共感を生む採用は「自分の言葉で語るストーリー」から|曽和利光氏

パーパス経営が取り沙汰され、企業がどんな社会を作りたいのかがより問われている現代。在りたい社会と、その社会への共感を生むことで仲間が増えています。

これに対し、長年人事コンサルティングを行う曽和利光氏は、「ほとんどの採用担当者は共感の前提となる『なぜこの会社で働いているのか?』を聞かれると答えられない」と語ります。

採用担当者が、パーパスでの採用と共感を生むための採用活動に必要なことを聞きました。

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曽和利光氏

愛知県豊田市生まれ、関西育ち。
灘高等学校、京都大学教育学部教育心理学科。

リクルート、ライフネット生命などで採用や人事の責任者を務める。その後、人事コンサルティング会社人材研究所を設立。日系大手企業から外資系企業、メガベンチャー、老舗企業、中小・スタートアップ、官公庁等、多くの組織に向けて人事や採用についてのコンサルティングや研修、講演、執筆活動を行っている。

著書「人事と採用のセオリー」「人と組織のマネジメントバイアス」「できる人事とダメ人事の習慣」「コミュ障のための面接マニュアル」「悪人の作った会社はなぜ伸びるのか?」他

「パーパス採用」や「共感採用」は今にはじまったことではない

昨今言われる「パーパス採用」や「共感採用」について曽和氏はこう語ります。

「多くの人は企業を選ぶ際、『人で決めた』という言い方をしますよね。それは、社員の方の発言に共感したり、感動したり、親近感を覚えたからでしょう。

『なんのためにやっているのか?』というWHYの部分に共感をして就職先を決める人が多い実情は、今も昔も変わっていないと思います。

パーパスに基づいた採用は、昨今改めて着目されたように見受けられますが、そもそもの何十年も前から実態は変わっていません。本格的に人手不足になってきて採用ができないために、企業側は求職者の気持ちに寄り添わないといけなくなったのです。」

不景気のときには、求人倍率が下がるのが一般的。リーマンショック時の新卒の有効求人倍率は1.2倍でした。しかし、コロナ禍を経て景気は大幅に下がっているのにも関わらず、求人倍率は1.5倍を下回らずに推移している事実があります。

「実際の労働者人口はアベノミクスや働き方改革で増加し、雇用率を見ても完全雇用に近い状態になっています。そんな状況ですから物理的に人が居ない。

マッキンゼーが『ウォー・フォー・タレント 人材育成競争』という本を書いていますが、それがまさに実現している。ようやく企業が上から目線ではなく働く方の価値観を大事にして、共感をフックに施策を行うようになってきたのだと思います。」

「成長できる環境か」「人の役に立てるか」が若手世代の企業選びのカギ

一方で、求職者側の意識の変化についても曽和氏は指摘します。

以前の世代と変わっているのは、『成長できるか否か』という価値観でしょうか。不安定な世の中で生まれて、育つ過程でずっと不景気だった世代です。大企業であってもリストラされる時代になった。となると、『自身で力をつける』ことでしか生きていけません。

参考:第39回 ワークス大卒求人倍率調査「求人総数および民間企業就職希望者数・求人倍率の推移

ただ、『何をしたいのか?』と聞くと曖昧な20代も多い。20代はキャリアの試行錯誤の時期ですからそれも当然だと思います。とはいえ、共通しているのは『人の役に立ちたい』という想いです。世の中では多様性が重視され、価値観が相対化しているので、『みんな違ってみんないい』という考えが一般的になりました。ただ、絶対的なものがなければ不安になるために、自分の身近な人への“承認欲求”が出てきているのだと思います。

この『役に立ちたい』と『成長して力をつけたい』という想いが若手世代の根幹にはあるように思います

そして、この2つの力を活かすことこそ、パーパスに繋がります。」

自律性や創造性のある人材を集めるには共感が必要

企業は働く個人の想いの変化をどう受け止めるのが良いのでしょうか?曽和氏は次のように語ります。

「理想は内発的動機付けで働く人を増やすことです。内発的動機付けは、自律性と創造性を育むと言われています。共感を軸にした採用を行うことで、それぞれ個人の内側にパッションを持った人が集まります。そのため、受動的に言われて行うのではなく、一人ひとりが考えて実行するために自律性も創造性も高くなるのだと思います。

ただ、別に外発的動機付けで塗り固められた組織でも問題はありません。すべてにおいてインセンティブを設定して、売上と利益を上げていく企業は多くあります。きっちり物事を決めて、自律性は必要なくて決めたことを実行すれば良いという企業はそれでもかまわないと思います。パーパスを軸にした採用は、自律性や創造性を求める会社にこそ向いていると思います。」

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多くの採用担当者が「今ここで働く理由」を答えられない

ただ、曽和氏は採用担当者の姿勢についても指摘します。

「採用担当者は自身が『なぜここで働くのか?』という問いに対して自覚的である必要があります。日頃から『なぜ働くのか?』という問いを考える必要がありますよね。採用活動はすごく短期間のなかで全く知らない方に会い、短期間で『この会社で働くか否か』を決める。そのためにも、言語化は重要です。

面接官となる採用担当者や社員は、発する言葉を自発的かつ内発的な言葉で語っているかがポイントです。」

他方で「採用担当者であっても深く考えていない」と曽和氏は言います。

「意外と採用担当者であっても『なぜあなたはこの企業で働いているんですか?』と聞かれると『会社の表面的な良い情報』だけを言うパターンが多いです。自分事として語れていない。自分事として語れなければ、共感を生むことはできません

パーパスは空気のようなものなので、問われるまでは考える機会が少ないと思います。

組織を率いるマネージャーやリクルーターになれば、他人に伝えなければいけないし影響を与えなければいけませんから言語化が必要です。ですが、いち働く人として自分のモチベーションのみを上げることに専念すればいい状況なら、パーパスについて深く考えることはないと思います。だからこそ、個人がパーパスについて考えることは優位性を保つ上でも必要です。」

会社のパーパスをそのまま伝えても響かないものです。自分自身の経験も踏まえて自分自身の言葉を持って語ることが重要ではないでしょうか

WHYである『なぜこの企業で働いているのか?』をパーパス以外で説明しようとすると、理屈で固めることになります。たとえば、『自分らしい生き方を選ぶと、世の中に多様性を促進することになり、多様なものが促進され、異質な者同士が結びつくと創造的な社会になり、結果日本はグローバル経済の中で競争に勝ち抜かなきゃいけない』みたいな。一般論としてはわかるけれど、なぜあなたが働いているのかの理由にはならない。

それよりかは自身のライフヒストリーに結びつけて、『こんな環境で生まれ育ち、こんな人から影響を受けて、こんな出来事があったからコレが大事で、だから今この会社で働いている』と、自分自身の内発的な価値観で語れることが重要です。自身のライフヒストリーや日々感じることと紐付けてパーパスを説明されると『あ、この人は本気だ!』と共感に結びつきます。」

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一見わかりあえなさそうな人にも共感してもらうことが重要

あらためてではありますが、立ち戻って「自分はなぜこの会社に入ったのか?」を考えることが重要だと曽和氏は言います

「採用活動において、候補者から問いを受ければ、採用担当者自身も「この会社に入った意味」を考える機会がが増えると思います。『なぜこれを聞かれたのか?そして、なぜ自分はこう答えたのか?』など、自分では気付けない本質的な問いに思考を巡らせることができます

そして、その方法論として有効なサービスの1つがWantedlyです。これまでの採用は候補者に対して『なぜ弊社を志望したんですか?』という聞き方をしていましたよね。でも、Wantedlyのようなサービスでは『遊びに来てくださいね。聞きに来てくださいね。』というアプローチをします。

初期の採用は、分かりあえる人に情報を伝えて成り立ってきました。この方式の採用は効率的で楽といえば楽ですが、組織としての広がりはなくなってしまいます。

Wantedlyの問いのスタイルならば、お互いに考えていることを相互に意見交換できる。これはお互いの認識をすり合わせ、それを意思として通すことなのだと思います。

分かり合えないと思った人にこそ、会社を魅力を伝える対話を行い共感してもらえるようになること。それこそが共感採用の腕の見せ所ではないでしょうか。

そのためにも、自分自身がモチベーション高く働くための要素と、この会社でモチベーション高く働いている人はなぜそうなのかを考えていく必要があります。

自分が働く理由について深く認識している方こそ、自身のエネルギーを出しやすい。だからこそ、モチベーション高く働いていると思います。そのためにも、ヒアリングはしっかり実施すべきだと思います」

自社で活躍する人材が「なぜこの会社で働くのか?」を丁寧にヒアリングしてみると、自社の強みなども見えてくるのではないでしょうか。

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