日経BP SHOP|機械との競争
「これからがデジタル革命の後半戦。飛躍的に能力を拡大していくコンピュータに人間はますます仕事を奪われる」ーーMITスローン・スクール、デジタル・ビジネス・センターの研究者2人が2011年に自費出版し
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メンバーズキャリアは2014年の創業より多くの社員が入社し、常駐先企業で活躍をしています。2019年3月末時点で、Webデザイナー148名、Webディレクター55名、フロントエンドエンジニア23名、バックエンドエンジニア19名、計245名が在籍しています。
これまで、在籍社員がメンバーズキャリアをどう感じているかについて「メンバーズキャリアNOW」でお伝えしてきました。今回は、メンバーズキャリアを経てスキルアップし、新たなキャリアに踏み出した退職者にインタビューをして参りました!
インタビュアーは、2014年6月入社の最古参の中途採用担当、小島です。記念すべき第1回目は、株式会社FRONTEOの門前 一馬さんに快諾いただき、現在勤務されているオフィスにお邪魔してきました!
メンバーズキャリア8番目の社員(社員番号11番!)、メンバーズキャリア在籍期間は2014年10月~2017年3月、社員数で見ると10名~120名の時期。
横浜生まれ、東京育ち。デザイン事務所でのクリエイティブに関わる仕事からキャリアをスタート。2005年アウトソーシング事業会社に入社、デジタルマーケティング本部にてWeb関連業務に携わった後、事業開発、営業戦略本部に従事。その後、AIスタートアップベンチャーでの勤務を経て、メンバーズキャリアに2年6ヶ月在籍。
現在は株式会社FRONTEO 行動情報科学研究所 戦略チームにてクリエイティブディレクターとして、社内の様々なクリエイティブ業務、AI関連の技術動向調査、リクルーティングに従事。のべ2000人が参加しているAI関連の技術イベント「Machine Learning 15minutes!」主催。
ー 門前さんは「ハケン」という言葉を非常に嫌っていたのを記憶しています。当時メンバーズキャリアの組織に対してどのように感じ、どのようなアクションをされていましたか?
冒頭からセンシティブな話題になりますね...
⾃分がメンバーズキャリアに⼊社した当時、メンバーズグループ本社の方と接した際に、”どうせメンキャリって派遣会社でしょ、”というような格下に扱われたと感じたことがありました。自分は正社員としてメンバーズキャリアに入社し、オンサイトでクライアント企業に常駐している意識だったので、「ハケン」扱いされる事に非常に抵抗を感じました。これは、当時、制作会社で社員として働いていて、その後メンキャリに入社した多くのメンバーが感じていたことだと思います。
自分は嶋津社⻑が言っていた「派遣会社だと思って経営しているんじゃない。⼀流のクリエイターを育てる為の、育成事業をしているんだ」という⾔葉に感銘を受けていましたし、在籍しているメンキャリ社員ひとりひとりの向上⼼の⾼さを尊敬していたので、メンバーズキャリアのブランドを構築する事が⾮常に重要だと感じていました。
その為には、常駐先のお客様やメンバーズ本社から、「メンバーズキャリアは他の常駐型企業よりもずっと技術向上力が高い!」と思われる事が重要だと考えていました。社外に対しては、クライアントを UX JAM や⾃⾝のイベントであるMachine Learning 15minutes! へ招待したり、クリエイティブのプロとして、⾃分⾃⾝が勉強を怠らないようにしました。また、社員同⼠が年齢や経験に関係なく、仲間としてお互いに尊敬し合う⽂化を作れるよう、帰社会ではなるべく新しい⼈と楽しく話すことを⼼がけていました。
あと、経営者や営業などのバックオフィスに対して、「もし”ハケン社員の○○さん”と呼ばれたらどんな気持ちになりますか、侮蔑されたと感じませんか?」といった質問をして、常駐クリエイターと同じ⽬線に⽴ってもらうような発⾔もしました。
ー 今でこそ、メンバーズキャリアはクリエイターファーストの会社だと私も感じますが、初年度は「学び合う環境を作る」というビジョンはあれど、環境的には不足していた部分も多かったと思います。入ってみてギャップを感じた事や、辛かった事はありませんでしたか?
自分はそんなにギャップを感じたことはなかったですよ。小島さんの面接での発言はいまだに覚えてます。「クリエイターの、クリエイターによる、クリエイターのための会社にしたいんです!」と熱く語られていたのが印象的でした。当時、バックオフィス、先に入社しているクリエイターの方も、そのビジョンに共感して集まっていたと思います。
「本当にクリエイターのための会社を作ろうとしているんだな」と実感した出来事が、入社してすぐにありました。それは、2014年10月のメンバーズグループ社員総会に参加した時、社員が企画した懇親会で、全社員で輪になりフォークダンスの「マイムマイム」を踊ったことです。
それまで自分は「労働集約型ビジネスでは人を使い捨てるもの」という考え方で仕事をしてきました。マイムマイムを見て、メンバーズは共に手をつなぎ、協力し合い、事業を押し上げていくという考え方だと直感的に理解し、自分の働き方も「競争」ではなく「共創」という考え方にスイッチできた瞬間でした。
▼たしかに、当時の社員総会実施報告に「マイムマイム」の文字がありました。私もなぜマイムマイムを踊るのか謎でしたが、門前さんはそんな風に感じていたんですね!
ー 常駐業務も今となっては懐かしいのではないですか? 門前さんは入社して4日目から1社に2年半常駐していましたね。当時常駐している時に心がけていたことなどはありましたか?
常駐先企業からは「メンバーズキャリアから初めてやってきた人」と見られると思っていたので、他社から常駐している方には負けたくない!と思っていました。信頼を得るのは地道な積み重ねですから、クライアントの意図をくみ取り、常に期待以上のアウトプットを出すよう心がけていました。また、同じ常駐先のメンバーとの交流を意識し、常駐先のムードを良いものにしようと心がけていました。
ー メンバーズキャリアの退職率は現在10%前後で推移しています。常駐型の事業としては異例の退職率の低さだと思うのですが、門前さんにとって、メンバーズキャリアに合わないのではないかと感じる方の人物像はありますか?
メンキャリを卒業した⼈間があれこれいうのも少し気が引けるんですが、⾃分さえ這い上がる事が出来れば、周りの⼈はどうなってもいいといった、仲間の幸せを考えられない⼈は、合わないと思いますし、スキルをつける為の勉強が嫌いな⼈も合わないと思います。
イメージ的には、コードを書く事が⼤好き、クリエイティブを考える事が⼤好きで、仲間と⼀緒に⾃分⾃⾝を向上させたいといった⼈が合うと思います。
メンバーズのコアバリュー(企業価値観)にもありますが、社会をより良くするためにスキルを⾝につけて貪欲に⾃ら成⻑する⼈、失敗を恐れず果敢に挑戦する⼈、何が得かではなく何が正しいかを軸にする⼈、仲間とともに勝つことを尊ぶ⼈。これに尽きますよね。笑
本当に「技術にまっすぐ取り組む姿勢」が尊敬できる方が多く在籍していたと感じます。長くこういった技術の業界にいる自分は、そういう方々にできることをしていきたいと感じていましたし、今も感じます。
ー 当時カラオケボックスで勉強会をしたりしましたよね、懐かしいです! メンバーズキャリアの社員数は現在300名を越えました。当時はなかった制度のリリースなども出していますが、外からメンバーズキャリアを見て、どのように感じられていますか?
メンバーズキャリアが短期間にこれだけ成⻑した理由は、本当に⼈を⼤切にしているからだと思います。
メンバーズキャリアのクリエイターは全員正社員で、執⾏役員も全員常駐クリエイターという、クリエイターにとっては本当に素晴らしい会社だと思いますし、凄い会社に成⻑したんだなと、感激しています。
普通、常駐型のベンダーは、⼈はタダの使い捨てのカイロで、絞るだけ絞りとって使えなくなったら捨てる。成⻑する機会を与えるよりは、上からの命令に従順であるよう洗脳して給与はそのまま、お客様への請求額だけはあげるといったブラック企業が多い事も事実なんですが、メンバーズキャリアは⼈の成⻑無くして企業の成⻑なしといった、ある意味、業界の常識を打ち破ることに挑戦した結果が、今の成⻑に繋がったと⾃分は感じています。
ただ、300⼈規模になった現在、営業にとっては、お客様とクリエイターの板挟みになって苦しむ事が多くなっていると思いますので、どれだけ営業が⼤変かクリエイターに知ってもらう機会を作ってもいいかもしれませんね。クリエイターを応援する事が好きな⼈、クリエイターを愛する事が出来る営業の⽅が増える事を願っています。
ー 私にとっては門前さんと言えば「AI(人工知能)」「Deep Learning(深層学習)」「Machine Learning(機械学習)」。在職中のアウトプット、ニュースのシェアは、そういったことが中心でしたよね。もともと門前さんはアウトソーシング事業会社、AIのスタートアップを経て、メンバーズキャリアに入社されました。デザインからキャリアをはじめて、AI分野にどっぷりと浸かっていったもともとのきっかけは何だったんですか?
メンバーズキャリアの前々職、アウトソーシング事業会社にいた時、⾃分はクリエイター職から離れ、営業戦略本部で資料作成や会議体運営、会社イベントの運営などを⾏っていました。ただ、上位組織で働くことに憧れてそのような組織に⼊ったものの、⾃分はクリエイター出⾝だったので、⾃分の良いところを全く⽣かす事が出来ず悩んでいました。
そんな時に、MITの研究チームが出版した『機械との競争』を読み、「これからデジタル⾰命の後半戦で⾶躍的に能⼒を拡⼤していくコンピュータに⼈間は仕事を奪われる」といった内容に衝撃を受け、「これから⾃分の最後のキャリアを築いていくにあたり、⾃分が本当に興味が持てる事を仕事にしたい。⾃分が培ってきたクリエイティブの知⾒を武器に戦っていきたい」と決断した事がきっかけです。
今でも良く覚えていますが、代官⼭の蔦屋で途中まで⽴ち読みして、読みかけの本を買い、⼀晩考え決断しました。⾃分は当時43才だったんですが、⼈⽣においてとても重要な決断だったと思います。
ー 門前さんが在籍してた頃には、機械学習関連の業務ニーズが弊社には無くて、残念ながら門前さんのキャリアに応えることはできなかったのですが、今はIoTやAIに自主的に取り組むクリエイターも増えています。門前さんのアウトプットの種が花開いたものだと思います
それはうれしい話ですね!メンキャリの社員のみなさんは新たな技術へのアンテナを張っている方が多くて、会社は違いますが、共に学び合っていきたいですね。
ー 主催されている「Machine Learning 15minutes! 」も長寿イベントになりましたね!なかなかイベントを続けていくことは難しいことだと思います。開催のモチベーションや楽しみはどんな所にありますか?
モチベーションは、「⾃分が最前列で機械学習について学べる事」ですね。最先端の技術を持っている⼈、新しい事を学ぶ事が好きな⼈と会える事もモチベーションになっています。⾃分は「⾃分自身がMachine Learning 15minutes! という学校で学ぶ⽣徒」だと思っています。
最初に勉強会をはじめたのは、他の方が開催されているセミナーなどに足しげく通っているうちに、十分な知識を得るには時間もお金もかかると感じるようになったのがきっかけです。当時一緒にセミナーに行って学んでいるような方達と内輪で勉強会をしてみよう、という話がまとまり、始めました。早い段階で興味を持ち、このような会を実施してきたことで、多様な情報が集まるようになったと感じています。
ー 株式会社FRONTEOさんにご入社されて、2年が経過されましたよね?今後の展望を教えてください。
AIは何でも出来る夢のツールではありません。AIをビジネスで活⽤するには、業務の課題を把握し解決⽅法を考える必要がありますしデータが⾮常に重要となります。
今、⾃分が所属するFRONTEOでは、リーガルの本場アメリカで、AIを活⽤してリーガルビジネスの⼀部を変えていくという、⾮常にチャレンジングな⽬標に取り組んでいます。
⾃分は現在、AI関連の技術動向調査、クリエイティブ、リクルーティングの3つの業務を担当しているんですが、⽇本発の企業が、本場アメリカでAIを使ってリーガルビジネスのモデルを変えていけたら、本当に素晴らしいと思います。ですので、⾃分の強みを⽣かして会社に貢献し、FRONTEOが次のステージに⾏く原動⼒の⼀部になっていきたいですね。
ー 最後に、メンバーズキャリアへの入社をされる方に一言お願いします!
AIやテクノロジーの最先端分野では、すでに⽇本は中国に追い抜かれています。クリエイティブの世界でも、おそらく、同じ現象が起きていると思います。まだ、そのことを実感できていない⽇本⼈が⾮常に多い。
これから、企業ではAIやRPAの導⼊が進み、⽇本も⼤きく変わると思いますが、中国に負けないよう変化を恐れずイノベーションを起こし続けなければなりません。
また、開発コストの最適化で、常駐クリエイターの需要は、ますます拡⼤しメンバーズキャリアの役割も⾮常に⼤きくなっていくと思います。また、自動化ツールを使いこなせる人は仕事の生産性が圧倒的に高くなり、ツール自体の精度は上がっていき、コストは下がっていきます。クリエイターの⽅々には10年先を⾒据えて、⾊々な事に興味を持っていただきたいです。出来れば、メンバーズキャリアから⽇本のデジタル業界を変えていってほしいですね。