従業員の離職理由は評価されないことが原因?離職率を抑える対策を紹介

転職が当たり前となった現代社会において、従業員が次々と辞めていく状況に頭を抱えている経営者や人事担当者もいるのではないでしょうか。募集をかけて新たに大量採用しても、従業員が辞めていく状況が変わらなければ、経営は厳しくなるものです。

従業員が離職する理由の代表例として、「評価されない」と感じていることが挙げられます。会社側は適切に評価しているつもりでも、基準が曖昧であったり伝え方が悪かったりすると、評価結果に対する不公平感につながってしまうので、注意が必要です。

そこで、今回は従業員が辞めていく原因や対策方法について解説します。

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従業員の離職理由は「評価されない」と感じていることかも?

従業員が次々と離職する代表的な理由のひとつに、従業員本人が「評価されない」と感じていることが挙げられます。「頑張っているつもりなのに、同期などと比べて適切な評価がされていない」と感じると、モチベーションの低下や組織への不信感につながるからです。

そうなると、組織への帰属意識も薄れ、場合によっては離職を招いてしまいます。「適切に評価されない」と従業員に思わせてしまう状況を改善しないと、離職率を抑えるのは難しいでしょう。

従業員に「評価されない」と思わせてしまいがちな状況の代表例は次の3つです。

  • 評価基準が曖昧になっている
  • 評価に対するフィードバックが不足している
  • 従来の評価制度を用いている

ここでは上記の状況について詳しく解説します。

評価基準が曖昧になっている

「評価基準が明確になっていない」または「従業員に周知させていない」など曖昧なケースでは、従業員が適切に評価されていないと感じる傾向にあります。

評価基準が曖昧になっていると、評価者の主観や独自の価値観で決まる可能性があるため、公平性に欠けるからです。

例えば、従業員の自己評価と会社からの評価に差があった場合で評価基準が曖昧だと、従業員は以下のように疑心暗鬼になり、評価に納得しにくくなります。

  • 評価者が個人的な好き嫌いで評価を下げたのではないか
  • 実績を正しく把握していないのではないか

評価制度を従業員レベルで変えることは難しいため、「評価に納得できないなら、離職せざるを得ない」と考える従業員は多いでしょう。

評価に対するフィードバックが不足している

評価に対するフィードバックや理由の説明が不足している場合にも、従業員本人が「評価されない」と感じやすくなります。

評価結果だけ伝えてフィードバックが不足していると、従業員は「何を改善すれば評価を高められるのか」「これまでの実績は、きちんと評価されているのか」などを把握できません。

評価結果になった理由がわからないままでは、従業員は結果が理不尽であると感じたり、会社に不信感を持ったりしてしまいがちです。

人事評価後のフィードバックによって従業員のモチベーションを低下させないためにも、結果だけでなく、理由や改善点を伝えることが大切です。また、改善を要する点だけではなく、成長がみられた点や成果が上がっている点などについても伝えると、従業員のモチベーションを高めることができます。

従来の評価制度を用いている

年功序列で評価が決まるなど、従来の評価制度をそのまま採用していることも従業員が適切に評価されていないと感じる原因になります。在籍年数に応じて昇進し、成果を出しても昇級または昇進できない場合、従業員のモチベーション低下を招くからです。

特に能力が高く成果を出せる若手従業員ほど、不公平感を覚えて離職しやすくなってしまいます。優秀な人材を流出させないためには、成果に応じた評価制度に見直していくことが大切です。

離職を防ぐなら評価制度の見直しが必要不可欠

自分の働きが正しく評価されていると実感できると、モチベーションの向上につながります。

評価制度の見直しを行い、従業員一人ひとりの働きに対して正当な評価がされる環境にしましょう。評価担当者がひとりだけだと、担当者の好みなどが評価に関係してしまうため、360度評価・MBO・バリュー評価・コンピテンシー評価などを実施するのがおすすめです。

おすすめの評価制度4つ

360度評価上司・部下・同僚など立場や関係性が異なる複数人で評価する制度
MBO(目標管理制度)目標を設定し、その達成の度合いなどによって評価を定める制度
バリュー評価企業の価値観(バリュー)に基づいて、高く評価できる姿勢や考え方を設定し、バリューに沿う行動をした従業員を評価する制度
コンピテンシー評価高い成果を上げている従業員の行動パターンに基づき評価基準を設定し、従業員を評価する制度

評価制度の見直しを行うとともに、従業員の頑張りに応じた給与も支払いましょう。

評価制度を見直しても従業員が辞めていく会社の特徴7つ

従業員が辞めていく会社には、いくつか共通する特徴があります。ここでは7つの特徴を紹介しますので、自社に当てはまる点がないか確認してみましょう。

給与が安い

給与が安い、昇給する見込みがない状況にあると、割に合わないと感じる可能性があります。自分は会社から正しく評価されていないと感じ、しっかりと評価してくれる会社への転職を考えるようになります。

また、給料は日々生活していくのに欠かせないものです。給料が少ないと生活に余裕がなくなることから、より良い給料を求めて転職をする方もいます。

残業が多い

仕事量が多くて残業ばかりだと、プライベートの時間が確保できません。趣味を充実させたい、育児や介護を優先したい方にとっては柔軟に働くことができず、よりワークライフバランスが整った環境を求めて転職していくケースも多いようです。

また、残業が多いと心身を休めることができず、疲労が溜まってしまいます。疲労回復ができないまま業務をこなすことで心身の不調が起こり、仕事を辞めざるを得なくなる場合もあります。

雰囲気が悪い

職場の雰囲気が悪いことも、従業員が辞めたいと感じる要因となります。

職場の人間関係が悪く、悪口ばかり言っている人がいたり、派閥争いがあって板挟みになったりすると、精神的に疲れるものです。職場によっては、セクハラやパワハラがあるケースもあり、仕事に行くこと自体がストレスになることもあるでしょう。

雰囲気が悪い職場だと楽しく仕事ができないため、それが嫌になって会社を辞めていく人は多くいます。

将来性が見込めない

会社の事業に将来性が見込めないと、今後について不安に感じ、キャリアアップのための転職を考えるようになる方が多くなります。

特に優秀な人であればあるほど転職先の選択肢も広く、将来についても現実的な目で見ることができるため、転職の判断も下しやすいでしょう。

仕事量に偏りがある

ほかの従業員に比べて明らかに仕事量が多いなど、各従業員の仕事量に偏りがあると、仕事を辞めたいと感じる従業員が出てきてしまいます。

優秀な人材であれば、短時間で効率良く業務をこなすことができ、仕事を安心して任せられることから、ほかの従業員よりも仕事量が多くなりがちです。

もちろん、仕事量に応じた待遇であれば、不満とはならないかもしれません。ただし、仕事量が多いだけだと不満につながります。そのため、仕事量に偏りがある職場では、優秀な人材が辞めていってしまうことになりかねません。

社風が合わない

入社したあとに社風が合わないことに気づき、退職する方もいます。

職場の雰囲気は入社前に知ることは難しいため、「自分とは合わなかった」と入社後に感じる方は多くいると考えられます。

加えて、仕事への向き合い方などついて会社の方針と自分の考え方が違うと感じ、それがストレスとなるケースもあります。例えば、自分はお客様ファーストで考えたいのに、会社は利益を追求しているように思える場合です。

社風が合わないとストレスを感じながら働くことになるため、転職すべきだと判断する方もいます。

やりがいを感じられない

仕事をしていくうえで、やりがいを見出したいと思っている従業員は多いものです。しかし、毎日同じ業務ばかりといった職場だと、やりがいを感じることは難しいこともあるかもしれません。

自分の仕事が社会にどのように貢献しているのかわかりにくいうえ、日々の業務から成長を感じることができなければ、仕事を続けていくモチベーションが保ちにくいです。

そのため、自分が成長でき、社会貢献できる環境を求めて転職する方が多くなります。

従業員が辞めていく会社はどうなる?

従業員が辞めていく状況が続くと、会社の経営悪化につながります。具体的にどのような影響があるのかみていきましょう。

人手不足に陥る

従業員が辞めていく会社は、退職した従業員の仕事を残りの人員でカバーしなければならなくなります。そのため、慢性的な人手不足となり、仕事が回らなくなります。

仕事が回らなくなると、これまでどおりにサービスが提供できない、納期が守れず取引先に迷惑をかけるといった事態につながることも考えられるでしょう。

また、提供するサービスや商品の質も落ちるため、取引先からの信頼を失い、業績悪化に陥る可能性もあります。最悪の場合、経営が立ち行かなくなり、倒産するおそれもあります。

退職が連鎖する

ひとりの従業員が会社を辞めると、退職が連鎖し、次々と従業員が辞めていくこともあります。

これは退職者が出たことで残っている従業員にしわ寄せがいき、大きな負担となってしまうことで起きやすい現象です。

特に仕事ができる優秀な人材が退職すると、残された従業員でその穴を埋めていかなければならず、業務はハードになります。その結果、会社への不満を募らせ、退職に至ってしまうケースがあるのです。

採用コストが増加する

従業員が辞めると増員する必要があり、新たな人材を雇うためのコストがかかります。また、実務経験がない従業員を採用した場合、即戦力となることは考えられません。

退職した人と同じレベルになるまでには教育する必要があり、それには多くの時間と費用がかかります。

評価制度の見直しと合わせて実施したい離職率を抑えるための対策

従業員が辞めていく状況が続くと、会社にとって大きな損失となります。新たな人材の流出を防ぐために、どのようなことを行うと良いのでしょうか。

ここでは従業員が辞めていく状況を食い止めるのに効果的な対策をご紹介します。

採用段階のミスマッチをなくす

入社後に「思っていた職場と違った」「社風が合わない」などと感じて辞めていくことを避けるために、採用の段階でミスマッチが生じるのを防ぎましょう。

採用する側が会社について良い情報ばかりを伝えてしまうと、応募者は会社の雰囲気や職場環境について誤解してしまい、それがミスマッチの原因になります。

求人広告に記載する内容、面接時に応募者に伝える内容は、事実に即したものにしましょう。メリットばかりでなく、デメリットも伝えるようにすると、応募者がフラットな視点で会社との相性を判断できるようになります。

仕事内容や職場の雰囲気についてイメージしやすくなるように、実際に働いている従業員のインタビューを紹介するのも良いです。

業務内容を見直す

適切な業務量であるか、個人のスキルや経験に応じた業務内容を振っているかどうか見直すことも大切です。

特に、優秀な従業員には業務が集中してしまいがちです。そのせいで残業が多くなっている、休日出勤が続いているといった状況がみられるなら、業務を分担して負担を軽減しましょう。

やりがいのない業務ばかりになっている場合は、難易度の高い仕事にチャレンジしてもらうのも有効です。責任のあるポジションを任せるなどして、仕事から満足感を得られるようにしましょう。

積極的にコミュニケーションをとる

従業員の声を聞くために、積極的にコミュニケーションを図ることも効果的です。会社に不満はないか、不安に思っていることや不信感がないか聞いてみると良いでしょう。

ただし、従業員の本音を聞き出すには、職場で心理的安全性を確保しておくことが大切です。心理的安全性とは、自分の意見や考えを言っても大丈夫と思えるような環境であることを指します。

会社側がどんな意見も受け入れる姿勢を持つことで、従業員は安心して本音を打ち出せるようになります。従業員の気持ちを聞き出したら、必要に応じて改善に向けた取り組みを行い、働きやすい環境を整えるようにしましょう。

ワークライフバランスの取り組みを行う

結婚や育児、親の介護などを理由に会社を辞めずに済むように、従業員一人ひとりの生活に応じた働き方を選べるようにしましょう。また、生活の変化にともなってキャリアプランを変更しなければならないような従業員には、適切なポストを与えることも大切です。

育児休暇、介護休暇などの休暇が取りやすい環境にすること、残業時間を削減することも離職率を減らすのに役立ちます。

まとめ

従業員がなかなか定着しない場合、働きにくい要因があると考えられるため、早めに手を打つことが大切です。特に評価制度に不備があると、従業員のモチベーション低下や会社に対する不信感につながるので、離職率を抑えることは難しくなります。

今回紹介した7つの特徴に当てはまる点がないか確認し、できることから改善していくようにしましょう。そうすることで、従業員が働きやすく仕事を続けやすい職場にすることができます。

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