中途採用は本当に難しいのか?成果につなげる改善ポイントを解説

「中途採用が難しい」「以前と比べて難しくなった」と多くの企業が感じています。

この記事では、中途採用が難しくなっている理由を「市場環境」「自社の取り組み」「競合の存在」という3つの要因からみていきます。これらを踏まえたうえで、自社に合った採用戦略の策定と採用プロセスの改善方法のポイントを解説します。

採用難といわれる時代にも、求める人材の採用につなげる参考にしていただければと思います。

▶コストを押さえながら採用に成功した事例を無料ダウンロードする

主要な求人広告媒体を徹底比較

「とりあえず知っているサービスで」といった考えで採用手法を選択してしまうと、「多額の費用だけを支払い、結果採用できなかった」といった最悪の結果が起きてしまう可能性も。

そんな人事・経営者の方のために、5つの主要求人広告媒体を徹底比較した資料を作成しました。

以下から資料をダウンロードして、採用手法を決める上で必要な情報を集めましょう。

まずは無料ダウンロード

中途採用が難しい理由:1.環境要因

まず初めに、環境面から中途採用が難しくなっている要因をみていきます。

求人数は多いが求職者は少ない

厚生労働省が毎月発表している「一般職業紹介状況」によると、2023年8月時点の有効求人倍率は1.29倍(前月と同水準)となっています。

有効求人倍率は、全国のハローワークでその月に扱った有効求人数を求職者数で割って算出する指標です。求人数が求職者数を上回ると有効求人倍率が1.0より大きくなり、採用が難しくなることを意味します。

全国の有効求人倍率は、リーマンショック後の2009年から右肩上がりで上昇してきました。2020年にコロナ禍の影響で一時的に低下しましたが、その後は経済活動の回復に伴ってゆるやかな上昇基調で推移しています。

また、より最新の景気動向や雇用情勢を現す指標として、新規求人倍率があります。ハローワークでその月に新規に受け付けた求人数を、同じく新規に受け付けた求職者数で割って算出します。

2023年8月の新規求人倍率は2.33倍(前月比0.06ポイント上昇)となっています。

つまり、中途採用市場において、新規求職者1人に対して2.33件の新規求人があったということ。企業側にとって人材の獲得競争が激しく、採用が難しい状況であることがわかります。

引用:厚生労働省「一般職業紹介状況」(令和5年8月分)

候補者は転職先を慎重に選ぶ

就業経験のある候補者は、転職先を選ぶ際に転職サイトの情報だけを判断材料にするわけではありません。候補先企業の採用オウンドメディアやSNSはもちろん、企業クチコミサイトなどからも幅広く情報を収集して慎重に検討を重ねます。

求職者は社会やビジネスの厳しさを知っているため、企業の魅力となるような情報発信をそのまま受け止めることはありません。ネガティブコメントも参考にして、仕事の厳しい側面や課題を含む企業の実態を把握しようとします。

また、報酬や条件面については一通り競合他社とも比較。さらに、企業理念などの価値観に共感できるか、人や風土になじめるかなど、自分に合う会社であるかどうかをさまざまな観点でチェックします。

このような求職者側の転職活動を押さえた上で、候補者の意思決定の材料となりうる十分な情報を提供できなければ、中途採用で成果を挙げるのは難しくなります。

優秀な人材は転職市場に出てこない

そもそも自社が求める人材が中途採用市場にはほとんどいない。そう感じている採用担当者も多いのではないでしょうか。

優秀な人材は業界内での引き抜きや個人的なスカウトの対象になります。もとより所属する企業での評価も高く、企業は人材流出を予防する観点からも好待遇でこのような人材を囲い込みます。

したがって優秀層が自ら転職サイトで転職先企業を検索したり、人材紹介会社に登録したりするケースは相対的に少なくなっています。転職ニーズが顕在化していない時期から優秀層にアプローチするには、従来の採用手法の見直しを含む発想の転換が必要になります。

中途採用が難しい理由:2.自社要因


次に、自社要因で中途採用が難しくなっている例を見ていきます。自社の中途採用のやり方が適切でないために、採用成果につながっていないケースです。

自社に合った採用戦略を策定していない

自社が求める人材を採用するには、まず採用戦略の策定(自社の中途採用の基本的な方針や基準を定める作業)が必要になります。

参考:採用戦略とは?立て方や実行時のポイントを解説【事例つき】

採用活動の軸となる戦略を定める前に、場当たり的に求人媒体などの採用手法を試行錯誤しても、なかなか求める人材の応募にはつながりません。結果として採用コストがかさみ、採用ミスマッチも起こりやすくなります。

また、採用競合がひしめく中途採用市場では、どのように自社の強みや魅力を打ち出していくのかも重要です。採用コンセプト(採用メッセージ)を定めて候補者に訴求するコミュニケーションが必要になります。

Wantedlyが2022年6月に実施した調査では、候補者が転職時に重視する項目の1位は「仕事内容のやりがい(60%)」となっています。続いて「自己成長性(46%)」「給与水準(45%)」の順で重視しているとの結果が出ています。

自社ならではの仕事のやりがいや成長実感を具体性をもって言語化し、候補者に伝えることが、中途採用で成果を挙げるカギとなることがわかります。

参考:ウォンテッドリー、コロナ禍の転職と副業に関する調査結果を発表

適切な採用手法を選んでいない

中途採用には、転職サイト、転職イベント、採用オウンドメディア、ダイレクトリクルーティング、人材紹介をはじめ、多岐にわたる採用手法があります。手法ごとにメリットとデメリットがあり、業界や職種によって向き・不向きもあります。

参考:採用チャネルとは?全6手法の特徴やメリット、選び方を紹介

「これまでそうしてきたから」との理由で、例えば大手転職サイトとハローワークのみに頼った中途採用をしているのであれば、早急に見直す必要があります。

前述のように、まずは採用戦略を策定するなかで、中途採用で求める人物像を明確化します。そのうえで自社の採用ターゲットとなる層にどれだけ効率的にアプローチできるかを確認し、適切な採用手法を選択しましょう。

人材のスキルマッチを見極められていない

中途採用においては、基本的に即戦力で活躍できる人材の採用をめざします。しかし、たとえ候補者に同業界での業務経験が5年あったとしても、企業によって経験の幅は多様であり、人材のスキルレベルは異なります。

また、売り手市場の採用環境では、比較的近しい業界で活躍していた人材や、異業界の同職種に採用ターゲットを広げることも多いでしょう。このような人材に対して、自社の業務に活かせる専門知識やスキルの程度や、ビジネスパーソンとしての基本的な能力(ヒューマンスキル)を見極めていく必要があります。

さらに、人手不足の解消や欠員補充を目的とする中途採用の場合には、限られた時間のなかでスキルマッチを見極め、採用しなければならないケースがほとんど。採用担当者と配属先部門が明確な選考基準を共有し、組織として選考スキルを高めていく努力が求められます。

参考:中途採用で即戦力を見極めるコツ|面接チェック項目を紹介

理念共感やカルチャーへの適応性が確認しきれていない

求めるスキルを十分に備えた人材であっても、企業が大切にする価値観への共感や企業文化への適応性が低いと、なかなか活躍できないことがあります。かつての中途採用はスキルマッチ偏重で選考する傾向がありましたが、最近では経営理念やカルチャーとの親和性を確認したうえで採用するようになっています。

Wantedlyが2022年4月に実施した調査でも、現職への入社時に企業のパーパスを「かなり重視した」「そこそこ重視した」と回答した人が全体の70%を占めています。また、「これからパーパスを重視して転職・就職したい」と回答した人は85%におよんでいます。


参考:
ウォンテッドリー、企業のパーパスと採用に関する調査結果を発表

言うまでもなく中途採用の最終ゴールは、採用した人材が定着して高いモチベーションで活躍し続けてくれること。理念やカルチャーとのアンマッチで、せっかく採用した中途人材が早期離職することのないよう、選考過程で十分に確認する必要があります。

カルチャーマッチを確認するために、経営理念に通じる自社ならではの価値観や、社内に醸成されているカルチャーを身近な言葉で言語化しておきましょう。面談で人材の仕事やキャリアに対する考え方、大切にしていることなどを引き出し、自社の価値観と重なる部分が大きいかどうかを複数の面接官で確認すると良いでしょう。

参考:共感採用とは?メリット・デメリットや進め方を解説【事例つき】

入社後の人材定着のための施策が乏しい

入社後の人材へのフォロー(オンボーディング施策)が不十分であると、カルチャーアンマッチと同様に早期離職のリスクが高まります。

経験豊富な中途人材でも、慣れない環境のなかでは「業務上の社内ルールがよくわからない」「人間関係がうまくいかない」「相談できる相手がいない」などの悩みを抱えやすくなります。

また、入社後の成長ポテンシャルに期待して採用した若手・中堅人材などは、より手厚いサポートを必要としています。人材の早期離職はそれまでの採用工数やコストが無駄になり、新たに人材を採用するコストも発生します。中途人材に対しても入社後のフォローアップや必要に応じた教育体制を拡充しましょう。

中途採用が難しい理由:3.競合要因

中途採用を難しくしているもう一つの要因が、採用上の競合となる企業の存在です。

競合企業の採用戦略との差別化ができていない

求職者数よりも求人数の方が多い環境では、採用競合とは異なる「自社ならではの魅力」を戦略的に打ち出して候補者にアピールできなければ、転職先として選んでもらえません。

採用戦略の策定と並行して、同じエリアにおいて同職種で募集をかけている採用競合を洗い出しましょう。各社にどのような強みがあり、採用市場での魅力として打ち出しているかを確認する必要があります。

その際に役立つのが、事業計画の策定やマーケティングに用いられる「3C分析」などのフレームワークです。

3C分析は、Company(自社)・Competitor(競合)・Customer(顧客)の3つの要素を俯瞰し、自社の強みを把握する分析手法です。「転職市場における自社の立ち位置」や「採用競合と比べた魅力」などを客観的に理解しやすくなります。

候補者が採用競合に魅力を感じてしまっている

一般的な知名度のない企業でも、中途採用に一定以上の成果を挙げている企業は存在し、これらの企業の多くは採用戦略に優れています。求人媒体の掲載情報だけでなく、各社の中途採用サイトや採用オウンドメディア、SNSなどもチェックしましょう。

採用競合がどのように採用に取り組んでいるかをリサーチすることで、自社の魅力の打ち出し方のヒントが見えてきます。前述した「仕事のやりがい」や「自己成長性」などは候補者の関心が高く外せないテーマになります。

また、待遇や雇用条件などについても相場を把握しておかなければなりません。例えば、「残業が月平均20時間と少ない」ことを自社の魅力の一つと考えたとしても、採用競合が「残業時間は月平均10時間」を謳っていればアピールポイントにはなりません。自社が打ち出す魅力を別の角度から考えるべきだとわかります。

常に採用競合を意識して自社の魅力の伝え方を考え、工夫しましょう。

参考:採用戦略とは?立て方や実行時のポイントを解説

中途採用で成果をあげるには:1. 採用戦略の策定

採用戦略の策定は中途採用市場における「自社」と「採用競合」の位置付けを知り、どのような「候補者」を採用するのかを明確化することからスタートします。

求める人物像(採用ペルソナ)を明確化する

採用市場における「自社」の魅力をどのように「候補者」にアピールすれば、より深く共感してもらえるのでしょうか。それを導く前提として、自社が求める人物像を言語化しておく必要があります。

求める人物像は、マーケティング用語で「採用ペルソナ」と言い換えられます。採用ペルソナを策定するポイントは、まず自社の業務遂行に必要なスキルを具体的に言語化すること。さらに、候補者となる人物が仕事やキャリア、プライベートな生活でどんなことを大切にしているのか、価値観軸のパーソナリティを想像して人物像をきめ細かく設定していきます。

自社の魅力をアピールするには、相手がどのような価値観をもっているかによって伝える内容や伝え方が変わってくるからです。

実際に採用ペルソナを策定する際には、採用後に配属を予定する部署のマネージャーとの情報交換が重要です。その部署で実際に高い実績を挙げている複数の社員へのヒアリングも実施し、求める人物像の解像度を上げていきます。

参考:「採用ペルソナ」が「採用ターゲット」より重要な理由|設計方法も解説

採用基準と採用目標を定める

採用ペルソナの策定と並行して、採用基準と採用目標(人数とスケジュール)を定めます。この作業にも採用担当者と配属先の部署とのすり合わせが必要です。

特に採用基準(採用の可否を判断するモノサシ)が曖昧だと、面接官ごとに判断基準が微妙に異なってしまい、一貫性のない選考が行なわれる恐れがあります。結果、内定までに時間がかかり過ぎたり、採用ミスマッチが発生したりします。

採用基準は大きく3つの軸で設定します。

1.業務に必要な専門知識・スキル
2.ビジネスパーソンとしての基本的な能力や行動特性
3.自社の価値観やカルチャーとの親和性

1と2については、採用ペルソナを策定する際に現場のマネージャーやハイパフォーマーへのヒアリングで収集した情報が役に立ちます。3については候補者との対話を通じて確認していく必要があります。

参考:【具体例あり】採用基準|必須3要素と設定方法・注意点を紹介

採用コンセプトを策定して継続的に発信する

中途採用においても、新卒採用と同様に採用コンセプトの策定が必要です。採用コンセプトとは、企業が候補者に向けて発信する採用メッセージ(キャッチフレーズ)のことです。

採用メッセージを策定すると、採用活動に一貫性を持たせ、採用競合とは異なる自社ならではの魅力をアピールできます。さらに、採用メッセージをさまざまなメディアや候補者との接点で継続的に発信することで、潜在的な転職者層に魅力ある転職先として認知してもらうことが可能となります。

参考:採用コンセプトとは?重要性・決め方・人気企業の事例を解説

また、定めた採用メッセージを効果的に継続発信していく手段として、Wantedlyでは企業が自由に作成・発信できるブログ機能「ストーリー」を活用いただけます。

ストーリーの構成や内容、本数に制限はなく、会社の日常から各部門のメンバー紹介など、継続的なメッセージの投稿が可能です。募集情報だけでは伝わらない会社の雰囲気や社員の個性、採用に向けた想いなどを多様な切り口で発信することができます。

Wantedlyでできることや具体的な料金について、サービス概要資料にまとめています。一度確認してみてください。

▶継続的な情報発信をカンタンに!Wantedlyのサービス概要資料を無料ダウンロード

適切な採用手法を選ぶ

求める人材に効率的にアプローチするためには、主な採用手法の特性を理解したうえで、自社の採用ターゲット層が多く利用しているサービスを選択することが重要です。

求人広告

総合型の大手求人広告は、利用者は多いものの転職ニーズが顕在化している層に限定されます。また、数多くの求人のなかに自社の情報が埋もれてしまいがちであり、採用成果にかかわらず掲載料が発生します。

「介護・医療業界に強い」「エンジニアの求人が多い」など業界や職種を絞り込んだ転職サイトの利用を検討しましょう。また、求人情報がクリックされた回数に応じて課金される採用サイトなど、コスト効率の高いサービスも利用できます。

▶中途採用向け求人広告媒体の比較資料をダウンロードする

ダイレクトリクルーティング

求人倍率が高く募集が集まりにくい職種では、企業側から直接候補者にアプローチできるダイレクトリクルーティングが有効な選択肢になります。スカウトサービスともいい、さまざまなサービスが利用可能です。

採用担当者が候補者のプロフィールを確認したうえでスカウトしますので、自社に合った人材の採用が見込めるメリットがあります。また、企業側からの能動的なアプローチであるため知名度に左右されにくい点も特長です。

ターゲットの絞り込みやスカウトメール作成などに一定の工数はかかりますが、質の高い母集団形成が可能となります。

▶中途採用におけるスカウトサービスを徹底比較する資料を無料ダウンロード

人材紹介

人材紹介会社(エージェント)に登録している求職者から自社にマッチする人材を紹介してもらうサービスです。企業側は工数をかけずに候補者と接触でき、成果報酬型のサービスが多いので採用が決まるまでは費用が発生しません。

ただし、ミスマッチのない人材を紹介してもらうには、仲介役となる人材紹介会社のリクルーティングアドバイザーと詳細な情報共有が必要です。また、人材紹介会社に登録している人材の紹介に限定されますので、エージェントの特性(総合型なのか特定業界に強いのかなど)を見極める必要があります。

転職イベント

「転職フェア」など、転職志望者を対象にした合同の企業説明会のことです。多くの候補者と直接会ってコミュニケーションできるため、工夫次第で自社の魅力を伝えやすく、認知度の低い企業でも候補者に関心を持ってもらうことが可能となります。

ただし、イベントへの出展料金やブースの装飾に一定の費用がかかります。また、当日の運営には、高いコミュニケーションスキルを備えた社員を起用する必要があります。

転職イベントへの参加ではなく、自社で独自にミートアップなどの小規模な交流イベントを企画・運営することも有効な採用手法です。自社で企画・集客する業務負担はありますが、潜在転職者層と直接コミュニケーションできるメリットは大きいといえます。

参考:採用ミートアップを手軽に開催するには?集客媒体や事例も紹介

自社採用サイト、採用オウンドメディア

自社が運営するWebサイトでの継続的な情報発信を通じて人材の採用をめざすことです。最近では中途採用における必要不可欠な手法となりつつあります。転職サイトとは違って情報の掲載期間や文字量などの制限がなく、幅広い転職潜在層にさまざまな角度から自社の魅力を発信できます。

継続的に情報発信を重ねることで、「この会社のビジネスに参加してみたい」「やりがいをもてる仕事を通して成長できそうだ」などの想いをもったファンづくりが可能。一定の時間とコストはかかりますが、ミスマッチのない母集団形成につながります。

参考:採用オウンドメディアとは|シゴト観の変化に対応する発信の始め方

ソーシャルリクルーティング

X(Twitter)やInstagramなどのSNSの企業アカウントも、幅広い転職潜在層にアプローチできる採用手法です。

ただし、ダイレクトリクルーティングサービスなどとは違い、登録ユーザーは転職を目的としていないため、採用に直結する情報発信には向きません。自社の採用ブランディングやファンづくりを目的として、中期的なスタンスで情報発信を重ねていくことが重要です。

▶採用におけるSNS広告の使い方の資料を無料ダウンロードする

リファラル採用

社員に知人を紹介してもらって候補者を確保する採用手法です。低コストで価値観や志向性の合う人材を採用しやすく、転職後の定着が見込めるメリットがあります。

リファラル採用は、昔からある縁故採用とは違い、社員の紹介は受けるものの採用基準は一般の中途採用と同じ。選考の結果、不採用となることもあります。その点で紹介者である社員と候補者本人への配慮が必要になります。

参考:リファラル採用とは?かかる費用から進め方まで解説

また、中途採用のニーズ次第では、前向きな理由で他社に転職した人材を呼び戻し、改めて雇用する「アルムナイ採用」にも同様の効果が期待できます。

参考:アルムナイ採用とは?メリットや受け入れ態勢の整え方を解説

中途採用で成果をあげるには:2. 候補者との接点を改善


次に、実際の採用活動における改善ポイントを候補者とのタッチポイントに沿って解説していきます。

選考前のカジュアル面談でソフトに選考する

中途採用の成果を高めるうえで、ぜひ採り入れたいのがカジュアル面談です。カジュアル面談は、本選考に入る前に企業側と候補者がフラットな立場で対話し、お互いの理解を深める場。エントリーシートや職務経歴書を必要としないので、候補者に気軽に参加してもらえます。

このため、従来の中途採用では出会えないような、転職意向が顕在化していない優秀層に会うことができます。企業側は求めていた人材と出会うとつい採用したくなりますが、この段階では採用を匂わせるような質問は控えなければなりません。

カジュアル面談のゴールは、自社がめざしている方向性が候補者の今後のキャリアイメージとどのくらいマッチするかを判断すること。本選考に入る前に候補者のカルチャーマッチの度合いを確認する、ソフトな選考の場と考えましょう。

▶「採用成功するカジュアル面談の極意」の資料を無料ダウンロードする

カルチャーマッチしている候補者ほど、高いモチベーションで長期にわたって自社の仕事に取り組んでもらえます。一人でも多くのそのような人材とカジュアル面談後にも良好な関係を維持することで、将来の活躍が期待できる母集団(人材プール)を確保できます。

参考:なぜ採用に”ファンづくり”と”カジュアル面談”が必要なのか【採用の新常識】

社内の基準を整え一貫したコミュニケーションをとる

カジュアル面談から複数回の面接にいたる採用プロセスで、一貫した採用コミュニケーションを実施することが重要です。一連のタッチポイントで企業側の話すことに極端なブレがあると、候補者は何が本当なのかわからなくなり、信頼関係の構築にはマイナスです。

一貫性の重視は、採用オウンドメディアやSNSでの情報発信、スカウトメールにいたるまで、あらゆる採用コミュニケーションに当てはまります。ミートアップなど候補者との交流イベントの場も同様です。

だからこそ採用戦略を策定し、求める人物像とその採用基準を明確化し、自社の魅力を採用メッセージ化することが重要になります。これらを社内で共有し、採用に関わる社員一人ひとりが「自分の言葉で」企業の魅力を語り、同じ基準で候補者の適性を見極められる体制を構築しなければなりません。

参考:【採用の新常識】内定辞退を回避する、候補者視点の選考フローとは

候補者に合わせた働きかけを工夫する

カジュアル面談でソフトに選考した候補者に対しては、意識して継続的にコミュニケーションを重ねます。カルチャーマッチしていてスキルも高い引く手あまたの優秀な人材、カルチャーマッチは十分だがスキルマッチが不足する人材には、企業側からの働きかけが課題となります。

引く手あまたの優秀な候補者には、その時点の本人の関心に合わせて自社の魅力付け(アトラクト)を工夫していきます。候補者のキャリアイメージに沿ってどのようなキャリアステージが用意できるかを伝えたり、事業の社会的な意義を語ったりといったアトラクトが可能です。

スキルマッチに不安のある候補者には、専門知識の習得に向けた自主学習や勉強会への参加を勧めるなどで、将来的な採用の可能性を高めることができます。

参考:採用を成功させるアトラクトとは?候補者の心を動かすポイントを解説

中途採用で成果をあげるには:3. 入社後の活躍支援


中途採用した人材に定着して活躍してもらうには、早期に現場に慣れて高いパフォーマンスを挙げられるよう適切に支援しなければなりません。そこで次に、入社後の人材フォローのポイントを紹介していきます。

中途採用した人材へのフォローを強化する

中途入社の人材へのフォローアップはオンボーディング施策ともいい、広義の教育/育成プログラムです。ただし、新卒の新入社員向けの集合研修とは異なり、現場で成果を挙げてもらうことを目的として、会社全体の協力のもとで3カ月から1年ほどかけて実施します。

業務上の社内ルールや業務システムの使い方、標準的な作業モデル、社内各組織とうまく連携するコツ、研修をはじめ利用できる社内制度など、業務を円滑に進め、キャリアを積み重ねていくのに役立つ情報を伝えます。

さらには、各部門のキーパーソンの紹介、業務上の意思決定の基準など社内の暗黙のルール、人事評価制度なども必要に応じて共有。新卒の社員が何年かかけて学んできた実践的なナレッジを、系統立てて教えていくイメージです。

人材が早期に活躍できるよう支援し、組織へのエンゲージメントを高めつつ生産性の向上と育成コストの削減をめざします。

参考:【施策例つき】オンボーディングとは?目的・導入の流れを解説

待遇を改善し福利厚生を拡充する

待遇や福利厚生は、候補者が転職を検討する際の最優先項目ではありません。しかし、社員のワークライフバランスの質を向上させ、組織全体のパフォーマンスに好影響を与えます。待遇の改善や福利厚生の拡充は、優秀な人材を引き寄せる重要な要素であり、採用力の強化につながる取り組みです。

採用競合の待遇や福利厚生にも目を配り、中長期的な視野で自社の待遇改善や福利厚生の拡充に取り組みましょう。従業員を大切にする企業としての姿勢が候補者に伝わり、転職先に選んでもらいやすくなる効果が期待できます。

▶企業にあった福利厚生の選び方ガイドを無料ダウンロードする

働き方改革や業務フロー改善などで働きやすい環境をつくる

必要に応じて既存の業務フローを見直し、従業員がこれまで以上に働きやすい環境を整えることも、中途採用で入社した人材の定着や早期戦力化を促進します。

リモートワークで在宅勤務がしやすい環境を整えることは、生産性の向上や子育てとの両立に寄与します。ITツールを導入して全社の業務効率を向上させ、残業時間の削減をめざす取り組みも同様です。働き方改革につながる環境整備は、従業員満足度を向上させるだけでなく、企業独自の魅力となり、中途採用の応募者を増やす効果が期待できます。

キャリア支援施策を拡充する

優秀な転職潜在層は、自分なりのキャリア形成イメージを持っています。魅力ある転職先として見てもらうためにも、企業として人材育成方針を定め、中長期的な視野でキャリア開発を支援する施策を拡充しましょう。

近年では、人的資本経営の観点から企業においても従業員の積極的な学び直し(リスキリング)の支援をしていくことも重要度を増しています。

社内研修プログラムの見直しから、専門資格の取得奨励やその費用援助、個の志向に合わせた成長機会を提供する人材配置や昇格、実力主義の評価制度の確立など、自社の状況に応じて段階的な改善をめざしていくことをオススメします。

中途採用を成功させたいならWantedly


「共感採用」を打ち出すWantedlyは、採用難といわれる今の時代において、知名度や条件に左右されない中途採用を実現する新しい採用手法です。

採用広報の機能も充実しており、今すぐ転職したいとは考えていない潜在層に早期からリーチできます。人材をめぐって採用競合と真っ向から争奪戦を展開するのではなく、選考の前段階から自社のファンづくりを行い、優秀層の母集団を形成することが可能です。

また、Wantedlyはカジュアル面談の先駆者でもあり、ケーススタディに基づくナレッジを豊富に蓄積しています。カジュアル面談を取り入れた採用で、企業と求職者は相互理解を深めたうえで本選考に進み、採用ミスマッチを防ぐことができます。

▶3分でわかるWantedlyの概要資料を無料ダウンロードする

事例紹介:中途採用の課題を解決し採用に成功している企業

株式会社コーボー


Webマーケティング、システム開発、およびSES事業を展開する株式会社コーボー(2011年設立)。クライアントに技術者を派遣するシステムエンジニアリングサービス(SES)事業の強化に向け、2018年から即戦力エンジニアの採用に取り組んでいます。

中途採用市場では、SESエンジニアとして働くことにネガティブなイメージをもつ候補者も多いなか、Wantedlyを活用したダイレクトリクルーティングに着手。候補者のプロフィールや技術ブログなどの発信を詳細に読み込み、なぜ声をかけたのかを明記したカスタマイズ文面のスカウトメールを発信。他スカウトサービスと比較しても高い返信率を実現しています。

カジュアル面談では、候補者の発言に対して選考上の判断を一切せずに共感をもって傾聴。会社としてエンジニア本人の志向に合わせた開発案件を優先してアサインしていることや、中長期的なキャリア設計を配慮していることを丁寧に伝えたそうです。

その結果、当初SESエンジニアは視野になかった人材も含め、1年弱で4名の即戦力エンジニアを内定承諾率100%で採用しています。

▶即戦力エンジニア採用に成功した株式会社コーボーの事例を無料ダウンロードする

キャディ株式会社


金属部品の高精度な切削・加工をアウトソースする受発注プラットフォームを提供し、製造業大手と高い技術をもつ中小の町工場をつなぐキャディ株式会社(2017年設立)。ものづくり産業を下支えする、ゴルフにおけるキャディのような存在をめざすテクノロジードリブンなスタートアップです。

2020年のコロナ禍にオンラインに特化した「CTO(最高技術責任者)対談」などの勉強会形式のミートアップをシリーズで開催。5カ月で4,500名の視聴を獲得し、懇親イベントのオンライン化にも取り組んできました。Wantedlyのスカウト機能を活用し、開始直後から多くの応募につなげています。

ミートアップでは候補者との質疑応答を交えて同社の複雑なビジネスモデルの仕組みや価値を伝え、ピッチ資料で情報を補完。すべての候補者が同社を正しく認識している状態でカジュアル面談につなげています。面談ではカルチャーマッチの確認に時間を割くことができ、有望な人材の確保に成功しています。

▶キャディ株式会社の採用成功事例を無料ダウンロードする

and factory株式会社


「日常に&を届ける」をミッションに掲げるand factory株式会社は、2014年設立のスタートアップ。事業領域を限定せず、マンガアプリを提供するManga、ゲーム攻略や占いアプリなどのEntertainment、宿泊施設の企画・運営を軸とするRETという3つの事業を展開中です。

企業の認知形成にWantedlyのストーリーを活用して継続的な採用広報を展開し、WANTEDLY VISIT AWARDS 2019の「Awareness賞」を受賞しています。

同社ではWantedlyを使った採用広報が果たしている役割を「カルチャーマッチ度の向上」「社内広報とエンゲージメントの向上」「リファラル採用ヘの貢献」と捉えています。

採用広報を持続的に実施するには、会社全体を巻き込むことが重要です。同社では、社内広報によるインナーブランディング効果の高いWantedlyを、組織やチームを横断して社員のつながりを広げていくツールとしても活用しています。

▶andfactory株式会社が成功した採用広報の事例について無料ダウンロードする

まとめ

中途採用が難しくなっている時代にも、自社に合った採用戦略を立て、採用活動のPDCAを回しながら課題を克服し、一定以上の採用成果を挙げている企業は存在します。

今回は、中途採用市場をとりまく環境変化をふまえ、採用戦略・採用プロセスの改善・採用後の施策という切り口で採用成果を高める方法を紹介しました。

自社の状況に合わせてもう一度採用戦略を見直し、求める人材の採用と長期的な定着をめざす中途採用に取り組んでみてはいかがでしょうか。

Wantedlyのサービス資料を見る
タイトルとURLをコピーしました