中小企業のための組織づくり!変化を成功に導く秘訣とは?

中小企業ならではの組織課題を解決するには、顕在課題や潜在課題といったタイプ別に特徴を押さえ、適切な対策を取る必要があります。今回は組織課題の概要・タイプ別の特徴・課題の見つけ方や解決の手順などを解説します。

組織課題とは何か

組織課題とは、組織が目指す姿を妨げるさまざまな要因のことです。目標とする在り方や方向性は組織によって異なるほか、企業を取り巻く環境や社会情勢などによって変わります。断続的に変化しながら持ち上がってくるのが組織課題の特徴です。

例えば、下記のような問題が組織課題にあたります。

・必要な人材や従業員数が不足している
・デジタル化が遅れている
・コミュニケーションが不足している

組織課題を放置すると、いつまで経っても理想の組織へと実現できなくなるばかりか、組織内の生産性や従業員のモチベーションなどの低下につながりかねません。組織課題にはどのようなものがあるのかを把握し、早期発見して速やかな対応を図ることが大切です。

組織課題は顕在/潜在の2タイプ

組織課題は、すでに認識されている顕在課題と、まだ表面化するには至っていない潜在課題の2タイプに分けられます。ここでは課題を早期発見するためにも、それぞれのタイプの組織課題の特徴や具体例について把握しておきましょう。

【顕在課題】すでに認識されている課題

顕在課題とは、組織内ですでに認識されている課題のことです。顕在課題については、ほとんどの従業員や経営陣などが常日頃から問題だと感じており、ミーティングや会議といった場で議題にされるケースもあります。問題がすでに表面化しているので、原因を突き止めやすく、対応策も立てやすいのが特徴です。

顕在課題の代表例は下記の通りです。

・必要な人材が不足していて、業務が捗らない、事業拡大ができない
・デジタル化の遅れで担当者の作業が過重になっており、ミスも多発している
・効率化のためにツールを導入したが、既存システムと連携できておらず手間がかかる
・新入社員の離職率が高止まりしている
・昨年度の同じ時期と比べて売上減である など

【潜在課題】表面化していない課題

潜在課題とは、組織内で表面化していない問題のことです。その問題について、まったく知られていないか、ごく限られた人たちだけが薄々気付いている状態にあります。潜在課題は現段階では明確なトラブルに発展していない分、原因究明や対策の検討が後手に回りやすいのが特徴です。

しかし、放置していると組織の内外の状況変化にともない、予期せぬ形で表面化するおそれがあります。適切に現状を分析できれば、トラブルになる前に対処できることもあるため課題を見逃さないことが大切です。

潜在課題の具体例は下記の通りです。

・組織が掲げる目標や価値観について、従業員とズレがある
・人間関係の悪化により従業員に負荷がかかっている
・次世代リーダーが不足している など

【中小企業】組織課題の見つけ方

中小企業の成長を妨げる組織課題を見つけるには、「課題を聞く」「語り合う」など、さまざまなアプローチを活用するのが効果的です。

その代表例として、下記の3つの方法があげられます。

・ヒアリングを行う
・意見交換の場を設ける
・ツールを活用する

それぞれどのような方法なのか、詳しく解説します。

ヒアリングを行う

顕在化している組織課題を見つけるのに有効なのが従業員に対してヒアリングを実施する方法です。従業員から率直な意見や不満などを聞くことで、組織課題の原因や、解決するために必要な対策のヒントなども得られます。

ヒアリングを行う際は下記のような方法が効果的です。

・社内アンケート
・1on1ミーティング
・チーム会議

社内アンケートを実施し、社内の改善点や提案を聞くと、経営者からは見えにくい現場の問題を発見できます。面と向かっては口にしづらい内容であっても聞き出しやすくなるのが利点です。

1on1ミーティングやチーム会議でも不満や課題を把握できます。対話や意見交換の中で課題が具体化されるので、原因などを特定しやすくなるのが強みです。

意見交換の場を設ける

定期的に社内会議を開いて意見交換の場を設けて組織内の問題や改善すべき点を話し合うのも組織課題を見つけるのに有用です。人数が多すぎると議論が深まりにくくなるので、5人前後の人数で行うと良いでしょう。

組織課題を見つけるだけでなく、自由な発想でブレインストーミングを行い、解決策を導き出すのもおすすめです。課題を従業員同士で共有できる効果も見込めます。

組織全体の課題解決に取り組む場が整備されていると、従業員の心理的安全性向上にも有益であるため、積極的に導入を検討しましょう。

ツールを活用する

ITツールを活用し、客観的なデータを収集・分析すれば、課題の発見に役立てられます。具体的には、従業員の時間外労働の状況や目標数値の達成状況など数値データを分析することで、今まで見えてこなかった課題を明確にできるでしょう。

また、チームマネジメントのツールを導入すれば、日々のやり取りから課題を見つけることが可能です。例えば、ツールのデータを用いて、チームのメンバー間のコミュニケーションの状況や、上司と部下の間でのマネジメントの課題などを分析できます。

チームマネジメントツール Pulse

組織課題の解決につながるチームマネジメントツールを導入するなら、Pulse(パルス)がおすすめです。Pulseには、隠れた課題を把握するのに役立つ下記のような機能が備わっています。

・チームメンバーの状況や抱える課題を簡単に把握できる週次アンケート機能
・1on1ミーティングのトピックや話した内容を手間なく管理できる機能
・メンバー間のコミュニケーションを活性化できる機能

Slackで使用可能なことから、面倒な設定が不要で導入に労力がかからないのもPulseのメリットです。

詳しく見る

組織課題を解決するための4つのステップ

組織課題をスムーズに解決するには、下記の4つのステップで進めることが有効です。

・ステップ1:組織課題をピックアップして社内共有する
・ステップ2:取り組みの優先順位を決める
・ステップ3:対処法を決定して実行する
・ステップ4:効果検証し改善を図る

ここでは組織課題の解決に向けてのステップを説明します。

組織課題をピックアップして社内共有する

まずは解決すべき組織課題を明確にし、社内で共通認識をとる必要があります。課題を解決するには、社内全体で足並みを揃えて、原因究明や解決策の検討に取り組むことが重要になるからです。

組織課題をピックアップする際は、顕在課題・潜在課題の両方を見つけておきましょう。

顕在課題を見つけるためには、先ほども紹介した社内アンケート・1on1ミーティング・チーム会議などのヒアリングや、社内会議などが有効です。従業員が集まるのが難しい業態なら、ミーティングや会議は、Web会議で行っても良いでしょう。

潜在課題は、ツールを活用したデータ分析などが有効です。また、複数名の従業員で意見交換する過程で、これまで気付かなかった課題を探し当てられる可能性もあります。

把握できた課題を関係者に共有する際は、「放置すると問題である理由」「解決する必要性」などを、あわせて伝えましょう。課題の内容だけでなく、課題に対する問題意識を共有することで、社員全員が主体的に解決に向けて行動しやすくなります。

このように、組織課題に円滑に対応するには関係者間での課題に対する認識の統一が必須であることを覚えておきましょう。

取り組みの優先順位を決める

最初のステップで複数の組織課題をピックアップしたら、取り組みの優先順位を決めておきましょう。すべての課題の解決に取り組むことにはなるものの、同時に並行して対処することは時間的・労力的に難しいからです。また、解決を焦りまとめて対策しようとすると、かえって非効率になったり、現場で混乱が起こったりするリスクが高くなります。

取り組みの優先順位は、課題を放置することで発生するデメリットを念頭に置いて、緊急度・重要度に応じて決めると、効果的に対策を講じられます。例えば、すでに事業や組織に大きな悪影響が出ている場合は、優先順位を高めに設定すべきでしょう。また、組織全体にデメリットがあるなど影響範囲が大きいものも早期に解決すべき対象となります。

対処法を決定して実行する

取り組みの優先順位が決まったら、順番に課題の対処法を決めて実行していきます。このとき大切になるのが、必ず課題の原因を具体的に把握しておくことです。

課題の原因を分析しないまま、場当たり的に対策を取ったのでは根本的な解決につながりません。その上で、その場しのぎの解決ではなく、「原因を取り除き、適切な方向に進める対処法であるかどうか」を検証してから実行しましょう。

なお、長期間の取り組みが必要な課題については、小刻みにゴールを設定しながら進めると効果的です。長期目標しか設定しないと、スケジュールにズレが生じるなどして、対策を確実に実行するのが難しくなるリスクがあります。タスクチャートを作成するなどして、着実に進めていきましょう。

効果検証し改善を図る

課題の対処法を決定して実行したら、一定期間が経過した後に取り組みの効果を検証しましょう。必要に応じて改善することが、組織課題を根本から解決する近道です。組織課題は、一度の対策で問題が解決することは少ないからです。

机上では効果があると考えられた対処法が実践してみると意外と効果を発揮しなかったり、思わぬ弊害が発生したりすることもあります。

効果検証をする方法の一例は下記の通りです。

・対処法の実施前後でデータを比較する
・組織課題に関わりのある従業員にアンケートなどを実施する
・ミーティングで対処法について意見交換する

改善しながら取り組みを続けるためにも検証は重要です。定期的に効果検証をして、軌道修正を図りましょう。

中小企業にまつわる組織課題の事例と解消方法

中小企業ならではの組織課題の主な事例に、下記のようなものがあります。

・若手の離職率が高い
・コミュニケーションが不足している
・経営方針が浸透していない
・人材育成が機能していない
・非効率な業務が多い
・評価制度がアップデートできていない

それぞれ、どのような課題かを具体的に説明した上で、その解消法を紹介します。

若手の離職率が高い

若手従業員の退職や、入社後3年以内の早期退職が多いといった離職率の高さは中小企業にとって大きな課題です。

少子高齢化の進展にともない労働人口が減少するなかで、従業員確保のハードルは上がっています。そのため、離職されてしまうと人材不足が長期化するリスクが高く、事業やプロジェクトの停滞・納期の遅延・採用コストの増大など、さまざまな悪影響があります。近年では転職が一般的なものとして浸透しつつあるため、今後も離職への対策は欠かせないでしょう。

若手の離職率を抑える代表的な解消法は下記の通りです。

・職場環境の満足度を上げる
・評価制度の公平性を高める
・業務量の調整
・メンタルヘルスケア
・新人教育制度の整備 など

従業員を定着させるには、職場や評価・待遇への満足度を高め、不安や課題を早期解消できる体制を整え、従業員に長く勤め続けたいと思ってもらう必要があります。

コミュニケーションが不足している

従業員間のコミュニケーション不足が慢性化し、職場の雰囲気が悪化するのも、深刻な組織課題です。放置すると、チーム内で誤解や指示の認識のずれによるミスなどのトラブルが頻発し、生産性低下や従業員の休職・離職につながるリスクがあります。

有効な解消法は、コミュニケーションツールの導入、社内イベントの活性化などです。福利厚生の導入で、コミュニケーション活性化を図ることもできます。福利厚生のニューノーマル「Perk(パーク)」なら、1,000以上のサービスを従業員が自由に選べるので、幅広いニーズを満たせます。業務に役立つサービスに加え、飲食関係の特典も充実しているので、コミュニケーションを活性化させるイベント開催を推進できるのが魅力です。

経営方針が浸透していない

中小企業にまつわる組織課題として、経営方針や理念が共有されておらず、組織としての一貫性に欠けるという問題もあげられます。方針や理念について従業員が共通認識を持てていないと、事業や製品などの説明にずれが生じ、社外からも不信感を持たれかねません。

方針が浸透していない状況を解消する方法としては、社内報やコミュニケーションツールの活用で、価値観のすり合わせが日常的に行えるようにするのが効果的です。

オンラインの社内報プラットフォーム「Story(ストーリー)」を活用すれば、情報共有がスムーズに行え、発信した社内報が従業員に読まれやすくなります。発信した記事に対して従業員が「いいね」を付けられるなど、共感度を可視化できるのもポイントです。

人材育成が機能していない

人材育成を体系的に実施できていないことは、中小企業にとって大きな課題です。人材育成が機能していないと、新しく入社した従業員の離職につながりやすく、次世代リーダーも育たなくなってしまいます。

このような課題を解消するには、長期的な視野・経営視点をもった人材育成プランが必要です。目的に合わせて「OJT」「Off-JT」「e-ラーニング」などを使い分けると、効率的に育成を進められます。

OJT :

・On-the-Job Trainingの略称で、実際の業務をしながら先輩従業員などから指導を受ける
・即戦力を育成しやすいものの、教える側の負担が大きくなりがち

Off-JT : 

・Off The Job Trainingの略称で、職場以外で行う研修
・幅広いスキルを正しく学べるものの、業務が忙しいと時間を割くのが大変

e-ラーニング : 

・オンラインで実施する研修
・時間や場所の制約なく受講できる

非効率な業務が多い

ルーティンの中には、手入力やアナログ的な報告書の作成といった非効率な業務が多く、業績アップを阻害しているという課題があります。非効率な作業に手間や時間を取られる結果、蓄積する従業員のストレスも大いに問題です。また、紙の資料は紛失のリスクが高く、情報漏洩につながるおそれもあります。

非効率な業務の解消法の代表例は、業務フローの見直し・専用のツール導入・デジタル化などです。特に時間を要している煩雑な業務や、複数の部署で同じ作業をしているなど、影響範囲の大きいものから優先して効率化を図りましょう。

評価制度がアップデートできていない

評価制度がアップデートできておらず、基準などが不透明なままになっているのも深刻な組織課題といえます。放置すれば、従業員は会社への不満や不信感を募らせ、業務意欲の低下による生産性低下や離職などにつながりかねません。

このような事態を避けるには、公平で客観性のある人事評価制度を導入し、従業員のパフォーマンス向上・定着率アップ・コミュニケーション活性化を図ることが欠かせません。人事評価制度は自社で設計するほか、専門家であるコンサルティング会社に依頼することもできます。

組織課題の解決に活用できるフレームワーク

適切なフレームワークを活用することで、ポイントを押さえて組織課題の解決方法を検討できるようになります。組織課題の解決策の検討に活用しやすいフレームワークは下記の4つです。

・7つのS
・ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)
・KGIとKPI
・SWOT分析

どのようなフレームワークなのか、順番に解説します。

7つのS

7つのSとは、組織をハード・ソフトの両面から7つの資源に分類し、要素ごとにバランス良く対策を講じることが大切だという考え方です。組織の現状を客観的に把握し、長所・短所や改善点をピックアップする際に役立ちます。

組織にとって重要な7つの資源は、ハード面が戦略・組織・システム、ソフト面がスキル・人材・社風・価値観です。

戦略(Strategy) : 事業戦略や方針、方向性
組織(Structure) : 組織の特徴やしくみ
システム(System) : 評価制度や報告制度などの体制
スキル(Skill) : 技術力やノウハウ、強み
人材(Staff) : 従業員自体や、従業員の専門性、育成状況
社風(Style) : 企業文化、組織風土
価値観(Shared value) : 組織全体で共有される目指すべきビジョン

上記の7つの視点から、「組織課題の要因となっているのはどこか」「解決するために対策を取るべき箇所はどこか」を検討します。要素ごとに検討を進めることで、組織内の状況を漏れなく分析でき、最適な解決策を導き出しやすくなるでしょう。

ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)

ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)とは、ミッション・ビジョン・バリューの3つをいずれも明確にすることが、目指すべき方向性を正確に共有するために重要とする考え方です。それぞれの意味合いは下記の通りです。

ミッション(Mission) : 組織がなすべきこと、存在意義、使命など
ビジョン(Vision) : 組織が目標とする姿、あるべき形
バリュー(Value) : 従業員がやるべきこと、行動指針や価値観

上記の3つは、「ミッションを踏まえてビジョンを作成し、ビジョンを実現させるためにバリューを作る」という関係性にあります。

組織内でMVVを共有すると、チーム内で足並みがそろって一体感が生まれるので、事業活動がスムーズになる効果が期待できます。すでにMVVを策定している場合でも、事業領域が広がるなどして方向性にずれが生じてきた場合は、再設定するのが望ましいです。

MVVを策定する場合は、経営に携わるトップ層だけでなく、現場の業務や雰囲気を把握しているマネージャーなども含めたチームを作って検討すると、具体化しやすくなります。

KGIとKPI

KGI(重要目標達成指標・Key Goal Indicator)とは、ビジネスにおける最終的な目標となる指標のことです。一方、KPI(重要業績評価指標・Key Performance Indicator)とは、KGIを達成するために必要となる、各プロセスで満たすべき指標のことです。

KGIとKPIを設定すれば、課題解決に向けた組織・メンバーの進捗を可視化できるようになります。これらの指標の達成状況を定点観測することで軌道修正しやすくなるため、効率的に課題解決に向けて取り組むことが可能です。

目標や指標を定めるとなると、つい結果のみに着目しがちですが、プロセスを適切に評価できるKPIのような指標も欠かせません。KPIがあることで、プロセスに優先順位をつけやすくなったり、後から取り組みについてフィードバックをしやすくなったりするからです。

KGI・KPIを設定する際は、両者の関連性を意識して、できるだけ具体的に定めると効果的です。

SWOT分析

SWOT分析とは、自社の「内部環境」と「外部環境」について、4つの要素に分けて分析する手法のことです。4つの要素は、次の通りです。

強み(Strength)  : 競争相手に勝てるような戦略や製品、技術力など
弱み(Weakness) : 競争相手に比べ不利な条件など
機会(Opportunity) : 社会情勢などの外的要因のうち、自社にプラスに働く要因
脅威(Threat) : 社会情勢などの外的要因のうち、自社にマイナスに働く要因

上記の4要素の頭文字を取ってSWOTと呼ばれています。なお、「強み」と「弱み」が内部環境に関する要素で、「機会」と「脅威」が外部環境に関する要素です。内部環境に関する要素は自分たちでコントロールできますが、外部環境に関する要素はできません。

SWOT分析で内部と外部の要因を総合的に評価すると、客観的に自社の課題を把握できます。そのため、弱点をカバーするための効果的な施策を検討するのに役立ちます。

まとめ

中小企業の組織課題には、顕在課題と潜在課題の2種類があります。ヒアリング・意見交換の場を設ける・ツールを活用するなどの方法で、課題を把握し、対策を行いましょう。7つのSなどのフレームワークを活用すると、効果的な対策を取りやすくなります。

組織課題克服には、ツールの導入も有効です。Engagement Suiteでは、組織課題の解決に役立つツールやサービスを必要最低限のコストと労力で導入できます。情報共有やコミュニケーションの活性化など、さまざまな課題への対処が可能です。ぜひご検討ください。

タイトルとURLをコピーしました