採用マーケティングとは?メリット・手法・進め方を解説【事例つき】

採用マーケティングの手法を取り入れた採用活動が売り手市場化の進展とともに注目を集めています。

近年、少子高齢化に伴う労働力不足を背景に欲しい人材を獲得するどころか、候補者と接点を持つことさえ難しくなっているためです。

今や応募待ちを前提とした従来の手法は通用しなくなり、企業も商品と同じようにユーザーから選ばれる存在でなければいけません。これからの採用活動は、「いかに認知度を高め、自社のファンを増やすか」から考える必要があるのです。

本記事では「採用マーケティング」の考え方や手法、メリットについて事例付きでご紹介します。

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採用マーケティングとは?

採用マーケティングとは、採用活動にマーケティングの思考を取り入れた新しい採用概念のことです。採用競争が激化している今、求める人材を獲得するための新たな手法として注目を浴びています。

一般的なマーケティングの場合、商品・サービスの認知から購入までのプロセスをファネルとして捉え、顧客のニーズを探りながら各プロセスにおける施策を打ちます。

一方、採用マーケティングでは、入社前から入社後までのプロセスをファネルとして捉え、企業認知度・志望度の向上や自社のファンづくりを目指して施策を打つのが特徴です。企業=商品として考え、求職者から選ばれるために、採用フローや各プロセスを最適化していきます。

マーケティングの考え方に「顧客が顧客を呼ぶ」というものがあります。商品に満足している顧客が知人に商品を紹介することで、新たな顧客が生まれるという意味です。

採用マーケティングも同様で、入社後の定着・活躍までを含めて戦略を立てるのがポイントです。入社した社員のエンゲージメントが高ければ、リファラル採用が促進されて新たな採用につながります。

【参考】従業員エンゲージメントとは?3つの高める方法を紹介|事例つき
https://www.wantedly.com/hiringeek/organization/engagement/

従来の採用手法との違い

これまでの採用は、転職顕在層のみにフォーカスを当て、主に応募〜採用までのプロセスに注力していました。

しかし採用マーケティングでは、転職顕在層だけでなく、今すぐには転職を考えていない「転職潜在層」や自社の社員にもアプローチし、求職者が企業を認知してから応募にいたるまでのプロセスや、従業員エンゲージメントにも注力するのが特徴です。

なお、企業によっては、過去に不採用とした候補者や内定辞退者(タレントプール)、定年以外の理由で退職した元社員(アルムナイ)もアプローチ対象に含む場合もあります。アプローチ対象が広く、「応募」より前段階の「認知」が採用のスタートラインとなることが、従来の採用との大きな違いです。

従来の採用
アプローチ対象:転職顕在層のみ
採用領域:応募〜採用まで

採用マーケティング
アプローチ対象:転職顕在層、転職潜在層、過去に不採用とした候補者や内定辞退者、退職者
採用領域:認知〜入社後のエンゲージメントまで

【参考】タレントプールとは?重要性・作り方・ツールを紹介|事例つき
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/talentpool/

【参考】アルムナイ採用とは?注目の背景や受け入れ態勢の整備について
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/alumni_top/

採用ブランディングとの違い

採用マーケティングとともに最近よく使われる言葉に「採用ブランディング」があります。

採用ブランディングとは、企業認知度や求職者の入社意欲を高めるため、戦略的に企業をブランド化していくことです。自社の魅力を発信することで、「働く場所」としての企業イメージ向上を目的としています。

簡単に言えば、採用マーケティングの中でも、認知や興味などの上流に効く施策のことを指しています。

採用ブランディングについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

【参考】採用ブランディングとは?メリットや進め方のポイントを解説【事例付き】https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/branding

採用マーケティングが注目されている背景

なぜ採用マーケティングが注目されているのでしょうか。2つの背景を解説します。

1.企業が選ぶ時代から選ばれる時代に変化

現在、採用市場では少子高齢化により人手不足が深刻化しています。労働人口が減り続けるのに対し、企業側の求める人材要件は高度化の一途をたどっており、とくに即戦力となる優秀な人材層の獲得競争が激化しています。

従来の採用は求人広告やエージェントを用いて「転職意欲が顕在化している求職者」という限られたパイを奪い合うのが前提となっていました。しかし、売り手市場へと採用が変化する中で、このような手法だけでは採用はますます難しくなるばかりです。

そこでまだ転職をそこまで考えていない転職潜在層へとアプローチ対象を広げるという採用マーケティングの考え方が注目されるようになりました。

2.求職者の仕事選びの価値観も多様化

人材の流動性が高まり、求職者が会社に求める価値観は多様化しています。かつてのように知名度や待遇、安定性だけではなく、様々なことが重視されるようになりました。

ウォンテッドリーの調査によると求職者が転職先に求めることは、給与水準だけでなく、有意義な仕事やカルチャーマッチといった項目も上位に来ています。こういった会社の中身の話を伝えるのに採用マーケティングは適しています。どんなことを会社は目指しており、どんな人が働いているのか。こういったことをコンテンツ化し、広く発信していくのです。

入社前に会社のことをより深く理解してもらうことは、選考辞退やミスマッチによる早期離職を防ぐうえで非常に重要です。実際、退職理由の上位には「事業内容がイメージと違った」「職場環境に不満がある」「カルチャーギャップを感じた」などがランクインしています。

このように、時代の変化に伴い、採用への考え方をアップデートする必要があります。
以下の記事では、これからの採用に必要な基本的な考え方や、採用のトレンドについてわかりやすくまとめています。

「なぜ採用活動がうまくいかないのか」と悩んでいる方は、ぜひご一読ください。

【採用の新常識】上手くいかない採用から脱却するために必要な考え方
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/recruiting_textbook

採用マーケティングによって得られる3つのメリット

採用マーケティングの導入によるメリットは3つあげられます。

1.応募が増える

採用マーケティングは、転職潜在層へとターゲットを広げ、自社に興味を持ってもらう手法だと紹介しました。これにより、企業は従来よりも採用の母集団を広げることができます。

また自社の魅力を定義して発信することで、それが求職者から受け入れられれば他社と比較した時に大きな差別化ポイントとなります。

2.自社にマッチした人材を採用できる

自社の魅力を言語化して発信することで、求職者側も「この会社は自分に合う・合わない」の見極めがしやすくなります。結果的に採用のミスマッチを減らせます。

自社のカルチャーにミスマッチな人材を採用してしまうと、組織づくりへの悪影響があります。

カルチャーマッチの重要性についてはこちらの記事でも紹介しています。

【参考】全社採用スタイルで実現する「ファンづくり」。重要なのは、地道なカルチャー発信|株式会社マネーフォワード
https://www.wantedly.com/hiringeek/interview/award2022_gold/

3.コスト削減につながる

採用マーケティングの取り組みが機能することで、求人広告やエージェントといった高単価の媒体への依存度合いが減り、採用単価を削減することができます。

発信活動により、自社の認知が広がり、興味を持ってくれる層が増えているからです。媒体に出さないと知ってもらえないという状態から脱却することができます。

採用マーケティングの進め方

では採用マーケティングをどのように始めていけばいいのでしょうか。この章では、具体的にやるべきことを順序立てて紹介しています。

大切なのは、「誰に?」「何を?」「どのように?」を言語化することです。

1.企業の魅力を定義する

採用マーケティングの本質は、何を誰にどのように発信するかを考えていくということになります。この中で採用担当者が最も考えるべきなのは、何を発信するのかということです。そしてこの何を、とはつまり「会社の魅力」です。

「他社に勝るような魅力や独自性が見つからない」「自社の魅力が思いつかない」と考えている採用担当者の方も多いかもしれません。

しかし、どんな会社にも「その会社が自分には合う」「自分にとっては魅力を感じる」という求職者が必ず存在します。魅力について上手く言語化できていないために、自社は採用上の魅力に乏しいと思いこんでいるケースは少なくありません。

では言語化するためにどうすればいいのか。次の6つの点から企業を構成する要素を洗い出し、コンセプトとして抽出します。そこから「誰に?」「何を?」「どのように?」を決めていきます。

・市場(誰に対して価値を提供しているのか)
・事業(どのような手段で市場に価値を届けるのか)
・業務(事業を成功させるため、どんな仕事をしているのか)
・人(業務を遂行するために、どんな人が必要とされているのか)
・文化(人が集まることによって、どんな文化が形成されているか)
・制度(文化を維持するために、どんな制度が設けられているか)

例1)コンサルティング会社の例

・市場:事業課題や経営課題を抱えている企業
・事業:BtoBのコンサルティング事業(ITシステム導入による業務改善・課題解決)
・業務:事業課題のヒアリング・戦略立案・システムの運用および実装
・人:成長意欲が高い人材が多い
・文化:基本的に個人主義で、合理性を大事にする
・制度:個人の成長を支援する制度がある

このように洗い出していくことで、以下のように整理することができます。

誰に?:成長意欲・論理的思考力が高い人材
何を?:個人の成長を支援する制度・合理的な社風
どのように?:文章で発信する

例2)食品の会社の例

・市場:家で食事をする個人
・事業:魚肉加工製品の生産販売
・業務:市場調査・商品企画・研究開発・量販店への営業
・人:良いものをつくって人々に届けたいという思いが強い
・文化:消費者を最優先に考える風土がある
・制度:社員が働きやすい環境づくりを大切にしている

このように洗い出していくことで、以下のように整理することができます。

誰に?:社会貢献意欲・周囲と連携して仕事を進める能力が高い人材
何を?:製品のこだわりや、製品に対する従業員の想い
どのように?:画像や動画も活用し、視覚的にわかりやすく発信する

コンセプトは採用活動だけでなく、入社した人材が魅力を肌で感じることにより効果を発揮します。したがって、採用して終わりという考え方でコミュニケーションを設計するのではなく、採用後もきちんと自社のコンセプトに共感し、魅力や価値を感じ続けられるように設計する必要があります。

採用コンセプトの決め方や事例は以下の記事で解説していますので、ぜひあわせてご確認ください。

【参考】採用コンセプトとは?重要性・決め方・人気企業の事例を解説
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/concept/

2.魅力を届けて認知を広げる

伝えたいことが固まってきたら、次はどう発信するかを考えていきましょう。

認知形成において大切なのは、発信の継続です。短期でROIを測りすぎてしまい、成果が出る前に辞めてしまわないよう、長期的な運用ができる体制を整えましょう。

具体的な配信手段は、主に次の4つです。

・ブログ(採用オウンドメディア)

欲しい時に欲しい情報が見つかる場所として、ファンが増えるように育ててみましょう。

自社でサーバーをたて、採用オウンドメディアをつくる企業も増えていますが、まずはブログサービスやWantedlyのストーリーを利用するなど、自社の規模に合わせてはじめましょう。

採用オウンドメディアの立ち上げ方、運用方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

【参考】採用オウンドメディアとは?5社の成功事例から考える始め方

https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/media/

・SNS

SNSは、ブログ(採用オウンドメディア)への導線づくりとして利用しましょう。継続運用によるフォロワーの獲得によって、情報発信力やリーチ力が高くなります。

また企業アカウントだけでなく、社員の個人アカウントを通じて情報配信すると、リアリティがあり共感を生みやすく効果的です。

採用におけるSNSの活用方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

【参考】SNS採用とは|成功事例12選と特徴や活用ポイントを解説
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/social_recruiting/

ウォンテッドリーでは、採用にSNSを活用したいと考えている方々のために、SNSごとの登録属性や必要な専門知識、活用時に失敗しないコツなどのノウハウを1つの資料にわかりやすくまとめました。ぜひ一度確認してみてください。

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・動画/音声

動画はテキストや画像のコンテンツと比較して視覚的な情報量が多く、短時間で視聴でき、企業イメージの浸透に適しています。

また「ながら聴き」ができる音声配信(podcast)も若い世代を中心に支持を集めていますので、動画と合わせて検討しましょう。

・イベント/ミートアップ

オンライン・オフライン問わず、候補者との接点を設けましょう。採用(選考)を意識した内容ではなく、転職意思に関わらず参加してもらえる企画内容にし、自社のファンづくりを目的とした実施が大切です。

イベント・ミートアップの企画・運用方法はこちらの記事で詳しく解説しています。

【参考】採用ミートアップを手軽に開催するには?集客媒体や事例も紹介
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/meetup/

3.候補者と接点をつくる

会社の魅力を発信し、興味をもってくれた求職者ができたら、次は具体的な接点を持ち、興味を形成していきましょう。

候補者との接点の作り方は主に以下の3種類です。候補者のステータスや志望度に合わせて目的を設定し、アプローチ方法を変えるのがおすすめです。

1.カジュアルな面談

興味をもってくれた候補者が応募しやすいように、面接だけではなくカジュアルな面談ができる入り口をつくっておくのがおすすめです。

面談の場では自社の魅力を伝えて興味をもってもらうことができる他、面接ではあまり見えてこない候補者の部分が見え、お互いの相互理解が進みます。

ウォンテッドリーでは、カジュアル面談の運用に悩む方々のために、カジュアル面談で必ず知っておくべき知識や失敗しないための方法などのノウハウを1つの資料にわかりやすくまとめました。ぜひ一度確認してみてください。

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2.採用イベントへの招待

特定のテーマを持ったイベント(ミートアップ)を企画することで、より多くの候補者と接点を持つことができます。

採用イベントの企画方法については以下の記事で詳しく解説しています。

【参考】採用ミートアップを手軽に開催するには?集客媒体や事例も紹介
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/meetup/

3.面接などの選考

志望度がかなり高い候補者や、すでに他社企業の選考に進んでいる候補者に対しては、スピーディーに選考に案内することも検討すべきです。

選考のスピード感が遅いことで、候補から外されてしまうことを防ぐためです。

▼候補者ステータスとアプローチの例

・自社「採用したい」×候補者「興味低い」:高嶺の花

→志望度をあげる
性急なアプローチは厳禁、自社イベントへの招待や役員とのミートアップなどじっくり働きかける

・自社「採用したい」×候補者「興味高い」:両想い

→オンボーディングを始める
転職希望のタイミングを聞き込み、採用へと進める

候補者と接点を重ねる際に、気を付けたいことがあります。それは、自社にマッチするかどうか「カルチャーフィット」と「スキルマッチ」を見極めることです。

カルチャーフィットの「カルチャー」とは、企業理念や行動指針などの「企業全体のカルチャー」と、採用後に一緒に働く「部署・チームのカルチャー」を指し、それらが候補者と合うかどうかをカルチャーフィットと呼びます。

スキルマッチとは、候補者のスキルが職務上必要なスキルレベルに達していることです。

カルチャーフィットの見極め方法

・カジュアル面談など、採用ポジションのチームメンバー複数人と会う
・インターンシップや会社訪問など、実際に働く環境や雰囲気を見てもらう
・適性検査など客観的な視点での評価を行う

【参考】カルチャーフィットとは?見極めるための質問事例も紹介
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/culture_fit/

スキルマッチの見極め方法

・必要なスキルを正確に設定し、候補者に正しく伝える
  ・テクニカルスキル(業務遂行能力)
  ・ヒューマンスキル(対人会計能力)
  ・コンセプチュアルスキル(概念化能力)など
・テストや課題提出などでスキルを試す
・インターンシップで実際に業務に取り組んでもらう
・リファレンスチェックを行う

4.自社への転職を検討してもらうストーリーを考える

候補者の自社への興味が高まったところで、選考への後押しを行います。候補者が働く上で大事にしている軸を把握し、そこに対して自社の良い部分、そして悪い部分もシェアし、検討して貰いましょう。

採用活動は、採用がゴールではなく、候補者に「入社して良かった」と思ってもらい、自社で長く活躍してもらうことが大切です。

そのためには、候補者が自分の意志で選考に進めるように、正しい情報を提供する必要があります。

志望度を上げるために各ステップで訴求すべきことは、例えば以下のように整理することができます。

候補者の志望度は、説明会など、企業と接点を持った後に上がるという調査結果があります。いつ、どんな情報提供を行えば志望度を高められるか、フェーズごとの訴求すべきことを紹介します。

・認知形成フェーズ
「会社に憧れを持ってもらう」
訴求内容:ビジネスモデル、事業戦略、プロジェクト、企業の可能性など

・興味喚起フェーズ
「入社後、自分が成長できるイメージを持ってもらう」
訴求内容:業務内容/スキルセット、キャリアイメージ、仕事への価値観など

・動機形成フェーズ
「メンバーへの親近感を持ってもらう」
訴求内容:メンバーのパーソナルヒストリー、メンバー間の親密性など

・定着/決断フェーズ
「入社への安心感を持ってもらう」
訴求内容:社内文化や制度、裏表のない情報など

ラクスル株式会社取締役CMO田部氏とLINE株式会社の青田氏をお招きし、本当の“採用マーケティング”について語っていただいた以下記事も参考にしてみてください

【参考】“なんちゃって”採用マーケティングからの脱却|FUZE2021【Event Report】
https://www.wantedly.com/hiringeek/interview/eventreport_fuze2021_session_d/

ウォンテッドリーでは採用マーケティングの基本を以下の資料でわかりやすくまとめています
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5.データを分析して改善につなげる

一般的なマーケティングと同様に、採用マーケティングにおいてもデータの管理・分析は重要です。WebサイトのPV数・SNSのフォロワー数・応募数・選考通過率・定着率など、さまざまなデータを数値化・分析し、改善につなげていきましょう。

ただし、短期間の効果測定ですべてを判断するのは危険です。とくに、認知形成においては継続的な発信がカギとなるため、数ヶ月〜年単位で運用・分析し、成果が出る前に諦めてしまうことのないようにしましょう。

また、数値化が難しい従業員エンゲージメントは、アンケートによって社員のモチベーションを定量化したり、Geppo15Fiveなどのエンゲージメント測定ツールを活用するのがオススメです。

【参考】リクルートメントマーケティング連載第5回|社員の成功を助けてエンゲージメントを高める
https://www.wantedly.com/companies/wantedly/post_articles/163137

採用マーケティングにオススメの手法5選

続いて採用マーケティングにオススメの手法を5つ紹介します。各手法の特徴やメリット・デメリットを理解しましょう。

​​1.Wantedly

Wantedlyは、企業のミッションや価値観への「共感」で求職者とのマッチングをはかる採用サービスです。

会社の魅力を伝える手段が豊富にあり、また気軽な応募形式であるカジュアル面談を採用しているため、自社に興味をもってくれた候補者と広く接触することができます。

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2.オウンドメディア

自社独自の採用オウンドメディアを立ち上げるという選択肢もあります。

オウンドメディアは決まったフォーマットがないため、自社の魅力を自由に発信できます。また各種マーケティングデータを幅広く収集できるのが特徴です。

しかし、オウンドメディアの開設やマーケティングデータの収集・分析には専門的な知識や技術がもとめられ、コストと時間がかかる点がデメリットと言えます。

そのため、コストをかけずスピーディーに採用マーケティングを導入したい場合には、Wantedlyなどの外部サービスを利用した方がよいでしょう。

オウンドメディアの詳細やはじめ方は、こちらの記事で解説しています。

【参考】採用オウンドメディアとは?5社の成功事例から考える始め方
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/media/

3.リファラル採用

人材の質、マッチング率、コストへの貢献のいずれでも高いパフォーマンスにつながりやすいのがリファラル採用です。リファラル採用は自社の社員から友人や知人などを紹介してもらう手法を指します。

現場社員の知人であるためスキルマッチする可能性が高い上、自社のカルチャーについて理解の上入社するためカルチャーフィットしやすいのが特徴です。また転職潜在層へのリーチが可能であることから、候補者と早い段階から接点を持てるというメリットも無視できません。

リファラル採用を制度化している企業では会食など採用活動費を負担する、候補者が採用されると紹介者に報酬を発生させるなどの仕組みを用意しています。

人口の減少と若年層の不足による売り手市場においても優秀な人材にアプローチできるやり方としてリファラル採用を取り入れる企業が増加しています。

リファラル採用についてはメリット・デメリット、成功させるためのポイントなどについて解説しているこちらの記事もご覧ください。

【参考】リファラル採用とは?メリット・デメリット、成功する企業の条件を解説

https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/refferal_top/

4.SNS

TwitterやInstagramなどのSNSも採用マーケティングツールとして広く活用されています。

SNSは、多くの人が日常的に使うサービスであり、シェア機能による拡散性が高いことから、リーチできる人材の幅広さと人数の多さが最大のメリット。無料で利用できるため、コストがかからないのも魅力です。

また、画像や動画を通して、文章だけでは伝わりにくいカルチャーやリアルな雰囲気を発信できます。さらにフォロワーやシェアからファン数・共感数を測定しやすいです。

一方、利用している企業が多いため自社の情報が埋もれやすい、高い更新頻度が求められるなど運用に人的コストがかかる点に注意が必要です。SNSごとにユーザー層が異なるため、自社のターゲット人材とマッチしたSNSを選定する必要もあります。

各SNSの特徴や活用方法は、こちらの記事で解説しています。

【参考】SNS採用とは|成功事例12選と特徴や活用ポイントを解説

https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/social_recruiting/

5.note

noteの法人向けサービスである「note pro」を採用広報ツールとして採用マーケティングに利用することもできます。

一般的なプラットフォームサービスの場合、フォーマットが決まっているため他社との差別化が難しいですが、「note pro」の場合はメニューやサイトカラーなどあらゆるカスタマイズができるため、自由な情報発信とブランディングが可能です。

また、社員が個人アカウントで書いた記事を「マガジン」として法人アカウントにまとめられるため、さまざまな社員の視点から企業カルチャーや仕事内容をリアルに伝えられます。

詳細:https://pro.lp-note.com

採用にマーケティング思考を取り入れる4つのポイント

採用マーケティングを成功させるためには、マーケティング思考を取り入れる必要があります。ぜひ次の4点を実践してみてください。

1.フレームワークを活用する

フレームワークを活用すれば、適切な分析ができ、効果的な採用戦略が立てられるようになります。とくに以下のフレームワークはよく活用されるため、それぞれの目的や効果を押さえておきましょう。

①3C分析
Customer(市場・顧客)・Competitor(競合)・Company(自社)を分析することで、自社のポジションや強みを客観視する

②4C分析
Customer Value(求職者にとっての価値)・Cost(求職者の負担)・Convenience(求職者にとっての利便性)・Communication(求職者とのコミュニケーション)を分析することで、求職者から選ばれるための採用戦略や採用プロセスを設計する

③SWOT分析
Strength(強み)・Weekness(弱み)・Opportunity(市場機会)・Threat(脅威)を洗い出すことで、自社が置かれている環境を分析する

④4P分析
Philosophy(理念・目的)・Profession(事業)・People(人材・文化)・Privilege(働き方・待遇)を洗い出すことで、自社の魅力を分析する

※一般的なマーケティングの場合は、Product(製品・サービス)・Price(価格)・Place(流通)・Promotion(販売促進)の4つを分析

各フレームワークの詳細は以下の記事で解説しています。

【参考】採用マーケティングの戦略策定に活用できるフレームワークとは?
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/recruitment_marketing_framework/

2.採用ファネルに基づいた施策を行う

一般的なマーケティングの場合、商品・サービスの認知から購入までのプロセスをファネルとして捉えますが、採用マーケティングの場合は入社前から入社後までのプロセスをファネルとして捉えます。

求職者の行動を「認知」「興味・関心」「選考・内定」「入社後」の4段階に当てはめ、各ファネルに潜む課題を解決することで採用活動の最適化をはかりましょう。

各ファネルにおける具体的な施策は以下の記事で解説しています。

【参考】採用ファネルごとの最適な対策方法は?種類や分析するメリットも解説
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/recruitment_funnel/

3.採用担当がマーケティング力を身につける

採用担当は、これまでは多くの人に会うという意味では営業的な要素が強い役割でした。一方で、一部の時間をマーケティングに費やすようになると、データ志向やコンテンツの企画力も大事になります。

データ志向とは、「何を」データとして計測するかを決め、それをしっかり計測できる仕組みを整える。そして最終的に「計測」した数値を改善していく能力です。

たとえば以下のような数値が計測と改善の対象になるでしょう。

・認知(ページビュー数)
・興味(クリック率)
・検討(継続接触率)
・応募(応募率)
・選考(選考通過率)
・採用(内的受諾率)

コンテンツの企画力もハードルが高い能力ではあります。こちらに関しては社内でアイディアを募るなどしてカバーすることもできます。

4.マーケターを採用チームに入れる

マーケターが、採用マーケティングの領域で人事と協業できる環境を整えましょう。マーケターの知見を、採用ブランディング、採用広報に活かすというイメージです。

採用チームが大きい会社では採用チーム付けでマーケターが1名いてもいいかもしれません。

採用マーケティングの成功事例5選

最後に、採用マーケティングで成功している企業の事例を紹介します。自社の採用マーケティングにおいて参考になる部分がないか、ぜひ確認してみてください。

1.株式会社カミナシ

カミナシ 河内

株式会社カミナシは、3ヶ月で約20本という高ペースでnoteやWantedlyにて記事コンテンツを発信しています。

特徴的なのは、「良いところだけではなく、弱さも含めて社内外に発信していこう」という「全開オープン」をキーワードに取り組んでいるところです。

経営層が会社の課題を社内外へ積極的に発信することで、メンバーが情報発信する際の心理的安全性が保たれ、メンバー主体の発信、積極的なアウトプットアクションに繋がっています。

社内で取り組めていない課題や必要な人材を網羅した採用ウィッシュリストをTrelloで公開したり、記事コンテンツやSNSでの発信を続けたりなど、裏表のない情報を継続的に発信することで、ファンを着実に増やしています。

採用イベントでも、候補者の「転職意向度」のフェーズにあわせ、ターゲット毎に目的や施策内容を最適化しています。

詳しくは以下の記事で確認いただけます。

【参考】マーケティング思考で採用を制す。IVS優勝を実現した組織成長戦略|カミナシ COO河内佑介氏
https://www.wantedly.com/hiringeek/interview/rc_nur4

2.株式会社SmartHR

株式会社SmartHRは、会社の実態と候補者のイメージで大きなギャップがあり、埋めたいという課題意識から、採用における発信活動を開始しました。

まずは以下のように流れや施策を整理しました。

発信内容としては、創業当初から続く“オープンカルチャー”をそのまま採用マーケティング(採用広報)施策につなげて、以下のような施策を実施しています。

  • SmartHR社が実践する「オープン社内報」の裏側
  • 遊び心満載な“イベント”をフック

詳しくはこちらの記事で確認いただけます。

【参考】ナイル渡邉が気になる、あの会社の採用広報 #1 SmartHR瀧田成紗氏|採用広報のカギは“カルチャー”を発信すること
https://www.wantedly.com/hiringeek/interview/rc_sk1

3.株式会社Donuts 

株式会社Donutsでは以前、人材紹介会社の利用比率が大きく採用コストが高かったといいます。そのため自社による直接採用を増やすため、候補者の認知獲得~母集団形成および採用コストの削減を目的として採用マーケティングに取り組んでいます。

Wantedlyでは記事経由の応募数や入社人数を指標としており記事ごとに効果測定を実施。測定したマーケティングデータは次の企画に活かされ大きな反響を呼ぶ記事も生み出されているそうです。

また、採用マーケティングを通じて面接で伝えたいポイントが明確化したり、業務内容の社内周知が進むなどの効果も実感しています。

株式会社Donutsが行った採用施策の詳細と類似の事例を1つの資料にわかりやすくまとめました。ぜひ一度確認してみてください。

▶︎株式会社Donutsの採用成功事例を無料ダウンロードする

4.and factory株式会

and factory株式会社は採用活動においてカルチャーのマッチ度を重視しており、自社の想いや社風への共感を高めるため採用広報を活用しています。

Wantedlyを活用した採用マーケティング的にもカルチャーを取り上げた記事が注目を集め、日経MJに掲載されたほど。選考中や入社後の人材に記事への意見を求め分析、企画に活かしているといいます。

同社では採用広報を母集団形成だけでなく選考中の意向上げなど採用マーケティングのプロセス最適化に努めているそうです。ほかにも記事を事業部間の情報共有などインナーブランディングや人材紹介会社とのターゲット人材すり合わせにも利用しています。

株式会社Donutsが行った採用施策の詳細と類似の事例を1つの資料にわかりやすくまとめました。ぜひ一度確認してみてください。

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5.株式会社ガイアックス

ガイアックス

株式会社ガイアックスは、優秀な人材を獲得するためには「転職を検討していないタイミングでいかにアプローチし、興味をもってもらえるか」が重要だと考え、SNSを通じたライトな交流や、定期的に候補者の転職意向を確認する地道な活動を行っています。

また、各ファネルにおける候補者の動向を分析し、次のフェーズに移行してもらうための適切なKPIを設定することで、マーケティング視点を取り入れた効果的なアプローチを行っています。

その結果、同社は求人広告や人材紹介サービスを一切利用することなく3年間で32名の採用に成功。リファラルや直接応募によって優秀な人材を獲得できています。

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まとめ

求職者から選ばれる企業になるために、採用マーケティングの必要性は高まっています。

採用マーケティングにするには、自社の魅力を言語化し、ターゲットを決めて、発信を根気強く継続していく必要があります。もしうまくいかない時は、またこの記事で紹介した事例等を参考にしてみてください。

ウォンテッドリーでは採用マーケティング(リクルートメント・マーケティング)をテーマに人事責任者である大谷が書籍を出版しています。より詳しく学びたい方や、事例についてさらに知りたい方はこちらもぜひご一読ください。

https://www.amazon.co.jp/dp/4297131404

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