近年、生涯のうちに一度も転職しない方は珍しくなってきました。
言い換えれば、転職しやすい世の中になっており、企業は中途採用者に定着してもらうのが難しくなっています。
本記事では、中途採用者が定着しない本当の理由と、定着のための施策についてご紹介します。
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中途採用者の定着率
ビズリーチ社の独自調査によると、中途採用者の3年未満の離職率は約50%。企業にとっては目をそらせない数値が出ています。
とくに35~39歳の早期離職者が多く、採用した優秀な中途採用者を企業に定着させる対策は欠かせないことがわかります。
中途採用者が定着しない本当の理由
中途採用者が定着しない理由を4つ紹介します。
離職者は当たり障りのない理由や前向きな理由を伝えますが、本当は業務内容への不満や人間関係などが離職の大きな理由だった可能性も充分にあります。
中途採用者が定着しない本当の理由を知って、中途採用者が少しでも長く、企業で頑張りたいと思える環境・体制づくりを実現できるよう尽力しましょう。
1.入社前の企業イメージと異なる
近年、採用広報などを活用して企業イメージやブランディングに注力する企業が増えました。優秀な方に入社してもらうために、業務内容や実績、組織の風土や働いている人々などさまざまな観点で魅力をアピールしています。
ただし企業イメージの構築時には注意が必要です。なぜなら過剰なブランディングや一側面だけをフォーカスしたイメージ戦略などによって、入社者が入社前に抱いていたイメージから乖離が生まれてしまう恐れがあるからです。
配属された部署や業務など関わる内容・人によって、雰囲気が異なる可能性もあります。
入社後のギャップが大きいと早期離職の要因になるため気をつけましょう。
2.求めていた業務内容ではない
中途採用者は新卒採用者と異なり、面接やオファー面談を通して業務内容をすりあわせてから入社します。
しかし経営状況や事業のフェーズにより、入社前に想定していた内容と異なる業務をお願いすることも少なくありません。
中途採用者は明確な転職軸をもって転職活動を行っています。スキルアップ・キャリアチェンジ・ライフワークバランスなど、会社に求める要素が叶えられるからこそ、入社を決意します。
そのため業務内容が異なることで自身の理想が叶えられない場合、早期離職のリスクは避けられません。入社早々にして中途採用者からの信頼を失うことにもなります。
3.横のつながりが持てない
中途採用者は同期がいない場合が多いです。他社員と関係性をもつのに苦労してしまい、横のつながりを形成しにくい状況が続くと人間関係を理由に離職を考える場合があります。
リモートワークが普及した現在では入社者が1人で横のつながりをもとうと行動するのは、より難しいです。
同じ部署の人とコミュニケーションを取れていれば問題ありませんが、社内で気軽にコミュニケーションを取れる人がいない場合には、離職につながる可能性があることを注意しておきましょう。
4.入社後のフォローがない
採用活動は採用したら終わりではありません。最も重要なのは入社後のフォロー。社会人経験のある中途採用者だから大丈夫だろう、自分でなんとかしてくれるだろうという勝手な思い込みは危険です。
会社が変われば業務フローや社内ルールといった常識やコミュニケーション方法が変わります。既存社員にとっては当たり前のことでも中途採用者にとっては大きな悩みになっているかもしれません。
定期的な面談やメンター制度、研修体制など中途採用者をフォローする体制があるか、今一度見直してみましょう。
中途採用が定着しないと起こる損失
次に、中途採用者が定着しないことで企業が被る損失を3つ紹介します。
起こりうるリスクを把握し対策を練ったうえで採用活動に従事して、予期せぬ事態にも対応できる強固な体制を構築しましょう。
1.現場社員の負担になる
経験のある中途入社者であっても、入社当初は業務のキャッチアップからスタートします。現場社員の教育やサポートは欠かせません。企業によっては時間をかけて研修を行う場合もあるでしょう。
教育やサポートは現場社員の役目であると同時に業務観点でみればタスクが増えることになります。そのため中途入社者に早期離職されてしまうと、サポートしてきた時間が無駄になり、新しい人材にもう一度教育しなければならない工数が生まれます。
定着しない限り、必然的に現場社員の仕事は増え続け、大きな負担となってしまうでしょう。
また離職が繰り返されると、教育やサポートをするモチベーションも低下します。組織の雰囲気にも影響を与えかねません。
2.企業イメージ低下につながる
早期離職や離職率の高さは企業イメージの低下につながる恐れがあります。明確に離職理由はわからなくとも、マイナスな感情を抱く人は少なからずいるでしょう。
逆に定着率が良いと働きやすい制度が整っていそうだ、長く安定して活躍できそうだ、などと好印象をもってもらえる可能性が高いです。企業イメージをアップさせるためにも、活き活きと一緒に働ける仲間を採用して定着率をアップさせましょう。
3.採用コストが増大する
中途採用者が早期離職してしまうと、採用にかかったコストが無駄になってしまいます。とくに人材紹介会社は入社者年収の約3分の1を成功報酬として支払う必要があるため、採用コストがあがる傾向にあります。。
また新たに採用するとなれば、それだけ追加で採用費がかかります。早期離職が繰り返されると採用コストばかりが膨れあがる事態になりかねません。
中途採用者の定着に効果的な5つの施策
中途入社者を企業に定着させるための効果的な施策を5つ紹介します。
リモートが主流になりつつある現代では、より中途採用者への気遣いやフォローは重要な要素です。一緒に働く仲間として快く迎え入れ、企業と社員が双方にメリットを渡しあえる関係性を築けるように注力しましょう。
1.会社全体でフォローする
中途採用者が企業に定着し、長く活躍するためには、特定のメンバーが努力するのではなく、会社全体でフォローする文化・風土をつくることが大切です。
中途採用者を歓迎する雰囲気や新たなメンバーを排除せず積極的にコミュニケーションを取りにいく空気感などをつくっていきましょう。
そうすることで、部署の垣根を超えたコミュニケーションが生まれたり、質問をしやすくなったりと効果が期待できます。
2.横のつながりをつくる
会社全体で中途採用者を歓迎する雰囲気をつくったら、社内で横のつながりをつくる施策も重要です。
中途採用者同士のランチ会や飲み会をはじめ、年齢が近い社員同士の交流会など、企業側から企画しましょう。
気軽な相談やコミュニケーションは同じ部署の人とだけするべきものではありません。なるべく色んな場所に、社員交流ができる入口をつくっておくとよいでしょう。
3.業務内容のすりあわせを行う
中途採用者が取り組む業務に関して、定期的に状況を聞いてすりあわせをしましょう。はじめのうちは2週間に1回、もしくは1ヵ月に1回程度は行えると良いです。
入社前に業務内容を説明しているとはいえ、実際に働いてみると思った以上に苦労している、または予想よりも活躍できそうなど、ギャップや手応えを感じているはずです。
入社者の状況を把握するとともに、上司や役職者が抱いている期待感などを共有していきましょう。
定期的に業務内容の状況・不安・期待などを確認し、課題があればどう対応・改善するかを一緒に考えていきましょう。
4.入社前後のギャップを減らす工夫をする
入社前後で企業イメージに大きなギャップがあると、企業と中途採用者の双方にとって損失です。
入社前後のギャップを少なくするために、良い部分だけではなく、課題がある部分も入社前に伝えるようにしましょう。
もちろん、企業側の情報を伝えるだけではなく、求職者が感じている懸念点もヒアリングして、双方の不安をできる限り少なくすると良いです。
5.候補者のキャリアプランにあわせた環境を用意する
中途採用者は目的があって転職しています。スキルアップやキャリアアップなど、目的は求職者によってさまざまですが、理想とするキャリアプランを実現するために転職をする人は多いです。
中途採用者には今後のキャリアプランを確認し、どのような業務をイメージしているのか、必要な経験やスキルは何かなどをヒアリングしながら、認識のズレがないように調整しましょう。
たとえばセールスフォース・ドットコムでは候補者のキャリアやライフステージにあわせた環境の提供を意識しています。詳しくは下記をご覧ください。
【参考】セールスフォース・ドットコム「重要なのはエンプロイージャーニーをどれだけ丁寧に描けるか」
https://www.wantedly.com/hiringeek/interview/rc_kw8/
6.入社後フォローをする
定着率を高めるためには入社後フォローが大切です。優秀な社員であっても、環境が変われば以前とは社内ルールや業務フローが異なるため、キャッチアップの期間が必要になります。
さらに1から人間関係を構築していかなければならないので、入社直後は気を張りやすい時でもあるでしょう。
その際にフォローを現場社員に任せきりにするのではなく、採用担当者が中心となって入社者のフォローにあたるのが重要です。なかには現場社員には言いにくい悩みが浮かんでいる可能性もあります。
オープンクエスチョンを用いて、入社者が抱えている困りごとや悩みを拾える機会の設置や体制づくりを心がけましょう。
7.メンターフォローを行う
入社者のフォローを担当するメンター制度も定着率向上に有効な施策の1つです。メンターとは業務に関するわからないことをはじめとした、入社者からの相談を受けるサポートの役割をもちます。
入社当初は誰に聞けばいいのかわからない状況に陥りやすいため、気軽に相談できる相手の存在は大切です。
中途採用の定着に成功した採用事例
企業に定着する中途採用者の採用を実現した企業は、どのような施策を実施したのでしょうか。2社の成功事例を紹介します。
株式会社yutori
yutoriでは、1年半で15名の中途採用者を迎え入れながら、離職者は0名となっています。このような高い定着率を実現できている要因は、入社前の「お試し入社」制度にあるのです。
雇用形態に関係なく、最高で1週間程度、給与支給を含むお試し勤務をします。現場メンバーとのコミュニケーションはもちろん、入社後の業務を実際に行います。
「お試し入社」の人であっても、入社した社員と同じ情報を共有するため工数がかかるほか、現場社員の熱量がそのまま伝わってしまうリスクもあります。
しかし現場社員が熱量をもってアプローチできれば、「お試し入社」の人にとっては大きなメリットです。
クロージングやミスマッチ防止の点ではもちろん、離職率低下や成果向上において、非常に有効な仕組みです。
【参考】選考フローに「お試し入社」を設けてから1年半、社員の離職率0%のスタートアップの話
https://www.wantedly.com/companies/yutori2/post_articles/306950
パスクリエイト株式会社
特別な仕組みをつくらなくても、中途採用者定着につながっている例です。パスクリエイトではWantedlyの募集記事とストーリーを活用しています。
募集記事は、未経験者が安心して応募できるよう「まずはこの仕事からはじめます」という見出しからはじまめています。
また、ストーリーでは「1日のタイムスケジュール」や、「入社1ヵ月後の社員がしていること」を積極的に書いています。これにより応募する人はパスクリエイトのイメージを持って応募するため、入社前後のギャップが少なくなっています。
結果として、中途採用者の定着率向上に役立っている例です。
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【参考】自社のカルチャーを発信することでマッチした人材からの応募が増加。高い定着率を実現
https://www.wantedly.com/customer_stories/105
まとめ
中途採用者が定着しない本当の理由と、定着のための施策についてご紹介しました。
自社の活動を振り返り、大きな課題は何かを把握した上で行う施策を見つけていきましょう。ひとつでも実施することができれば、定着率には大幅な改善が見られるかもしれません。