社内報担当に任命されたものの、目的や具体的な方法が見えていない担当者もいるのではないでしょうか。社内報は正しく運用できると、社内コミュニケーションを通じた企業成長が期待できるツールです。しかし、理解が及ばない状態で進めてしまうと、結果はついてこないでしょう。
今回は社内報の目的から作成方法までの一連の流れを解説します。活用事例もお伝えするため、ぜひ最後までご覧ください。
そもそも社内報とは
社内報とは、社内コミュニケーションの機会を作る手段のひとつです。経営理念や会社としての考え方、社内の出来事などを社内向けに発信する目的で、多くの企業が取り入れています。
社内報を発行すると、以下のようなさまざまな効果が期待できます。
- 円滑な情報共有の実現
- 実績掲載による社員のモチベーションアップ
- 社員同士のコミュニケーション活性化
実際に社内報を発行する場合、新聞や雑誌のような紙媒体の冊子で全社員に向けて配布される形式が多い傾向です。最近では社内報アプリや動画でのメッセージなど、Webでの社内報を発行する企業も増えています。
社内報の目的
社内報の目的は、大目標と小目標の2段階に分けて考えると整理が容易です。それぞれ具体的な内容を解説します。
大目標=社内報の存在意義
社内報の存在意義は「企業の成長のため」と整理できます。企業の成長のために社内報が担う役割は、主に以下の4点です。
- ビジョンの共有
- 情報公開
- 人材教育
- 風土づくり
社内報を作るなかで「社内報は企業の成長に役立っているのか?」という視点に立ち返ることが重要です。
また、一度作って終わりではなく、定性的・定量的な評価をしながら改善する姿勢も存在意義をもたせる意味で大切になります。
小目標=社内報の発行目的
小目標とは、大目標を実現するための具体的な手段です。よって、各企業によって内容は異なります。
社内報の発行目的となる小目標の具体的な例として、以下のような設定が挙げられます。
- 経営理念の組織内浸透
- 企業方針の理解促進と周知徹底
- 社内現況の共有
- 従業員のやりがい向上
- 自社製品・サービスへの愛着向上
目的に沿った社内報のコンテンツ作りができれば、発行する意義を見失うことなく継続的に運用できます。反対に「社内報のために」と手段と目的が入れ替わってしまうと、仕組みとしてうまく回らない可能性が高まります。
大目標の実現に即した内容となっているかどうかは、社内報のコンテンツ作りにおいて常に意識しておきたいポイントです。
社員間の意思疎通を促進する社内報プラットフォーム
Wantedlyでは社員間の意思疎通を促進する社内報プラットフォーム「Story」を提供しています。導入事例も紹介していますので、以下よりぜひご覧ください。
社内報が必要な会社と不必要な会社がある
どの会社でも必ずしも社内報が必要とは言い切れません。
ここからは、社内報が必要な会社と不必要な会社の特徴をご紹介します。自社の状況と照らし合わせながらご覧ください。
必要な会社
従業員数が多く、既存の情報共有だけでは不十分で問題が発生している場合、社内報は重要な役割を果たします。
コロナ禍を契機に、働き方改革の一環として多くの企業でテレワークが進んでおり、Web媒体での社内報が普及しています。なお、高齢の従業員が多い場合、Web以外の媒体(冊子・新聞など)での情報共有が好ましいといえるでしょう。
また、社内報制作のために人的リソースや予算を割く余裕がある場合、スタートに舵を切っても損はありません。ただし、中長期的な視点で運用する必要がある点は事前に把握しておきましょう。
社内報の制作業務が事業の成長に好影響を与える面があります。具体的には、制作や情報に深く関わる会社などは、社内報の経験がそのまま事業に活用できる部分は多くあるといえます。
そのほか、現場から社内報の要望がある場合や、社内報の改善が自社の成長につながると考えられる場合、社員の成長を推し進められる可能性があります。一連の内容を社外に公開すれば、自社のイメージアップも見込めるでしょう。
不必要な会社
社内報の作成に割ける人的リソースの余裕がない場合、安易に手を出すのは要注意です。発行できたとしても一部の社員に負荷がかかりすぎてしまうことがあります。単発で終わってしまっては、社内報としての意味を成さないといっても過言ではありません。
そのほか、すでに社内SNSやチャットツールなどで、活発な情報共有ができている場合も社内報は不要といえます。社内に一体感や連帯感が生まれている企業風土であれば、社内報は単なる業務負担となってしまう可能性が高いです。
なお、社内報が発行できたとしても、内容が現場のニーズにマッチしていないケースや、結果として読まれない状況が続くケースでは、必要性は薄いといえます。社内報の目的である「企業の成長」が達成できると判断できる場合のみに限定しましょう。
社内報の活用事例
ここからは、社内報の活用事例としてWantedlyが提供している「Story」の導入事例のなかから、3社の例をピックアップしてご紹介します。
株式会社LULL
株式会社LULLでは、コロナ禍をきっかけに「環境に左右されずに社員同士がつながれる場所をオンラインに」と考えており、Storyのリリースとともに導入を決定しました。導入を決定した理由は以下のとおりです。
- 帰属意識を育むこと
- 組織の急拡大
- 常駐先メンバーの増加
導入以降、社内報浸透のために、自社のビジョン・ミッション・お知らせ・メンバー紹介などの基本情報から、ノウハウに関するコンテンツ、レシピや宅飲みなど、緩急ある発信を実施しています。
さらに、本社メンバーと外勤メンバーによる月1回の1on1の場で、社内報の話題を出すようにしたり、社内報を見たかどうかを聞いたりとリマインドも欠かしていません。
StoryはWantedlyの登録が必要なため、読者数を把握しやすいメリットがあります。その読者数を指標として活用した結果、現在では全社の88%が登録して社内報を閲覧している状況を構築しています。
and factory株式会社
and factory株式会社では、従来、オフラインでの社内コミュニケーションが盛んな点を強みとしていました。
チームで四半期ごとに紙の社内報を制作し、手渡しすることにこだわりを持って運用されていましたが、リモートワークへの転換によってこれまでの運用ができない課題に直面しました。
これまでと同じ想いを伝えられるWeb社内報ができないか、気持ちを切り替えて社内報ツールを探し、Storyのβ版を知り導入に至ります。
リモート開始時期とコミュニケーションツールSlackへの移行のタイミングが重なったことを契機に、Slack内へ「自由帳」というチャンネルを作りました。
チャンネルでは、仕事中に聴いている曲や晩御飯を投稿するなど、面白い使い方が生まれ、自由帳内でのイベントやコミュニケーションを社内報で取り上げるようにしています。
具体的には「社内報決定で」というスタンプを作り、社内報といったワードに触れる機会を増やしたり、社内報に対するモチベーションを高められるようにしたりと、工夫の凝らされた施策が特徴です。
フルカイテン株式会社
フルカイテン株式会社は、コロナ禍でリモートワーク体制に入る直前に、新メンバーが5名入社し、メンバーを知ってもらうことやお互いの理解を深めるためのコミュニケーション強化ができる手段が必要でした。
そこで、Wantedlyに記事を投稿する感覚で、メンバー相互の理解が深められる方法を探した結果、Storyの導入に至りました。
導入してからは、リモートワークの環境下であっても大切な使命を社員に思い出してもらうべく、ストーリーの形で情報共有し、エンゲージメントの向上施策として社内報を活用しています。
Slackでは重要な情報も流れてしまうため、Storyでは「お昼休みにゆっくりと読めるような個人のストーリーを蓄積する場所」との方針を立てています。
具体的には、投稿へのコメントも含めた双方向のコミュニケーションとして、投稿者の経験やエピソードをStoryに投稿するといった運用方法です。
一緒に働いているメンバーのパーソナルな部分を知るきっかけとなり、リモートワークのなかでも、温度感をつかみやすい環境を構築できています。
効果的な社内報の作成・運用方法
ここからは、効果の出る社内報の作成や運用方法について、7つのステップに分けてお伝えします。実際に運用するときの参考にしてみてください。
①社内報のゴールを設定する
社内報をなぜ発行するのか、その目標を達成するためにはどんなゴールを設定するのかをまずは検討し、設定する必要があります。
ゴールはただ設定するだけでなく、関係者と共有することで大きな効果が得られます。なぜなら、ゴール設定はこのあとのステップにも大きく影響する要素であるためです。
社内報の目的に当てはめて考えるとブレのない設定が可能です。なお、ゴールは定性面だけではなく、定量面でも設定するほうが評価も容易になり、改善サイクルを回しやすくなります。
②適切な媒体を選択する
社内報の媒体は、紙やWebが挙げられます。それぞれにメリットとデメリットがあるため、自社にとってどちらが適しているのか、以下の表を参考に検討してみてください。
【媒体ごとのメリット・デメリット】
媒体 | メリット | デメリット |
---|---|---|
紙 | ・製造業など、会社でPCを使わない業務をしている社員に対して発信できる | ・配布しても全員が読むとは限らない |
Web | ・PCやスマートフォンなど場所を問わず周知できる | ・PCやスマートフォンなどを使わない社員には共有できない |
③制作メンバーを選定する
社内報は社内広報活動の一環であるため、制作メンバーの選定が必要不可欠です。なお、多くの企業では広報担当者に任せる傾向にありますが、社内報の作成には意外と工数がかかるため、現在の広報担当者の業務量を考慮して調整しましょう。
必要に応じて人員を増やしたり、業務委託や派遣など外部リソースを活用したりするのもひとつです。
また、目的に応じて広報担当にこだわらないチーム編成を意識する方法もあります。制作に携わることで社内理解を深めたり、成長につながったりする絶好の機会にもなり得るため、意欲的なメンバーを選定するのが望ましいです。
④記事の企画を立案する
設定したゴールに応じて、記事の企画・立案をします。
社内報を作る際は、会社側の視点ではなく、従業員一人ひとりに寄り添ったコンテンツに仕上げる姿勢が重要です。なぜなら、社内で存在感のある人だけを取り上げてしまうと、現場が距離感を感じてしまう可能性があるためです。
一方で、面白さを求めすぎてしまったり、インパクトのある企画のみを取り上げたりすると、本来の目的とズレてしまいます。
具体的な企画例として、以下の内容を参考にしてみてください。
- 経営理念の共有:トップメッセージ、経営方針の説明、業績報告、ビジョンなど
- コミュニケーションのきっかけ:社内イベントの紹介、各拠点や部署の紹介、新入社員紹介、座談会記事など
- 社内情報の共有:自社サービスのユーザーインタビュー、開発チームのインタビュー、新プロジェクト担当者のインタビュー、人事異動、福利厚生など
- 人事採用やブランディングへの活用:社員インタビュー、座談会記事、クライアントへのインタビューなど
⑤取材・執筆する
企画案に沿って、記事の取材依頼・取材・執筆に入ります。運用を継続していくには、月に必要な記事数から逆算して計画を組むとスムーズです。
また、フォーマットを作ったり、メールやチャットなどのコミュニケーションツールから引用したりと、工数を減らす仕組みも忘れてはいけません。
そのほか、福利厚生制度や知っておくと便利な豆知識など、読み手(社員)の学びになるようなコンテンツを盛り込むと、認知が広まる可能性が高まります。
⑥社内報を公開・周知する
社内報の内容が完成したら、紙の場合は発行、Webの場合は記事を公開しましょう。あわせて、社内SNSやチャットツールなども使って広く周知すると閲覧数は増えます。
なお、発行初回時は、あえて経営層から全社員宛に社内報への思いをテキストに起こして発信すると、社内報施策への本気度を社内に共有できます。
⑦効果測定を行い、改善策を練る
社内報を成功させるには、定期的に効果測定をする必要があります。客観的な改善点の把握が重要なため、アンケートを実施したり、制作メンバー以外の社員にインタビューしたりしてみましょう。
また、アンケートやインタビュー結果を社内報に反映できれば、制作メンバー以外の社員も社内報に参加している実感をもってもらいやすくなります。
なお、効果測定の結果をもとに社内報を改善していくため、定量的な指標を設ける必要があります。たとえば、5段階評価や閲覧率など、誰もがわかる形で評価し、改善策を立案しましょう。
Webで社内報を作成するならStoryがおすすめ!
StoryはWeb媒体でありながら簡単な操作で社内報の発信ができます。
いいね機能やコメント機能などで、社員同士のコミュニケーションを活性化したり、効果測定ができたりするため、読んだ人の反応をもとにした改善のサイクルが回しやすい特徴があります。
また、Web媒体のため、印刷費用がかからずスピーディな投稿も可能です。別途サイトを構築する必要もなく、管理の手間がかからないため人員が限られている場合も、負担なく運用できます。
まとめ
社内報は、企業の成長にとって重要な役割をもっています。適切な運用ができれば社内はもちろん、社外にもアピールできるツールとしても期待できる存在です。
まずは、自社に社内報が必要か不要かを確認しましょう。必要と判断した場合は、7つのステップに沿って進めていけば、成果の出る社内報の運用ができます。
今回紹介した内容を必要に応じて見返しながら、運用の基盤を築きましょう。