出戻り採用を成功させるには?待遇や環境を整え、社内の理解を得よう

自社の採用基準にマッチした人材を確実に採用する方法として、一度退職した社員を再雇用する「出戻り採用」が注目されています。

この記事では、出戻り採用の現状を紹介するとともに、企業が元社員を再雇用するメリットと注意点、再雇用した社員の活躍を促進するポイントなどを解説します。

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出戻り採用とは

まず初めに、出戻り採用の定義から見ていきます。

出戻り採用=アルムナイ採用

出戻り採用とは、一度退職して他社で経験を積んだり、独立したりした人材を、再び元の企業が雇用することを指します。英語で卒業生や同窓生を意味するアルムナイ(alumni)から、アルムナイ採用ともいわれます。

定年退職後の再雇用制度との違い

退職した人材の再雇用というと、日本では定年退職した社員を再雇用する制度がお馴染みです。ただし、近年注目を集めている「出戻り採用」には、定年退職した社員の再雇用は含まれません。

キャリアアップのために転職した人材や、子育てや介護などライフステージの変化からやむなく退職を選択した人材が、元の企業に戻って働くことを指します。

日本における出戻り採用の実態

厚生労働省の2014年の調査によると、出戻り採用を制度として設けている企業は全体の16.7%でした(定年退職後の再雇用を除く)。企業規模別に見ると、従業員数1,001人以上の企業が36.4%と最も多く、大企業で再雇用制度の導入が進んでいることがわかります。

一方で、エンジャパン(株)が2018年に実施したアンケート調査「出戻り社員(再雇用)について」(有効回答数661名)によると、出戻り社員を「再雇用したことがある」と回答した企業は、全体の72%となっています。また、再雇用した企業の約8割が「周りの社員の反応が良い」と回答しています。

(引用)エンジャパン 第133回アンケート集計結果レポート「出戻り社員(再雇用)について」(2018)

出戻り採用が注目される背景


なぜ近年、出戻り採用が注目されているのでしょうか。

採用難を背景とする人手不足

少子高齢化に伴って労働人口が減少するなか、ほとんどの業界が構造的な人材不足に悩まされています。

デジタル化を背景にビジネス環境も大きく変化し、人材に求める能力やスキルの水準も高まりました。その結果、多くの企業が人材採用に課題を抱えています。

参考:採用難を乗り越えて求める人材を採用するには|採用の改善ポイントを解説

働き方やキャリアパスの多様化

働き方に関する個人の価値観も多様化し、一つの会社で定年まで働き続ける人は今では少数派です。経験を活かして積極的に転職を検討するキャリア設計が一般的になりました。

会社に不満があるなどの退職理由ではなく、キャリアアップのために円満に転職したような人材には、退職後も元の会社のメンバーと交流を続けるケースが見られます。

人材の流動性が高まる社会では、出戻り採用は企業が効率的に優秀な人材を確保する方法となります。

出戻り採用の5つのメリット

では、企業が出戻り社員を雇用するメリットを具体的に見ていきましょう。

1.出戻り社員は即戦力

すでに自社の業務を熟知し、カルチャーにもマッチしている人材なので、即戦力での活躍が期待できます。自社を離れていた期間によっては研修が必要になる場合もありますが、未経験者に比べてごく短期間に学び直してもらえるでしょう。

2.人柄・実力がわかったうえで配属

出戻り社員はその人物の人となりや力量がわかっていますから、安心して配属することが可能です。重要な新規プロジェクトやチーム力を強化したい組織などに適材適所で配置できます。

3.採用工数と育成コストの削減

出戻り社員は過去に一度自社の採用選考を通過した人材です。ゼロから候補者と相互理解を深め、関係性を築いていく採用コミュニケーションに比べて、再雇用までにかかる工数とコストを大幅に削減できます。

4.退職後に得た新たな知見を社内に還元

退職後に別の企業で新しいスキルを身につけたり、独立して多様な経験を積んだ人材は、新たに身につけた知見やノウハウを業務に活かすことで、人や組織の成長に貢献できます。

5.従業員エンゲージメントの向上

一度退職した経験から、出戻り社員は自社の良い点を改めて評価しています。会社への高い愛着心をもって業務に臨む姿勢は、周囲の社員に好影響を与え、組織全体の従業員エンゲージメントの向上が期待できます。

出戻り採用の3つのデメリット


一方で、出戻り採用によるリスクを認識し、備えておく必要があります。

1.既存社員のモチベーション低下

出戻り採用は、一度辞めた社員が不当に優遇されていると周囲に受け取られると、既存の社員との間に心理的な軋轢を生むことがあります。

事前に出戻り採用を行う目的やメリットを十分に社内周知しておくことが大切になります。

2.環境変化へのキャッチアップが必要

退職後に社内体制などが変化している場合、出戻り社員が昔のやり方にこだわって現在の仕事の進め方に対応できないケースも出てきます。

出戻り社員には、先入観をもたずに組織や業務の現状を把握し直し、必要に応じて変化にキャッチアップする姿勢が求められます

3.社内で転職への心理的ハードルが低下

出戻り人材を迎えると、既存の社員に「辞めてもうまくいかなければ戻ればいいんだ」との気持ちを抱かせることがあります。

転職に慎重になる気持ちが薄れ、安易な離職を促す可能性もあるでしょう。マネージャーは頻度の高いコミュニケーションを通じて、メンバーのモチベーション維持に気を配る必要があります。

出戻り採用を成功させるポイント

では次に、実際に出戻り採用を行う際の注意点を見ていきます。

退職者ネットワークを活性化しておく

退職者が気軽に参加できるコミュニティをSNSなどに設けておきましょう。退職者との交流に特化したクラウドサービスも登場しています。

退職した人材と現役社員のネットワークを活性化しておけば、社内の動きや再雇用のニーズをリアルタイムで共有できます。出戻り採用の有望な候補者を事前に把握しておくことも可能です。

給与やポジションなど待遇を設定する

出戻り採用では、給与や役職などの待遇を慎重に設定する必要があります。本人の能力や退職後の経験に加えて、既存社員の待遇とのバランスも考慮して検討しなければなりません。

仮に本人の希望を下回る場合にも、再雇用後の昇給や昇格の基準を明確に伝えることで、モチベーション低下を避けることができます。

採用目的の社内周知を徹底する

出戻り採用が周囲の社員の不満につながらないよう、会社として出戻り採用の基本方針(採用目的と採用人数)を明確に定め、あらかじめ社内に周知しましょう。

社内周知の徹底により、既存の社員経由で復職を希望する退職者の情報が入る可能性もあります。また、再雇用が決まった個別の人材についても、その人物の再雇用による組織の期待値を共有しておくことが重要です。

特別扱いはせず、温かく迎える

以前の在職時に功績のあった人材でも、あまり「特別扱い」はせず、既存の同じポジションの社員と同等に接しましょう。ただし、受け入れる側は温かく歓迎する気持ちを忘れずに、復職した社員の新たな視点から学ぼうとする姿勢をもつことが重要です。

(参考)アルムナイ採用とは?メリットや受け入れ態勢の整え方を解説

出戻り採用を成功に導く、Wantedlyの活用方法


Wantedlyでは、フォーマットに沿って入力するだけで簡単にスタイリッシュなデザインの採用ブログを発信できます。採用広報の一環として、出戻り採用に関する自社の取り組みをシリーズ記事として発信できます。

さまざまな職種の退職者がかつて在籍した会社への想いを語るインタビューや、退職者向けイベントの告知など、出戻り採用の積極展開に向けた情報発信の事例も豊富にあります。

Wantedlyでできることや具体的な料金は、以下のサービス資料にまとめています。ぜひ一度確認してみてください。

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出戻り採用を実施している企業

最後に、出戻り採用を積極的に実施し、優れた人材の確保に成功している企業の事例をご紹介します。

株式会社ピービーシステムズ


(参考)
アルムナイ採用。ずいぶん前からやってる当社。あ、私のことね。

福岡市に本社を置き、企業や自治体の仮想化システム構築のパートナーとして幅広いクラウドソリューションを提供する株式会社ピービーシステムズ(1997年設立)。

同社で中途・新卒採用を担当する社員が、システム開発→営業事務→人事とキャリアチェンジしながら2度復職した経緯を語り、「嫌いで退職したわけではない」社員が多い同社の出戻り採用の実態をブログで発信しています。

他社で働くことで見えてくるものをふまえ、会社の戦力になる自信をもって復職することができたと語っています。

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株式会社セールスフォース・ジャパン


(参考)
重要なのは、エンプロイージャーニーをどれだけ丁寧に描けるか|#8セールスフォース・ドットコム リクルーティング シニアディレクター 古瀬氏 

顧客管理システム「SalesForce」を中心に、多様なクラウドサービスを提供するセールスフォース・ドットコム(米国)。日本オフィスである株式会社セールスフォース・ジャパンで10年ほど採用を担当するシニアディレクターが、従業員体験を重視する同社の採用・育成スタンスを紹介しています。

入社後のエンプロイージャーニーを丁寧に描き込んでみると、一定のメンバーが「新しいチャレンジがしたい」と退職していました。しかし、自分が挑戦したい業務やポジションを改めて見出し、出戻るケースが増えていることがわかったそうです。

今後は、ライフステージが変化して子育てや介護の時間が増えた社員が、活躍を継続できる風土も醸成していきたいと抱負を語っています。

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サイボウズ株式会社


(参考)
一度退職した人材の再入社を常時歓迎しているサイボウズ株式会社の採用サイト

グループウェア「サイボウズ Office」、プログラミングスキルのない社員でもノーコードで業務アプリを開発・改善できる「kintone」などを提供するサイボウズ株式会社(1997年設立)。

同社には、もともと「育自分休暇制度」があり、退職時に希望すれば最長6年まで再雇用が約束されていました。サイボウズ以外の別の環境で“自分を育て”、成長するためのチャレンジを応援したいとの思いで始まった制度だそうです。

企業の成長ステージが変化し、離職率も下がってきたことなどをふまえて「育自分休暇制度」は廃止。2024年4月から新たに「アルムナイ採用」をスタートしています。退職後の社員とつながりを保ちつつ、また働きたいと思ったらマッチングを検討できる仕組みを目指しています。

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アクセンチュア株式会社


(参考)
アクセンチュア株式会社のグローバルなアルムナイ・ネットワーク

世界最大級の経営コンサルティング会社であるアクセンチュア株式会社では、元社員の再雇用を積極的に受け入れています。

「アクセンチュア・アルムナイ・ネットワーク」と呼ばれる卒業生をつなぐポータルサイトを設け、退職した元社員約30万人が在籍しています。巨大な退職者ネットワークでは活発な交流が行われ、グローバル規模でアルムナイ向けのプログラムが開催されています。

このサイトでの情報交換をきっかけに、一度卒業したアクセンチュアに復職する社員が増えているそうです。

まとめ

採用難が深刻化し、若年・中堅層の働き方が多様化するなかで、出戻り採用は自社にマッチした優秀な人材を確実に採用する有効な手段です。

「辞めた人間を再雇用するなんて…」といった否定的な考えは払拭しましょう。本記事を参考に、人材不足を克服する処方箋の一つとして、出戻り採用を検討してみることをお勧めします。

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