人口減少にともなう人手不足や価値観の多様化が進み、採用活動に課題を持つ企業が増加しています。求人メディアに自社の情報を掲載して応募を待つ従来のスタイルでは、優秀な人材を集めるのが難しくなっているためです。
また、人材紹介サービスによる採用はコストが高いため、多くの企業が新たな手法を取り入れはじめています。採用市場では「採用マーケティング」「採用ブランディング」「採用広報」に取り組む企業が増加しています。
しかし、3つの概念や考え方の違いを正しく理解し説明できる採用担当者はまだ多いとは言えません。そこで今回は「採用マーケティング」「採用ブランディング」「採用広報」の違いと考え方を解説します。
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採用マーケティング
採用活動を改善するための骨格となる概念が「採用マーケティング」です。考え方と導入するための方法を説明します。
1.採用マーケティングとは
今までの採用活動はコストをかけて候補者を集め、ふるい落として内定を出すスタイルでした。採用担当者の主な関心は母集団形成と応募獲得、入社人数にありました。
採用マーケティングとは、マーケティングの思考を組み入れた採用活動における新たな概念です。
一般的なマーケティングでは商品やサービスを購入するまでのプロセスを重視して最適化を図ります。採用マーケティングとは、マーケティングのファネルを採用活動に取り入れ、消費者を求職者に置きかえて採用活動の最適化を図る考え方です。
また、一般的なマーケティングではSNSによるシェアなど商品やサービス購入後の消費者行動も重視されるようになっています。そのため採用マーケティングにおいても、入社後のエンゲージメント向上と定着・活躍、エンプロイーサクセスまで視野に入れて考える動きが加速しています。
2.採用マーケティングの考え方
採用マーケティングでは、一般的なマーケティングにおけるファネルを採用活動に当てはめて運用します。求職者が企業を認知して興味を持ち、入社したいと考えて応募にいたるプロセスをファネルに分類し、とくに認知してから興味を持ち、応募にいたる過程を重視するのが特徴です。
一般的なマーケティングでもっとも有名なモデルが、消費者の購買決定プロセスとして知られる「AIDMA」です。
Attention(商品・サービスを認知する)
Interest(商品・サービスに興味を持つ)
Desire(商品・サービスを欲しいと思う)
Memory(商品・サービスを記憶する)
Action(商品・サービスを購入する)
商品・サービスの認知段階から購入に至るまでの各プロセスをファネルとして、消費者ニーズにマッチした施策に結びつける考え方です。
Wantedlyでは採用マーケティングにおける各ファネルを次のように定義しています。
Awareness(認知)
Interest(興味)
Consideration(検討)
Application(応募)
Selection(選考)
Hire(採用)
また、商品・サービス購入後の消費者行動にあたる入社後の定着・活躍と新たな候補者の紹介につながる発信・共有をEngageとして、採用活動全体の最適化を提唱しています。
3.採用マーケティングを導入するには
採用マーケティングにおけるファネルの考え方に基づくと、採用活動では応募より前の段階である認知や興味・検討ファネルの重要性が高まります。従来、採用活動は求人メディアに情報を掲載し応募を集めて母集団を形成、一気に選考する短距離走でした。
しかし、採用マーケティングでは時間をかけて認知を高め、興味を持ってもらうための施策を重視します。そのため、「採用のスタートライン」が変化したという意識を持つのが重要です。
また、採用マーケティングは求職者の視点に立って採用活動を見直します。選考においても求職者のハードルを下げ、負担を減らす「ソフトな選考」としてのカジュアル面談を導入しましょう。
カジュアル面談は求職者にとって申し込みやすいため、優秀な人材と接点を持ちやすいのが特徴です。
さらに「採用活動は候補者を採用して終わり」というこれまでの考え方から脱却する必要性もあります。一般的なマーケティングでも、商品・サービス購入後の顧客満足度を高めるためカスタマーサクセスの概念が広まっています。
採用マーケティングにおいても、入社後の「エンプロイーサクセス(従業員の成功)」まで含めて考えるべきです。入社した人材のモチベーションや満足度が高まれば、SNSにおけるポジティブな情報発信や知人・友人の紹介の形で採用活動への貢献が期待できるためです。
採用マーケティングを導入するためには、「採用のスタートライン」「ソフトな選考」「エンプロイーサクセス」を意識しましょう。
採用ブランディング
採用活動を改善するための骨格となる採用マーケティングを導入したら、次は採用活動において訴求する魅力の方向性を定める「採用ブランディング」に取り組みましょう。
1.採用ブランディングとは
採用ブランディングとは、求職者を対象とした自社の認知度や興味・関心、入社意欲を高めるための戦略です。
採用市場において自社を「ブランド化」する取り組みであるため、「採用ブランディング」と呼ばれます。競合他社と比べた優位点や自社ならではの特徴を発信し、「働く場所」として魅力的な要素を訴求する施策です。
採用ブランディングでは、求職者に「働く場所」として魅力的であると感じてもらうため、さまざまな方向性から自社を構成する要素を多面的に検討する必要があります。求職者にとっての「働く場所」とは1日のうち大半を過ごす時間と空間であり、どのような考えを持つどんなカルチャーの人たちと一緒に働くのかなど、気になる点が多岐にわたるためです。
もちろん、企業として永続できる事業上の強みを持っているか、社会に貢献できているか、自分の成長につながるスキルやキャリアの支援制度はあるかといった要素も欠かせません。さまざまな方向から独自の魅力を打ち出し、採用市場で自社ならではのブランドを構築するための戦略が採用ブランディングです。
採用ブランディングを成功させればミスマッチによる早期離職を防止できるだけでなく、入社してからの定着と活躍にも効果をもたらします。採用ブランディングについて詳しくはこちらの記事もご覧ください。
▼採用ブランディングとは?重要性や進め方を解説【成功事例つき】
2.採用ブランディングの考え方
求職者に対して自社をブランド化するためには、対象となる求職者と他社に対する差別化ポイントを明確にする必要があります。
一般的なブランディングが対象とする自社製品・サービスの顧客と、採用ターゲットとなる人材の人物像が同じとは限りません。どのようなスキルやカルチャー、考え方を持つ人材を採用ターゲットとするのか、採用ブランディングを「誰に」対して実施するのかを定義します。
また、採用ブランディングで自社が持つどのような魅力を訴求するのかを整理するのも重要です。定義した採用ターゲットに響く・刺さる要素でなければ、採用したいと考える人材に魅力を感じてもらえないからです。
採用ブランディングを成功させるためには、採用ターゲットである「誰に」をクリアにした上でどんな魅力を訴求するのかにあたる「何を」を意識しましょう。
3.採用ブランディングを導入するには
採用ブランディングを導入するための手法を説明します。採用ターゲットである「誰に」を設定するうえでは、採用活動に用いるペルソナを利用するのが一般的です。
ペルソナは採用ターゲットを具体的な人物像として定義するのが特徴です。年齢や性別、学歴・職歴やスキルだけでなく、性格や仕事に対する価値観などさまざまな要素から架空の人物モデルをつくる取り組みです。
また、訴求すべき魅力である「何を」を考えるには、企業の魅力を構成している要素を知っておく必要があります。企業の魅力は次の6個の要素から成り立っています。
・市場(誰に対して価値を提供しているのか)
・事業(どのような手段で市場に価値を届けているのか)
・業務(事業を成功させるため、どんな仕事をしているのか)
・人(業務を遂行するために、どんな人材が必要とされているのか)
・文化(人材が集まることによって、どんな文化が形成されているのか)
・制度(文化を維持するために、どんな制度が設けられているのか)
採用ブランディングを導入するには、「誰に」にあたる採用ターゲットをペルソナから、「何に」にあたる魅力を6個の要素から整理して、マッチする人材に対して最適な訴求を実現させましょう。
採用広報
採用ブランディングによって「誰に」「何を」を定めたら、認知と興味・関心を高めるための具体的な手段である「採用広報」に取り組みましょう。
1.採用広報とは
採用広報は求職者の認知を高めるとともに興味・関心を醸成するために企業が自ら情報発信する施策です。会社説明会や就職イベント、求人メディアへの掲載から採用サイト、採用ピッチ資料、採用動画などさまざまなチャネルを活用して展開します。
中でも、転職潜在層にリーチできるプラットフォームの利用が広まっています。人手不足や若年層の減少から、従来の転職顕在層を対象とした採用活動だけでは人材獲得が難しくなっているためです。
転職潜在層の興味を高め、入社を検討してもらうためには自社の魅力を深く、多面的に伝える必要があります。
また、カルチャーフィット・パーパスフィットする人材に響くメッセージとするのが重要です。そのため、採用広報を展開する際には、採用ブランディングで定義した「誰に」「何を」に基づく必要があります。
ペルソナに基づいて設定したターゲットに対して、自社の魅力を的確に伝えるための情報発信を実現させましょう。
2.採用広報の考え方
採用ブランディング戦略で「誰に」「何を」伝えるのかを定義できたら、採用広報を実施するにあたっては「どこで」伝えるのかを検討します。求める人材にリーチしないプラットフォームで展開しても、効果は期待できないためです。
採用広報では、仕事内容を具体的に伝えたり、1日の過ごし方やオフィスの雰囲気を詳しく伝え理解を深める必要があります。そのため、社員の取材記事やオフィス環境の紹介、ミッション・ビジョン・バリュー・パーパスの伝達など採用広報に適したプラットフォームを活用する企業が増加しています。
一方で、Z世代など若手をターゲットとする場合にはSNSが効果的かもしれません。オフィスの雰囲気や職場における人間関係の良さを伝えるために動画を用いた採用広報も目立ちはじめています。
また、エンジニアがターゲットならテックブログで技術力の高さを訴求し、魅力を感じてもらう選択肢も考えられます。採用したい人材に自社の魅力を理解してもらうための最適なプラットフォームである「どこで」の検討が、採用広報を成功させる上で重要な要素です。
3.採用広報を導入するには
採用広報はターゲット人材に対して企業の魅力を多面的に、継続的に伝え理解を深め興味・関心を持ってもらうための施策です。すでに取り組んでいる企業の中には、採用広報を展開するための「スキル」と「業務負担」が課題となっているケースが少なくありません。
そのため、採用広報を導入するにあたっては、「スキル」と「業務負担」を十分に検討したうえで実施する必要があります。自社の魅力を適切に伝えるためのスキルが不十分であったり、工数を継続的に確保するのが難しい場合には、外部の専門人材を起用するのが効果的です。
戦略の立案からコンテンツの企画・制作、KPI管理まで採用広報には多くのノウハウが求められるからです。外部の専門人材に依頼すれば、自社の業務負担を最小限にとどめながら採用広報を展開できます。
Wantedlyでも運用代行サービスを提供しています。採用戦略の立案、魅力を伝えるストーリー記事の制作などのノウハウを持つ運用代行会社に依頼できるサービスです。
ダイレクトスカウトの運用や募集ページの制作、応募の対応まで幅広いソリューションとなっているため、スキルや業務負担が課題となっている企業に最適です。運用代行サービスはこちらの記事もご覧下さい。
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採用マーケティングとともに採用ブランディングや採用広報を展開するにはWantedlyが最適な理由を3つの点から説明します。
1.認知を獲得できる
採用ブランディングで「誰に」を設定しても、ターゲット人材にリーチできなければ効果は高められません。採用広報を「どこで」展開するかは、自社が求める候補者に情報を届けられるプラットフォームであるのが重要です。
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2.興味・関心を高められる
採用ブランディングで設定した自社の魅力である「何を」を効果的に伝えるためのプラットフォームには、人材の興味・関心を高めるための仕組みが求められます。
Wantedlyなら、募集ページで事業の「なぜ」に応えられるよう設計されています。「なにをやっているのか」「なぜやるのか」「どうやっているのか」の項目で、企業は人材が知りたい事業の「なぜ」を中心に説明できる構造です。
そのため、求める人材が関心を持ちやすいのが特徴です。また、ブログ形式でビジュアルを多用したコンテンツを発信できるストーリーなら、自社のカルチャーや魅力、社員の紹介など企業の素顔を自由に伝え、共感を生み出せます。
さらに会社ページでは価値観を40以上の選択肢から選べるため、人材はパーパスフィット・カルチャーフィットする企業を選びやすくなっています。Wantedlyには人材が興味・関心を高められる仕組みが数多く用意されており、採用ブランディング・採用広報のプラットフォームに最適です。
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3.「ソフトな選考」に対応している
採用ブランディングや採用広報は、採用マーケティングに基づいた採用活動の一環として行われます。そのため、採用広報によって自社に興味を持った候補者への対応手段も、プラットフォームに求められます。
Wantedlyは「話を聞きに行きたい」ボタンによって候補者がカジュアル面談を申し込める機能が用意されているのが特徴です。カジュアル面談は候補者と企業が対等な立場で互いを理解するための場として利用が広がっています。
候補者にとっては企業のミッションやビジョンなど価値観、また抱えている課題にカルチャーなど、さまざまな点を飾らずに共有できるためです。企業にとっては面接より間口が広いため優秀な人材と出会うチャンスにもなっています。
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まとめ
今回は採用マーケティング、採用ブランディング、採用広報の違いと役割を解説しました。
人口減少や価値観の多様化にともなって、企業には戦略的な採用活動が求められています。採用マーケティングでファネルの考え方と重要なポイントを理解した上で採用ブランディング・採用広報に取り組みましょう。
採用ブランディングで「誰に」「何を」訴求するか定義し、「どこで」にあたる採用広報プラットフォームを選定するうえでは、Wantedlyが最適です。Wantedlyに関する資料はこちらからダウンロードして下さい。