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なにをやっているのか

大三島にある伊東豊雄建築ミュージアムにて「建築の魅力」を学んだ授業。
海岸清掃の様子を絵画のように楽しもう!という授業。
「誰でも先生、誰でも生徒、どこでもキャンパス」を掲げている市民大学です。愛媛を舞台に個人や企業、NPOなどの知識、技術、経験を「授業」という名で発掘、共有、発信しています。 授業を教えるのは「市民先生」です、「潮流から海底地形を熟知し魚群探知機を使わず漁をする漁師」「薬から料理まで野草の知識が豊富な主婦」「先祖から受け継いだレシピのない家庭料理を知るお婆ちゃん」「その地域だけでしか作れない伝統野菜の保存に取組む団体」「鳴き声だけで生物の種類と居場所が分かる猟師など」約300名の市民が登録しています。大学、授業だからといって学位や肩書きは必要ありません。 授業を受けるのも市民です。現在、学ぶ意欲のある1700名の市民が「市民学生」として登録しています。市民学生の男女比率は「男性43%、女性57%」、受講年齢層は男性、女性ともに30代、40代が多いです。 授業は市民先生が市民学生へ一方的に教えるのではありません。時に先生、時に生徒ですから、先生も学生も「学びあい」で進みます。学びあいによって先生も学生もともに気づきの多い授業にしています。

なぜやるのか

地域の歴史に縁深い寺を尋ね住職からお宝を学んだ授業。
コーヒーの達人から家でも美味しいコーヒーの入れ方を学んだ授業
学長の泉谷昇は東京都出身です。18歳で渡米した先のニューヨークで映画製作などを学び、そこで出会った松山市出身の妻との縁で愛媛・松山を訪れ、自然豊かで食も文化も人情も恵まれている愛媛のファンになりました。 愛媛で職を得るに「えひめフィルム・コミッション」という愛媛に映画やテレビなどの撮影を誘致する活動を設立し、「世界の中心で、愛をさけぶ」「HERO」「坂の上の雲など」500本以上の撮影誘致・支援に携わりました。撮影の誘致・支援に海、山、島、川、里、町など愛媛県内各地を取材しました。 行く先々ですばらしい建造物、眺め、文化に触れ魅力を実感しましたが、地元の方々はその魅力を感じず(何もない)といいます。そして、撮影誘致支援のために取材した愛媛の魅力を撮影のためだけに活用するのはもったいないとも思いました。 そこで、どうしたら愛媛人が自分たちが暮らす地域の魅力を感じることができるだろうか?と考え、その答が「学びあい」という仕組みです。

どうやっているのか

ジュンク堂書店とコラボし、授業で扱った本の販売。
島のお祭りに参加し、新しいにぎわいを創出。
学びあいの授業を作っているのは「授業コーディネーター」です。授業コーディネーターは重要です、まず愛媛に興味がなくてはなりません。そして市民先生と市民学生とを結びほか、愛媛の魅力と地域を結ぶ役目となります。 授業の開発には「企画立案能力」が求められますが、これは私達から教えることができます。興味関心をもって、愛媛の魅力を発掘し、地域や人、社会と主体的につながる機会を創出しています。 共に働くメンバーは個性豊かです。江戸さんは事務局の要として総務会計役を担っていますし、後藤さんは今回の職と同じ「授業コーディネーター」として毎月、授業を企画立案運営しています。そして、プロボノでココ大に参加している通称「ベンスケ」は、Uターンで授業を作ってくれています。 経営陣の「理事」もユニークです。副学長・理事の杉浦さんは愛媛の伝統工芸の一つ「砥部焼」の作家です。その創造力、構成力で数々の名授業を企画してきました。 同じく理事の松本さんはITコンサルティング会社の経営者です。授業は創りませんが、ココ大のウェブサイト、ブランディングの向上役を務めてくださり、杉浦さんと共に最古参メンバーの一人です。 最後は今年4月から加入した柳井理事。税理士の柳井さんはお金のプロフェッショナル。少しずつ規模が大きくなっているココ大が進むべき道を戦略的に示してくれています。 その他にも、公務員や編集者、デザイナーなど、多彩なメンバーがココ大の魅力です。