応募数を5倍にした、急成長スタートアップの採用広報の秘訣|日本暗号資産市場 人事部長 茂木麻琴氏

日々難易度を増す採用活動。単に求人票を公開するだけでは優秀な人材を採用することは困難になっています。その状況を打破するために、注目を集めているのが採用広報です。採用ターゲットからの認知を高め、採用につなげるために採用広報を取り入れている会社も増えています。

しかし、採用広報といっても「何をすればいいのかわからない」「やり方が正しいのかわからない」等のお声をいただくことも増えてきました。今回の記事では、具体的な事例を通して採用広報の秘訣をお届けします。

今回取材したのは日本暗号資産市場株式会社。ビットコインを中心に世間の注目を集める暗号資産関連のビジネスを展開している急成長ベンチャーです。日本初のステーブルコイン(注1)JPYCの発行元としても知られています。同社はWantedlyを活用して約20名の採用に成功し、順調にビジネスを伸ばしています。

(注1) 安定した価格を実現するように設計された通貨

ここでは、組織の急拡大を成功させる要因となった「採用広報」について日本暗号資産市場株式会社の人事部長・茂木氏に詳しく話を伺いました。

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日本暗号資産市場株式会社
人事部長
茂木麻琴氏

2020年3月、日本暗号資産市場株式会社にインターン生として入社。同年11月より採用広報を担当し、毎週トレンドランキング1位を獲得、過去6ヶ月と比較して応募者を200%増加させた。その功績が社内で認められ、現在は人事部長を務めている。なお、2021年5月から時短正社員となり、大学との両立をしながら業務に励んでいる。

▼Wantedly Profile
https://www.wantedly.com/id/uvtxizaenkcobldj

採用課題を解決する、採用広報という武器

採用広報 ノウハウ

ーーまずは貴社の採用の考え方について、詳しく教えていただきたいです。

弊社に明確な採用計画はなく、常に採用活動を行っています。成長し続けているスタートアップなので、人材不足は常に起こり得るなか、積極的に優秀な人を採用し続けようという考えです。常に優秀な人が集まり、刺激し合いながら自由にスピーディーに働く中でその能力を存分に発揮する。その結果として会社が成長すると考えています。そのためにも、優秀な人を採用し続けることは非常に重要なミッションです。

ーーWantedlyを導入いただいたきっかけを伺いたいと思います。

当初はTwitter、リファラル、会社のHPを活用して採用活動をしていたのですが、応募数は少なく、優秀な人材ともなかなか出会えずにいました。そこで、採用活動の強化に伴いWantedlyを導入しました。採用管理を楽にするために認知形成から母集団形成、採用までを一つのプラットフォームで集約したいと思っていたので、認知獲得のための広報もできるWantedlyは魅力でした。

ーー導入直後の効果はいかがでしたか?

使い始めて間もない2020年の9月や10月には1ヶ月で3応募くらいでした。もちろんWantedlyを使い始める前と比べると多少出会える人は増えましたが、さらに増やしたい思いはありましたね。その後、ストーリー機能を活用した採用広報を始めて急激に効果が伸び、現在では1ヶ月で40名くらいから応募いただけるようになりました。

採用広報 ノウハウ

ーー応募が増えないと悩まれている企業は多いと思います。なぜ貴社は採用広報でその課題を解決しようと思ったのでしょうか。

弊社は応募数を増やすためにではなく、優秀な人を採用するために採用広報を始めました。もちろんより多くの方から応募をもらうことはありがたいことですが、採用につながらなかったら意味がないですよね。

カルチャーフィットしていることが採用において弊社が一番大事にしている条件でもあるので、会社の雰囲気やバリューを発信しなければ優秀な人の採用はできないんです。そのため、採用広報は自然な選択でした。Wantedlyは給与や条件、ネームバリューではなく、会社の中身で差別化をするサービスだと理解しているので、採用広報で会社の中身がオープンになった結果応募が増えたと感じています。

ーーどんな方からの応募が多いですか?

採用した方々の年齢層は10代後半、20代前半の大学生が中心になっています。ただ、応募者全体では高校生の方や30代、40代の方まで幅広いです。事業領域がブロックチェーンという新しい技術なので、経験よりもキャッチアップの早さを何より重要視して採用している結果、若手に寄っていると考えています。職種はエンジニアやリサーチャーが多く、その他は事業開発やバックオフィス、広報の方がいます。

応募数を約5倍にした採用広報活用術

採用広報 ノウハウ

ーーここからは、実際に採用広報の具体的な方法を伺いたいです。採用広報に興味を持っている企業からも「具体的に何をすればいいのかわからない」とお声をよくいただきます。茂木様が実際に取り組まれていたことを教えていただけますか。

私も最初はまったくの素人でした。ただの大学生のインターンで、もちろん広報の経験もありません。それでも、運用に関して意識していたことが1つだけあります。それは「継続すること」です。

Wantedlyを契約して間もない8月くらいに、一度3週連続でストーリーを出したことがありました。夏休みで暇だったから書いてみたのですが、公開と同時に応募が増え始めたこともあり、効果を少し感じていました。その経験から定期更新には意味があると感じ、週1更新をすると決めて採用広報を始めました。

具体的な執筆の進め方としては、毎週月曜日にストーリーを公開するリズムで動いています。公開した次の火曜日から新しいテーマを考えて書き始め、また次の月曜日に公開する形です。「こんなことできたらいいな」「面白そう」という感覚を大切に、ゆるくやっています。1人で毎週書き続けるのは非常に大変なので、ゆるさも大事だと考えています。ゆるくやってもいい、軽めの記事でもいい。ただし、決してサボらないと決めていました。

公開後はTwitterとFacebookでの拡散を徹底します。自分だけでなく、社内のメンバーにも協力してもらっています。とくに分析はしていませんが、唯一見ているのはPVです。PVが伸びた記事の傾向を頭に入れながら新しい記事を書くというサイクルを意識しています。

Wantedlyのようなメディアで発信をしていると忘れてしまいがちですが、自分が書いた記事を見てくれている人が1人でもいることは素晴らしいですよね。「見てもらえて嬉しい」という気持ちが何よりのモチベーションになっています。

読まれるストーリーを作るために気をつけていたこと

採用広報 ノウハウ

ーー定期更新以外に心がけていたこと、気をつけていたことはありますか?

まずは候補者視点です。本当に何もわからなかったので、ストーリーを書く際には候補者の目線で考えることを意識していました。もし自分が候補者だった時に、「どのような情報があったら会社の中のことがわかるか」「どのような口調だったら堅苦しくなく、読みやすいのか」などを考えながら書いていました。

自社のカルチャーと合う候補者に読んでもらうこと、いいと思ってもらうことが目的だったので、その点も気にしていました。たとえば、自社のカルチャーやバリューに関しては何度も発信していました。実際に、インタビューのコンテンツではバリューを重点的にヒアリングするようにしています。

他にも、細かい話では以下の3点はとくに気にしていました。

▼採用広報の具体的なポイント
・タイトル
・写真
・協力体制の構築

タイトルに関して

どれほど中身が面白くても、タイトルで面白そうと思ってもらえないと読んでもらえません。そのため、タイトルのつけ方は勉強しました。社内に詳しい人がいたのでいろいろ教わったのですが、漢字とひらがなとカタカナと数字を入れることや、最初の10文字にこだわることは意識しています。どちらも、人間が文字を認識するときの癖をもとに取り入れています。

漢字、ひらがな、カタカナと数字を取り入れたタイトル例
採用広報 ノウハウ

最初の10文字を意識したタイトル例採用広報 ノウハウ

写真に関して

また、文章内にも必ず写真を入れるようにしています。文字だけだと雰囲気も伝わりづらいですし、無駄に威圧感も出てしまいます。とくに弊社の社名は漢字が多く、固い印象を持たれることが多いので、柔らかさを出すことは意識していました。

トップの写真は必ずしもオフィスやメンバーの写真ばかりではなく、中身やタイトルとあったものを選ぶようにしています。今はコロナなのでメンバーが集まることは少ないですが、撮影できる時には私が自分で写真を撮っています。

協力体制の構築に関して

採用広報においてはインタビューや拡散をお願いすることが多いので、社内の協力体制の構築は重要です。弊社の場合は、風通しがよく、協力してもらいやすい文化が醸成されていたので非常に助かりました。Twitter手当を取り入れているので、拡散などは自発的にやってもらえたこともあります。

他にも、コンテンツに困ったときには周りからアイデアをもらう機会も多いです。社内からはもちろん、発信をしていると社外からも意見をもらえることがあるので、参考にしています。

採用広報 ノウハウ

ーーありがとうございます。最後にWantedlyで採用広報を検討されている方々にメッセージをください。

メンバーが働きやすい環境でスピーディーに働き、会社が急成長を続けるためにはカルチャーフィットを意識した採用が最重要だと考えています。そのために、カルチャーを候補者に伝える採用広報が必須です。弊社の場合は、Wantedlyのストーリーを活用することで量・質ともに満足のいく採用を実現できました。

幸い弊社は比較的早く効果を実感できましたが、うまくいかない記事が続いたことや書き続けることが億劫になった時期もありました。それでも「継続的すること」「候補者視点で考えること」「タイトル、写真、文章にこだわる」を貫いたことが成果に繋がった要因だと感じています。

Wantedlyを使うのであれば、ぜひストーリーを活用してみるといいと思います。

ーー採用広報の重要性や具体的なノウハウがわかる素晴らしい内容でした。本日はありがとうございました。

時代の変化に伴い、採用への考え方はアップデートしていく必要があります。
以下の記事では、これからの採用に必要な基本的な考え方や、採用のトレンドについてわかりやすくまとめているので、ぜひ合わせてご覧ください。

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