「人材業界を志望しているのですが、どのような視点で会社選びをすればよろしいでしょうか?」
2019年の年末に大学3年生のある方からいただいたご質問です。
このフィードを書いている山根は人材業界を13年弱経験しています。また新卒採用にも24歳の頃から携わっていたので10年ほど経験をしています。
ポテンシャライト代表の山根のプロフィールを簡単に記載しておきます。
- 2008〜2011 ネオキャリア 人材紹介事業部で主にIT/Web業界を中心にRA/CA業務を担当
- 2011〜2017 IT/Web/ゲーム業界に特化したエージェント立ち上げ 取締役
- リクナビネクスト主催のキャリアカウンセラーランキング1位(3000名中)
- カウセリング実績:4200名
- 転職先決定人数 :702名
- 2017〜 ポテンシャライト
- スタートアップ/ベンチャー企業を中心に140社採用支援
- スタートアップ/ベンチャー企業向けのエージェント業を開始
- 新規事業立ち上げ
こんな感じです。
現在ポテンシャライトでは「新卒採用」は細々と行なっていますが、
学生さんが就活をする際に、どのような視点で人材業界の企業選定をすれば良いのか?
については、新鮮で、且つ参考になる意見を述べられるのではないかと思い、このフィードを記載しています。
人材業界は学生さんからすると、そこそこ人気がある業界なのではないかと思います。ただ、抑えておいていただきたい内容がいくつかあります。また、下記内容はおそらく就活で聞いたことがない内容も多数あるかと思いますので、是非ご覧になっていただければと思っています。
(1)有効求人倍率が高い業界に携わること
人材業界は「雇用」を生み出す役割を担う企業が多いかと思います。そのため「いかに雇用の数を創出したのか」「いかに多くの雇用のパターンを知っているか」がこの業界では重要になります。
スポーツも同じですよね。野球であればバッターボックスに立った数、サッカーであれば試合に出た数、将棋であれば対戦した数が多ければ多いほど、その分スキルが身についていきます。
では、なぜ「有効求人倍率が高い業界」が良いのか。答えは前述した通り、雇用の数が多いからです。多種多様の雇用を見ることができますし、その分知見も早いタイミングで増えていきます。
個人的な話をすると、新卒1年目からIT / Web業界を中心としたエージェント業に携わってきましたが、雇用の数が非常に多いため、実績も作りやすく、知見も周りの人よりも早く溜まっていきました。僕の場合は狙ってやったわけではありませんが、結果的に有効求人倍率が高い領域に飛び込めたことで、同年代の人材業界のプレーヤーよりは目立つことができたかもしれません。
「有効求人倍率」ではないですが、DODAさんが発表している「転職求人倍率」を僕は定期的にウォッチしています。ご参考までに貼っておきますね。
(2)成長産業に身を置くこと
前述した(1)と内容がやや重複しますが、成長産業を対象とした人材領域の仕事をするほうがワクワクしますし楽しいと、僕個人的には思っています。
人材業界はいろいろなビジネスモデルが存在しますが、「採用活動している企業様」と「転職活動している求職者様」が関係して成り立っている業界です。
色々な企業様、求職者様がいらっしゃる中で、成長産業の支援であれば1人の求職者の方がジョインしたときのインパクトも大きいですし、もしかするとご紹介をした先の企業様が将来のGoogleやFacebookになるかもしれない企業かもしれない、と思うとワクワクしてくるのではないかなと思っています。
ただ、成長産業とは言いつつも、スタートアップ/ベンチャーフェーズの企業は、大手企業と比較してもカオスであることが多いです。こういった企業様の採用支援はけっこう大変です。参考程度に下記記事を。
(3)サービス領域が限定的すぎる会社はよく調べる
何かに特化している会社にジョインすることに対して、反対では無いですが、限定的過ぎるサービスしか持っていない企業様だと、トレンドが移り変わりやすいHR業界においては、その影響を受けることが多いです。
もちろん今後成長して、サービスの数を増やす戦略をとっている企業様もいらっしゃいます。一概にそうとは言い難いのですが、HR業界の中でサービス領域を限定的にして、その領域が「トレンドが過ぎたら廃れてしまいそう」であれば注視したほうが良いかと。
また、人材業界出身者の転職理由の1つで「自社のサービスが提案できる幅が狭い」とおっしゃる方も多いです。実際に入社後に顧客と接すると理解できてきますが、顧客の人事全般に対しての課題は無限にあります。その無限にあるニーズに対して、限定的すぎるソリューションですと太刀打ちできなくなってしまうこともあります。
参考程度に、人材業界出身者のネクストキャリアを描いたブログを貼り付けておきます。何となくイメージつきやすいかもしれません。
(4)変化への対応が遅い会社は選ばない
前述した通り、直近のHR業界のトレンドの移り変わりは非常に早いです。また皆さんが想像もできないような大不況が訪れる可能性もあります。そうなったときに、戦略を180° 変えることが出来るような会社でないと生き残っていくことは難しいかもしれません。
変化への対応が早い企業と遅い企業はどうやって見極めれば良いのか。これはもしお会いする機会があればお話しましょう。
(5)仕組みが整いすぎていない会社のほうが良いのではないか
人材業界の歴史はそこそこ長いです。それが故に各領域においてベストプラクティスが固定されてしまっている企業も多くあるかと思います。
仕組みが整っている企業は素晴らしいと思います。ただ、仕事の難易度は落ちます。そのため、いざ別の会社(業界)に飛び込むにあたり、本質的に身に付けておくべきスキルが身につかない可能性もあります。特に人材業界の中でも単一事業であり、歴史が長い領域であれば、決まった業務をやり続けることになるかもしれません。その点については注視していただいた方が良いかと思います。
ポテンシャライトはまだ3期目のアーリーフェーズですが、仕組みやノウハウを継続的に創っています。参考になるかはわかりませんが、地方出張に行ったときなどはレポート(ブログ執筆)を必須にしています。
(6)代表の「人材業」に対しての考え方は大事
これは確認をする、そして共感をすることが大事です。
人材業界は離職率が他の業界と比較して高いです。その理由の1つが、所属している会社が「人材業」に対しての考え方のミスマッチがあります。
学生さんが人材業界を志望している理由で多いのは「人と人との架け橋になりたい」「人の人生に大きな影響を与えることをしたい」などです。もちろんそれは素晴らしい理由ではるのですが、ただ皆さんが想像している以上に、人材業界は泥臭いことが多いのです。すごく大変ですよ。
また、人材業界は「利益と思想のバランス」を保つことが非常に難しいです(利益=売上のことを指していますが)。人材業界(特にエージェント)はご紹介をした企業様への就職が確定し、ご入社をされたら売上が発生します、つまり成果報酬です。そのため、いくら良いサポートができたからと言って、ご自身でご応募をされた企業様に転職決定をしても売上は入ってこないのです。そのため、売上を念頭に求職者様とコミュニケーションを取らざるを得ないことがあります。
逆に「思想」について。思想というのは「こういった想いで人材業と向き合いたい」というもの。思想だけだと売上を伸ばすことができません。そこのバランスが非常に重要なわけです。
話を戻すと、人材業界を志望する方は代表の「利益と思想のバランス」は聞いてみても良いかと思います。その質問については戸惑う社長様もいらっしゃるかもしれません。
参考程度にポテンシャライトの目指す世界観は下記です。
(7)けっこうハードな仕事ですよ
率直に言うと、人材業界(特にエージェント)は他の業界と比較してハードです(肉体的にも精神的にも)。なぜなら、転職活動している求職者様は在職中であることが多く、必然的にコミニケーションが取れるのは就業時間外になるケースが多いです。企業面接が最も多く行われる時間帯は19時以降であることが多く、結果的に人材業界のホットタイムも19時以降になることも多いです。
また、求職者の人生のジャッチに携わるわけです。すごく大事ですよね。その仕事を生半可な姿勢ではできませんよね。
また、18時に帰宅したい、オンとオフを分けたい、と仰っている方は人材業界には入らないほうが良いかと思います。もちろん自分に力を身につけて、時間関係なく仕事ができるようなスキルを身に着けることができれば全く問題ないのですが、新卒のタイミングではその思考性では難しいです。
(8)もしかしたら全業界の中で最も理不尽なことが起きる業界かも
人材業界(特にエージェント)は「転職活動をしている求職者様」とやり取りをすることが多いです。表現は良くないですが、商材が「人」なのです。人には「心」があります。だから大変なのです。
「モノ」など目に見える商材であれば取り扱うのは簡単かと思います。理由は「モノ」は目の前に置いておけば逃げないですよね。ただ人には「心」があるため、すぐに離れていってしまう。人材業界はその「人」に最大限配慮し、且つ信頼をしてもらわなければならないのです。
恋愛もそうですし、友達もそうですよね。すごく仲が良かった友達と大喧嘩をして、そのまま仲直りをしないまま時間だけ過ぎ去ってしまうこともあるかと思います。ただ、目の前にあるスマホやPC、机や椅子はあなたを裏切りませんよね。なぜなら彼らには心がありません。だからそれらの販売営業はある程度できます。ただ、人材業界は心がある方々と接するわけです。それは大変ですし、自分のコミュニケーションエラーが影響して、理不尽なことを起こしてしまうかもしれませんね。
(9)著名で、且つ成長中の企業の採用活動に携わることができればベスト
人材業界に携わるにあたり、どのような「顧客」と接するかは非常に重要です。担当をする顧客が著名で、且つ成長中の企業様であれば、その経験は貴重でありワクワクするものになります。もちろん要求が高くて大変かもしれません。ただ、その分自分も成長できます。
例えば、山根がここ最近採用活動に携わった企業としては、セブン銀行様、LITALICO様、エブリー様(DELISH KITCHEN運営企業)などなどあります。いずれも著名であり、成長をし続けている企業様ですが、そういった企業様の採用活動の支援を多数経験をすることができる環境はすごく良いのではないかと思っています。
おかげさまでポテンシャライトは恵まれた顧客層の企業様と取引をさせていただいております。
(10)最後は人で選ぶべき
結局どの業界も同じですが、最後は選考でお会いをした人との相性。感銘を受けた言葉、刺激を受けた言葉などを大事にしていただければと思っています。どんなに素敵なビジョン、オフィス、ビルであってもお会いした人と共鳴できなければ長続きしません。仕事はやはり最後は「人」が重要かなと思います。
と、色々記載をしたのですが、まだ伝えたいことはたくさんあります。
このフィードを見ていただいている方は学生さんが多いかと思いますが、社会人になる前に知っておいてほしいことが多数あります。
例えば、
- 人材業界分類別 身につく能力
- 人材業界で知っておくべき風習
- 人材業界で勝てるプレーヤーはどんな人?
- エージェントにおいて活躍するためにまず何をしたら良いの?
- どういうキャリア形成をしたほうが良いのか?
- どういった人が人材業界にはマッチするのか?しないのか?
- 人材業界で活躍する前に知っておきたい業界構造
などなど。
たくさんあるのですが、ご興味をお持ちの方がいらっしゃって、且つ人数も多く集まりそうであればセミナーとかやってみても面白いかと思います。客観的に人材業界については語ることができるかなと思っています。
では!