内定者研修は、内定者フォローにおける施策のひとつで、主に内定辞退の防止や内定者のスキルアップを目的として実施されます。
内定者にとって有意義な研修にするために、企業はどのようなテーマで内定者研修を用意すればよいのでしょうか?本記事では、内定者研修の内容と成功させるためのポイントを、成功事例とあわせて紹介します。
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内定者研修の内容
内定者研修の内容は、交流会やグループワーク、事業内容の説明などさまざまなものがあり、下記のようなテーマのもとに実施します。
- 人間関係の構築
- ビジネスマナー等の習得
- 企業や仕事内容の理解
- 社会人としてのマインドセット
1.人間関係の構築
新卒内定者同士の交流会やグループワーク、社員との食事会・親睦会で人間関係の構築を促すべく、研修会が実施されています。
社員との交流では、採用担当者だけでなくさまざまな部署の社員・役員も交え、内定者が気軽に相談できる場を提供します。
2.ビジネスマナー等の習得
新卒内定者は、はじめて社会に出るため一般的なビジネスマナーを身につけていないことがほとんどです。そのため、入社前にビジネスマナーを身につけられる研修を実施する企業は多くあります。
また、Microsoft Excelなど入社後に使用するソフトの基本操作を学ぶ研修を実施することもあります。
3.企業や仕事内容の理解
企業概要や沿革、事業内容の説明、施設や設備の案内などを行う研修も一般的です。説明会だけでは伝えられない実際の現場を見せることで、内定者自身が働く姿をイメージしやすくなります。
研修の中で、先輩社員の体験談を伝えることもあります。
4.社会人としてのマインドセット
新卒内定者が入社後の環境に適応しやすくなるよう、社会人に必要な心構えや態度を研修で学んでもらいます。
企業によって適するスタイルは異なりますが、髪色や服装などの基本からあらためて伝えることも大切です。電話の取り方やメールの送信方法なども盛り込むとよいでしょう。
内定者研修の目的
内定者研修を行う目的は複数あります。企業と内定者の双方にメリットのある研修になるよう、実施前に研修の目的を明確にしておきましょう。
1.内定者の不安を解消する
内定を出してから入社までの間、内定者はさまざまな不安を抱えています。社会人としてどのように振る舞ったらよいか、すぐに仕事を覚えられるのかなどの不安は研修で解消しましょう。
内定者の不安解消に努めることは、内定辞退防止の観点からも重要です。研修の実施で入社意欲の向上・維持を図りましょう。
2.内定者の早期戦力化を狙う
前述したビジネスマナーやマインドセットを働きながら身につけてもらうのではなく、事前に学んでもらうことで、入社後は業務に関する教育に注力できます。
新入社員への教育は現場にも負担が大きいです。教育担当者の負担軽減のためにも、研修を実施して早期戦力化を目指します。
3.内定者の辞退を防ぐ
研修で不安の解消に努めながら企業への理解を深めることは、入社意欲の向上につながります。企業にとって大きな損失につながる内定辞退を防ぐためにも、入社まで定期的に研修を実施しましょう。
内定辞退を回避する、選考から入社後まで意識すべき候補者体験については以下の記事で解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/recruiting_textbook_3
内定者研修を行う重要性
内定者研修には、内定辞退に加え入社後のミスマッチを防ぐ役割もあります。
2021年10月に厚生労働省が公表したデータによると、2020年の就職後3年以内の離職率は高校新卒で36.9%、大学新卒31.2%でした。新卒を10人採用しても、3人は早期に離職してしまう計算です。
データ引用:新規学卒就職者の離職状況を公表します(厚生労働省)
企業に大きな損失をもたらす早期離職の原因のひとつに挙げられるのが、入社後のギャップです。
内定者研修で企業理念やビジョン、カルチャー、先輩社員の実体験を伝えれば、入社後のギャップを埋められます。ギャップの解消には内定者インターンも役立つでしょう。
内定者研修を成功させるポイント
せっかく内定者研修を行うなら、企業と内定者双方に実りのある研修にしたいものです。研修の目的を達成できる内定者研修にするために、採用担当者が知っておきたいポイントを5つ紹介します。
1.内定者研修の目的とゴールを明確にする
内定者研修の内容を決める前に、何を目的に実施するのか、目指すべきゴールはどこにあるのかを明確にします。目的とゴールを設定しておけば、研修の内容も自ずと見えてくるものです。
内定者同士の連帯感を高め内定辞退を防ぎたいのなら、グループワークが適しています。社員教育の負担軽減が目的なら、ビジネスマナー研修や内定者インターンシップを実施するとよいでしょう。
研修ごとに実施の目的を内定者に伝えておくと、内定者側も研修にどのような姿勢で臨めばよいのかわかります。実施後は、目的どおりの効果が得られたかを測定・分析して、次回以降の研修に役立てましょう。
2.内定者の目線でも内容を考慮する
企業側が達成したい目的だけを考えず、内定者が求める内容も盛り込みます。一方的な内容にせず、内定者の不安に寄り添うわかりやすいプログラムを用意しましょう。
新卒内定者が抱える不安を解消できるよう、適宜質疑応答を交えながら進めていくのもオススメです。
3.現場で求められるスキルにあった研修内容にする
企業あるいは部署によって、現場で必要になるスキルは異なります。配属部署が決定した後は、デスクワークが中心なら各種ソフトの使い方を、営業なら顧客対応の方法などを学んでもらうとよいでしょう。
また、プログラムの決定および研修実施の際には、現場の社員にも同席してもらうとより具体的で役立つ研修を実施できます。
4.内定者の特性やスキルを把握する
内定者それぞれの特性やスキルを把握したうえで内容を決めることも重要です。
はじめの研修では、内定者をよく観察して選考過程で把握しきれなかった内定者の特性やスキルの理解に努めます。その後、入社前に身につけてもらいたいスキル、伸ばしたいスキルに沿った研修を実施し内定者のフォローアップを行いましょう。
5.あらかじめスケジュールを設定しておく
内定者は、卒業まで学生の期間が続きます。試験や卒業論文に忙しい学生も多いでしょう。「来週研修を行います」と直前に通知するのでは、参加できない学生が出てきてしまいます。
あらかじめ研修の実施日を定めて伝えておけば、学生側もスケジュール調整が可能です。参加率を向上させ、内定辞退防止効果を高めましょう。
【参考】内定者へのフォローメールの書き方|参考例や注意点も解説
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/followmail/
内定者研修の成功事例
内定者研修を実施している企業はどのような取り組みを行っているのでしょうか。ここからは、内定者研修の成功事例を紹介します。
株式会社アルプスピアホーム
「株式会社アルプスピアホーム」では、複数回の内定者研修を行い内定者同士の交流を深めています。
2021年7月の第2回内定者フォロー研修では、内定者の交流と社会人としてのスキルを高めるためのプログラムを実施。
内定者がお互いにインタビューをする形式で、同期になる内定者がどのような人物なのかを深掘りしていきます。また、インタビューには、住宅メーカーに必要な「顧客が望む家づくりをするための聞き取り力」を高める目的もあるそうです。
さらに、内定者がSWOT分析で同社の強みや弱みを把握するプログラムも盛り込んでいます。これから入社する企業を内定者自らが分析することによって、企業のよい部分だけでなくこれから取り組むべき課題も把握してもらえます。
【参考】第2回内定者フォロー研修を行いました!(株式会社アルプスピアホーム)
https://www.wantedly.com/companies/company_2484100/post_articles/337152
株式会社ネタもと
「株式会社ネタもと」では、新卒内定者向けにインターンを実施。具体的には、テレアポ業務を内定者に任せています。
テレアポ業務には、基本のビジネスマナーや電話に関するスキルが必要です。同社のインターンは、社会人としての基本姿勢・ビジネスマナーを実地で身につけられることが特徴です。
研修の合間に先輩社員に助言を求めたり、ランチができたりと、社員と交流できる環境も整えています。
【参考】周りと圧倒的差をつけられる!? ネタもとの大好評・内定者インターンに迫る
https://www.wantedly.com/companies/company_6596144/post_articles/352800
株式会社セレス
「株式会社セレス」は、スマートフォンメディアを中心に、モバイルサービスの企画や開発・運営を行う企業です。
内定者研修の最後のプログラムに新規事業立案を盛り込んでいます。内定者には少々ハードルの高いプログラムといえますが、チームワークの醸成や事業への理解度が深まることが特徴です。
新規事業立案に着手する前には、広告用語やWebサービスの基本など、立案に必要な情報やスキルを身につけられる研修も実施しています。
【参考】【20卒内定者研修】“新規事業立案編”(株式会社セレス)
https://www.wantedly.com/companies/ceres-inc/post_articles/330260
まとめ
内定者研修は、企業と内定者双方に重要な意味を持つものです。内定者フォローの一環として複数回実施し、入社意欲の向上に努めましょう。
内定者研修を実施する場合は、目的を明確にし、事前に内容とスケジュールを決めておきます。実施による効果の測定と分析を重ね、より効果的な研修を実施できるよう取り組むことも大切です。
成功事例を参考に、内定者にも実りの多い研修を実施しましょう。
選考から入社後まで意識すべき候補者体験については以下の記事で解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/recruiting_textbook_3