TikTok採用活動のメリット・デメリットとは?成功事例も紹介

国内の人口減少を背景に、企業が若年層を獲得するための採用活動を強化しています。

若年層が利用するX(旧Twitter)やInstagramなどのSNSを採用チャネルとして利用するケースも増加しています。中でも最近注目を集めているのがZ世代など若者から支持されているTikTokです。

そこで今回は、TikTokを利用した採用活動が注目を集めている背景やメリット・デメリット、そして成功するためのポイントについて説明します。また、TikTok採用の成功例として知られる企業についてもご紹介しています。

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TikTok採用とは?

TikTokとは、15秒から1分ほどのショート動画を投稿・視聴できるSNSです。好きな時間に飽きることなく、手軽にトレンドや情報をチェックできることから、10代〜20代の若年層を中心に支持されています。

近年では、TikTokを使って採用広報や採用ブランディングに取り組む企業が増えており、TikTokを活用した採用活動のことを「TikTok採用」と呼びます。TikTokはSNSの中でもとくにZ世代から人気のため、新卒採用に効果的な手法といえるでしょう。

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TikTok採用が注目される背景

TikTokは採用チャネルとしてなぜ関心を集めているのでしょう。3つの点から説明します。

1.若年層の利用が増えている

TikTok採用が関心を集める理由のひとつが、若年層による利用率の高さです。NTTドコモのモバイル社会研究所が2022年に行った調査によると、スマートフォン所有者のうちTikTokは全体の約7割に認知されています。

2022年時点では、TikTokの利用率は全体で8.5%と他のSNSに比べそれほど高くありませんが、注目されるのが10代の利用率です。TikTokを利用している10代は約4割に達しており、全世代の中で突出しています。

また、10代の利用率も2019年に14.6%、2020年に20.8%、2021年に31.1%、そして2022年には39.3%と毎年大きく伸びています。そのため、現状でも若年層にリーチできる上に、今後、若い年代の利用者数はさらに増えるものと期待されています。

引用:【NTTドコモモバイル社会研究所】TikTok認知率 約7割:10代女性の利用率46.2%

他のSNSとの違い

TikTokの特徴を、他のSNSと比較してみましょう。

SNS国内ユーザー数特徴
TikTok約1,700万人
(10代~20代がメイン)
・ショート動画投稿・視聴サービス。
・10代の利用率が高いのが特徴。
Instagram約3,300万人
(10代〜30代がメイン)
・画像や「リール」と呼ばれる短い動画によって視覚的な訴求ができる
・他SNSと比較して女性人気が高い
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X
(旧Twitter)

約4,500万人
(10代〜20代がメイン)
・拡散性が高く、フォロワー以外へも広くリーチできる
・最新情報やトレンドがリアルタイムでわかる
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Facebook約2,600万人
(20代〜40代がメイン)
・実名で登録しているユーザーが多く、リアルな交友関係が反映されている
・長文の投稿ができるため、一度に多くの情報を伝えられる
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LINE約8,400万人・10代〜50代まで幅広い年齢層が利用
・メルマガ形式で情報発信したり、連絡ツールとして活用できる
・友だち追加していないユーザーに対してはアプローチできない
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YouTube約6,200万人・10代〜50代まで幅広い年齢層が利用
・動画によって多くの情報をわかりやすく伝えられる
・コンテンツ企画や動画制作にコストがかかる
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2.Z世代が有力な採用ターゲットになっている 

若年層の代名詞ともなっているZ世代は、一般的に1997年頃から2010年前後までに生まれた世代を指しています。

2023年時点の年齢は13歳から26歳であり、大学を卒業し社会人になって数年目に該当する人々も含まれているのがわかります。国内では人口減少に伴う人手不足が顕在化しており、今後ますます拍車がかかるだろうと予測されている現状を踏まえて、Z世代は既に採用ターゲットとして認識すべき存在です。

Z世代を採用ターゲットとして見た場合の調査結果も発表されています。2022年に行われた「Z世代就活生のTikTok活用実態」によると、2023年新卒学生の81%がTikTokで企業の動画を見た経験があり、そのうち80.2%がTikTok動画がきっかけで「企業に興味を持ったことがある」と回答しています。

さらに企業のTikTokを見た学生のうち66.2%が「実際にエントリーした」経験があると答えているのです。Z世代が社会人になりはじめている現在、彼らの利用率が高いTikTokが採用チャネルとして注目を集めています。

引用:【PR TIMES】Z世代の就活生の80.2%が、「TikTok」がきっかけで企業に興味を持った経験あり そのうち66.2%は、実際にエントリーも

3.動画の視聴時間が伸びている


TikTok採用が関心を集めている理由には、動画の視聴時間が伸び続けているというデータも影響しています。総務省情報通信政策研究所の調査によると、令和2年度に平日「動画投稿・共有サービスを見る」全世代の平均時間は38.7分でした。

平均視聴時間は令和3年度が43.3分、令和4年度が51.0分と、世代を問わず動画の視聴時間が伸びているのがわかります。

一方、デジタルネイティブであるのが特徴のZ世代はどうでしょう。平日に「動画投稿・共有サービスを見る」10代の平均視聴時間は令和2年度が90.2分、令和3年度が89.3分、令和4年度が91.1分とかなりの時間を費やしているのがわかります。

注目すべきなのが20代です。令和2年度に平日「動画投稿・共有サービスを見る」20代の平均視聴時間は73.8分と高い水準でした。ところが、令和3年度には83.2分、令和4年度になると99.9分と、10代を上回るまでになっています。

全世代の動画視聴時間が伸長している中でも、採用ターゲットとして有力な20代の伸びが大きい点が、TikTok採用への関心が高まる背景の一つとなっています。

引用:【総務省情報通信政策研究所】令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書<概要>
引用:【総務省情報通信政策研究所】令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書<概要>
引用:【総務省情報通信政策研究所】令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書<概要>

TikTok採用のメリット

企業にとって、TikTokで採用活動を行うメリットはどこにあるのでしょうか。3つに整理して説明します。

1.他社との差別化を図れる

日本国内でTikTokがサービスを開始したのは2017年でした。

当初から若年層の間で利用が広まりましたが、若者が娯楽で使うためのSNS、という形で認知が進んだのが特徴でした。そのため、企業がマーケティングや採用にも活用できるチャネルと理解したのは最近になってからです。

以前からX(旧Twitter)、Facebook、Instagram、YouTubeなどのプラットフォームを採用活動に利用する企業は数多く存在しています。しかし、TikTokに採用アカウントを作成しているというケースはまだ多いとは言えません。

従って、TikTok採用には競合が少ないと言える状況です。企業がTikTokで採用活動を行うメリットとしては、競合が少なく他社との差別化を図りやすい点が挙げられます。

2.拡散性が高い

企業がTikTokを採用活動に利用する上では、拡散性の高さもメリットとして重要なポイントになっています。TikTokは、他のSNSと比べ、拡散力の高さが特徴だからです。

アカウントを開設して間もない企業でも、いわゆる「バズる」現象が伴えば大きな認知を獲得できます。TikTokの拡散力が強い理由は、表示されるコンテンツをパーソナライズするシステムに独自性があるためです。

いいねやコメント、シェアに加えて、最後まで視聴した動画などユーザーのリアクションに基づいて「おすすめ」に表示されます。拡散力が高く「バズりやすい」SNSである点が、TikTokを活用する上でのメリットとなっています。

3.費用対効果に優れている


費用対効果の高い採用チャネルである点も、TikTok採用のメリットになっています。

企業が採用活動を行う場合、採用メディアを利用すると求人広告を掲載するために高いコストがかかります。その点、SNSであるTikTokなら導入コストは必要ありません。

また、スマートフォンで撮影した動画を簡単に投稿でき、企画や編集にも多くの時間をかけないのが一般的です。そのため、TikTok採用は安価にはじめられます。

さらに、TikTokは拡散力の強いSNSであるため、活用次第で高い費用対効果を生み出せます。コストのかからない採用チャネルとして機能できる点も、TikTokを利用するメリットとなっています。

TikTok採用のデメリット

では、TikTok採用にデメリットはあるのでしょうか。注意すべき点を3つ説明します。

1.長期的な運用が必要である

TikTokで採用活動を行うためには、長期的な視野に立って運用する必要があります。

多くの企業の場合、TikTokに動画を投稿しても短期間で効果が出るというわけではありません。従って、定期的に動画投稿を繰り返し、少しずつ認知を高めファンを増やしていくという考え方が重要です。

しかし、TikTokへの動画投稿を継続しファンを獲得できれば、「潜在候補者に早くからアプローチする」「視点を変えて魅力を探る」「共感重視の発信をはじめる」という採用の新常識に当てはまる手法でもあります。

母集団形成による「量」を重視する「フロー型採用」から、人材の「質」を重視する「ストック型採用」に切り替えたい場合、TikTokは候補者接点として有効と言えましょう。採用活動に求められている新しい考え方については、こちらの記事もご覧ください。

【採用の新常識】上手くいかない採用から脱却するために必要な考え方

2.運用に工数がかかる

運用に工数が必要である点も、TikTok採用における注意点です。導入コストがかからず、編集に比較的手間がかからないとは言え、TikTokで採用活動を行うためには投稿を継続するのが大切です。

また、動画へのアクセスや反応を見ながら改善点を探り、PDCAサイクルを回していく必要があります。とくにTikTokは匿名性が高いため、企業に興味を持った場合でも応募に直結するわけではありません。

匿名ユーザーが企業に応募するまでには高いハードルが存在するためです。そのため、企業に興味を持ってくれたユーザーが応募するまでの導線を設計する必要があります。

TikTok採用ははじめやすいとは言え、片手間で効果が出るというわけではないという点を理解して社内体制を構築しましょう。

3.炎上リスクがある

TikTok採用の3つ目の注意点として炎上リスクがあります。Twitterなどで企業が炎上するケースをしばしば見かけますが、同じSNSであるTikTokも例外ではありません。

しかも、「バズりやすい」という性格を持つTikTokの場合、短時間で数多く視聴されるなど他のSNSよりリスクが高いと考えた上で取り組むべきです。とくにTikTokの場合、注目を集めるために「やりすぎてしまう」可能性があります。

炎上は投稿した動画だけでなく、コメントなど他のユーザーへの配慮不足といった要素からも発生する場合があります。そのため、担当者がTikTokコンテンツやユーザーの傾向について理解を深めておく、リテラシー教育を行っておくなどの工夫が求められます。

TikTok採用の成功ポイント

TikTok採用を成功させるためには、どのようなポイントが重要なのでしょうか。3点から説明します。

1.トレンドを意識する

TikTokを運用する上では、トレンドを意識するのが重要です。他のSNSと比べても若年層が多いプラットフォームのため、トレンドが目まぐるしくかわります。

担当者は注目を集めている動画を常にチェックして、トレンドを取り入れた動画の投稿を心がけましょう。

ハッシュタグの設定も重要です。トレンドになっているハッシュタグに合った動画を公開すれば、多くのユーザーからの視聴が期待できます。

もちろん、採用チャネルとしてTikTokを利用しますので、自社についてなど独自コンテンツであるのは当然です。トレンドの他にも採用ターゲットがどんな動画に関心が高いのかなど、リサーチを行いながら動画コンテンツを企画し、発信を継続しましょう。

2.社内の協力を得る


TikTokで動画を継続的に投稿するためには、数多くのコンテンツを制作する必要があります。とくにオフィスの雰囲気や社員の働いている様子は必須コンテンツのため、TikTok運用には社内の協力が必要不可欠です。

ただし、TikTokを使って採用活動する企業に対して、「会社にやらされているように見える」「入社後に出演を強要されないか不安」といったネガティブな意見もあるため、全社員に出演を強要することのないようにしましょう。

まずは採用活動の重要性やTikTok運用の意図を周知し、社内の協力体制を整えてから、個人の意見やプライバシーを尊重したうえでコンテンツ制作するのがポイントです。

引用:TikTok・YouTubeで採用活動を行う企業のイメージ調査

3.複数のSNSを連携し運用する

TikTokを採用チャネルとして利用する際には、複数のSNSと組みあわせるのも重要なポイントです。

TikTok以上のユーザー数を持つSNSも複数存在しています。X(旧Twitter)やFacebook、Instagramも併用して、採用活動の効果を高めましょう。

とくにTikTok上には他のSNSアカウントを設定し、移動できる機能が用意されています。動画で企業に関心を持ったユーザーに対して、他のSNSで異なるコンテンツを提供できるように考えて運用しましょう。

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TikTok採用の成功事例5選

TikTokを使った採用活動で話題になっている企業を紹介します。

1.三和交通株式会社 

TikTokアカウント:https://www.tiktok.com/@sanwakotsu
企業ページ:https://www.sanwakoutsu.co.jp/

三和交通株式会社は神奈川県のタクシー会社です。社員が踊る様子などをTikTokに投稿し「かわいい」「おもしろい」と話題になりメディアにも数多く取り上げられました。

TikTokのフォロワー数は21万を超えており、プロフィールには「攻めた企画が盛りだくさんのタクシー会社です!世界一のおじさんダンサーになる。」と記載されており、コラボ動画も展開しています。

また、TikTok以外にもX(旧Twitter)やFacebook、InstagramにYouTubeと多くのプラットフォームを活用してさまざまな角度から企業を訴求しています。TikTokを利用して認知を獲得するとともに企業イメージを高め、採用活動にも活かしている事例です。

2.株式会社BEEM

TikTokアカウント:https://www.tiktok.com/@beem_official
企業ページ:https://beem-inc.net/

株式会社BEEMは東京都でSNSマーケティングを展開する企業です。スタッフやオフィスが登場するオモシロ動画が話題となり、48万のフォロワーを獲得しています。

社長を含む社員の人柄や会話などから社内の雰囲気や人間関係が支持を得ているのが特徴です。

同社もプラットフォームを複数活用しており、YouTubeには10分以上の長い動画を掲載するなど、使い分けも考慮されています。社員の人柄や職場環境をストレートに伝えつつ話題性を高める企画力が、採用活動にも好影響を与えている事例です。

3.大京警備保障株式会社

TikTokアカウント:https://www.tiktok.com/@dkykeibi_tokyo
企業ページ:https://www.dky.jp/

大京警備保障株式会社は東京都の警備会社で、TikTokのフォロワー数は300万に達しています。スタッフがアニメキャラクターの目の部分を描き、投げつけて目に貼り付けるシリーズが高く評価されており、中には数十万の「いいね」がつけられている動画もあります。

同社ではTikTokに自社サイトの採用情報へのリンクが目立つように記載されています。社長をターゲットにした動画など、社風の良さを打ち出して若年層からの人気を獲得し、採用活動に活かしている事例です。

4.株式会社ハーバルアイ

TikTokアカウント:https://www.tiktok.com/@herbal_i

株式会社ハーバルアイは、漢方の通信販売事業をはじめ、薬局店舗の運営・生薬栽培・マーケティング支援事業などを展開している企業です。

同社は企業認知度を高め、商品の良さや社員同士の雰囲気を伝えるためにTikTokをはじめました。

企業の公式アカウントとしてではなく、「全力会社員よこちゃん」として投稿しているため、親しみやすく、他社と差別化できているのが特徴です。

【参考】ハーバルアイ!TikTok採用始めます!
https://www.wantedly.com/companies/herbal-i/post_articles/368940

5.株式会社コプロ・ホールディングス

TikTokアカウント:https://www.tiktok.com/@copro_recruit

株式会社コプロ・ホールディングスは、建設・機械設計のエンジニア派遣事業を展開している企業です。

同社は、建設業界のマイナスイメージを払拭するためにTikTokをはじめました。同社の投稿では幅広い年代の社員が登場するため、風通しのよい社風が伝わってきます。

【参考】社員インタビュー|TikTok始動!レジェンドに聞いた撮影の裏側と本音
https://www.wantedly.com/companies/company_8797731/post_articles/394398

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まとめ

今回はTikTokを利用した採用活動について説明しました。

視聴時間が伸びている動画を採用活動に活用する企業は年々増加しています。TikTokなどの動画SNSは職場環境や人間関係、社風を伝えるための優れたツールです。

一方で、経営陣のビジョンや会社の強み、各種の社内制度など動画では伝えきれない企業の魅力もあります。採用活動の効果を最大化するためには、動画SNSだけでなく、企業理解を多面的に深められるプラットフォームを検討しましょう。

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