ウォンテッドリー株式会社が主催する、年に一度の大型カンファレンス『FUZE』。こちらでは、毎年素晴らしい採用実績とWantedlyの運用実績を誇る企業をAWARDにて表彰しています。2021年のFUZEにて、見事【Best Team of the Year BRONZE】を受賞したのは、AnyMind Japan株式会社(以下、AnyMind Japan)でした。
1年間で120名の中途採用を行い、うち50名がWantedlyを活用して採用できたそうです。また20名の新卒内定者のうち、5名がWantedly経由で決まっています。本記事では採用担当の皆さんが母集団形成から内定獲得までの選考プロセスにおいて、どのようにWantedlyを有効活用しているのか具体的に伺っていきます。
【登場人物】
CHRO(最高人事責任者) /水谷健彦さん
HRマネージャー、新卒採用担当 /光沢真実さん
候補者の本音を可視化し、最適なタイミングで必要なコンテンツを用意
ーーWantedlyを用いたダイレクトリクルーティングにおいて、どのような施策を行っていますか?
光沢さん(以下、光沢):AnyMind Japanの採用活動は、募集を出してただ応募を待つのではなく、欲しい人材像を決めて自分たちで採用しに行くダイレクトリクルーティングのスタイルが主流です。Wantedlyはそんな私たちの採用スタイルにとてもマッチしていると感じ、2016年頃から導入をしています。当社は拠点も事業ドメインも幅広く、よく「何をしている会社なのかよくわからない」と言われることもあります。グローバルで展開していることは知られていても、日本国内で何をしているのか知られていないこともよくあります。
その課題を解決する1つの策として、2020年の夏頃からWantedlyの会社ページを作り直し、自分たちのやっていることをわかりやすくまとめることに注力しました。加えて広報チームとも連携し、ストーリーの活用に注力しました。どんな社員がどのように働いているのか、会社の様子を詳しく発信しています。
水谷さん(以下、水谷):Wantedlyを「母集団形成」に使っている企業は多いと思いますが、私たちは選考に進んだ後も有効的に使っています。面接の様子を見ながら、それぞれの候補者に対して必要な情報が載っている記事を厳選して読んでもらうのです。Wantedly以外で選考に進んだリファーラルや人材紹介会社から紹介された人も同様です。
私たちはこれまで数多くの記事を発信しており、どんな候補者にもそれぞれに響く記事を用意しています。その中からリクルーターが必要だと感じた情報を選考タイミングに応じて提供するのです。そのためには、候補者が「何を求めて転職しようとしているのか」を的確に見極めなければいけません。
ーー候補者のモチベーションごとに記事を提供する際に、見ている軸を教えていただけますか?
光沢:候補者の転職の軸を判断するために、AnyMind Japanでは「5P」という考え方を採用しています。5Pとは次の「P」から始まる、5つの要素のことを指します。
水谷:5Pは候補者にとってどれも大事ですが、人によってそれぞれの強度は違います。5Pを用いて、「成長」を求めている候補者には入社して成長できることをアピールした記事を紹介しますし、理念を重要視している候補者には、理念に共感して入社したメンバーの記事を紹介します。
▼ストーリーの中で「Profession(成長)」をテーマにした人気記事
・グローバルMVPから失意のどん底も経験。酸いも甘いも嚙み分けたAnyMindでの4年間
・執行役員・山田が語る年齢・性別・国籍を問わず若手が活躍できるAnyMindでのキャリアとは
1次面接が終わった段階で、人事は候補者がどの「P」を重視しているのか判断し、必要な記事を選ぶしくみです。選考が進む中で興味関心が変わることもよくあるので、候補者の様子をよく見ながら、適宜必要な情報を提供しています。
「頭のなか」を言語化する、独自のフォーマットを特別公開
ーー転職軸の見極めにはリクルーター側の手腕が非常に求められるかと思いますが、見極める際のコツはありますか?
水谷:相手の興味関心を探るには、リクルーターに熟練のスキルや経験が必要だと思われるかもしれませんが、フォーマットさえ使えば誰でもできると思います。
光沢:このフォーマットができてから、私たちはまず人事や面接官などを全員集めて、自分たちがどの「P」に関心があってAnyMind Japanに入社したのかを思い出してもらうことから始めました。自社に魅力を感じたポイントを言語化し、候補者に伝えるためのトレーニングを実施したのです。社員たちがどのポイントに惹かれて入社したのか把握でき、候補者の価値観に合わせて柔軟に面接官を調整できるようになりました。
光沢:このフォーマットを面接中に利用する際には「当社のどこに興味を持って応募しましたか?」とヒアリングし、フォーマットに「○/×/△」を埋めていくだけです。シンプルなフォーマットなので、どのリクルーターでも同じレベルでヒアリングできています。
また、大事なのは、同時に選考を受けている他社についても聞くことです。採用活動は私たちが候補者を選ぶだけでなく、私たちも候補者に選ばれなければいけません。他社選考のことも把握することで、次に提供するコンテンツや選考のタイミング、面接官の組み合わせなどの戦略を立てられるしくみになっています。
ーー非常に戦略的に実施されているのですね。競合と比較して自社を魅力づけする際に注意していることとは?
水谷:5つの項目全てで他社に勝つ必要はありません。自社の強みを認識し、そこで徹底的に戦えばいいのです。
私たちが特に強みだと感じるのは「成長」「仲間」「フィロソフィー」の3つ。ここを重要視している候補者なら、私たちは他社に負けないように魅力を伝えていきます。ただし「仲間」に関しては、大事なことではあるものの他社との差別化要因としては考えていません。なぜなら「いい仲間がいる」のは、どこの会社でも言えるからです。そのため「成長」と「フィロソフィー」の2つを重点的に伝えています。
「成長」では、弊社には入社3年足らずで事業責任者になり数十名のメンバーを束ねている人材が複数人います。そういう人をフィーチャーした記事を読んでもらえれば、成長を求めている人にはまず響きます。「フィロソフィー」に関しては、私たちがアジアを代表する会社になる可能性を提示した記事を読んでもらうことで、大きな魅力に感じてもらっています。
ーーこのフレームワークを用いたことで、どのような人材が採用できましたか?
光沢:Wantedly経由で採用できた人材は、軒並み成長意欲の高いメンバーばかりです。「若いうちから裁量をもって働きたい」という方ばかりで頼もしいです。成長意欲の高い人材は引く手あまたかと思いますが、当社に入社してもらえたのは、Wantedlyのストーリーによる情報提供が功を奏しているからだと思います。ストーリーを作る際には想定する読者を細かく決めてから書き始めているので、応募者の方々にも魅力を効果的に感じてもらえているはずです。
また、1次面接が終わった段階で、それぞれの候補者について「何を大切にしているのか」を代表の十河含めて面接官全員に共有します。それを踏まえ、誰がどういう方法で、どの情報を、いつ伝えるのかを人事部が細かく設計して進められています。
全社員を巻き込んで掴み取った、悲願の「Best Team of the Year」
ーー人事部だけでなく、会社全体を巻き込んで採用活動が行えている秘訣はありますか?
水谷:代表の十河がダイレクトリクルーティングを重要視しているので、社員にもリファーラルの重要性を伝えていました。そのため、数年前から「採用は人事だけでなく、社員全員でやるもの」という考えが定着していました。
また、私達が面接をお願いしているのは「現場のエース級」の社員。社内で表彰されるような社員が面接官に起用されています。そのため、社員にとっては面接に呼ばれるのは栄誉なことであり、嬉しいこととされています。本人も事業部長も面接を任されることを喜んでくれているので、採用活動に対しても意欲的でいてくれます。
ーー全社員を巻き込み、Best Team of the Yearに。受賞された時はどんなお気持ちでしたか?
光沢:非常に感慨深かったです。私が始めてAWARDに参加したのは、AnyMind Japanに入社した2017年でした。まだWantedlyを使い始めたばかりのころで、表彰されている企業を見て圧倒されたのを覚えています。受賞企業のスピーチに感動した私は、その直後に全社員の前で「来年は絶対、WantedlyのAWARDで受賞してみせます!」と宣言したほど。その時から数年が経ち、当時の夢を実現できました。受賞できて安心したのと同時に、改めてもっと高みを目指さなければいけないと思いました。
水谷:私も嬉しかったですね。Wantedlyを自社で運用して採用できていると思っていたのですが、Best Team of the Yearに選んでもらえるくらいに効果が出ていたのだと改めて実感することができました。自分たちがやってきたことに胸を張っていきたいです。
ーー最後に、お二人が採用という仕事で成し遂げたいことを教えて下さい。
光沢:私は、仕事における高い壁を超えられたときに非常にワクワクします。AnyMind Japanに入社し5年が経ちますが、一度も仕事に飽きたことがないんです。それほど仕事も会社の事業も変化のスピードが早く、常にレベルの高い仕事を求められているからです。去年より今年、昨日より今日と、日々乗り越えるべき壁を高く積み上げてきました。この壁を超える瞬間を今後もたくさん作っていきたいです。
水谷:私は、今の会社のレベルより高いレベルの人材を採用し、彼・彼女らにしっかりパフォーマンスを出してもらえた時が採用の醍醐味だと思っています。人事の仕事は自分たちより高いレベルの人材を採用し、活躍してもらうことだと思います。採用の結果、会社が成長し、よりレベルの高い人材を採用でき、更に会社が成長するといった好スパイラルを生み続けていきたいです。
ーー感動的なメッセージ、ありがとうございました!改めてこの度は受賞おめでとうございました。