内定辞退は、企業にとって大きな損失につながりかねないものです。優秀な人材を確保するためにも内定辞退の防止策として多くの企業がさまざまな方法で内定者フォローを行っています。
各種内定者フォローの中でも、とくに注目されているのが「内定者懇親会」です。入社意欲を高め、内定辞退を防止する内定者懇親会とはどのようなものなのか、事例を交えて解説します。
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内定者懇親会とは
内定者懇親会とは、内定者同士、あるいは内定者と社員のコミュニケーション場として開かれる会のことです。多くの企業が内定者フォローの一環として行っています。
人材不足が深刻化する昨今、企業は多くの時間とコストを費やし人材を採用しています。ところが、内定を出した後に辞退されるケースも少なくありません。内定辞退は直接的な損失だけでなく、企業の成長に必要な人材を獲得するチャンスを逃してしまうことになるものです。
多大な損失を招きかねない内定辞退を防ぐために、企業は対策として内定者に対し懇親会を含む手厚いフォローをするようになったのです。
内定者懇親会を行う重要性
前述のことから、内定者フォローに注力する企業は多くあります。内定式や社内報の送付をはじめとする内定者フォローの各種施策のうち、とくに重要視し取り組みたいのが内定者懇親会です。
内定者キャリタスリサーチの「調査データで見る『内定者フォロー』-2021年卒調査-」によると、61.0%が内定者懇親会を経験し、さらに経験者の半数が「内定者懇親会で入社意欲が高まった」と回答しています。
「同期と話すことで入社意欲が高まった」との意見もあり、これらのことから内定者懇親会が内定辞退の対策に有用であることがわかります。
内定辞退を回避する、選考から入社後まで3つのプロセスで改善すべき候補者体験については以下の記事で解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/recruiting_textbook_3
内定者懇親会と内定者懇談会の違い
内定者懇親会と似たものに内定者懇談会があります。内定者懇親会は親睦を深めるために行いますが、懇談会は議題をもとに話し合いを行うものです。
懇親会は懇談会よりもフランクな内容で、マナーを守りつつ楽しみながら交流できる会と考えてよいでしょう。
内定者懇親会を行う目的
内定者懇親会は主に次の3つの目的で開催されます。
- 内定者同士の交流
- 企業の社風・雰囲気を知ってもらう
- 内定辞退の防止
1.内定者同士の交流
内定者懇親会には、内定者のみで行うものと、内定者に社員を含めて行うものがあります。内定者のみで開催する内定者懇親会は、入社後同期となる内定者同士を交流させて結束を深め、入社への意欲を高めることが目的です。
2.企業の社風・雰囲気を知ってもらう
社員を含めて行うケースでは、社員との交流を通して企業の社風や雰囲気を内定者に伝えられます。事前に社風や雰囲気を知ってもらうことで、入社後のミスマッチを防げるだけでなく、疑問や不安を解消してもらえる可能性があります。
この場合、内定承諾を目的として未承諾者を含めて実施することもあります。
3.内定辞退の防止
内定者に対していきなり入社を前提としたトレーニングをスタートさせると、入社後への希望よりも働くことへの憂鬱感を高めてしまう可能性があります。
まずは懇親会で「同じ企業で同じゴールを目指して取り組む仲間がいる」ことを知ってもらい仲間意識を芽生えさせ、入社への意欲を高めて内定辞退を防止したい狙いがあります。
内定者懇親会を行うメリット
内定者懇親会の実施で企業は次のようなメリットを得られます。
1.内定者とコミュニケーションが取れる
内定者とのコミュニケーションの方法には、さまざまなものがあります。
- 人事および社員からの定期的な連絡
- 社内見学会、説明会
- 社内報の送付
しかし、これらは懇親会よりも一方的なコミュニケーションになりやすく、また同じ内定者とのコミュニケーションは図れません。そのため、すべての内定者の不安や疑問を払拭するのは難しいでしょう。
内定者懇親会であれば、内定者同士、あるいは社員とも気軽に会話ができます。内定者懇親会の様子から、内定者の面接や面談とは異なる面を知れることもメリットです。
2.企業で働く意欲を上げられる
内定者は入社までの間、「業務について行けるのか」「実際にはどのような働き方になるのか」など不安と疑問を多く抱えています。
そこで内定者懇親会を設定し、社風や雰囲気を肌で感じ取りながらさまざまな疑問を解消させることで、企業で働くことの現実感が増し働く意欲も向上させられます。
内定者懇親会を行うデメリット
多くのメリットがある内定者懇親会にもデメリットがあります。たとえば、内定者同士や社員との相性が悪く、「違う企業の方がいいかもしれない」と思われてしまうことです。また、社風が合わないと感じられて内定を辞退されることもあるでしょう。
これらのデメリットによる影響をなるべく抑えるために、まずはそれぞれに合いそうな内定者や社員とともに少人数で開催し、後に大人数で開催することをオススメします。
内定者懇親会の内容
内定者懇親会を開催する際は、内定者にとって有意義な会になるよう内容を定めましょう。内定者懇親会の開催時期やよくあるコンテンツ、実施方法を紹介します。
【参考】内定者懇親会の内容とは?流れやコンテンツ・実施のポイント
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/gathering/
1. 内定者懇親会を行う時期・回数
内定者懇親会を開催するタイミングは複数あります。内々定者を複数人出した後、内定解禁日直後、内定式の当日、内定式後から入社日までのいずれかで開催しましょう。
前述の通り、まずは少人数で開催し、その後に全体で開催するなど内定者懇親会を複数回行うケースがあります。この場合、内々定を出した後あるいは内定解禁日直後と入社式の当日などに実施することで、内定から入社までの空白期間中も内定者の入社へのモチベーションを保持する効果が期待できます。
2.内定者懇親会で行うコンテンツ
内定者懇親会の内容には、企業や事業についての説明、内定者の自己紹介、グループワーク、座談会、食事会などが考えられます。企業・事業説明は代表または役員が行うとより効果的です。
グループワークでは、作業型のグループワーク、プレゼン型のグループワーク、ビジネスケース型のグループワークが考えられます。
比較的ハードルの高いプレゼン型・ビジネスケース型では業務の一部を体感してもらえます。作業型は内定者同士のコミュニケーションを深めるのに効果的です。
座談会や食事会は、社員にも参加してもらい内定者との交流を深めます。
3.オンラインでの内定者懇親会実施方法
オンラインで開催する場合は、ZoomやTeamsなどのテレビ会議ツールを使用します。
参加者には、念のためツールの使用方法を事前に伝えておきましょう。システム上での氏名の表示方法やリアクションボタンの使用方法も伝えておくと、当日の進行がスムーズです。
オンラインの懇親会では、簡単なゲームを用意する企業が多いようです。対面よりも難しくなりがちなオンラインでのコミュニケーションも、ゲームなら自然に解消できるでしょう。
懇親会の飲食物を用意し、参加者の自宅などに送る企業もあります。
内定者懇親会を成功させるためのポイント
内定者懇親会の目的を達成するために、次のポイントを意識して開催しましょう。
- 社員にも参加してもらう
- 継続的に実施する
- オンラインとオフラインを使い分ける
- 内定者のグルーピングに気を配る
1.社員にも参加してもらう
座談会や食事会に社員を参加させ、内定者と社員の懇親を深める方法があります。社員とのコミュニケーションによって、内定者は企業への理解が深まり、入社後の働き方も具体的にイメージできるようになるでしょう。
座談会だけでなく、グループワークのオブザーバーに社員を入れる、食事会に参加させよりフランクなコミュニケーションの機会を設けるのも手です。
2.継続的に実施する
内定者懇親会は、内々定から入社までの間に複数回行うことで内定者の入社意欲を高められます。内定辞退を防止する目的で開催するのなら、1度だけでなく入社までの間継続して実施しましょう。毎回異なるコンテンツを用意するなどの工夫で、より企業や事業への理解を深めてもらえます。
3.オンラインとオフラインを使い分ける
オフライン開催が難しい場合は、オンラインでの開催を検討します。遠方の内定者への負担軽減、感染予防にも効果的です。
説明会やグループワークだけでなく、オンラインで座談会や食事会も実施できます。
4.内定者のグルーピングに気を配る
懇親会のグルーピングは、内定者や社員の性格を踏まえて行う必要があります。
性格や考え方が大きく異なる者同士を同じグループにしてしまうと、内定者の不安感が高まりかねません。各種情報をもとに、なじみやすそうなメンバーをそろえることでコミュニケーションも活発化します。
内定者懇親会の成功事例
実際に内定者懇親会を実施している企業の例を紹介します。
株式会社MJE
株式会社MJEは、内定者懇親会を複数回実施しています。2022年卒の新卒採用では、4月から8月まで毎月実施。コロナ禍のためオンラインで開催し、メンバーをチームに分けゲームを行うなどコミュニケーション重視の懇親会を開催しています。
あるときの懇親会では、参加者にお題となるワードが配られ、その中で異なるワードが配られた人を当てる「ワードウルフ」を行っています。少人数でじっくり交流を深めるのでなく、内定者がより多くの内定者と会話することを目的にワードウルフを行い、狙い通り広く交流できたそうです。
【参考】【これから合流する22卒へ】第3回内定者懇親会の様子をお届け(株式会社MJE)
https://www.wantedly.com/companies/mjeinc/post_articles/335101
株式会社ロジカルスタジオ
株式会社ロジカルスタジオは、2021年の10月に初となるオンライン内定者懇親会を実施しました。参加した社員はオフィス内の会議室から1画面で接続し、内定者はそれぞれのデバイスから接続するスタイルです。
社員と内定者それぞれが自己紹介を行い、その後に代表の挨拶、ゲーム大会と続きます。選択したゲームはお題に対して参加者の回答が全員一致するまで終われない「一致するまで終われまテン!!」。最後に雑談の時間を設けて懇親会は終了です。
ゲームや雑談で楽しみながら仲を深められたそうです。
【参考】オンライン内定者懇親会、はじめました。(株式会社ロジカルスタジオ)
https://www.wantedly.com/companies/logical-studio/post_articles/362732
ソフトブレーン株式会社
ソフトブレーン株式会社がコロナ禍以前の2019年に行った内定者懇親会では、本社見学の後に会議室にて自己紹介プレゼン大会を実施しています。内定者がそれぞれ趣味や特技、経歴などを自由に発表。それぞれがオリジナリティあふれるプレゼンを行うコンテンツです。
その後、レストランに場所を移動して食事をしながら内定者同士の交流を行ったそうです。自己紹介プレゼンを先に行うことで、会話の糸口も広がります。
【参考】2020内定者懇親会を実施しました、の話。(ソフトブレーン株式会社)
https://www.wantedly.com/companies/softbrain/post_articles/172154
内定者懇親会を行う際の注意点
内定者懇親会を成功させるために、実施前に注意点を把握し対策を講じましょう。
1.内定者、社員それぞれの参加人数は適切か確認する
会に参加する内定者と社員の人数は、会の目的によって変わります。たとえば、一人ひとりに対して手厚いフォローをしたいのに内定者の数に対して社員の数が少ない、広く交流をしてもらいたいのに内定者5名程度で開催するといった状態では目的を達成できない可能性があります。
グループワークやゲームを行う場合も、「チーム数×人数」の参加者が必要です。開催の前に内定者と社員の参加人数を目的にあわせて設定しましょう。
2.継続的に実施する
内定から入社までの数ヶ月間に一度しか開催されないのでは、入社への意欲を維持できないことがあります。毎月、隔月など企業と内定者に無理のない範囲で継続的に実施しましょう。
3.参加者のサポート体制は整っているか確認する
内定者懇親会はあくまでも内定者フォローの一環として行われるものです。開催の案内から終了まで、参加する内定者の疑問や不安を解消する体制を整える必要があります。内定者懇親会にかかわる社員の確保と、サポートする社員の内定者懇親会への理解を深めておきましょう。
まとめ
内定者懇親会は内定辞退対策として効果的な施策です。実施前には企業が内定者懇親会を行う理由と目的を明確にして、それに沿った内容と方法の懇親会を企画する必要があります。
まずは各社の事例を参考にしつつ、企業なりの懇親会を開催してみましょう。内定者が安心して入社までの期間を過ごせるよう、内定者懇親会で内定者同士、あるいは内定者と社員のつながりを作っておきましょう。