1on1(ワンオンワン)ミーティングとは、社員の成長を促すことなどを目的にして「マネージャーと部下がマンツーマンで定期的に行うミーティング」を指します。昨今は多くの企業で取り組まれている1on1ミーティングですが、これから取り組もうとしている段階の場合、適切な運用方法についてお悩みの方もいらっしゃることでしょう。
そこで本記事では、1on1ミーティングの概要やメリットを紹介します。加えて、導入ステップや効果を上げるためのポイントについても解説しますので、ぜひお役立てください。
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1on1ミーティングとは?
1on1ミーティングは、直接的な対話を通じてマネージャーと部下がコミュニケーションを図るビジネス手法の一つです。
1on1ミーティングは「1対1での対話」を指しますが、その真価は 対話そのものに留まりません。主にマネージャーと部下で行われる個別の面談を通して、部下のキャリアや問題、課題を理解し、支援すると同時に、部下の成長を促進させる取り組みです。
1on1ミーティングと人事評価面談はどう違う?
1on1ミーティングと人事評価面談との大きな違いは、目的と話す内容にあります。
人事評価面談の目的は「目標設定」や「評価フィードバック」で、マネージャーが部下の評価や目標の進捗について話します。そのため、マネージャーから部下への一方向的なコミュニケーションとなることも少なくありません。
一方、1on1ミーティングは「部下の成長促進」や「組織力の強化」を追求する目的で行われるため、業務に関する問題からプライベートな話題まで幅広くコミュニケーションをとる必要があります。
また、人事評価面談の場合は日々の業務指示やタスク管理とは異なるマネージャー・部下間で行われるため、四半期ごとや半年に1回実施することが一般的です。
しかし、1on1ミーティングは週に1回、最低でも月に1回の短いサイクルで定期的に実施され、面談時間も一般的に最大30分ほどです。
比較的リラックスした雰囲気で行われる1on1ミーティングは、部下の自由な発言を尊重する「対話型コミュニケーション」といえるでしょう。
1on1ミーティングの目的
先述のとおり、1on1ミーティングの主な目的としては次のようなものが挙げられます。
- 部下のエンゲージメント向上・成長促進
- 組織全体のパフォーマンスの最大化
以下より、個別に見ていきましょう。
部下のエンゲージメント向上・成長促進
マネージャー側からみれば、1on1ミーティングは部下のエンゲージメント向上と成長促進が重要な目標となります。
部下側にとって1on1ミーティングは、自分の声をマネージャーに伝え、自分の意見やアイデアを共有できる場であるため、エンゲージメントを向上させることができるでしょう。マネージャー側は1on1ミーティングの機会を利用して、部下の成長を促すための具体的なフィードバックを提供できます。
組織全体のパフォーマンスの最大化
1on1ミーティングを通じて部下の成長を促進することで、組織全体のパフォーマンスも向上します。労働力不足が問題になっている昨今、組織全体の生産性を向上させることは重要な取り組みです。
マネージャーと部下が心理的な安全性を確保しつつ、信頼関係を構築することで、組織全体のパフォーマンスが最大化されるでしょう。
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【マネージャー視点】1on1ミーティングのメリットとは?
1on1ミーティングの主なメリットは、以下のとおりです。
マネージャーと部下での関係性を深められる
各人の業務状況を詳細に把握できる
人材定着につながる
マネージャーと部下での関係性を深められる
1on1ミーティングは、マネージャーと部下が直接会話を交わすための場です。対話を通じて、信頼や理解が深まれば、強い信頼関係を築けるでしょう。
人同士のコミュニケーションでは「知っているはず」「理解しているだろう」という誤解も生じがちですが、1on1ミーティングを行うことで、このような認識の違いの解消も期待できます。
各人の業務状況を詳細に把握できる
1on1ミーティングを通じて、部下の業務状況、達成内容、抱える課題を詳細に把握可能です。部下が直面する問題を理解すれば、解決に向けたアドバイスを提供できるでしょう。
部下にとっては、1on1ミーティングを通じてマネージャーからのフィードバックを受け取ることで、自分の長所や課題に気づく可能性が高まります。自分の行動や経験を振り返り、自発的に問題解決に取り組むことで、自身の成長を促せるのです。
人材定着につながる
1on1ミーティングは、部下が自分の問題や懸念を共有することにもつながります。これにより、マネージャーは部下が抱える問題を早く察知し、解決に向けた対策を立てることが可能です。
また、「自分の意見を聞いてくれている」と部下が感じることで、組織へのエンゲージメントが高まり、組織からの離脱を防げます。
1on1ミーティングを通じて、部下が「自分のキャリアが進んでいる」「自分の努力が評価されている」と感じることができれば、モチベーションや組織への信頼感も高まるでしょう。
1on1ミーティングの実行手順
1on1ミーティングを自社で取り入れる際には、次の手順で実行しましょう。
STEP1:導入目的の明確化・共有
STEP2:スケジューリング
STEP3:1on1ミーティングの実施
STEP4:2〜3の継続開催
それぞれについて、以下より解説します。
STEP1:導入目的の明確化・共有
まず、1on1ミーティングを行う目的を部下に共有しましょう。ただミーティングを行うだけでは、部下が混乱する可能性がありますので、ミーティングの目的を詳細に説明することが重要です。
ミーティングの目的は部下のエンゲージメントと成長の促進、そして組織の生産性の向上であると伝えると、部下も目的意識をもって1on1ミーティングに臨めます。部下にミーティングの価値と意義を理解してもらうことで、積極的な参加を促すことができるでしょう。
STEP2:スケジューリング
次に、1on1ミーティングを行う具体的な日時と場所を設定します。通常、1on1ミーティングは週に一度または、月に一度の頻度で行われます。
スケジュールを設定する際には、部下の業務スケジュールを考慮し、負担を最小限に抑えることが重要です。ミーティングの日時と場所が決まったら、部下のスケジュールをブッキングしましょう。
予期せぬスケジュール変更が生じた場合は、必ず事前に知らせるように周知しておく必要もあります。
STEP3:1on1ミーティングの実施
1on1ミーティング本番では、部下のパフォーマンスや課題、キャリアについて話し合い、必要なフィードバックやサポートを提供しましょう。
1on1ミーティングでは、マネージャーはコーチングとフィードバックを行い、「聴く」スタイルを意識する必要があります。部下が話している間は、しっかりと耳を傾け、話が終わった後にマネージャーが発言するのが効果的です。
理想的な発言時間の割合は、部下が全体の70%程度、マネージャーが30%程度がよいでしょう。さらに、部下からの情報をメモに取ったり、音声ログに残したりして、後で振り返りができるようにしておくことも大切です。
STEP4:2〜3の継続開催
1on1ミーティングを定期的に開催し続けることも重要です。定期的なミーティングにより、マネージャーは部下の進捗状況を追跡し、必要なフィードバックやサポートを提供できます。
1on1ミーティングの頻度は、マネージャーと部下の業務状況に応じて適切に設定しましょう。
1on1ミーティングでは何を話すべき?
1on1ミーティングで話すべき内容としては、次のようなものが挙げられます。
- 日頃の業務に対する不安や悩み
- 今後のキャリア形成について
- 健康面やメンタル状況
ただし「何を話すべきか」は組織の状況・方針、部下との関係性によっても異なってきます。その点を前提とした上で、それぞれについて見ていきましょう。
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日頃の業務に対する不安や悩み
「業務に関する悩みを持っているものの、相談する機会がない」と感じることは、誰しもあるものです。マネージャーとして、部下が業務で直面している問題や困難、懸念についてヒアリングをし、解決策を提供できるように努めましょう
今後のキャリア形成について
部下にキャリア目標について話してもらい、「部下が今後どうしたいのか」を理解すれば、マネージャーとしてその目標をサポートするためのアドバイスをすることが可能です。
部下の目標設定やキャリアに関する話題は、部下自身が非常に関心を持っているトピックでもある可能性も高いため、積極的に取り入れることが望ましいといえます。
健康面やメンタル状況
部下の健康状態やメンタルヘルスについて話し合うことで、部下が抱えている問題を早期に発見し、適切に対応することも可能です。
毎回の1on1ミーティングでこの話題を取り上げ、部下の表情や態度などを観察し、部下が心身ともに健やかな状態であるかを定期的に確認しましょう。
1on1ミーティングを成功させるコツ
1on1ミーティングを成功させるコツとしては、以下のようなものが挙げられます。
- マネージャーも必要なスキルを習得しておく
- 部下が具体的なアクションに移れるようにする
ここからは、各要素について具体的に解説します。
コーチングに必要なスキルを習得しておく
コーチングは、部下の自己啓発を促す対話のスキルです。目的は、部下が自身の考え方や行動パターンを見つめ直し、自己認識を深めることで、問題解決や目標達成に役立つ新たな行動選択を可能にする点にあります
マネージャーとしては、解答を示すのではなく、質問を通じて部下に考える機会を提供し、部下の成長と自己啓発を支援しましょう。
具体的なコミュニケーションスキルとしては、「コーチング」「傾聴」「フィードバック」などがあります。
<コーチングで必要なスキル>
- コーチング……解答を示すのではなく、質問を通じて部下に考える機会を提供することで部下の自己啓発を促す対話のスキル
- 傾聴……話を聞くだけでなく、話す人の感情や意図を理解し、受け入れるコミュニケーションスキル
- フィードバック……部下のパフォーマンスについての正直で具体的な評価を伝え、彼らの行動を改善するための指針を提供するスキル
部下が具体的なアクションに移れるようにする
1on1ミーティングで提供するフィードバックやアドバイスは、部下が具体的な行動に移せるようなものにしましょう。
例えば、部下の時間管理スキルを改善したい場合は、「あなたの頑張りは素晴らしいと感じていますが、仕事とプライベートのバランスを保つことも重要ですので、タスクを優先順位付けして取り組みましょう」などと伝えると効果的です。結果として、部下は自身の生産性をアップさせ、仕事上の目標を達成しやすくなるでしょう。
1on1ミーティングで話し合いを行う部下のなかには、さまざまな性格や考え方、価値観の人がいます。それを踏まえて、日頃から部下の様子や業務の進め方などをよく観察し、部下一人ひとりのタイプを把握しておくことも大切です。
まとめ
1on1ミーティングの主な目的は、部下のエンゲージメント向上や成長促進と組織全体のパフォーマンスの最大化です。成果につなげるためには、マネージャー側のコミュニケーションや部下育成のためのスキルの向上が求められるでしょう。