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Gunosy創業ストーリー 2人の代表が教えてくれた今までに知らない会社のこと

 こんにちは。2019年8月、GunosyはLayerXの株式の一部を福島にマネジメント・バイ・アウト(MBO)で事業譲渡しました。

 そこで今回は、2人が築き上げてきたGunosyの約7年間の軌跡をご紹介します。「グノシー」の成長や代表交代など、Gunosyで起こった変化を2人の目線から語っていただきました。ぜひ、ご覧ください。

Gunosyの設立

- 情報キュレーションアプリ「グノシー」の誕生秘話を教えてください

福島
「グノシー」は2011年、私が大学院生の時に機械学習の研究をしていたと吉田の3人で開発しました。当初から、「自分達が使いたいサービス」を作りたいと思っており、今欲しいものは何か?と考えたところ、辿り着いたのが情報でした。

 元々3人ともインターネットで情報収集をしているメンバーでしたが、流れてくる多くの情報の中には、面白いものもあれば、つまらないものもありました。それを全て見ていくのは大変なので、アルゴリズムで欲しい情報だけを受け取れたら便利だと考えたのが開発のきっかけです。当時は周りの友達が使ってくれたら満足という気持ちだけでしたので、今のようにたくさんのユーザーにご利用いただけるアプリに成長するとは想像もしていませんでした。

- Gunosyを設立しようと思ったきっかけは何でしょうか?

福島
 設立の時期は、ちょうどスマートフォンが普及し始めたタイミングでした。ベンチャーの立ち上げはマーケットの選択が大事だと言われますが、当時のニュースアプリの市場規模はとても狭く、私はビジネス経験もなかったので「グノシー」で会社を立ち上げようとは思っていませんでした。

 しかし、SNSで「グノシー」のリリースを投稿したところ、数万人から注目が集まり、投資家の方々にも目をかけていただけるようになりました。それから現取締役の木村さん*1と出会いました。ニュースアプリで儲かるはずがないと思っていましたが、出会いから1年もの間、「必ず成功する」と言い続けてくれた木村さんの存在があったからこそ、設立を決心できたと思っています。

 社名は、ギリシャ語で知識を意味するGnosis(グノーシス)とあなたの u(“you”)を合わせて、「“Gnosis” for “you”=あなたのための知識」として「Gunosy」と名付けました。

Gunosyの成長

- 竹谷さんがGunosyに入社するまでの経緯を教えてください

竹谷
 私は新卒でグリー株式会社に入社し、23歳の時にGunosyに入りました。社会人2年目になり、今後の自分の人生の戦略を考えた時にどういったキャリア形成をしていくのが適切なのか考えている時に、木村さんと出会いました。

 それまでお会いしてきた社会人の方々と考え方や生き方がまったく違い、とても衝撃的な出会いだったと記憶しています。色々とお話をさせていただく中でこの人から多くの事を学びたいと強く思うようになり、ご縁がありGunosyで働ける機会をいただきました。

 他にも選択肢はありましたが、自分自身が納得感を持って尊敬する人と働くことが重要だと思っていたので即決しました。入社直後は創業メンバーのエンジニアとバックオフィスの4名程度しかおらず、当時はベンチャー企業への就職が一般的ではなかったですが、上記の理由があったため不安はありませんでした。

- 竹谷さんが参加された後はどのように役割を分け、成長させていったのでしょうか?

福島
 大まかにいうと、エンジニアリングが私、ビジネスを竹谷、経営は木村さん、という役割分担でした。私は主にプロダクトにおいてエンジニアリングチームの管理と実務を行い、竹谷はマーケティングやメディアとの連携業務を担当していました。

 インターネットにおいて「グノシー」が情報を定期的に伝える新聞のような位置づけにいる事は分かっていましたが、新聞と同じ事をしても意味がないので、リアルタイムで最適な情報を提供できるようにサービスを構築していきました。Gunosyの企業理念でもある「情報を世界中の人に最適に届ける」という言葉は、この考えが由来になっています。

- サービスの拡大に最も影響を与えた出来事を教えてください

福島
 CM放映は、成長の一つのきっかけでした。CMを放映しようと思った理由は、会社のビジョンと照らし合わせた時、より多くのユーザーに使ってもらいたいと考えたからです。当時の「グノシー」はパーソナライズされていて、一般的ではなくニッチな媒体だったと思います。しかし、世の中が求めているものにピボット*2していかないといけなかったので、連携する媒体やアプリの体制を考えていました。

 その一環としてテレビCMも開始し、これをきっかけに、「グノシー」は一般的なジェネラルなニュースメディアに変わっていったと思います。アイコンを現在のものに変えたのも、その時期です。

竹谷
 様々な質の異なる意思決定をしてきたので、どれが一番と選ぶのは難しいですが、個人的には会社のプロダクト展開の方向性を決めたことは大きな意思決定と印象に残っています。

 創業からメディア事業では「グノシー」アプリ1本でやっていましたが、KDDI様と一緒に「ニュースパス」をリリースする話があがってきました。ニュースアプリという視点で見ると、「グノシー」の競合とも認識しうる事業で協業することが適切なのかといった議論はありました。当時幹部で何度も活発に議論をした記憶が色濃く残っています。

 結果としてテーマ、コンセプトを明確的に規定することで、喰い合いが発生しない形で事業展開するという意思決定をしました。現在、各アプリが大きな成長を実現して企業価値を構成する重要な要素になっているので、会社としては大きな決断でしたが、ターニングポイントだったと思います。

Gunosyの変化

- LayerX設立の経緯を教えてください。また、CEO交代後2人に何か変化ありましたか?

福島
 LayerXは元々、Gunosy内でブロックチェーンの研究・開発を進めつつ、ビジネス化を模索しているチームでした。半年ほど研究を続けて事業化しましたが、Gunosyのビジネスとは異なる部分が大きく、必要な人材や組織体制も違うことから、会社を分ける選択をしたのが子会社設立の経緯です。

 LayerXを立ち上げると決めた時に、ブロックチェーン事業に100%注力する事、そして2人の役割を明確化する事が必要だと考えました。これまでGunosyは、新規事業を立ち上げるのが私の役割で、既存事業を大きくしていくのが竹谷の役割という方針で運営してきました。今のGunosyにとって、さらなる成長のためには新体制をとる事が良いと判断し、代表交代の形をとる事にしたのです。社員には混乱してほしくなかったので、意図や経緯など含めすべての事を最優先に伝えました。

竹谷
 私にとっては代表交代よりも、代表取締役が一人になった、2名体制ではなくなった事が大きな変化だと感じています。最終意思決定者がCEOなので、会社の方針やビジョンを組織に伝達するという部分に時間を使うことが多くなりました。

 ただ、2012年の入社当初からずっと私自身役職というものには一切こだわりはありませんでした。現在置かれている組織のパフォーマンスが一番高まるように自分が立ち振舞うべきというスタンスでずっと働いています。今は、CEOという立場でこの会社の価値向上をゴールとした時に自分が何をすべきか、何ができるのかという意識でいます。

 逆に、自分よりも適切なCEO候補がいてその人がやったほうが良いと合理的な納得感があれば、役職を交代することは当然と考えています。組織、企業の成長に応じて全ての役職者も成長しないと基本的にはお役御免になります。常にその企業と個人の成長の差分は意識して生きていて、その差が埋まるように、少しでも余裕を持てるように日々過ごしています。自分自身を会社、役割にあわせて常にアップデートしていく感覚という表現が適切だと考えています。今関わっている組織が良い状態になることを望んでいます。

- 今後それぞれの目標について教えてください

竹谷
 Gunosyの企業理念である、「情報を世界中の人に最適に届ける」に沿った形で世の中に届けられる価値の総量の最大化をしたいと考えています。情報が飛躍的に増え、人々の情報課題も目まぐるしく変わっていく中で、情報課題を当社がもつテクノロジーの力で解決していくことがGunosyの使命だと認識しています。

 ただ、ユーザー・投資家・事業者、それぞれの視点は全く違います。だから、ユーザーには面白くて生活が便利になる情報を、投資家には企業成長を、そして、事業者には、ビジネス拡大に繋がる当社アセットを活用したサービスを、業者には今までにない特別なサービス情報を、それぞれのステークホルダーに対して適切な価値を創出していきたいと思っております。

福島
 ブロックチェーン業界において競争が加熱している中で、機動性をもった経営をしないとLayerXが生き残ることは難しく、竹谷にも今後の経営について相談していました。一方Gunosyは、昨年の代表交代後も組織が回る体制が整い、事業も成長していたので上手くバトンタッチできたと思います。だからこそ今、オーナーシップを持って経営に向き合っていくことを決め、挑戦していきたいと思っています。

 そして、今後はGunosyの特別技術顧問としてサポートは継続していきます。Gunosyはテクノロジーカンパニーなので、社員をしっかりリードしていけるよう、一緒に考えていこうと思っています。私がなにか実務をするわけではありませんが、意思決定をサポートする、そういう関わり方をしていきます。

- 福島さんからGunosyへ送るメッセージをください

福島
 Gunosyには、今まで作ってきた「文化」を残した会社であってほしいと思います。文化といっても、「ずっと変わらず」という意味ではありません。

 Gunosyの根本には、「テクノロジーに賭けよう」「新しいビジネスに果敢に挑戦しよう」という考えがあります。その中で、Gunosyがどうやって成長してきたかというと、客観的に物事をみてきた事が鍵だと思うのです。事業を客観視して利益を出して成り立たせ、非合理な事はやらないことを一番重視してきました。それがGunosyらしさですし、続けている限り成長は止まらないので、そんな文化が続いていくといいなと思っています。

 そして、Gunosyの立ち位置的に、ブロックチェーンの領域というのはいつか必ず来るものだと思うので、そうなった時、LayerXのCEOとして見ても、Gunosyは魅力的なパートナーです。GunosyとLayerXに、シナジー効果が生まれる時期に、一緒に取り組んでもらえるようLayerXを大きくしていきたいと思います。

- 竹谷さんから福島さんへ送るメッセージをください

竹谷
 福島とはGunosy法人化の時から一緒に働いています。私の社会人歴は8年となりますが9割以上の時間を彼と過ごしてきました。Gunosyはここ数年で出来た会社の中でも急速に成長してきた企業であり、その成長過程で本当に良くも悪くも色々な事がありましたが、その課題感を共有しながら一緒に解決してきたのが福島です。

 同僚というより戦友に近いような感覚であり、その福島が新たに覚悟を決めて挑戦するというのであれば、それは全面的に応援するしかないと思いました。必ず成功して欲しいですし、彼のことなので成功すると思っています。

 GunosyとしてもLayerXの株の一部は保有してますし、ブロックチェーンのビジネスドメイン自体の可能性は依然としてあると考えていますので、ぜひ今後大きくなったら両者でビジネスでも何か素敵なコラボレーションができればいいなと二人でも話しています。また、特別技術顧問として彼にはGunosyに関わってもらうので今後もGunosyを応援してもらうつもりです。

*1:2013年に当社代表取締役に就任、2014年退任。2016年6月にはAnyPay株式会社を創業。2017年8月より当社取締役に就任。

*2:路線変更/方向転換

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