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誰もが個性を発揮できるプロダクトへ。ワークショップを通じてUI/UXを自分化する

誰にとっても心地いいユーザー体験の提供を目指す「カオナビ」のプロダクトデザイナーは、日々どのようなことを考えて仕事をしているのでしょうか。
UI/UX方針の策定やアクセシビリティへの対応をさまざまなワークショップを通じて推進する、プロダクトデザイナーの甲斐さんに話を聞きました。

プロダクト本部 サービス開発部 プロダクトデザイナー
甲斐 一再
UXデザイナーとしてアプリの開発やマネジメントを経験した後、2022年4月にカオナビに入社。同年3月に修了した大学院で研究した「人材の多様性」を生かした組織デザインに取り組んでいる。

ワークショップを通じてUI/UXを自分ごとにしてもらう

──カオナビに入社した理由を教えてください。

2022年の4月に入社しました。同年3月に修了した大学院で、人材の多様性を研究していたので、面接のときにデザイナー一人ひとりの個性を活かした組織開発をしたいと伝えて、ご縁があり採用していただきました。キャリアの歩みとしては、前々職の運送会社で音楽アプリの開発に携わり、外国人エンジニアの採用や管理をしていました。前職の事業会社では、UXデザイナーとして自分で手を動かしつつワークショップやデザインスプリントを行いました。

──大学院での研究について詳しく聞かせてください。

大学院に入学した理由は、前々職で多国籍なメンバーと一緒に仕事をした経験が関係しています。文化や宗教、風習などのバックグラウンドに違いがあるからこそ生まれる相乗効果を身をもって経験して、人材の多様性を活かす方法論を体系的に学びたいと考えました。具体的には、さまざまなワークショップを通じた組織開発を研究の中心に、学術的にというより実践的に、異なる考え方を持つ人々の間でどのように合意形成をしていくかについて探求しました。

──デザイナーチーム内ではどのようなワークショップを実践しているのですか。

前提として、デザイナーと一口に言ってもさまざまな考え方の人々が社内にいます。審美性を優先するアーティスト寄りのデザイナーもいれば、ユーザー中心にデザインを考えるプロダクトデザイナーもいます。当然、彼らの考え方も非常に多様であり、UI/UX方針についても、異なる認識を持っていました。そのため、考え方の相違を認めながらもUI/UX方針について共通認識を持ち、自分ごとにしてもらうためのワークショップを開催しています。
先日は、「カオナビらしさってなんだろう?」というテーマを掲げて、メタファーを用いたワークショップを開催しました。メタファーを使いそれを足がかりにして、自分の内でぼんやりと抱いていた感覚を言葉として外に出していきました。具体的には、いろいろなアイスクリームが描かれた紙を並べて「カオナビ」らしいアイスクリームを選んでもらいました。「機能がたくさんあってひとつずつ食べていけるところ」とピノを選ぶ人もいれば、「青色や黄色がブランドカラーと似ている」とアイスボックスを選ぶ人もいました。これによって、普段は黙々と画面に向かい作業をするデザイナーが「カオナビ」らしさを言語化して自分ごとにする体験を実践しました。

長期的な視点でアクセシビリティを改善していく

──誰もがアクセスできるUI/UXが求められる中、2021年には障害者差別解消法の改正がありました。

私は人材の多様性をテーマにキャリアを積んできたので、あらゆる人々にとって心地いいUI/UX方針を定める必要性を感じています。やはり誰もが不自由なくアクセスできるユーザー体験のデザインは、法律の改正に関わらず対応が急務だと考えています。とはいえ、カオナビのデザイナーもそれぞれ異なる考え方を持っているため、長期的な視点で合意形成をしていく必要があります。
以前、NASAゲームという4人が1チームを組むワークショップを開催したときに、自分とは異なる考え方を持つ相手の存在を身をもって実感する体験をデザインしました。このゲームのルールは、自分達が乗る宇宙船が壊れて月に取り残されてしまい、生きて地球に帰るために宇宙船にあるアイテムを1〜15位まで優先順位をつけること。まずは個人でアイテムを並べるのですが、最終的にはチームで1つの答えを生み出さなくてはいけません。

「食べ物が一番大切」という人や「暖房器具がないと凍え死ぬ」という人など、人によって価値基準はさまざま。そんな中でチームとして、合意形成しなければならない。「カオナビ」のUI/UX方針の策定もこれとまさに同じことなんですね。もちろんすぐに決められることではないけれども、最終的には全員が納得できるような形で結論を導かなくてはなりません。

UI/UXを通じてパーパスを実現していく

──カオナビの「“はたらく”にテクノロジーを実装し 個の力から社会の仕様を変える」というパーパスについてどう考えていますか。

このパーパスに共感して入社している人も多いと思います。ですから「カオナビ」のUI/UXを通じてパーパスを実現していく共通認識はすでにみんな持っているんですね。そのためには、自分たちがカオナビを理解して楽しみながらも能力を最大限に発揮しなくてはならない。そうすればきっとUI/UXもより良いものができて、ユーザーも幸せになる。これらの合意形成は、ワークショップを通じて生まれてきています。

ユーザーといっても、経営層や人事担当者、従業員など、ふれる画面もそれぞれ異なります。そこをきちんと想像してシナリオを考えて、課題を見つけたらデザインを通じてそれらを解決していく。一つひとつのプロセスをとても大切にしていかなくてはならないと感じています。これから発散したアイデアを収束させて、自分たちが立てた仮説を検証していき言語化していかなくてはいけません。

──個の力を大切にするカオナビだからこそ、アクセシビリティの問題に対しても社会を先導するべきという思いはありますか。

はい。上述したパーパスもありますので、「カオナビがやらなきゃ誰がやる?」という気持ちは強いです。そのためには、プロダクトのデザイナーだけではなく、マーケティングやブランディングのチームの方とも日々連携をとる必要があります。
「デザイナー組織を強化する」というミッションを持ち入社したのですが、ワークショップを含むさまざまな活動を通じて、デザイナーの意識も変わってきた手応えを感じています。最初は自分を主張するのが得意じゃないデザイナーも多かったのですが、今は「今回はこれをやりましょう」とか「会議の前にLTをしましょう」とか、率先的に意見を出してくれます。「もう私いらないかも」と思うこともありますね(笑)
UI/UXの方針やアクセシビリティの対応は1、2年単位の大きな動きなのですが、すでにポジティブな雰囲気が生まれてきています。ぜひプロダクトからそのような変化の兆しを感じてもらえればと思います。

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