面接官が聞いてはいけないタブーの質問

面接官のタブーな質問|厚生労働省の禁止事項から意欲低下の質問まで解説

採用のための面接においては、候補者の基本的人権を尊重し質問内容を決める必要があります。社会的差別につながるような質問をしてはいけません。場合によっては法令違反となり、罰則を課せられることもあります。

本記事では、面接官が候補者に行ってはいけない質問の具体的な内容や、適切な質問を行うポイントを紹介します。

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面接官に求められる役割と選考基準

面接官は、企業のこれからを担う人材を見定めるために必要な情報を引き出すという重要な役割を担っています。具体的な役割と選考基準は次のとおりです。

1.公正な採用選考

採用面接では、公正な採用選考が不可欠です。面接官自身の思い込みや受けた印象など、主観的なイメージで選考しないようにします。客観的な情報をもって、選考基準にマッチする人材かどうかを見極めましょう。

【参考】構造化面接とは?進め方と質問例・メリット・注意点
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/structuralization/

2.適性・能力で合否を判断する

日本では、すべての人が自由に職業を選択でき、企業側にも採用の自由が認められています。とはいえ、候補者の基本的人権を侵害するような採用手法は認められません。

選考にあたっては候補者の適性や能力で合否を判断するようにします。本人の能力以外の部分、たとえば家族に関することなどを質問して、その回答によって合否を判断してはいけません。

選考から入社後まで意識すべき候補者体験については以下の記事で解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/recruiting_textbook_3

厚生労働省の定める公正な採用選考の基本

厚生労働省の定める公正な採用選考の基本

厚生労働省は採用におけるガイドラインを定め、企業に対して公正な採用選考を実施するよう求めています。採用選考にあたっては、前項で紹介した公正な採用選考と、合否の判断は適性や能力で行うことを基本としています。

公正な採用選考を実施するために、雇用条件や採用基準に合致するすべての人が応募できる原則を確立しましょう。

たとえば、候補者の家族状況や生活環境を理由に応募できないようにするのは公正さを欠いています。職業差別や社会的差別につながるような個人情報の収集も認められていません。

厚生労働省により禁止されていること

1.本人に責任のない事項の把握
・本籍、出生地に関すること
・家族に関すること
・住宅状況に関すること
・生活環境、家庭環境に関すること

2.本来自由であるべき事項の把握
・宗教に関すること
・支持政党に関すること
・人生観、生活信条に関すること
・尊敬する人物に関すること
・思想に関すること
・労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)
・学生運動など社会運動に関すること
・購読新聞、雑誌、愛読書などに関すること

3.不適切な選考方法
・身元調査などの実施
・必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施

面接官が聞いてはいけないタブーの質問例

採用面接の際に面接官が聞いてはいけない質問例を、具体的に確認していきましょう。

1.本人の責任ではない事項に対する質問

本人が努力しても解決できない、次のような事柄を聞くのはタブーです。

  • 出生地はどこですか
  • 現在の本籍地はどこですか
  • ご両親の健康状態はどうですか
  • ご両親のご職業を教えてください
  • ご両親に離婚歴はありますか
  • 配偶者の職業は何ですか
  • 住まいは持ち家ですか
  • 実家に住んでいるのですか
  • 自宅の近くに○○(施設や店舗など)はありますか
  • 長男とのことですが、家業を継ぐ予定ですか など

2.本人の自由であるべき事項に対する質問

個人の信仰する宗教や思想・信条は自由です。採用選考でこれらの質問をして、その回答を合否の判断にすることは基本的人権の侵害にあたります。

  • あなたは神を信じていますか
  • 信仰する宗教はありますか
  • 支持している政党はありますか
  • あなたの人生観を教えてください
  • 信条としている言葉はありますか
  • 尊敬する人物を教えてください
  • これまでデモに参加したことはありますか
  • 定期購読している新聞はありますか など

このほか、結婚や出産の予定はあるか、出産後も仕事を続けたいかなどの質問もタブーです。結婚や妊娠に関する質問は、男女雇用機会均等法に抵触する可能性があります。

タブーかどうか判断が難しい質問例と対処法

タブーかどうかの判断が難しい場合は、基本的に「質問しない」ほうがよいです。

たとえば、「候補者の犯罪歴に関する質問をしてはいけない」と法律で定められてはいませんが、業務に関係のない犯罪歴はタブーとみなされます。

そのほか、リモートワークを実施しているために自宅の状況を聞きたい場合でも、細かな間取りや家族に関する質問はNGです。ただし、インターネット環境や業務を遂行できるスペースがあるかなどの質問はタブーではありません。

面接官がタブーの質問をしてしまった場合

面接官がタブーの質問をしてしまった場合

面接官がタブーとされる質問をした場合、求職者がハローワークや厚生労働省に訴える可能性があります。その場合、厚生労働省から改善命令が発せられ、従わなかった場合には6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。

ハローワークや厚生労働省に訴えられることがなくとも、求職者がSNSなどで面接での悪印象を広めることもあるでしょう。そうなれば、企業ブランドの毀損や応募の減少といった損失を被る可能性も懸念されます。

もしタブーとされる質問をしてしまったら、すぐに質問内容を訂正し、回答内容が合否に影響しないことと、回答が必須でないことを求職者に伝えましょう。

候補者の入社意欲を下げてしまう面接官のNG行動

タブーな質問をしていなくても、候補者の信用を失い、企業イメージを著しく下げてしまうケースはよくあります。

面接官は「企業の顔」です。候補者は面接官を通して入社後の上司・先輩像をイメージするため、「一緒に働きたくない」と思われてしまえば、選考離脱・内定辞退につながります

以下のNG行動をしないよう、質問内容だけでなく、態度や身だしなみにも十分注意しましょう。

面接官のNG行動
・横柄な態度を取る
→あくび、腕組み、椅子にもたれかかる、にらみつけるように見る、候補者の発言を頭ごなしに否定する、他社を批判する、無視する

・候補者と目を合わせない
→ずっとメモをとっている、面接評価シートに気を取られている

・服装や髪型に清潔感がない
→ヨレヨレのスーツを着ている、前髪が目にかかっている

人手不足による採用競争の激化により、今は「候補者から企業が選ばれる時代」です。自社に関心をもってくれた候補者を失望させることのないよう、謙虚かつ真摯な姿勢で面接に臨みましょう。

失敗を防ぎ、質の高い面接をするためのポイント

面接を成功させるためには、面接官の失言を防ぐことはもちろん、候補者が自社とマッチしているか正しく見極めることが重要です。面接の精度を高めて採用成功するためには、次の5点を押さえましょう。

1.マニュアル作成・研修によって面接官教育を行う

面接経験の少ない新人面接官ほど正しいルールを理解しておらず、タブーな質問をしてしまいがちです。

そのため、面接官向けのマニュアルを作成し、厚生労働省の定めるルール・基本的な考え方・過去にあった失敗事例などを共有することで面接官教育を行いましょう。座学だけで終わらせず、本番を意識したロールプレイングにて実践力を磨き、互いの言葉遣いや印象へのフィードバックを行うのがオススメです。

ただ、面接官の不適切な発言や態度は、慣れによる慢心が原因の場合もあります。そのため、面接官教育は定期的に実施し、外部講師によるマナー講座も取り入れてみましょう。

以下の記事では、面接官が心得ておくべき知識や面接官トレーニングの手法を解説しています。ぜひあわせてご確認ください。

【参考】面接官トレーニングで自社にあった人材を採用する|面談・面接に役立つナレッジを解説
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/interviewer_training/

2.採用基準を明確にする

採用基準が曖昧で、質問内容が面接官の裁量に任せられている状態だと、不適切な質問・発言を引き起こす要因となります。

「◯◯という採用基準を満たす人材かどうか確かめるために、◯◯について質問する」というのが面接の正しい形です。

採用基準を明確化すれば、タブーな質問を防げるだけでなく、公平かつ客観的な評価ができるようになり、自社にマッチした人材かどうか正しく見極められるようになります。

【参考】採用基準とは?設定方法から知っておくべき注意点まで徹底解説https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/hiring_standards/

3.面接評価シートを用意し、事前に質問を考えておく

場当たり的に候補者へ質問してしまうと、うっかり不適切な発言をしかねません。

候補者を正しく評価するためにも、質問は事前に考えておき、「1次面接では◯◯、2次面接では△△を聞く」などと、選考ステップごとにある程度質問事項を固定しておくのがオススメです。さらに面接評価シートも用意しておけば、聞き漏れ・評価のブレを防げます。

ただし、面接で大事なのは候補者とのコミュニケーションです。「対話」を意識し、一問一答にならないよう注意しましょう。

【参考】面接評価シートの作り方|新卒・中途別にポイントを解説https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/interview_sheet/

4.アイスブレイクで話しやすい雰囲気をつくる

面接前のアイスブレイクには、候補者の緊張を和らげ、自己開示を促す効果があります。候補者の本音を引き出せるような環境をつくることで、ミスマッチを防ぎましょう。

また、面接の雰囲気や面接官の態度は、候補者の志望度や企業イメージに大きく影響します。ぜひ以下の記事を参考にし、アイスブレイクによって候補者との信頼関係を築きましょう。

【参考】面接のアイスブレイクで必ず盛り上がる鉄板の質問7選|NG例も紹介https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/ice_break/

5.カジュアル面談を導入する

どんなにアイスブレイクで話しやすい雰囲気をつくっても、合否が決まる面接の場で本音を話してくれる候補者はそう多くありません。そこで、お互いがフラットに話せる「カジュアル面談」を1次面接前に導入するのがオススメです。

カジュアル面談は「候補者と企業の相互理解」を目的としているため、面接と違って合否判定はありません。候補者の本音が聞けるためミスマッチが防げるうえに、候補者の企業理解度・志望度の向上が期待できます。ぜひ採用フローに組み込んでみましょう。

Wantedlyでは、カジュアル面談で必ず知っておくべき知識や失敗しないための方法などのノウハウを1つの資料にわかりやすくまとめました。ぜひ一度ご確認ください。

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【参考】カジュアル面談とは?進め方や効果的な面談のコツを解説https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/casual_interview/

面接を改善して採用成功した事例

適切な面接は採用にも好影響を与えてくれます。実際に面接を改善して採用に成功した企業の事例を確認し、採用面接の改善にお役立てください。

1.カジュアル面談の導入で成功|Dreamly Ltd

Dreamly Ltd

Dreamly Ltdは、面接よりも求職者のことを理解しやすいカジュアル面談を実施して採用に成功しました。同社がカジュアル面談を導入する前は、ミスマッチによる離職が発生していたためです。

面接では、どうしても企業側が聞きたいことを聞くスタイルになってしまい、求職者の希望や想いを深く聞くことはできません。同社のカジュアル面談では、企業のいい面も悪い面も正直に伝えてミスマッチを埋めているそうです。

固いイメージのある面接を行う前にカジュアル面談を実施することで、企業側も求職者側も素直に想いを伝えられます。

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2.採用基準の明確化で成功|株式会社カケハシ

株式会社カケハシの採用基準は「ミッションやバリューに共感すること」。

働くモチベーションが企業のカルチャーやバリューに合うことがもっとも重要だと考え、面接では「いつ、どのようなときにワクワクするのか」と質問し、一番ワクワクしたことを深く掘り下げるようにしています。

具体的なエピソードを聞くことで候補者の性格や業務適性を把握し、自社とのマッチングを見極めることに成功しています。

【参考】理想の組織を創るために「どんなときにワクワクしますか」と問う|#4 カケハシCEO中川貴史氏
https://www.wantedly.com/hiringeek/interview/rc_kw4/

3.質問事項を刷新して成功|株式会社トレタ

株式会社トレタ株式会社トレタは、行動指針のリニューアルにあわせて、行動指針にフィットする人材を採用するために面接の質問を刷新しています。

企業理念・ミッション・行動指針をリニューアルすると、マッチする人材像にも変化が生じます。「この指針に合う人材を見極めるために必要な質問は何か」を考え、質問をあらかじめ設定しておくことで、タブーの質問も避けられます。

【参考】【ここだけの話】トレタの人事面接を大公開!
https://www.wantedly.com/companies/toreta/post_articles/314792

まとめ

面接の場では、面接官が求職者を見ているのと同時に、求職者は面接官をとおして企業を見ています。面接において評価するのは、求職者の適性や能力であり、パーソナルな部分ではありません。

面接官が適切な面接を実施できるよう、マニュアルの作成や研修の実施が求められます。面接官や求職者へのアンケートも参考にしながら、面接内容をブラッシュアップしていきましょう。

以下の記事では、これからの採用に必要な基本的な考え方や、採用のトレンドについてわかりやすくまとめています。ぜひあわせてご覧ください。

【採用の新常識】上手くいかない採用から脱却するために必要な考え方
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