日本では多くの建設現場で写真報告書が作成されています。
一方、世界では写真報告書を作成する国はごく一部と思います。(見聞きした限りですので膜構造建築に限定されるかもしれませんが、)ほとんどの国では工事写真を保存するだけで、施行の流れと詳細が一見して分かるような形でまとめることはしません。
写真報告書は日本の高い建設クオリティの一つの結果だと私は捉えています。アクシデントが起こる前に品質、安全管理を担保するという姿勢は日本が世界に誇れる文化です。
一方、現場からすると、資料作成は事務作業としての負担が高くなってしまいます。では、品質を確保しつつ現場の負担を減らすにはどうしたら良いのか?
私がミライ工事アプリで実現したいのはこの部分です。
DXで現場が疲弊している
現場の本職はものづくり、クリエイティブな業務のはずですが、
実際には多くの時間が事務作業に充てられています。
グループ会社でアンケートを取ったところ、残業を含む一日の就業時間のうち25%強を事務作業が占めていました。
内訳としては、
①写真に関する資料作成、
②その他の資料作成やチェック・申請、
③人とのコミュニケーション/物の手配、がそれぞれ1/3ずつでした。
解決方法としてペーパーレス、情報共有がキーワードになりますが、
お客様との会話の中でハッとしたことがありました。
弊アプリを利用されている建設会社の社長の方からでした。
「”IT活用”、”建設テック”、”DX”と言葉は変わっているが、昔から目指すのは時短という点で変わらない。でも、多くの作業で、DXの名のもとに”追加作業”が発生しているだけになっている。DXで現場は逆に疲弊している。」
例えば、紙の運用をなくせないまま電子の運用が追加となると、現場としては2重作業になってしまうということでした。時間も単純計算で2倍。情報の一元化を目指すだけでは根本解決にならないと理解しました。
であれば、電子で始まって電子で終わる運用をITで実現させたい。紙での保存が必須の書類に関しては、せめて紙で保存する直前まではスマホで完結させたい。そのためには、誰もが簡易に使える操作性が必須であると私は考えます。
全員で始めなければ電子以外の運用が残り続けることになります。
アプリを使い始めるのに設定と操作説明に日数が必要では利用者が限られてしまいます。すると作業が属人化して、「半年に1回、平日、病院にもいけない」「入社1年目から24時間戦わなくていけない」という状況から何も変わらなくなってしまいます。
情報共有も同じです。
コミュニケーション方法の進化は真のDXではありません。
現場管理者は漏れをなくすため、心配だから、職長に電話します。
電話で呼び出された方もいちいち作業が止まってしまう、この状況は誰も望んでいません。そもそもの心配の種を解消しておくことが真の解決です。
コミュニケーションを円滑にするために何が必要か?
それが情報共有の機能なのか事前のコミュニケーション方法なのか?
現場を見れば具体的な機能に落とし込めます。
事務作業にかかる時間を全体で1/3にする
ミライ工事は今後、現場の事務作業を時短にする機能を開発していきます。用途に応じて複数のシステムを開発していくかもしれません。
現場の事務作業にかかる時間を全体で1/3にしたい。まずは工事写真という切り口から取り組んでいます。
現場に関わる全ての人がハッピーになるシステムを作りたい
工事写真に限らず事務作業は現場だけでは完結しません。
現場と事務所、営業、設計、工場、社外を繋ぐ必要があります。
クラウドがとても重要だと考えています。
事務から営業、営業から現場担当者へのたらい回しは日常茶飯事です。
「現場担当者に聞いてほしい」。日々状況が変わり、皆、忙しいですから、タイムリーに情報共有できないこともしばしば。仕方がありません。
互いにストレスが溜ります。今ある運用とクラウドをマッチさせる仕様に徹したいと考えています。
例えば、他の現場情報も参照できたら、会社としてのナレッジが貯まっていきます。時短で浮いた時間は現場やオフィスワーカーのサービス残業回避や、他の品質向上活動(QC活動)に充てられる。人が辞めることもないので、経験が貯まり採用教育コストも削減できる。現場と事務所が心からのタッグを組んで、何倍ものパフォーマンスを発揮できる。会社としても強くなります。
よく3Kと言われますが、建設業の全てが3Kではないと思います。
屋内や屋根工事であれば埃まみれになるほど汚れません。
建築の屋外工事であれば常時、臭いは気になりません。
キツイはキツイです。元請から無茶を言われることもありますが、
完成物が目の前にある分、誇りを感じることができます。
多くの新入社員にとって建設業の印象は、入社前に思い描いてたものよりも、むしろ入社直後の方が良いのではないでしょうか。
一例ですが大変なのは、仕事を覚え1人前になった頃、
1人で対応する業務・物件数が多くなる頃で、売上増大と簡単には増やせない人員のバランスで苦慮されるのではないでしょうか。
一つの物件に対し、担当者一人。急病などでその人がいなくなると対応できる人がいない。それに対応しようとすると、各々が把握しなければいけない物件が増える。関係部署とのやり取りも複雑化する。つまり個人への負担が増える。どちらにせよ融通が利く働き方が実現しにくくなる。
こういった課題をITでサポートしたいと考えています。
工事写真であれば、モバイルで台帳編集できる、クラウドでの共有に追加操作は要らない、代行撮影者を招待しやすい、テンプレートがある、簡易にトークできる、といったポイントです。
当社は今後、あらゆる事務作業に対してITでの解決を実現していきます。