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UXデザインの思考を全社にインストールしたい

UXデザインのキャリアを積んだ伊藤智之さんは、2021年にキュービックに入社し、デザイン組織エクスペリエンスデザインセンター(XDC)のマネージャー、UXデザイナー、サービスデザイナーとして活躍されています。「UXデザイン」について、その本質はどこにあるのか、伺いました。

◆話し手
・伊藤智之
イラストレーター・デザイナーとしてキャリアをスタート。人材育成のコンサルティング会社にてソリューション企画やMBA養成講座のe-learning企画・設計などの業務に従事。その後、大手広告代理店グループのインタラクティブクリエイティブ会社にて新規事業開発、サービスデザイン、オウンドメディアリフレーミングなどに携わり、2021年キュービック入社。
◆聞き手
・市原純(@Junomi_icchi
2018年新卒入社。北海道生まれ。キュービックに内定後、内定者インターンとして転職領域のコンテンツメディア運用チームに配属される。新卒入社後、クライアントのオウンドメディア運用チーム→営業部署の立ち上げ→ウォーターサーバーメディアの広告運用と営業を兼務→社長室に所属。

UXデザインの一番の魅力は、生活者の価値観に触れられるところ

——現在XDCのUXチームのマネージャーを務めていらっしゃる伊藤さんは、2021年7月 に入社されたばかりですよね。まずは、どのような理由でキュービックに入られたのか、教えてください。

伊藤:
前職は広告代理店のグループ会社で、UXデザイナーとして働いていました。いわゆるコンサルっぽい入り方をすることが多かったです。リサーチから入って、課題を策定したり、具体策を立案したり。案件の規模や体制によっては画面や機能の設計まですることもありました。

——UXデザインをメインにしつつ、UIデザインに関わることもあったということですね。

伊藤:
そうですね。一般的には、UIの設計まではUXデザインの範疇に入るので、そういう意味ではUIデザインにも携わっていました。

私がUXデザインの仕事で一番好きだったのが、生活者の価値観に触れられるところです。その価値観を通じてクライアントのさまざまな課題を見出す、このプロセスが好きなんですよね。なので、元上司や、転職活動中にお世話になったキャリアコンサルタントからは、ずっと「あなたはコンサルをやったほうがいいよ」と言われていました。

でも、前職の最後の3年くらいで、クライアントの新規事業開発、サービスデザインなどを担当することがあり、これがすごくおもしろかったんです。そして、これからはサービスや事業を作る側になりたいなと考えた時に、コンサルではなくて、事業会社で働きたいと思いました。事業会社のほうが自分で着手できる課題の幅も広いし、ハンドリングも任せてもらえるように感じて。

「自分のやりたいことがキュービックなら実現できるかもしれない」と思えた

——では、事業会社を中心に転職活動をされたわけですね。

伊藤:
はい。コンサル・受託側を横目にしながら。ただ、なかなかしっくり来るところがなくて……。

先程お話しした、リサーチして課題を見つけて具体策を立案するような、いわゆる上流部分にあたるプロセスについて、「それはデザイナーの仕事ではない」という考え方を持っている会社が多かったんですよ。「それはマーケターやプランニングの人の役割だから」みたいな。

そんな時、求人情報を見ていたらキュービックの記事があったんです。「モモウメの会社です」って(笑)。

——モモウメの会社(笑)。

伊藤:
実は前職に入る前から篠原さん(篠原健 執行役員/CDO)とは面識があり、篠原さんが事業に関わっているということでモモウメのことも知っていました。それでキュービックに興味が湧きまして、10年ぶりに篠原さんと連絡を取り、お話をする機会をいただきました。

キュービックで篠原さんは「広義のデザイン」を提唱していますが、私が理想とする上流部分のプロセスは、篠原さんの言う広義のデザインに当てはまります。私はあくまでデザイナーとしてリサーチや体験構想、課題策定、施策立案などをやっていきたいと考えていましたが、それがキュービックならできると思えました。

しかもキュービックは「インサイトに挑み、ヒトにたしかな前進を。」をミッションにしていますよね。リサーチして生活者の価値観に触れて、その価値観に響くものを作っていくのが仕事であるUXデザイナーにとって、これは、「我が社に来てください」て言われているようなものです(笑)。

——伊藤さんが「デザイナー」の立場としてやっていきたいことと、キュービックがデザイナーに求めること、これがぴったりマッチしたというわけですね。そうしてキュービックに入社されて、約4ヶ月が経ちました。実際に働いてみて、印象はいかがですか?

伊藤:
事業会社って一般的に、コンサルや広告代理店とは違って、「プロセス」よりも「結果」の比重が大きいんです。なので、いくらキュービックが「インサイトに挑み」や「広義のデザイン」を掲げているとしても、事業会社ですから、そこまでUXリサーチをすることはないと思っていました。

でも、いざ入ってみると……、めちゃくちゃやってるんですよね(笑)。UXデザイン、リサーチ、そうしたものの社内での浸透具合が深く、行われている頻度が非常にに高いです。特に、社内的に定性アプローチへの重要度が高いということには驚きました。「事業会社なのに、こんなに定性のリサーチさせてもらえるんですか?」って感じです。

全員が当たり前のように人を起点にして物事を考えられる会社でありたい

——伊藤さんはUXデザインのキャリアが長く、まさに、これからのキュービックを作っていかれる人材かと思います。それに向けて今後、キュービックで実現したいことはありますか?

伊藤:
これからやりたいことは、大きく2つあります。

1つ目は、「UXデザインアプローチを全社にインストールすること」。いま私たちのチームでは、社内のさまざまな案件に対してコンサル的に関わることも始めているんです。

——コンサル的に関わるというのはどういうことですか?

伊藤:
チームのキャパシティの問題で、多数の案件に本格的なアサインをすることができていないため、いろいろな部署から受けた相談に対して、UXデザインの視点でアドバイスをしています。

事業サイドの人は、やはり数値目標を強く追っていく面があります。CVR(コンバージョン率)を上げる、申し込み実績を増やすといった数値ベースの課題が頭の中でどんどん大きな比重になっていく。これは自社の話ですから、反省も込みで言うのですが……、これだけ「インサイト」の重要性を理解しているはずのキュービックでも、事業サイドで働く人はそうなってしまいがちです。

たとえばCVRが下がっているとしますよね。その現状について「なぜCVRが下がってしまったのか」「CVRを上げるにはどうすればいいか」と指標や数値をベースに考えるのではなくて、数値をユーザーの行動視点から読み解くんです。「なぜユーザーがこういう行動を取ったのか」ということを考えるんです。数字でいっぱいいっぱいになりそうな人の、考え方を変えるスイッチを私たちが押してあげられるよう、心がけています。

LP(ランディングページ)でもサービスサイトでもアプリでも、使うのは人です。人が作って人が使い、それによって人が動く。これらの結果の集積が数値として表れるんです。だから、数値を上げたければ人を動かさないといけないですよね。このようにして、人の動きを起点にして課題を策定することをごく当たり前のことにしたいんです。UXデザインの考え方を全社にインストールしたいというのは、そういうことなんです。

——確かに。それが当たり前のようにできるといいですよね。伊藤さんが実現したいことの2つ目は何ですか?

伊藤:
「デザイナー組織から、新しいサービス、事業を立ち上げたり、既存メディアのリフレームをして会社のマネタイズポイントを増やすこと」です。

——マーケティングなど事業サイドから立ち上げるのではなく、ということですね。

伊藤:
はい、デザイナーを起点にした事業開発です。そもそも私は、これがやりたくてキュービックに入ったので……。

ただ、私はこれまでコンサル側にいることが長かったので、実はゼロイチで事業を立ち上げた経験がないんです。クライアント側に、0.00000001でも何かしらの要望、イメージがあって、それを起点にして作り上げる仕事をしていましたから。

やったことのないことをいきなりやるのも難しいので、いまは「お金」や「転職」など、キュービックが強みを持つ分野で、既存メディアのリフレームを起点に事業開発をやっていきたいと考えています。それを繰り返すことで、いつか本当のゼロイチができるようになるのではないでしょうか。

リサーチのやり方はキュービックに入ってから学べばいい

——伊藤さんのチームが社内に与える影響力の大きさは私も感じていて、すごく楽しみです!キュービックのUXデザインを今後伊藤さんと一緒に盛り上げていってくれる求職者の方にメッセージはありますか?

伊藤:
UXデザイナーになりたいと思っている人はたくさんいると感じています。でも、世の中のUX領域の先人たちが偉大すぎて「専門領域だからめっちゃ難しいんでしょ」みたいなイメージを強く抱いているようで……。

そういった方たちの多くはWebやアプリなどを作る側で、情報設計、画面設計、機能設計などを得意としているものの、リサーチができないから、UXデザイナーになりたくてもなれない、と考えている人が多いと聞いたことがあります。

でも、先ほどお話しした通りリサーチならキュービックで数多くできます。リサーチが文化として根付いていて、リードできる人間も増えてきており、教えてあげることができます。

だから、「リサーチの重要性は理解しているけど、今はまだ自分ではできない。でも、画面や機能の設計、アイデア出しはできます!」って人はチャンスだと思います。リサーチのやり方はキュービックに入ってから学ぶつもりで、今まで出力に寄っていた人が入力もできるようになったら……UXデザイナーへの道も前に進むんじゃないでしょうか。

——それは求職者の方にとって心強いお話かもしれませんね!

伊藤:
私はよく「UXデザインアプローチ」って言うんですが、これは「アプローチ」の名の通り、「やり方」なんです。だから、何にでも転用が効く。木村さん(木村圭介 執行役員/CHO)も、「基本的な考え方なんだから、みんなもっと使えるはずなのにね」ってよく言ってます。

「気になるあの人のことが知りたい!」これもリサーチの1つです

——転用が効くというのは、どういうイメージでしょう。

伊藤:
んーーーー、例えば市原さんが気になる異性が社内にいるとするでしょ?

——いきなり何ですか(笑)。

伊藤:
(笑)。それで、「あの人の名前は何だろう」「部署はどこだろう」「普段は何をやっているんだろう」って知りたくなって、周りの知り合いに聞いたりして調べますよね。

——まあ、そうですね。

伊藤:
それって、リサーチしてますよね。市原さんがここで得たい成果は、「あの人とお近づきになりたい」「知り合いになりたい」ということ。その成果を得るために、まずは相手を知りたい。相手を知るためには、リサーチをするんです。

もし、その相手が映画が好きだとわかったらどうしますか? 次は、どんなジャンルの映画が好みなのか、調べますよね。「ああ、こういう映画が好きなんだな」とわかったら、いきなり映画に誘ってみるとか、普段の会話の中で映画の話を振ってみるなどの行動=施策アイデアを発散的に考えてみて、実行するものを決め、その効果を確認しながらPDCAを回していく、、

——なるほど!

伊藤:
まだまだ入り口の部分ではありますが、UXデザインアプローチって、これくらい汎用的なものなんですよね。

※尚、弊社オフィスはこのモニュメントの近くではございません。

——こんなにわかりやすい例え話でいいのかなとも思いますが、いろいろな方に理解しやすい内容になったのではないかと思います!ちなみに、最後の写真撮影のために15分歩きました!w ありがとうございました。

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