ローコストで月間150件の応募を獲得|株式会社favyのファンを増やす採用サイクルの秘訣とは?

株式会社favyは、自然応募のみで月間150件の応募を獲得するなどの成果を上げ、WantedlyのFUZE2023 で「多くの出会いを生み出す募集を書いた企業」に贈られるMatch Craft賞を受賞しました。

FUZE2023の様子:https://fuze.wantedly.com/2023

今回は、株式会社favyの人事部採用担当の土屋智代さんをゲストに招き、応募を増やす採用記事の書き方についてうかがいました。

今回のゴール

  • 応募経由で採用している会社が「応募をもらうまでにやっていること」を理解する
  • 採用で成果をだすために必要なことを理解し、明日からの採用活動に活かす

ゲスト

株式会社favy 人事Div. HR Gr.
土屋智代

編集部のメンバーとして入社後、広告運用チームや社長室を経て、人事Divへ。現在は採用広報・福利厚生制度のアップデートなどをメインに行っている。

▼Wantedly Profile
https://www.wantedly.com/id/tomoyo_T

モデレーター

ウォンテッドリー株式会社
越石 翔子

新卒ではIT・Web・ゲーム業界に特化した人材紹介会社にてRA・CAの経験をしたのち、2018年1月にウォンテッドリーに入社。Onbordingやコミュニティの立ち上げ、カスタマーサクセスなどを経験し、現在はマーケティングチームにてオウンドメディアの運営やセミナーを開催。

▼Wantedly Profile
https://www.wantedly.com/id/koccey

株式会社favyの紹介

越石:本日はよろしくお願いします。まず株式会社favyの事業についてご紹介をお願いします。

土屋:favyは、全国にシェア型フードホールや店舗DXのためのモバイルオーダーやサブスクシステムを展開するベンチャー企業です。モバイルオーダーやサブスクシステムと広告媒体のタグを連動させ、来店までの情報接触経路や来店単価を算出して得たデータを利用し、リテールメディアとしての広告メニューも展開しています。様々なサービスを提供していますが、シンプルに言うと、「お店が簡単につぶれない世界」を支援しています。

社員数118名(2024年4月1日時点)で、デジタルツールの作成、販売、サポートだけではなく、直営の飲食店も運営しています。お陰様で各部署クライアントが増えているため、すべての部署で採用を強化しているような状況です。

住  所:東京都新宿区西新宿6-16-6 タツミビル 7階
設  立:2015年7月1日
社員数:118名 (2024年4月1日時点)
主な事業

  • 店舗向けSaaSシステムの開発(サブスク・モバイルオーダーなど)
  •  OMO(オンラインとオフラインの融合)のデジタルマーケティング支援
  • シェア型フードホール/横丁運営支援・飲食店経営(RaaS)
  • メディア事業(グルメメディアのサイト運営・SNS運営など)
  •  広告運用代行(JR Adsなど)

favyの採用体制と実績

越石:favyが求める人材で、多くの職種に共通する要件は何ですか?

土屋:favyの「好きを仕事に」というミッションに共感してくれる人です。スキルは入社後にも養うことができるので、スキルよりも共感を重視しています。今とくに募集しているポジションは法人セールスとエンジニアです。

越石:現在の採用体制と行っている採用業務は?

土屋:現在の 人事Divは労務を含めて4人です。私の主な業務は、各部署の採用記事の作成です。favyは「全社採用」をかかげ、会社全体で採用活動を協力して行うような体制です。まずは各部署の上長等に協力いただき、カジュアル面談 などの採用フローを進めています。最後に、条件調整は人事の責任者が行っています。

採用の流れ

  1. 採用記事を作る
    ・基本的には人事で作成
  2. カジュアル面談を行う
    ・希望職種がはっきりしている場合:該当する部署が対応
    ・希望職種が曖昧だけどfavyで働きたいと思っていただける方:人事が対応
  3. 体験入社を実施
    ・基本的には人事が日程調整
    ・当日は実際に一緒に働く可能性が高い部署のメンバーを中心に複数人で対応する
  4. 条件調整
    ・基本的には人事責任者が対応
    ・条件内容は担当上長と一緒に人事責任者が検討する

Wantedlyを利用したきっかけと実績

越石:favyがWantedlyを利用したきっかけと実績について教えてください。

土屋:きっかけは、Wantedlyの「共感採用」という考え方がfavyの採用方針にマッチしていたからです。2015年の創業当初から継続して利用しています。

お陰様で、これまでWantedlyで累計3万超えのエントリーをいただき、約9割の社員・インターンをWantedly経由で採用しています。また、Wantedlyでfavyをフォローしている人は3.2万人を越えました(2024年3月28日時点)。

越石:フォロワー数では、2024年2月7日時点で全参加企業の第5位ですね。

土屋:ランキングを見ていると、Wantedlyさんには大手企業さんも多数登録されていると感じました。その中で、小さなスタートアップ企業であるfavyを見つけていただき、多くの方にフォローしていただけているなんて、非常に光栄です。

ファンを増やす、ターゲットに届ける

越石:では、ここから今回のテーマの「favy式ファンを増やす『採用サイクル』の秘訣とは?」についてうかがいます。

事前取材でピックアップした3つの秘訣について、順番にお話しをお願いします。

  1. ファンを増やす、ターゲットに届ける
  2. ターゲットに刺さる募集の作り方
  3. カジュアル面談に臨むスタンス

採用サイクルとは

越石:具体的なお話に入る前に「採用サイクル」について確認しておきたいと思います。


越石
:上図のように、採用サイクルは一般のマーケティングの認知形成(リードジェネレーション)、興味喚起(リードナーチャリング)に相当する採用マーケティングからスタートすると言えます。

参考:採用マーケティングとは?メリット・手法・進め方を解説【事例つき】

favyは、まさに採用マーケティングで求職者の心をつかまえて月間150件の自然応募を獲得する実績を上げられたわけですが、その秘訣は何でしょうか?

土屋求職者にどうしたら興味を持ってもらえるか、地道に色々やってみることだと思います。favyはスカウト採用をしていないので、採用広報活動が非常に重要です。

自社ブログとWantedlyストーリーで採用広報

土屋:採用広報には、自社の公式ブログ「favicon」とWantedlyストーリーの2つの媒体を使用しています。

※公式ブログfavicon:https://blog.favy.co.jp/
※favy のWantedlyページ:https://www.wantedly.com/companies/favy2

記事を媒体に公開するだけでは拡散力は弱いので、掲載したらすぐに全社員へSNSで拡散するように協力を依頼しています。「協力」であり義務ではなく任意ですが、ありがたいことに積極的に協力してくれます。

また、記事の品質を高めるために、ビジュアル面では社内のカメラマン・デザイナーに協力してもらっています。

採用の母集団を広げる一環として、カジュアル面談よりも気軽に参加できるミートアップを定期的に開催しています。

採用広報で大切にしていること

越石:favyが採用広報で重視しているのはどんなことですか?

土屋:1つは、一般的な記事と同様に、つねにターゲットを意識して書くことです。求職者に少しでも面白い、あるいはためになったと思ってもらえる記事を書くようにしています。

もう1つは、複数の媒体(当社の場合は自社ブログとWantedlyストーリーなど)に掲載する際、まるっきり同じ記事は載せません。これは、SEO的な側面もありますが、各媒体のユーザーが違うからです。 Wantedlyのストーリーはより求職者に向けたコンテンツを意識し、自社ブログはfavyへの興味を持ってくださっていることを前提に記事を作成しています。

Wantedlyさんの管理画面のインサイトを拝見すると、ストーリーはGoogleのキーワード検索経由での閲覧者も多いと思います。なので、favyを全く知らない人にも読みやすい記事の作成を意識しています。

複数の媒体を利用するのは手間がかかりますが、「favyが人を募集している」ことをより多くの方に知ってもらいたいと考えています。

ミートアップを頻繁に開催する目的と開催方法

越石:ミートアップの開催にも力を入れていますね。

土屋:はい。すぐに転職したいと考えている人に限らず、より多くの人と接点を作るために利用しています。基本的にはオンラインの開催なので、匿名での参加もOKです。

越石:ミートアップはどのように開催しているのですか?

土屋:基本的にはオンラインで、月に1回程度開催しています。毎月異なる一つの部署に特化した内容で開催しているので、favy側は部門の責任者と土屋の2人が参加します。時間は1時間で、前半は会社や事業説明、後半の30分は質疑応答にあてています。

告知は自社ブログと、社員によるSNSへのシェアですが、個別に告知する場合もあります。

越石:ミートアップの成果はいかがですか?

土屋:開催するたびに一定数参加者から、応募したい、と言ってもらえています。社内的にはちょっと興味があるというライト層へまとめて対応ができるので、効率よく会社をより知ってもらえ時短効果があると思います。すでに応募している方も参加してくださることがあるのですが、そういった方々に対しては、より入社意欲を高めたり、モチベーションの維持につながったりなどの効果があったと思います。

ターゲットに刺さる募集の作り方

越石:ここからは、今回のメインテーマである「どうしたら応募が来る記事を作れるか」についてうかがいたいと思います。

魅力あるコピーを5~6パターン作成

土屋:同じ募集でも、魅力的に感じるポイントは人によってさまざまなので、記事のタイトルを5~6パターン作って反応を見ます。とくに最初の10文字前後をキャッチーにするように意識しています。

例えば、エンジニアで転職したい人向けの記事では、次のような転職理由を想定して、それに合わせたキャッチフレーズを考えます。

  • 将来はフリーランスになりたい人
  • 大手に関わる安心感が欲しい人
  • 入社して得られる事を知りたい人
  • ハードル低い募集に応募したい人
  • 何をどの言語で作るか知りたい人


土屋
:記事をアップしたら、各記事の直近28日のアナリティクスで、ブックマークと応募数を確認します。

この例では、その結果に次のような大きな違いが出ました。

土屋:反応が良かった記事については、具体的に何が求職者に刺さったのかを、アイキャッチ、タイトル、内容に要素分解して検討します。

反応の良かったキーワードなどは、他の職種に横展開できるものはないかを考えて類似パターンを作り、どの職種もよりエントリーが集まる募集記事を作るように努力しています。


カジュアル面談に臨むスタンス

越石:カジュアル面談は、希望職種がはっきりしている場合はその部門の責任者を中心に対応し、希望職種がはっきりしていない場合は人事が対応するとうかがいましたが、カジュアル面談ではどのようなことを大切にしていますか?

土屋:カジュアル面談で大切にしているのは、まず会ってみることです。即戦力を求めるときはプロフィールでスクリーニングをしたくなりますが、未経験の人や経験1~2年の人のなかにも、会ってみるとプロフィールには書いていない魅力が沢山ある方がいます。

例えば、一般的にエンジニアは自然応募での採用が難しいという感覚がありますが、弊社の場合、昨年入社したエンジニア3人全員がWantedly経由です。ただ、Wantedlyでの自然応募は情報収集目的で、まだ転職意欲がそこまで高まっていない場合もあるので、あまり期待値を上げずにまず会ってみるスタンスが大切だと思います。

越石:そのスタンスで成功した例はありますか?

土屋:エンジニアで採用した人のなかに、前職が喫茶店のマスターだったり英語の先生だったりした人がいます。いずれも、開発言語を勉強したけど、実務経験はない方々です。

即戦力としては期待できないと思ったけれど、入社して数ヶ月ですぐに戦力になったという意味では、コストを抑えて活躍する人材を採用できた成功事例ではないでしょうか。

エンジニアとしての実務経験がなくても、飲食の現場でお客様に接した経験や問題意識がシステム作りに活かせる可能性がありますし、プログラミングのコードは英語がベースなので、英語の先生はプログラミング言語を学ぶ準備ができているとも言えます。即戦力が求められる中途採用だとしても、履歴書だけじゃ分からないその人の良さを面談を通じて知ることで、少ない予算でも採用ができるかもしれません。

カジュアル面談は、「絶対に採用する」という温度感ではなく、favyについての良い印象を持っていただく方やファンを増やす機会という意識で臨むようにしています。弊社側が採用にガツガツした感じではない、リラックスした雰囲気でのコミュニケーションだからこそ、面談希望者は聞きたいことが素直に聞ける面談になっているかな、と思います。

それと同時に、面談担当者には一緒に働く人は自分で決めるというスタンスで接するようお願いしています。

越石:カジュアル面談では、企業側としても肩肘張らずに「ファンを増やす」という認識で挑むのが成功のポイントかもしれないですね。

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社内で協力してもらえる組織作りで大切にしていること

越石:ベンチャー企業はもちろん、どのような会社でも採用に欠かせないのは社内の協力ですが、そのために大切にしているのはどのようなことですか?

土屋:人事だけでなく会社全体で採用活動するのが当たり前という雰囲気を作ることです。そのために、毎週応援の依頼を社内SNSにアップしたり、採用状況がわかるダッシュボードを社内に公開して、採用情報を常に社員と共有できる環境を作っています。

弊社は、採用判断を人事だけではなく各部門と一緒にする=「全社採用」の体制です。社員全員が責任感を持って、気持ちよく採用活動に協力してもらう環境つくりはとても大切です。

また、人事Divは、社員が自分の業務を止めて採用活動に協力してくれることに、リスペクトと感謝の気持ちを忘れないようにしています。心の中で感謝していても伝わらないので、言葉で伝えるように心がけています。

「全員採用」はfavyの設立当初からの伝統なので、100名規模になった今もその社風を維持できるように新たな工夫を検討しています。

採用でいちばん大切にしていること

越石:最後に、ここまでのお話をふり返って、土屋さんが採用活動でいちばん大切にしていることを教えてください。

土屋:募集記事の作成では、なにが求職者に刺さるかは正直のところ分からないので、とりあえず記事を作ってみて、公開して、結果を見るようにしています。

それと、良い記事を作るためにも、ほどよく会社を好きになることだと思います。会社が好きでないと、事業内容でも組織風土でも会社の良いところを見つけてアピールできないからです。あまり好きすぎても、圧が強くなって引かれてしまうかもしれないなと思って「ほどよく」と表現させていただきました(笑)

ウソは書きませんが、魅力的に事実を伝えるように意識しています。

記事作成において、具体的に大切にしていることは、スマホでの記事の視認性です。Wantedlyさんの場合、PCよりもスマホからの流入比率が高い職種も一定数あると聞きました。求職者にとってスマホからでも見やすい記事になっているかをときどき確かめるように気をつけています。

越石:ほどよく会社を好きになるというのは、面白い表現ですね。

土屋:採用活動はBtoBではなくBtoCのマーケティングだと思います。仕事を探している広い層に向けて、いかに会社の魅力を発信するかというブランディングが母集団形成にとって重要だと考えています。

越石:本日は具体的で貴重なお話をありがとうございました。

質疑応答

Q ミートアップに参加者が集まらず苦労していますが、集客のコツは?

土屋:応募が少ない時は、ミートアップの募集記事のタイトルを書き換えてみています。たとえば「フィールドセールスの責任者と実店舗のサブスクシステムについて話して見ませんか?」など、具体的に〇〇(誰)と〇〇(何)について話してみませんかという呼びかけをすると反応が多かったです。

参考:営業職一筋約15年!フィールドセールスGr長と話してみませんか?

Q 企業ブログや企業SNSがない状態では、Wantedlyの募集記事をどのように拡散したらよいでしょうか?

土屋:個人のSNSを活用してはどうでしょうか。私自身も採用担当になってからX(旧Twitter)のアカウントを開設しました。企業が公式で運用しているブログやSNSよりも、個人のSNSの方が親近感があり信頼感も大きい場合があると思います。

Q 記事の材料やネタはどんなところから拾っていますか?

土屋:基本的には会社であった出来事を材料にしています。社内全体でのイベントがあったときにはそのレポートは必ず書きます。

その他に、他社の記事を参考にして記事の切り口を考えています。ChatGPTにも「人事募集の記事で何かいいネタはありません?」と相談しています。けっこういろいろ答えてくれます。(笑)

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共感採用を実現するWantedlyの機能

募集では「なにをやっているのか」だけでなく「なぜやるのか」「どうやっているのか」といったビジョンや価値観を記載します。

また、Wantedly上でブログを投稿したり、社員をメンバーとして公開できるため、企業の魅力や雰囲気を伝えやすいのも特徴です。

良い会社があれば話を聞きたいと考えている転職潜在層にも知ってもらい、興味を持ってもらうことができます。

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