起業動機
私たちは、2015年に横浜に小さなワンルーム専用アパートを建てました。新築の部屋はすぐに埋まりましたが、1年経つと1部屋が空き、2ヶ月埋まりませんでした。2年目に別の部屋が空き、3ヶ月間、空室でした。その間、礼金ゼロやフリーレントやアド(Ad) といった販促策を取るたびに、収入が下がっていきました。
気がつくと、周囲に同じ問題を抱えた大家さんが多くいました。賃貸アパートはすでに供給過剰だったのです。人口減少の一方、相続対策の名目で賃貸アパートは増えつづけ、首都圏でさえ6部屋に1部屋は住み手がいない状況でした。
一方、ワンルーム賃貸入居世代と接するたびに「声なき不満足」の存在を知りました。声高に叫びこそしませんが、彼ら彼女らは日本の賃貸アパートには満足していませんでした。2つの原因がありました。ひとつは「似た部屋」の蔓延。賃貸検索サイトがもてはやす仕様や設備に、大家や不動産業者が一様に注力したために、見分けがつかない部屋が溢れていました。ふたつめは「ライフスタイルの脆弱さ」。SNSやオンラインサイトで、憧れのライフスタイルに日々触れながら、日本の賃貸入居者の多くは、まだ昭和の匂いが残る空間にいました。
業界事情もあり、多くの場合、日本の入居者と大家とは疎遠で、入居者の想いが大家に理解されていません。この現状に風穴を空けて入居者と大家の双方に喜びをたらしたい。ささやかな問題意識と日本の賃貸事情を根本から変えたいという野心から、家と冒険の取り組みは始まりました。