地方採用で起きがちな課題から考える|採用成功に必要な6要素

地方での採用活動は、都市圏への人材流出を背景に厳しさを増しています。

地方企業の採用担当者は、どうすれば地方での採用を成功できるのか頭を悩ませているのではないでしょうか。

そこで本記事では、地方採用を取り巻く現状や課題、地方企業の採用を成功に導くための重要ポイントを解説します。

さらにオススメの採用手法と具体的な成功事例まで解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

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地方採用の現状

地方採用は「労働人口の減少」および「三大都市圏への人口集中」により、ますます厳しい状況です。

ただし一方では「有効求人倍率の減少」がみられ、採用する側にとっては有利にはたらく傾向もみられます。

以下でそれぞれのデータを用いて地方採用の現状を解説します。

労働人口の減少

国土交通省が発表した「地方における人口・労働力の変化」によれば、2020年から2050年までに地方の労働人口は約40%減少すると試算されました。

引用:国土交通省「地方における人口・労働力の変化」

少子高齢化の影響で生産年齢人口が減り、都市部でも労働人口が減ると予想されています。今後、全国的に採用難が進むでしょう。採用難が進めば地方の人材へもターゲットを広げる大都市の企業が増え、地方企業の採用はますます困難になります。

三大都市圏への人口集中

国土交通省の調査により、東京圏・名古屋圏・大阪圏の三大都市圏への人口集中が示されています。とくに東京圏の増加が顕著です。

一方で、三大都市圏以外にあたる地方圏が占める人口割合は年々減少しており、調査時点では48%にまで低下しています。

引用:国土交通省「東京一極集中の是正方策について」

今後も三大都市圏への人口集中は継続する傾向にあるため、減少する労働人口がさらに三大都市部へ集中するといった事態が予想されます。

地方採用においてはますます厳しい状況となるでしょう。

有効求人倍率の減少

厚生労働省の調査によると有効求人倍率は、2018年(平成30年)までは増加傾向でしたが、2019年(令和元年)以降は減少傾向に転じています。

有効求人倍率の減少は「人材採用における競争率の低下」を示すため、採用を行いたい企業にとっては有利にはたらくでしょう。

ただし、コロナ禍における一時的な傾向とみることもできます。

また労働人口の減少と三大都市圏への人口集中を勘案すると、地方採用が今後も厳しい状況におかれることには変わりありません。

引用:厚生労働省「一般職業紹介状況」

地方採用に起きがちな3つの課題

地方採用では、どのような課題が起きがちなのでしょうか。ここでは3つの課題を紹介します。

1.自社の採用課題が明確になっていない

はじめに考えられるのは、自社の採用課題が明確になっていないことです。漫然と「人手が足りないから、人材を確保したい」と採用を進めていると、無駄が生じてコストや工数がかさんでしまいます。

採用課題が明確になれば、候補者に求めるスキルや経験がクリアになります。ターゲットが明確になれば適切なアプローチができ、スムーズに採用活動が進められるでしょう。

2.母集団が不足している

地方は大都市と比べて人口が少なく、人材の母集団が不足しています。さらに、全国的な労働人口の減少から地方人材の採用に力を入れる大企業が増え、地方採用はますます難しくなりました。

大企業と比べて、地方の中小企業は知名度が低く、積極的にアピールしなければ求職者に気づいてもらえません。自社の知名度が上がれば、応募も増えます。広報は採用活動の一環と考え、予算や人員を割いてみましょう。

3.全国の人材にアプローチできていない

地方で採用活動を進めると、地元の求職者にばかり目が向いてしまいますが、全国に目を向ければ、人材の母集団は一気に拡大します。

近年では、U/Iターンなど都市部から地方に移住する人材が増えています。さらに、リモートワークを導入する企業の増加にともない、遠方に住む人材を採用するケースも増えました。地元の人材だけでなく、全国の求職者にアプローチしてみましょう。

地方採用を成功させる6つの重要ポイント

地方での採用を成功させるためには、どのようなことが効果的なのでしょうか。

ここでは地方採用を成功に導く重要ポイントを6つ紹介します。

1.採用課題とターゲットを明確にする

効率の良い採用活動を進めるためには、採用課題とターゲット人材を明確にしなければなりません。ターゲットが定まっていなければ、より多くの候補者へのアプローチが必要となってしまいます。

自社の課題を明確にして、その課題を解決してくれる人材をピンポイントに狙いましょう。

よくある採用課題と解決方法については以下の記事で解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

【参考】採用課題の見つけ方|全5パターンの課題と解決方法
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/issue/

2.自社の魅力を発信する

労働人口が減少している昨今では、待っているだけでは人材を採用できません。積極的に自社の魅力やユニークな制度をアピールして認知度を高め、攻めの採用を行いましょう。

事業内容や地方ならではの魅力を洗い出せば、必ず発信できる内容があるはず。発信できる内容が見つからない時は外部業者に発信を委託しても良いでしょう。

最近では、認知度や求職者の入社意欲を高める施策として「採用ブランディング」が注目されています。以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご確認ください。

【参考】採用ブランディングを成功に導く進め方とポイント|各社の施策事例も紹介https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/branding/

3.U/Iターン人材へアプローチする

地方採用を成功させるには、U/Iターン人材へアプローチするのも一つの手です。

ここ数年、リモートワークの普及を機に移住する人材が増えてきています。

引用:ウォンテッドリー「移住と働き方に関する調査結果」

また、就活生にアンケートをとったところ、「22卒の4人に1人、23卒の3人に1人以上がU/Iターンの可能性あり」と回答しています。

引用:ウォンテッドリー「就職活動に関する調査結果」

そのため、地元の「居住者」にばかり目を向けるのではなく、Uターンの可能性が高い地元「出身者」にアプローチすれば、採用成功の確率を高められるでしょう。

U/Iターンを希望する人材にアプローチする際は、ダイレクトスカウトが効果的です。

Wantedlyでは登録者に直接メッセージを送り、地方にいながら全国の人材にアプローチすることができます。

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4.副業・業務委託として募集する

近年、働き方やライフスタイルが変わり、フリーランスとして働く人材や、副業(複業)する人材が増えてきています。

そのため、とくに正社員雇用にこだわる理由がないのであれば、副業・業務委託として求人募集してみるとよいでしょう。

実際、地方企業による副業募集はここ数年で急増。応募数も同様に伸びていることから、副業需要の高まりが見てとれます。

引用:ウォンテッドリー「仕事の動向に関する調査結果」

正社員に限定して募集すると、採用要件にマッチする優秀層を取りこぼしてしまう恐れがあります。副業・業務委託を視野に入れることで、より多くの母集団を獲得していきましょう。

5.地方企業への就職に安心感をもってもらう

地方企業への就職は、都市圏に住み慣れた求職者にとっては不安です。

そこで、以下の対応により安心感をもってもらいましょう。

・社内のU/Iターン者にヒアリングした内容を、自社サイトや求人ページなどに掲載する
・家賃補助や引っ越し費用補助など、移住支援制度を設ける
・自然が多くて気候的に過ごしやすいなど地方ならではのメリットを提示する
・一次選考などで候補者に「地方で働く上で不安に思うことがないか」を確認しておく

6.Web面接などオンライン採用の環境を整える

都市圏に住む候補者の選考には、Web面接などによるオンライン採用が欠かせません。

ただしWeb面接の運用に慣れるまでは、通信周りでのトラブルが起きがちです。

Web面接を行う際は、事前に社内での通信テストを行うようにしましょう。

その他にも対面での面接とは注意すべき点が異なるため、以下の記事も参考にしてください。

【参考】オンライン面接(Web面接)をスムーズに進めるポイントを解説
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/online_interview/

また、適性試験もオンラインで行えるサービスを利用し、一定の選考段階まではオンライン上で完結できる環境を整えておきましょう。

具体的には、一次・二次面接まではWeb面接、適性試験もWeb試験で行い、最終面接のみ対面で実施するような流れとなります。

地方採用の成功にオススメの採用手法

地方採用を成功させるためにはどのような採用手法が効果的なのでしょうか。

ここでは地方採用を成功に導く採用手法を紹介します。

1.採用広報

採用広報とは、自社で働くイメージをもってもらうため、企業が自社メディアやSNS、各種サービスなどを用いて情報発信することです。

求職者や転職潜在層をターゲットとして広報活動することで、企業理解を促し、自社を就職先・転職先として検討してもらうことを目的とします。

基本的な募集要項だけでなく、具体的な仕事内容や働き方、職場の雰囲気、企業理念や現場の声をコンテンツとして配信し、多くの魅力を伝えていきましょう。

具体的には、SNSを用いて「職場や社員の様子を紹介する」「ライブ配信を使い、勉強会や社内イベントを配信する」などさまざまな企画が可能です。

採用広報の進め方や手法は以下の記事で解説しています。ぜひあわせてご確認ください。

【参考】採用広報とは?成功させるポイント・メリットを徹底解説【事例付き】https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/recruiting_pr/

採用広報にはさまざまなツールがありますが、なかでもビジネスSNS「Wantedly」のストーリー機能がオススメです。

全国300万人の登録者に向けて、簡単に企業のビジョンや価値観、カルチャーを発信できます。

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2.地方に特化した求人媒体

地元の人材を採用する場合、ローカル情報に特化した媒体は強い味方になってくれます。たとえば、地域に密着した求人誌やウェブサイトがこれに該当します。

そのほかには、地方新聞の求人欄や、ローカルフリーペーパーのお知らせ欄などがありますが、若手人材は紙媒体を確認していないことも多いです。

これらの媒体は、掲載した分費用がかかってしまうので、費用対効果を検証しながら掲載媒体を選別していきましょう。

【参考】求人広告の無料・有料15サイトを徹底比較|掲載費用の一覧表つきhttps://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/advertising_cost/

3.地方大学を訪問

地方大学生の新卒採用を目的として、自社の活動エリア内にある大学を訪問します。既に地方大学に通う学生であれば、同じ地域で働くことへの抵抗は少ないでしょう。

具体的には、学内での合同説明会への参加や個別説明会の開催を、大学の就職担当者へ打診します。

就職担当者も学生の就職支援に積極的なため、前向きに対応してもらえる場合がほとんどです。面談のなかでうかがえる新卒予定者の動向に関する情報も非常に有益です。

さらに就職担当者の自社に対する理解や印象を深めてもらえれば、新卒予定者へ自社を勧めてもらいやすくなります。

また各種説明会を通じた地方大学生へのアピールは、長期視点で考えれば第二新卒での転職やU/Iターン転職時に向けた認知度アップにもつながるでしょう。

4.リファラル採用(縁故採用)を活用

面接や履歴書だけでは、候補者のスキルや人柄の見極めは難しいものです。

社員から候補者を紹介してもらうリファラル採用(縁故採用)を活用すれば、社員から候補者の能力や人となりを聞き出せます。

求人媒体の掲載費は必要なく、採用コストを抑えることも可能です。

企業カルチャーにマッチした人材を採用しやすくなるため、早期退職のリスクを未然に防げます。

【参考】リファラル採用とは|メリットや成功の鍵、成功事例を徹底紹介https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/refferal_top/

5.ダイレクトリクルーティングの活用

ダイレクトリクルーティングとは、候補者へ直接アプローチして採用活動を行う手法のことです。

募集を公開して応募を待つ採用手法とは異なり、自社が求める人材に直接アプローチできるダイレクトリクルーティングは注目を浴びています。

従来の採用手法では応募が集まりにくい状況下にある地方採用においても有効な手段といえるでしょう。

【参考】ダイレクトリクルーティングとは?全13サービスの比較表を公開https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/directscout_comparison/

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地方採用に成功した企業事例

最後に、Wantedlyを活用して地方採用を成功させた企業事例を紹介します。

1.カラビナテクノロジー株式会社

福岡県でスマートフォンアプリの開発やWeb制作を行う同社は、母集団の不足に課題を感じていました。優秀なエンジニアは高待遇と学習機会を求めて、大都市に流出してしまいがちです。

一定数の応募はあったものの受け身の候補者が多く、同社が求めていた「積極的に技術を習得してくれるエンジニア」ではありませんでした。

そこで母集団を形成するためにWantedlyを導入。社内勉強会の様子や社員紹介を投稿し、等身大の姿を伝えるなか、次第に応募数が増えていきます。

候補者は同社が求める積極性を持った人材が多く、導入から4年が経った今ではトータルで20〜30人を採用することができました。

Wantedly経由で採用した人材は事前に企業カルチャーを理解してくれているため定着率が高く、採用コストも1人あたり12万円に抑えられていることから導入に満足されています。

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2.BULB株式会社

北海道でスタートアップ企業の事業開発支援を手がける同社は、コストを抑えてエンジニア採用を進めたいと考えていました。

Wantedlyを導入したのは創業当初。創業者の阿部さんは前職でもWantedlyを使っており、費用がリーズナブルで、候補者と会うハードルを下げられることに惹かれて導入を決めました。

阿部さんは「どんな企業にも発信するネタや素材はある」と話します。現に同社のWantedlyページには社員インタビューや合宿の様子をはじめ、メディア露出や代表の登壇報告など多種多様な発信がまとめられています。

導入から4年間で採用できた人材は40名。全国から応募が集まり、U/Iターンの人材をはじめ国外に住む日本人から応募もありました。

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3.勝山ネクステージ株式会社

仙台で食用油の輸入・販売および食肉製品の製造を手がける同社は、人材紹介や大手求人媒体を利用するも、採用要件にマッチした人材からの応募が少ないことに課題を感じていました。

そこで、首都圏からのU/Iターン人材を求めてWantedlyの利用を開始。仙台出身でUターンの可能性が高い人材を中心にダイレクトスカウトを送りました。

その結果、導入から3か月で2名のマーケティングディレクターの採用に成功。さらに、一人あたりの採用コストは約3.3万円と、リーダーポジションにもかかわらず、かなりの低コストで採用できています。

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まとめ

地方採用を行う企業を取り巻く環境は厳しいのが実状です。

そこで、地方採用を成功に導くための重要ポイントや、オススメの採用手法を解説しました。

採用広報を全国に向けて行うことで、自社の魅力をより多くの求職者へアピールすることができます。またダイレクトリクルーティングを用いれば、優秀な人材への直接アプローチも可能です。

待っているだけでは自社が求める人材の採用は望めません。

今こそ「採用広報」や「ダイレクトリクルーティング」を用いた「攻めの採用」をはじめてみてはいかがでしょうか。

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