組織づくりとは、より良い組織の文化・構造・労働環境などをつくっていくことです。組織づくりを進めると、人材の定着率アップや企業の成長につながるなど、さまざまなメリットがあります。
今回は、組織づくりの目的やより良い組織の特徴、組織づくりの進め方について解説します。あわせて、組織づくりにおける基本原則も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
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組織づくりの目的とは
組織づくりをするときに目指すべき目的とは、従業員全員が、組織の目標達成に向けて、一丸となってスムーズに動けるような枠組みやベースを作ることです。
企業が継続して成長し収益を上げていくためには、組織全体の従業員が同じ価値観を持ち、連携して業務に取り組んでいく必要があります。それを自然と実現できるような仕組みを整えるのが、組織づくりです。
具体的には、文化・構造・労働環境(人事)の3つの側面から、従業員がやりがいを感じながら業務に取り組むことができ、従業員・組織がともに成長していける基盤を整備します。
項目 | 内容 |
---|---|
文化 | ・社風や風習、組織文化といった、その企業らしさのこと ・織目標の達成に合っている文化をトップ陣でつくり、従業員に広く浸透させることで、チームワークが円滑になる |
構造 | ・各部署やチームの編成のこと ・リーダーシップの適任は誰か、業務との相性が良いメンバーは誰かなどを把握して編成する |
労働環境(人事) | ・採用活動や評価制度、給与などのこと ・働きやすく、従業員の頑張りが評価につながる透明性の高い制度を構築すると、やりがいを感じながら業務をこなせる |
上記のような組織づくりによって、組織の目指すべき方向性を従業員全員に共有し、それを各従業員がモチベーションにして円滑に動けるようになります。
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より良い組織の特徴
組織づくりを円滑に進めるには、ゴールとなる「より良い組織」とは、どういう特徴を備えているのかを把握しておくことが大切です。ここでは、より良い組織の特徴を再確認しておきましょう。
【より良い組織の特徴】
- 組織内の全従業員が、組織の目標や理念、自分の役割を理解している
- 全従業員が、同じ目標の達成に向けて連携して行動し、成果を上げられる
- 各従業員がお互いを信頼しており、活発にコミュニケーションが取れる
- 従業員同士で切磋琢磨し、成長やスキルアップしていける
- 組織の内外の変化に速やかに気付き、柔軟に対応できる
上記のような特徴を兼ね備えるのがより良い組織と言えるでしょう。
組織づくりを進めるにあたっては、このような理想形を指標として、施策を行っていきましょう。
組織づくりにおける5つの基本原則
組織づくりを円滑に進めるにあたって、押さえておきたい基本原則が5つあります。
【組織づくりにおける5つの基本原則】
①専門化の原則
②権限責任一致の原則
③統制範囲の原則
④命令統一性の原則
⑤権限委譲の原則
どのような原則なのか、順番に見ていきましょう。
専門化の原則
専門化の原則とは、組織の中で業務を分業化し、各担当者はその業務分野に専門特化することで生産性が上がるといった考え方です。
分業化し、従業員が特定の分野について専門性を高めることで、以下のようなメリットを享受できます。
- スキルの習熟が早くなり、組織全体で業務レベルを同等に保てる
- 業務の担当範囲が限られるので創意工夫がしやすい結果、効率化が進みやすくなる
- 専門分野ができることで、従業員の責任意識が生まれる
- 成果を可視化しやすくなるので、やりがいを感じながら業務ができるようになる
- 業務内容のマニュアル化がしやすく、人材育成が簡単になる
専門化の原則を実践すると、最小限の労力で安定した業績を出せる組織づくりが可能になります。
権限責任一致の原則
権限責任一致の原則とは、与えられる権限の大きさと負うべき責任の重さは、同等でないといけないといった考え方です。
例えば、チームリーダーに任命されたものの、自分で自由に決められることはほとんどない(=権限は小さい)とします。その状況下でチームの成果については全責任を負う(=責任は重い)ように言われたら、モチベーションは下がる一方でしょう。
また、100件の集客ノルマに対して予算が1,000万円など、責任に対して権限が大きすぎると、浪費や流用といった不正にもつながりかねません。
このように、責任に対する権限は小さすぎても大きすぎても、組織にとって悪い結果を招いてしまうリスクがあります。
以上のことから、組織の構造を整備するときは権限と責任の大きさのバランスがとれているか、こまめに確認しましょう。
統制範囲の原則
統制範囲の原則(スパン・オブ・コントロール)とは、配置する部下の人数は、上司が適切に管理し十分に統制できる範囲にとどめようといった考え方です。
1人の上司(管理者)が直接管理し、ケアできる部下の数には限りがあるためです。一般的には1人の管理者に対し、5人から10人程度の部下が限度であるとされています。
限度を超えて管理しきれないほど多数の部下を配置してしまうと、効率や生産性が低下するデメリットがあります。
- 各部下のタスクの進捗が正確に把握できなくなり、業務が滞りやすくなる
- ミスやトラブルの発見や対応が遅れる
- 部下の抱える問題へのフォローが行き届かず、離職につながる
このように、生産性の高い組織づくりをするためには、人事配置の際に上司の統制能力の範囲内に収まるように部下を配置しましょう。
命令統一性の原則
命令統一性の原則とは、指揮系統を整理し、指示や命令を出す担当者は統一するといった原則です。
指示や命令を出せる担当者が複数いると、指示内容が食い違ったり、優先順位がはっきりしない命令が複数たまったりして、現場が混乱してしまいます。
例えば、パンフレットのデザインについて、統括管理者はA案、チームリーダーはB案を採用するといった指示がバラバラにきたとします。こうなると、統括管理者とチームリーダーの両方に確認が取れるまで、作業は中断してしまうでしょう。
指揮系統が統一されていないと、余計な作業や手間が発生する、途中まで処理していた作業が無駄になるなど、組織の生産性は下がってしまいます。
そのため、より良い組織づくりのためには、命令統一性の原則の実践が欠かせないのです。
権限委譲の原則
権限委譲の原則とは、上司は部下でも処理できる業務権限は部下に委ねて、部下の裁量で処理させることを意味します。
上司が部下に業務権限を委ねることで、「部下は、自律性や判断能力を養え、成長する機会を得られる」「上司は、定型業務を部下に任せて、非定型業務に専念できるようになる」など、適材適所による生産性の向上が期待できます。ただし、権限移譲を部下の成長につなげるには、次のポイントを押さえましょう。
- 委ねる業務の内容や達成目標などを詳しく伝える
- いったん委ねた業務については細かく口出しせず、部下の自主性を尊重する
- 万一、委ねた業務の成果が出なくても、フォローし上司が責任を負う
上記を押さえることで、部下は安心して業務に取り組むことができます。その結果、仕事に対するモチベーションや上司への信頼を向上させられるでしょう。
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組織づくりの進め方
組織づくりを進めるには、次のような方法が有効です。
- 組織文化を明確にする
- 自社に合った組織構造を形成する
- 組織の人事システムを整える
これらの方法が、より良い組織づくりにどのように有効なのか、具体的にどのように実践していけば良いのかを、以下で説明していきます。
組織文化を明確にする
より良い組織づくりをするには、組織文化を決めて従業員全員に周知しましょう。組織文化とは、その企業ならではの雰囲気やローカルルール、風習などのことです。
組織文化を、組織のトップ層が決めて浸透させることで、組織全体の雰囲気をコントロールしたり、経営目標の達成に誘導したりしやすくなります。
組織文化は自然とつくられていくものが多いですが、経営方針に沿わない文化が浸透すると、従業員や企業の運営へ悪影響を及ぼしかねません。そこで、望ましい組織文化を能動的に定着させれば、組織全体を望ましい方向へ導けるようになります。
組織文化をつくるときは、以下のような点に注意しましょう。
- 入社時期を問わず、従業員の誰もがわかる内容にする
- 自社の目標や理念と合った内容にする
- 従業員が共感できる内容にする
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自社に合った組織構造を形成する
自社の業種や理念に適した組織構造を整えることも、より良い組織づくりを進めるために重要な方法です。組織構造とは部署の編成や指揮命令系統などのことを指します。
代表的な組織構造は、職能別組織・事業部制組織・チーム制組織の3つです。
最適な組織構造は企業によって異なるので、以下の解説をもとに、自社に合ったものを選びましょう。
職能別組織
職能別組織とは、職種や職務内容によって、部署を編成した組織のことです。例えば、営業・人事・経理・システム開発・物流といった役割別の部署で構成します。
職能別組織は、部署ごとに専門性を高めやすく、業務の効率化を進めやすいのが強みです。反面、組織が縦割りになり連携が取りにくかったり、変化への柔軟な対応が難しくなったりする弱点もあります。
事業部制組織
事業部制組織とは、事業単位で部署を編成する組織のことです。例えば、ECサイト事業部・実店舗展開事業部・新規事業部などのような部署分けを行います。
事業部制組織は、事業単位で従業員がまとまっているので、意思決定が早く変化への対応もしやすい、責任の所在が明確といった点が強みです。一方、予算に重複が生じて無駄が出やすくなる、事業を超えた連携が難しくなるといった弱みもあります。
チーム制組織
チーム制組織とは、プロジェクトごとに都度チームを編成する組織のことです。例えば、システム開発プロジェクトチームや、新商品の販促プロジェクトチームなどが挙げられます。
チーム制組織は、達成すべき目標が明確で連携して成果を出しやすい、これまでになかった製品やサービスを生み出しやすいのが強みです。ただし、指揮命令系統が混乱しやすいといった弱点もあります。
組織の人事システムを整える
組織づくりを成功させるには、人事システムを整えることが欠かせません。人事システムには採用や人事評価制度、報酬・給与などが含まれます。
人事システムを、企業の理念に合致し透明性の高いものにすれば、求める人材を確保し確実に定着させられるようになります。
項目 | 内容 |
---|---|
採用 | 採用時期や各部署で求める人材の特徴や人数をシステムで管理する |
人事評価 | 部署ごとに評価基準を変え、業務内容によって不公平感が出ないようにする |
特に人事評価では、キャリアを積んだ人材に対して正当な評価ができるよう心がけて優秀な人材の流出を防ぐことが大切です。
組織づくりを実施するときのポイント
組織づくりを成功させるために、押さえるべきポイントが4つあります。
- 経営理念とビジョンを社内に浸透させる
- 組織全体の目標を共有する
- 人事評価制度を見える化する
- 企業理念に沿った人材育成を実施する
それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
経営理念とビジョンを社内に浸透させる
企業理念や経営理念・ビジョンなどの目指すべき方向性を、組織内の従業員全員に周知しましょう。方向性を全員が共有することで、組織全体でスムーズに連携できるようになるためです。
理念やビジョンは、定期的に共有する機会を設けると浸透しやすくなります。例えば、社内報を活用して発信するのも有効です。
社内報での情報発信を手軽にローコストで行うなら、Storyがおすすめです。
【オンライン社内報プラットフォームStoryとは】
・理念やビジョン、事業戦略やチームの方針、新入社員紹介からプライベートの過ごし方まで、発信できる
・発信する人の顔や本音が見える、情報の透明性が担保される発信方法なので、経営層と現場の距離を縮められる
組織全体の目標を共有する
企業の理念やビジョンを実務レベルで具体化した組織全体の目標を共有することも組織づくりを進めるうえで大切です。
組織全体で取り組む目標を意識できるので、協力体制を築きやすくなります。また、目標を理解できれば、部署や個人単位での役割が明確になり、業務が円滑に進められるようになるでしょう。
人事評価制度を見える化する
人事評価制度の評価基準などを具体化して公表し、従業員の誰もが把握できるようにしましょう。
人事評価制度について納得できれば、評価に対する信頼感が生まれます。また、評価基準が明確になることで、仕事の意義を感じやすくなります。
納得感を得るには、可能な限り具体的な数値目標を設定することが大切です。
企業理念に沿った人材育成を実施する
企業理念に沿った人材育成を行い、従業員の理念やビジョンに対する共感・理解を深めることが必要です。
例えば、
- 社長や役員などの経営陣が直接的に現場従業員と話す機会を設ける
- 従業員同士が、経営理念の実現に向けてどういう取り組みを行ったか意見交換する
- 新入社員や管理職だけでなく、全従業員が参加できる研修を実施する
といった実践方法が挙げられます。
まとめ
組織づくりは、従業員全員が、組織の目標達成に向けて協力して取り組めることを目標に行います。文化・構造・労働環境について、5つの基本原則を踏まえて整備していくことが大切です。
組織づくりを成功させるには、企業の理念やビジョン・目標などを全従業員に理解・共感してもらうことがポイントとなります。定期的な情報発信や社内のコミュニケーションを活性化させ、理念やビジョンの浸透を図るところから始めてみましょう。