リソース・コスト・知名度などの面から、創業間もない企業は大手と同じような採用戦略ではなかなか採用に繋がらないのが現実です。そんな中、株式会社POPERでは、創業2年目からWantedlyを利用し、実に40%の社員をWantedly経由で採用しました。2022年11月に上場され現在もなお、Wantedlyを活用いただいて幅広い層の採用を実現されています。
今回は、シード期・アーリーステージの起業家を支援するベンチャーキャピタルであるANOBAKA 五十公野さん、ANOBAKAさんの投資先であるPOPER 力丸さんと共に、シード・アーリー期のスタートアップが取るべき採用アクションについてお話しました。
※本記事は、株式会社ANOBAKAと共催で、同社投資先を参加対象にクローズドかつインタラクティブに開催したセミナーの一部を一般公開したものです。
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スピーカー
株式会社POPER 人事労務リーダー
力丸 玲嘉
2015年に株式会社モンスターラボにエンジニアとして入社。2016年に人事にキャリアチェンジ、ポート株式会社に専門職人事として入社し、人事未経験で新卒から中途の専門職採用を担当。2018年に株式会社POPERに6人目のメンバーとして入社。入社後2週間でオフィス移転や管理部門の立ち上げを行い、現在は86名にまで組織拡大。シード期よりWantedlyで採用活動を行い、現在の組織構成は40%がWantedly経由。自身の新卒時の就職活動を含めるとWantedly歴は10年目に突入!
▼Wantedly Profile
https://www.wantedly.com/id/reika_rikimaru
モデレーター
ウォンテッドリー株式会社 運用支援Squad Leader
金子 香平
2018年 パナソニック株式会社へ新卒入社。電設資材の代理店営業に従事したのち、2020年4月にウォンテッドリー株式会社に転職。営業を2年経験し、現在はカスタマーサクセス領域のAccount Activation Squad、 運用支援Squadのリーダーを兼任。
▼Wantedly Profile
https://www.wantedly.com/id/kohei_kaneko
モデレーター
株式会社ANOBAKA コミュニティマネージャー
五十公野 真依
株式会社前人未到にてスタートアップ特化のエンジニア転職支援に従事し、年間300名のエ ンジニアと面談を行う。求人企業の採用戦略にも携わる。2021年4月にANOBAKAに参画。事業開発、HR支援や採用代行に従事し、2023年よりコミュニティマネージャーを担当。
POPERについて
力丸:POPERは『「教える」をなめらかに』をミッションに、教育系SaaSを提供している会社です。代表の栗原は、学習塾の経営者と講師を5年経験していて、その中で教育業界のIT化の遅れからくる非効率に課題意識を感じ、POPERを起業しています。
現在、社員数は79名で、私が入った6年間で10倍近く増えており、2年前に東証グロース市場に上場しました。
会社名 株式会社POPER
代表者 栗原 慎吾
設立日 2015年1月15日(10期目)
社員数 79名(2024年4月末時点)
所在地 東京都中央区日本橋茅場町1-13-21日本橋茅場町阪神ビル4階
POPERのバックオフィス環境
力丸:もともと、2020年までは採用以外の労務や経理、情シスといったバックオフィス業務を私一人ですべて行っていました。いろいろ経験させていただいて感謝しています(笑)。
そこから2020年以降は、各領域において1名ずつ採用しました。
私の採用範囲としては、ビジネス職はすべて担当しています。開発側はCTOが中国籍ということもあり、Wantedlyは使わず中国市場での採用をCTOが行ってました。
ちなみに、開発側の採用活動ではWantedlyを利用してないものの、このCTO自身はWantedly経由でご入社いただいた方です。
金子:そうなんですね、ありがとうございます!
力丸:もともと2016年の創業間もないころから、Wantedlyのスタートアッププランを活用して代表の栗原自らWantedlyを運用していたので、その頃に今のCTOはじめ、後に入社してくれるインターン生にも出会ったと聞いています。
データで見るPOPERの採用実績
力丸:これは、創業から現在に至るまでの実際の社員数の変化なのですが、フェーズにかかわらずだいたい年平均9名くらいのペースでコンスタントに増加しています。
チャネル別の採用経路では、Wantedlyとリファラル経由が大半をしめており、Wantedlyだけで4割強を占めます。
特に、CSやPdMの半分以上がWantedlyからの採用となっており、そのあたりは相性がよいなあと感じています。
金子: たくさんの良いマッチングを生み出していただきありがとうございます!CSやPdMの採用は、他社様のお話を伺っても難易度高いと感じているのですが、そのあたり採用うまく言っている秘訣などはあるのでしょうか。
力丸:ご質問ありがとうございます。全体的に言える話ですが、基本的にはスキル人材・即戦力だけを採用しているのではなく、1年〜1年半後の活躍を見越して、育成も含めて採用しています。
なので、最初の会社に対する共感や想いの部分を大事に採用し、ご活躍いただけそうなポテンシャルのある方の採用に注力しています。
金子:そうだったのですね。なかなかポテンシャル採用だと育成からの活躍というのが難しい印象ですが、そのあたりは実際どうですか。
力丸:アーリー期はとにかく立ち上げフェーズなので未経験のメンバーも含めて全員がプレイングマネージャーとして動いていました。
POPERの場合、10人の時から人事評価制度を入れており、役員のメンバーも育成に力を入れていたのでポテンシャル採用を経たメンバーの立ち上がりも早かったと考えています。
先程お伝えしたようにどちらかというと共感部分を大事にしているので、そこがブレなければ業務の中で自分に足りないものを吸収していっていただける方々が多く、ご活躍いただいています。
アーリー期に入社してやったこと
力丸:私が入社した2018年、採用としてWantedlyを活用していこうと決定した際に、まず最初に取り組んだことがあります。
Wantedlyの特性を全社で理解する
力丸:はじめに取り組んだのは「Wantedlyの特性をメンバーに伝えること」です。特性を理解してないと「なんでこれに協力しなくちゃいけないんだろう?」という元も子もない疑問が生まれてきてしまうので、まずは媒体特性を理解してもらうことが非常に大事だなと思いました。
コンテンツ整備と美化活動
力丸:その後に取り組んだのは、コンテンツ整備と美化活動です。具体的には、以下の3点を実施しました。
- 社長にPOPERについて、聞いて聞いて聞きまくる
- コンデジの購入して、見た目がよい写真を撮る
- メンバーのプロフィール記入の依頼
- については、まず採用担当である自分が一番会社への共感がないと、採用がうまくいかないと思い、社長になぜ創業したのかなど、徹底的に聞いていきました。
- は、どうせ写真使うなら、スマホよりもクオリティの高い写真をとって、イケてる会社・カッコいい会社の印象を与えられるように努力していました。
- のプロフィールについては、働くメンバーの顔ぶれがきちんと掲載されていた方が、共感性が高まると思って依頼していました。自分も転職活動でWantedlyを使いながら思っていたのですが、あまりにも会社の理念が偉大だったり、社会性あることを掲げてても、よく見ていくとメンバーが少なかったり、出てなかったりすると不信感や疑念につながるかなと思っていて。
実際の依頼はこんな感じで社内発信していました。
実際、初期の段階でこのプロフィールをちゃんと依頼しておくと、それがスタンダードになってその後入社してくるメンバーにも依頼しやすい雰囲気が作れたかなと思っています。
Wantedly採用で大事にしたこと
力丸:お話してきた内容で基礎部分を整えてからは、実際に運用フェーズに入ります。Wantedlyの運用で大事にしたことは以下の4点です。
- 新入社員にも必ずWantedlyのプロフィール編集を依頼
- 会社のコアになる情報の発信
- コンテンツの質にこだわる、やっぱり美化活動が大事!
- 徹底的に応募ハードルを下げる
1つ目の「新入社員にも必ずWantedlyのプロフィール編集を依頼」は、なるべく多くの人に協力してもらうことで会社情報がリッチになり、信頼度が上がるので都度大切にしていました。
2つ目の「会社のコアになる情報の発信」については、基本的にはコアな話と働く環境の話に絞ってコンテンツを企画、執筆していました。「絞る」という選択は大事だなと思っていています。なぜならば、採用広報はかなり時間を取られる上に、候補者にとっても情報量が多すぎてストレスに感じるからです。
まずは、応募してもらうためにシンプルで簡潔な情報だけを載せて導線を短くすることに注力し、アーリー期の20名前後のときは社員インタビューもあえて行いませんでした。
3つ目の「コンテンツの質にこだわる、やっぱり美化活動が大事!」というのは、メンバーがおのずと拡散したくなるような雰囲気を醸成したかったからです。人事から拡散依頼はしますが、基本的には任意、最終的にはメンバーが ”拡散してもいいかな”、と思える内容じゃないと意味がありません。仕事抜きにして、自分の友人などにも見てもらいたいものかどうか、というのはコンテンツを書くうえでは重要な視点としてました。
徹底的に応募ハードルを下げる
力丸:4つ目は、応募のハードルを徹底的に下げることです。カジュアル面談とはいえ、最初から人事とか出てくる面談とかって選考っぽい話になっちゃうかなぁ、とか候補者からしても身構えるじゃないですか。あとアーリー期の会社ってよくわからないじゃないですか、得体のしれない会社というか(笑)。
なので、ここは候補者視点で可能な限り応募のハードルを下げるような工夫をしています。具体的には、職種別募集の他にオープンポジション募集を出していろんな可能性のある方の興味を集める施策を行っていました。
実際に2018年に出したこの2つの募集は、今だに全募集記事の中で最もエントリーが集まるものになっています。POPER全体の応募のだいたい6割くらいは、このオープンポジションからの応募となっています。計算したところ、この2つのオープンポジション募集から、それぞれ7名と13名の採用に繋がっています。
五十公野:すごいですね。ちなみに、6割くらいがこのオープンポジションからの応募とのことですが、初期接触時点での転職に対する意欲として潜在層・顕在層の割合はどんな感じなのでしょうか。
力丸:結構まちまちなのですが、とても興味あるという方と情報収集の方の割合は、感覚4:6くらいですね。
五十公野:参考になります。となると、結構潜在層へのアプローチは時間をかけて定期的な接点を作りながら意向度をあげていかれたんですか。
力丸:そうですね、もちろんそのように定期的にお話しながら意向度をあげていく場合もありますが、その場の面談ですごく興味を持っていただいて、退職交渉時間かかるかもしれないですけど選考うけてもいいですか?とお声がけいただくパターンもあります。
管理部長とかは、初期接触が2019年とかで2020年の後半とかで再接触してくれて入ってくれたというパターンもあります。
逆に全然転職する気がなかったけど、すぐに選考を受けてくださって入社された方もいます。
五十公野:ありがとうございます。やっぱり地道な採用活動を継続していくのって大事ですね。
力丸:そうですね、ほんとに地道にコツコツやってきているという状況です。
そして、選考部分においてもWantedlyで大事にしてきたことが2点あります。
1応募1採用をモットーに
力丸:1点目は、1応募1採用をモットーにしてました。ここは代表とも初期から話していて大事にしていた観点ですね。無駄に採用のKPIを作って大量応募を集めて…というのは本質的ではないですし、時間も限られていたので、一応募の重さを大事にしていました。
Wantedlyは他媒体と比較しても共感性を大事にしているので、必然的にPOPERと親和性の高い人材がはいってくる環境を作ることに注力していました。
また、最初の話せる接点でもある、人事によるカジュアル面談もかなり大事にしています。一般的に人事による面談って期待値が高くないと思っていて。ウェブに公開している情報をつらつら説明したり、何か聞かれてもちょっと確認しますね、という回答が返ってきたり。私自身も転職活動していたときにそんなことを感じていました。
なので、POPERの人事カジュアル面談では、POPERのエッセンスをぎゅっと詰め込んで話しをするように私自身努力しています。
具体的には、課題感や現場を等身大でお伝えしたり、ミッション・ビジョン・バリューもそれだけを伝えるのではなく、付随する具体的なエピソードを話すなどをしています。私自身、6人目の社員として入社したこともあり、過去の経験から「実際こういったことが起こったときに、このバリューを大事にしていたことでこういうことが起きて…」というように、具体的に話をしています。
このそこまで話すことで自然と共感してくれる方が多く、実際に入社1ヶ月後アンケートをとっているんですが8〜9割が「入社前後でギャップがない」と回答いただいています。
柔軟に、その人に合った方法で
力丸:2点目は、柔軟に、その人にあった方法で選考するということです。人によっては選考途中で迷いや不安が出る場合があります。そういう時は、本人と相談しながら現場メンバーで同い年ぐらいの話を聞いてみたいなどの要望になるべく応えてあげることで、不安の解消やミスマッチになりそうな火種を消していくことをしています。
結果として、入社後にモヤモヤが出てくると100%悪いことが起きるので、選考過程で全てやり切ることが大事だなと、私自身も感じています。
五十公野:今回は貴重なお話をいただき、ありがとうございました。
Wantedlyについて
Wantedlyは、給与などの条件ではなく、会社が掲げる「想い」への共感を通じて候補者とのマッチングをはかる採用プラットフォームです。
共感採用を実現するWantedlyの機能
募集では「なにをやっているのか」だけでなく「なぜやるのか」「どうやっているのか」といったビジョンや価値観を記載します。
また、Wantedly上でブログを投稿したり、社員をメンバーとして公開できるため、企業の魅力や雰囲気を伝えやすいのも特徴です。
弊社では、今回POPERさんがお話いただいた「1応募1採用をモットーに」と同様に、従来の大量の母集団形成から採用する手法から脱却し、マッチ度の高い少ない応募を集め、制度をあげていく採用手法を提唱しています。詳しくは、下記に掲載しておりますので合わせてご覧ください。
参考:【採用の新常識】上手くいかない採用から脱却するために必要な考え方