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【代表インタビュー】大切な存在を亡くした想いを胸に。「健康社会の実装」に挑み、世界を目指す

ウェルヘルスは、労災保険を活用した二次健康診断の導入支援を通じ、脳血管や心臓疾患による労災事故の防止に取り組んでいます。創業から1年半で300社以上に導入され、80,000名以上の健康データを蓄積。その挑戦の背景には、代表の土井が弟の闘病を通じて実感した「命の尊さ」と「病と闘う苦しみを減らしたい」という強い想いがあります。

現在、「健康社会の実装」を掲げ、予防医療を身近にする新たな健康管理プラットフォームの構築に挑んでいるウェルヘルス。今回は、代表の土井に創業の経緯や事業への想い、そして描く未来について伺いました。


土井 久生馬 / 代表取締役

1999年生まれ、大阪府茨木市出身。K-POPイベント事業で起業後、2023年にウェルヘルス株式会社を設立。労災保険を活用した二次健康診断の導入支援を通じ、設立から1年半で300社以上に導入、80,000名以上の健康データを蓄積する実績を持つ。2024年2月、『U-30 KANSAI PITCH CONTEST』最優秀賞、ニコニコ超会議学生ピッチ甲子園全国大会最終グランプリなど複数のピッチ大会で入賞、4月よりソフトバンクアカデミア15期生として活動を開始。「健康社会の実装」を掲げ、予防医療を身近にする挑戦を続けている。

21歳で企業、そして医療事業へのピボット

――学生時代に起業されたきっかけを教えてください。

大学時代、限られた時間の中で効率よく働く方法を模索する中で、起業を考えるようになりました。まずはビジネススキルを身につけるため、大手通信業界の子会社でインターンを経験。厳しい営業の現場で行動力と数字への向き合い方を学びました。その後、同僚が起業した会社にジョインし、学生向けイベントの企画や運営を手がける中で、「もっと大規模なイベントに挑戦したい」という想いが芽生えました。ちょうどその頃、好きだったK-POP関連のイベントを運営する会社へとアプローチし、仕事をもらうきっかけを作り20歳で独立を決意しました。

――どのような事業を展開されたのですか?

K-POPイベントの企画運営を行い、大型イベントにも挑戦しました。たとえば、VRゴーグルを使った仮想空間でのアイドルとの交流企画や、会場に設置したモニターで広告とアーティスト映像を交互に流す施策など、新しい試みに取り組みました。こうした活動が評価され、プロダクションや芸能事務所から信頼を得て「1000万円以上の案件を任せたい」と声をかけられるまでになり、株式会社BRANDNEWを設立しました。しかし、2020年3月にコロナ禍が直撃し、イベントの中止が相次ぎ資金繰りに苦しむことになりました。

――そこから、どのように医療事業への転換を図られたのでしょうか?

コロナ禍でイベント事業が厳しい状況に追い込まれたとき、正直、いくつかの選択肢が頭をよぎりました。ただの学生に戻ることや、営業の仕事を続けて生活をつなぐことも考えました。しかし、起業家として、経営者として成功を目指すなら、この状況を乗り越え、スケールする事業をつくることが今やるべきことだと腹をくくったんです。

そんな折、母から「企業が無償で受けられる二次健康診断の制度」の話を聞きました。調査を進めていく中で、この制度には大きな可能性があると感じました。手続きが煩雑で認知度が低いために活用が進んでいない現状を解決できれば、多くの命を救えるのではないか、と。そして、1年かけて事業計画を練り上げました。

もちろん、収益化までに時間がかかるこのモデルを実現するためには、資金調達が必要でした。多くの試行錯誤を経て、とある事業会社からの出資を得ることができたことで、2021年に二次健康診断事業を立ち上げることができました。この挑戦が、現在のウェルヘルスの基盤となっています。

病と闘い抜いた弟との別れ。事業への想いを強くした原点

――二次健康診断事業にアクセルを踏んだ背景には、弟さんの闘病体験が影響しているそうですね。

実は、2021年に事業を本格的に立ち上げた直後、弟が白血病と診断されました。白血病は、あらゆる病気の中でも特に過酷な治療が必要な病です。抗がん剤の投与や放射線治療など、壮絶な日々を余儀なくされます。成人でも治療を諦めてしまう方が少なくない中、弟は一切の愚痴をこぼすことなく最後まで闘い続けました。

体調が辛い時でも、「看護師さんに迷惑をかけたくない」と自分の苦しみを隠し、懸命に闘い続けました。その健気さは痛々しいほどで、どれだけ強い意志で闘っているかが伝わる一方で、私は彼を見守るしかない無力さに押し潰されそうでした。

そして2022年8月、彼は19歳の若さで旅立ちました。その瞬間、私は命の儚さと、病と闘うことの厳しさをこれ以上ないほど深く実感しました。「もし防げる病気があるのなら、どんな手を尽くしてでも救いたい」――そう強く思うようになったのは、弟の存在があったからです。この経験が、私の中で事業への使命感を揺るぎないものにしました。

弟の闘病が教えてくれたのは、健康でいられることがいかに尊いかということです。彼の想いを胸に、私は二次健康診断事業を通じて一人でも多くの命を救える仕組みを広げていきたいと考えています。

幼少期の土井代表と弟の久里夢(くりむ)さん

――実体験に基づいた想いだったんですね。そんな二次健康診断事業の仕組みについて教えてください。

二次健康診断は、企業が従業員の健康管理を進める上で非常に重要な制度です。しかし、制度そのものの認知度が低く、さらに手続きの複雑さや医療機関との調整の負担があるため、活用が十分に進んでいないのが現状です。多くの企業がこの制度の存在を知らないまま、従業員の健康リスクを抱えている状況を目の当たりにしました。

私たちウェルヘルスは、この煩雑なプロセスをすべて代行することで、企業や働く人々がスムーズに二次健康診断を受けられる仕組みを構築しました。提携医療機関や自社クリニックを活用し、出張健診にも対応しています。これにより、移動や待ち時間を削減し、業務の合間に受診が可能になるなど、従業員にとっても利便性が向上しています。

また、私たちのビジネスモデルは受診後に医療機関から手数料をいただく仕組みで、企業側にはコスト負担が発生しません。こうした柔軟な対応により、二次健康診断の受診率向上だけでなく、制度そのものの認知度を高めることにもつながっています。


――そうした背景を踏まえ、日本の健康意識についてどのように感じていますか?

日本は、保険制度が非常に整備されており、誰もが一定水準の医療を受けられる環境にあります。しかし、その一方で、自分自身の健康状態への理解や予防医療への意識はまだ低いと感じます。特に健康診断の結果を受けて、実際に行動に移す人はごく一部にとどまっています。

例えば、健康診断で「血圧が高い」と診断されたとしても、それが将来的にどんなリスクをもたらすのか具体的にイメージできず、対応が後回しになるケースが多いのです。さらに、「どの病院に行けばいいのか」「何科を受診すればいいのか」といった不安や手間が、行動を躊躇させている現状もあります。

実際、厚生労働省のデータでは、健康診断で有所見とされた人の割合は60%を超えていますが、そのうち再検査や受診に至る人はわずか10%強という報告があります。このように、医療にアクセスしやすい環境があるにも関わらず、行動に結びついていないという現状は、予防医療を推進する上で大きな課題だと思います。

ウェルヘルスでは、こうした課題に対して、健康診断の結果から将来のリスクや治療にかかるコストを具体的にイメージできるようにし、早期行動を促すサービスを展開しています。健康を「特別な取り組み」ではなく、「日常の一部」として捉えられる社会の実現を目指しているんです。

参考:厚生労働省「2.健康診断有所見者の推移」
https://jsite.mhlw.go.jp/miyagi-roudoukyoku/content/contents/000971025.pdf

参考:全国健康保険協会 福井支部「健診の結果、再検査・要治療と判定されたら医療機関を受診してください 高血圧・高血糖の方の内、約3割が未受診」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/file/pressR20903.pdf

LINEやAmazonのように社会に定着するインフラとして「健康管理」のプラットフォームを作りたい

ーーウェルヘルスが掲げるミッションやビジョンには、土井さんの想いが込められていると感じます。

私たちのミッションは、「医療の活用フェーズを前倒し、治療から予防がベースの世界へと成長させる」というものです。病気が進行してから治療を受けるのではなく、予防を日常に取り入れ、健康でいることが当たり前となる社会を目指しています。このミッションは、現在行っている「二次健康診断サービス」が果たす役割そのものです。そしてその先に掲げているビジョンが、「健康社会の実装」です。

このミッションとビジョンを実現するために、私たちは「健康だけをゴールにしない」という視点を大切にしています。健康でいることは素晴らしいことですが、それ自体が目的ではありません。健康を維持することで、仕事に打ち込んだり、旅行や趣味を楽しんだり、人生を充実させる手段となるべきだと考えています。この状態こそが、私たちが目指す「健康を実装した社会」の形です。こうした想いを具体化するために、ウェルヘルスでは新たな健康プラットフォームの開発を進めています。

――二次健康診断サービスの市場規模や今後の発展について教えてください。

二次健康診断の市場は、非常に大きな可能性を秘めています。日本の全労働人口は約7,000万人、そのうち約20%にあたる1,400万人が対象者とされています。市場規模にして約3,000億円と見込まれるこの分野には、まだ大きな競争がなく、私たちはブルーオーシャンでトップランナーとして成長できると確信しています。創業から1年半で300社以上にサービスを導入し、8万人以上の健康データを蓄積するなど、着実に基盤を築いてきました。

これらの実績を活かし、さらなるサービスの向上や、より多くの企業と個人に利用いただける体制を整備していく計画です。二次健康診断は、働く人々の命と健康を守るだけでなく、企業全体の生産性向上にも寄与できるサービスとして、まだまだ可能性を拡大していきます。

――今後展開予定の新たな健康プラットフォームについて教えてください。

ウェルヘルスでは、これまで培ったノウハウを活かし、“健康の手段化”をさらに推進する新事業を展開します。その一つが、現在開発中の健康管理システムです。このプラットフォームは、問診データや健康診断結果、日常の行動データをもとにAIが分析し、将来的な疾患リスクや症状、治療コストなどを予測します。それに基づき、パーソナライズされた改善策を提案し、必要に応じて医療機関の予約をサポートすることで、健康管理をよりシンプルかつ効果的に進められる仕組みを提供します。

さらに、セルフ採血キットの普及を推進し、自分自身の医療データを簡単に可視化できる環境を整えています。これにより、体重計やウェアラブルデバイスなど、既存のヘルスケアツールとの連携も強化し、より精度の高い健康状態の予測が可能になります。

その先には、生成AIとディープフェイク技術を活用し、ユーザーの大切な人をデジタル上で再現。その人物から健康改善のアドバイスを受けられる仕組みを取り入れることで、感情に訴えかける新しいアプローチも計画中です。こうしたアプローチは、単に健康を管理するだけでなく、個々のモチベーションを高め、行動変容を促す仕組みとして期待されています。

そして私たちが最終的に目指しているのは、LINEやGoogle、Amazonのように、生活に密着したプラットフォームを構築することです。健康管理が「特別な取り組み」ではなく、日常の一部として自然に取り入れられる形にすることで、より多くの人々が主体的に健康に向き合える社会を目指します。これが、ウェルヘルスが掲げる「健康社会の実装」への大きな一歩です。

次世代のユニコーン企業へ。加速するウェルヘルスの挑戦

ーー2024年には「U-30 KANSAI PITCH CONTEST」での最優秀賞や、「ニコニコ超会議・学生ピッチ甲子園ビジネス部門」での優勝といった成果を挙げられていますね。

これらの受賞は、私たちの取り組みに共感し、期待を寄せてくださる方が増えるきっかけとなりました。こうした評価は、事業の将来性や社会的意義を感じ取っていただけた結果だと考えています。

さらに2024年3月には、エンジェルラウンド株式会社からの資金調達が実現しました。この支援により、二次健康診断事業の拡大や、大企業へのアプローチを加速するための基盤を強化することができました。資金の提供だけでなく、事業の可能性を信じてくださった点に、大きな責任と励みを感じています。

こうした成果を一つひとつ積み重ねることで、ウェルヘルスのビジョンをさらに前進させ、多くの方々に「健康社会の実装」という未来像を届けていきたいと思っています。

エンジェルラウンド株式会社、労災保険二次健康診断サービスを展開するウェルヘルス株式会社に投資
エンジェルラウンド株式会社のプレスリリース(2024年6月11日 09時01分)エンジェルラウンド株式会社、労災保険二次健康診断サービスを展開するウェルヘルス株式会社に投資
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000126206.html
[結果発表]関西若手起業家ピッチコンテスト「U-30 KANSAI PITCH CONTEST」ウェルヘルス株式会社の土井 久生馬氏が最優秀賞に!
株式会社SoLaboのプレスリリース(2024年3月1日 17時41分)[結果発表]関西若手起業家ピッチコンテスト「U-30 KANSAI PITCH CONTEST」ウェルヘルス株式会社の土井 久生馬氏が最優秀賞に!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000291.000044897.html
ニコニコ超会議・学生ピッチ甲子園ビジネス部門優勝&1000万円獲得はウェルヘルス土井久生馬さん
2024年4月27日(土)~2024年4月28日(日)に幕張メッセでニコニコ超会議実行委員会で『ニコニコ超会議2024』が開催された。 『ニコニコ超会議2024』は来場者、運営、視聴者が一体となり、ネット発祥の人気コンテンツが地上(幕張メッセ)に集まった参加者が主役となる文化祭イベントです。 千葉県の幕張メッセにて
https://sogyotecho.jp/news/niconico-gakusei-koushien2024/

ーーウェルヘルスの成長スピードが今後加速するなかで、人材採用も進みます。土井さんは、どのような方を当社に迎えたいと考えていますか。

私たちのチームは、成長スピードの早さが一つの特徴です。その中で働くメンバーたちは、今後の成長に大きな期待感を持ちながら、日々前向きに取り組んでくれています。そうしたメンバーの姿を見ていると、「遊ぶ」「学ぶ」「働く」を一気通貫で考えられる人が、当社で特に輝くと感じます。人生を豊かにするために「遊ぶ」「学ぶ」そして「働く」という全てに積極的に向き合える方にとって、ウェルヘルスは思い切り挑戦できる場所です。

当社では、これからさらに業務領域が広がり、多種多様なポジションが生まれていきます。ウェルヘルスという船の中核として活躍するなら、「いかに早く乗り込むか」が重要です。事業をスケールさせたい、自分の力で新たな価値を生み出したいという意欲を持った方と、一緒に未来を切り拓けることを楽しみにしています。

ーー最後に、ウェルヘルスに興味を持っていただいた方に向けてメッセージをお願いします。

ウェルヘルスは、1年後には100人規模の組織へと拡大する計画を立てています。そして、時価総額1,500億円を超えるユニコーン企業を目指し、世界中に事業を展開する会社へ成長していきたいと考えています。この目標は、私一人の力では到底達成できません。だからこそ、多様な力を持った方々に加わっていただきたいです。

当社では、社員だけでなく、パートナーや協力会社を含めた全ての仲間が一つのチームです。私たちの目標は、単なる成功ではなく、事業を通じて世の中に良い影響を与え、その成果を仲間全員で分かち合うこと。お互いに支え合い、成長を楽しみながら大きな夢を実現していく。それがウェルヘルスの目指す姿です。

もしこの事業やビジョンに共感していただけたなら、ぜひ私たちと一緒に未来を作り上げていきませんか。挑戦する意欲を持つ皆さんの応募を、心よりお待ちしています。

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