会社選びの軸は「年収」「出世」ではない? 若手世代の本音を聞いてみた

これまでの就職において、会社選びの軸は「年収」の重視や、「出世したい」という方がマジョリティ。「年収1000万円以上を目指せる職に就きたいから商社」や「バリバリと仕事をこなし、いつかは部長に…」と考える方も少なくありませんでした。

しかし、昨今の若手世代は考え方もシフトしてきています。企業が採用を行うには、若手世代の考え方に合わせていく必要があります。

若手世代は会社選びにおいて、何を重視しているのでしょうか。

採用アナリストの谷出正直氏の解説と共に、若手世代の本音を聞いてみました。

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若手世代の会社選びはお金から繋がりにシフト

就職先を選ぶ際には「年収」や「企業の知名度」も重要ですが、若手世代は違った価値観で会社選びをしているようです。

企業の採用支援や学生の就職支援、大学での授業や講演などを行う採用アナリストの谷出正直氏は、若手世代の価値観についてこう語ります。

「1990年代~2000年代以降生まれの若手世代は、物質的に豊かな時代に育ち、不自由しない世代です。例えば私が大学生だった2000年代前半、ひとり暮らしのアパートにクーラーが付いていなかったですが、今は一家に一台、もしくは複数台は当たり前。若手世代は日常生活に必要なモノは、ほぼすべて持っています。

物質的に恵まれているために、ガツガツと『お金のために働く』という価値観を持つ方は少ない傾向にあります。

ゆえに就職では、『誰かのために働きたい』という意識が強いのが特徴です。同時に、会社を見るポイントでも売上規模が大きいことを重視しない場合もあります。昨今、SDGsが注目されているのも同じ理由ですが、『社会とどう関わるか』を重視しているのです。

また、コロナ禍でリモートワークも普及し、より働き方が柔軟になってきました。就職においても『自宅から通える範囲で』と縛りを設けずとも、就職先も選べるようになってきました。そのため『誰と働くか』を重視するので、人との繋がりも見ています。『どの企業に属しているのか』という所属の欲求もあると言えるでしょう」(谷出氏)

若手世代の価値観が変化する中で採用ができている企業は、ニーズをくみ取ったうえでその価値を製品に落とし込み、自社の存在意義を打ち出せる企業です。そういった企業は単に製品を作るだけの企業よりも強いと谷出氏は指摘します。

「例えば、セイコーエプソン。エプソンは長年、紙に印刷をするプリンターを販売して事業を伸ばしてきました。ですが、昨今はペーパーレスの時代でもあります。プリンターが爆発的に売れない状況になってきました。そこで、『ビジネスの現場でなぜ印刷して配るのか』を考え、『資料を共有したい』という顧客のインサイトを見つけ出し、プロジェクターを生み出しています。プリンターという製品に拘らず『ビジネスソリューション』という企業の存在価値を見出しているのです。これはイノベーションのジレンマを回避する方法でもありますよね。

外資系企業ではよく『パーパス』という形で存在意義を示し、製品づくりに落とし込んでいます。私が印象的だったのはパタゴニア。アメリカの本社にノーアポイントで訪ねたことがあるんです。追い返されるどころか、受付の男性スタッフが熱くミッションである『私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む。』という強いパーパスについて語ってくれて会社を案内してくれました。

現場の社員にまでここまで浸透している企業は強いと思いましたね」(谷出氏)

その意味でも企業は「パーパス」を明確にし、「共感」を強く訴求することが求められるのです。

昨今の求職者は「共感」できるかを重視している

Wantedlyでも若手世代に独自調査を実施しました。

実際に、「共感」を求めて企業選びをしている傾向が顕著に見て取れます。

大手EC企業で働くとある20代女性は「生活を豊かにする企業で働きたい」と考えていたそうです。

「元々ゆとりある暮らしをしたいと思っており、生活雑貨を扱う企業やEC企業などを志して、新卒で家具インテリアの小売店に入社しました。店舗管理などを経て4年間在籍しましたが、地域の活性化に取り組みたくなり、たまたま見つけた大手ECの面接を受けたんです。

面接の際、社員の方が自社の行動指針について話してくれました。次の面接官も行動指針に沿って仕事をしていることが伝わり、私自身も行動指針に共感できたことから入社を決意します。実際に働いてみると周囲もこの行動指針に対して一貫しているのですごいと思いました。

過去に共感できないものを売るのはしんどいと思った経験もあり、他社と比較した時に『自分が関わりたいと思えるサービスか』といった点も重視して今の会社を選びました。」(20代女性・大手EC勤務)

「企業理念に共感できるか?」を軸に就職した結果、大活躍しているエンジニアもいます。

「私はエンジニアリング技術を磨く中で『地方創生に取り組みたい』と思い、2020年4月に不動産テックのスタートアップに転職しました。CTOに次ぐエンジニアとして入社して、フロントエンドとデザイン以外のバックエンドの開発をすべて行っています。

業務範囲が広いけれど、『何でもやる!』と思えているのは、パーパスに強く共感しているからですね。『誠実』や『チームで成す』というバリューに合わせた行動で機能開発も行っています。バリューと行動が一致しているのも楽しく働ける一因になっています。

私自身、転職市場に出れば現在の2~3倍の年収は得られると思っています。でも、今は年収ではなく、自身が取り組みたいことに真っ直ぐでありたい。会社が秘密主義や売上至上主義などに傾いたら、雰囲気が変わってしまうのでおそらく転職すると思います。」(30代男性・不動産テック勤務)

会社の方向性とパーパスに共感してくれる人を採用できると、組織にも良い効果をもたらしてくれるのです。

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企業に求められるのは自社を正しく発信すること

こういった転職経験者の声も踏まえて企業は採用ができるようになるために、何をすべきなのでしょうか。

「まずは情報発信をしましょう。近年、採用広報という言葉が広まっていますが、そもそも会社を知ってもらわないといけません。発信する内容は、Wantedlyのフレームワーク『何をやっているのか』『なぜやっているのか』『どうやっているのか』から入ると良いと思います。

さらに、自社がいかに “働きやすいか”、“自分がやりたいことができるか”という内容でもいい。昨今では『副業OK』や『リモートOK』が差別化のポイントになるケースも増えています」(谷出さん)

実際に「副業」と「リモートワーク」という条件を付けつつ、今後自身でも事業を立ち上げたいと思いリクルートに転職した20代男性もいます。

「自分で事業を立ち上げたいと思っているので、経験を積みながら準備をしたいです。コンサルティング企業や他のインターネット企業もいくつか見ましたが、成長環境があり副業もOK、フルフレックスなのはリクルートしかありませんでした。自分と同じ価値観で働いている人が多いのでエンゲージメント高く働けています。」(20代男性・リクルート勤務)

発信の内容について、「『気が合う個人』との共感を誘う内容でも良い」と谷出さんは言います。実際に働く上で自身の好き嫌いを面接で話し、大きく共感してもらったゆえに就職を決めたエンジニアもいました。

「私自身、これまでネットワークエンジニアとして働いてきたのですが、自分は働くなかで『ネットワークが嫌い』と、そもそも論に気付いてしまったんです。人を信用せずに堅固なセキュリティを作るネットワークは好きではありません。ネットワークエンジニアとしては異端だと思います。

一般的にはあまり理解されないと思いますが、この内容を面接でも素直に話して『そうだよね、面白い』と共感してくれたのが今の上司です。そこから話が盛り上がり、ここで働きたいと思うようになりました。複数社面接をしましたが、最終的には自分の持つ価値観に共感しくれた今の会社を選びました。」(30代男性・ゲーム会社勤務)

共感は必ずしも事業への共感でなくてもよいもの。ちょっとした雑談のなかでも生まれる場合もあります。

「まずは、『どんな世界を作りたいのか』。経営者が想いや目的を丁寧に言語化していくことです。なぜこの事業ができたのか。この事業はどんな困りごとを解決しているのか。丁寧に深掘りしていくと、共感の輪が広がっていきます。

共感は1人から2人へ広げていくもの。個人の好き嫌いから始まることもあると思います。そのためにも、とにかく言語化をすることが必要です。

そして、見せかけではなく社内に浸透していることが重要です。」(谷出氏)

実際に入社したら「こんなはずではなかった」と感じてしまえば離職につながるもの。共感を生み出していくのは時間がかかると肝に銘じて取り組んでみてはいかがでしょうか。

時代の変化に伴い、採用への考え方はアップデートしていく必要があります。
以下の記事では、これからの採用に必要な基本的な考え方や、採用のトレンドについてわかりやすくまとめているので、ぜひ合わせてご覧ください。

「採用がうまくいかない」とお悩みの方は、採用への考え方をアップデートすることで、自社にマッチした人材の採用に繋がるでしょう。

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