個人のキャリア形成だけでなく、組織全体の革新と発展にも密接に関連する従業員の「自己成長」。特にスタートアップや成長志向の強い企業において、従業員一人ひとりの能力開発は企業文化の根幹になる要素です。そのため、自己成長とは何を指すものなのかを正確に理解し、それぞれの成長をサポートすることが人事担当者にとって重要な課題となっています。
今回は、自己成長の3つの種類と従業員の自己成長を促すための方法を解説します。従業員が自らの成長を実感し、そのプロセスを通じて組織全体がプラスな方向へ進める実践的なアプローチ方法を紹介しますので参考にしてみてください。
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自己成長とは
自己成長とは、将来や目的のために個人が主体的に知識やスキルを習得し、それを成長につなげることを指します。精神的成長、経済的成長、社会的成長の3つが自己成長に当てはまります。これらの成長は、個人のキャリアや人生の目標を達成する上で重要な役割を果たしているのです。
他者からのフィードバックや外部からの刺激がきっかけで始めた自分磨きであっても、最終的に自らの意思によって取り組んで身に付けた事柄は、自己成長にあたります。
自己成長の追求は、個人が自分自身の可能性を最大限に引き出し、より充実した人生を送るための推進力になります。また、その人が属する企業の成長にも大きな意味を持ちます。
自己成長の3つの種類
自己成長には「自然成長」「努力成長」、そして他者との関わりによって促される「合体成長」の3つの種類があります。
これらの成長は互いに影響し合い、個人の成長を加速させるため、効果的な人間関係や職場環境の構築が鍵を握っているといっても過言ではありません。
1.自然成長
自然成長は、日々の業務や生活の中で経験を積むことによって、ほとんど無意識のうちに達成される成長です。初めは不慣れだった仕事も、時間をかけて繰り返すことで自然と技術や知識が向上し、次第にスムーズに業務を遂行できるようになります。これは特定のスキルや業務において、経験と練習を重ねることで発生する能力の向上を意味します。
しかし、「自然成長」だけに頼ると自己満足に陥りやすく、成長の停滞や目標の欠如を招く危険性もあるので注意が必要です。自己成長を追求する際は、自然成長だけでなく具体的な目標設定や積極的な学習姿勢などで臨む意識が求められます。
2.努力成長
努力成長は、個人が自分自身に設定した具体的な目標に向かって、積極的に取り組む過程で達成される成長のことです。単にスキルや知識の向上だけでなく、挑戦すること自体に価値を見出し、試行錯誤の中で新たな気づきや学びを得ることを指します。努力成長では、個人の内面的な動機付けが強く作用し、自己実現のために自主的な努力を重ねることが特徴です。
重要なのは、この過程で得られる経験や知見が自分だけのものではなく、周囲の人々や社会全体との関わりの中で意味を持つようにすることです。努力成長は、行き過ぎると自らの成長に重きを置き過ぎて、組織の成長やメリットよりも自分の成長や利益を優先してしまうことがあるため注意しなければなりません。
3.合体成長
合体成長は、他者からの学びや気づきを通じて達成されるものです。知識やスキルを増やすだけではなく、他者の意見や価値観、経験から新たな視点を得たり、自己の認識を広げたりするプロセスを含みます。この成長過程では、他者との対話やコミュニケーションが中心となり、それによって自分自身の内面も豊かになっていきます。
合体成長には、寛容さと他者を尊重する姿勢が必要です。他者の知識や経験を自分のものとして取り入れることで、自己の枠を超えた成長が可能になります。他者と良好な関係を築き、より多くの学びや気づきが生まれる環境作りをすることが大切です。これらの相乗効果によって、自己成長の速度が加速します。
ここでいう他者とは、必ずしも協力関係にある人でなくても構いません。異なる意見や対立する価値観からも大きな学びを得ることができます。重要なのは、自分とは異なる視点を持つ他者から学ぶ機会を見逃さないようにすることです。
従業員の自己成長を促す方法
従業員に成長を促したい企業側は、どのような取り組みをしていけば良いのでしょうか。ここでは具体的な方法を紹介します。
社会人としての考え方の定着
社会人は、自ら学び、成長し続ける意識を持つことが求められます。まず、この考え方をしっかりと定着させることが、長期にわたるキャリア形成の基盤となります。自発的に新しい知識を吸収し、常に自己をアップデートし続けることが社会人として大成するために大切です。
学び続けることの重要性を理解し、日々の業務に積極的に取り組むことで、自己成長だけでなく、組織の発展にも貢献できるようになります。
新しい業務を任せる
成長を促すためには、従業員に新しい業務を任せることが効果的です。慣れ親しんだ業務のみを続けていると、成長が停滞しやすくなります。新たな挑戦を通じて、さまざまな知識やスキルを身に付ける機会を提供することが重要です。
例えば、部下に後輩のマネジメントを任せれば、リーダーシップのスキルを磨く好機になります。新しい業務を通じて、従業員が自己成長を実感し、モチベーションを向上できるようにしましょう。新しい挑戦は、従業員のキャリアにとって貴重な経験となり、組織全体の成長にも貢献します。
個々人の考えをヒアリングする
成長を促すためには、効果的なコミュニケーションが不可欠です。例えば、面談を設けて従業員の意見や目指す成果に耳を傾けることで、従業員はモチベーションを高められます。
面談をする際は、ヒアリングした内容を互いに共有することが重要です。議事録を作成し、上司と部下で共有することで、双方の理解を深め、認識の齟齬を防ぐことができます。このような機会は、従業員が新しい業務に挑戦する際の不安を軽減し、自信を持って取り組むための支援としても大きな役割を果たします。
設定した目標の進捗を管理する
従業員の自己成長を促進するためには、目標設定と進捗管理が欠かせません。具体的な目標を設定し、達成に向けた計画を立てることで、従業員は主体的に課題解決の経験を積むことができます。
目標を立てる際は、短期目標と長期目標の両方を設定し、定期的に進捗を確認することが重要です。短期の小さな目標を達成することで得られる即時の達成感は、モチベーションを維持させ、さらなる目標達成(中長期的ゴール)へとつながります。進捗管理を行うことで、従業員は自らの成長を実感し、継続的な自己発展を目指すことが可能です。
プロセスや姿勢を評価する
成果が目に見えなくても、従業員が取り組むプロセスや姿勢は重要な価値を持ちます。挑戦した結果、思い通りの成果を出せなかった場合でも、その努力や学びに着目し、肯定的に評価することが重要です。失敗を恐れずに新たなことに挑戦する姿勢や、困難に立ち向かう勇気は組織全体の成長に欠かせないためです。
これらのプロセスや姿勢を適切に評価して認めることで、従業員のモチベーションを高め、継続的な成長へと導くことができます。
まとめ
今回は、自己成長の3つの種類と従業員の自己成長を促すための方法を解説しました。自己成長は、社会人にとってキャリア形成や人生の目標達成に欠かせない要素です。
自己成長を促進するためには、新しい業務への挑戦、目標設定とその進捗管理、プロセスと姿勢の評価など、従業員に対して企業側のサポートも重要になります。従業員が自己成長を追求することで、個人の可能性を最大限に引き出せれば、本人も企業も共に成長することができるでしょう。