。